障害者の就業実態調査
先週厚生労働省から、「身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査の調査結果」が公表されました。
http://www-bm.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/dl/h0118-2a.pdf
新聞等でも報道されたので、概要は既にご承知と思いますが、
身体障害者は、就業率43.0%、非就業率53.7%、
知的障害者は、就業率52.6%、非就業率45.0%、
精神障害者は、就業率17.3%、非就業率80.7%、
この最後の精神障害者の数字は今回の調査で初めてはいってきたものです。
身体障害者の43.0%というのはやはり低すぎるというべきでしょう。特に、重度身体障害者が32.6%に対して、非重度身体障害者の53.7%というのは、もっと引き上げる余地はあるように思われます。
知的障害者の就業率が意外に高いと感じられた方もいると思いますが、知的障害者というのは、健常者がやれないような単純作業を長時間黙々と余計なことをやったり考えたりせずに行うことができるという面で、ちゃんとした管理体制を整えれば現場としても使いやすい面があるからだろうと思われます。
新聞報道でも注目された精神障害者ですが、これはやはりなかなか難しいところがあるのでしょう。特に、使用者から「何かあったときに誰が責任をとってくれるんだ」といわれたときに、そういうステレオタイプはごく一部に過ぎないと説得するのは相当な困難を伴うと思われます。上の17.3%という数字のかなりの部分は、採用後在職中に精神障害を生じた精神障害者であると思われますので、精神障害者であるという前提で採用された人はもっと少ないことになります。
精神障害者の雇用促進については、2004年に研究会報告が出ていますが、
http://www-bm.mhlw.go.jp/houdou/2004/05/h0525-2c.html
まず在職精神障害者について、
>復職支援に関係する外部機関やメンタルヘルス対策との連携のもとで、採用後精神障害者を中心とした在職中の精神障害者の雇用管理の負担感の解消のための施策にこれまで以上に重きをおく必要がある
としつつ、新規採用については、
>多くの企業が雇用管理の方法や仕事ができるかどうかについての不安を抱いている
ことから、
>このような精神障害者の雇用に際しての企業の不安を払拭し、あるいは、本人の円滑な職場適応を図る観点から、精神保健医療福祉施策やメンタルヘルス対策との連携を図り、必要に応じ本人および周囲への適切な支援を行いながら、実際の職場で訓練、ないしは試行的に雇用される機会をさらに増やしていく必要がある。
と述べています。
この報告を受けた2005年の法改正で、精神障害者についても雇用義務は課さないが雇用率には算定するという扱いにされたわけですが、その先はなかなか難しいというわけで、今国会に提出予定の障害者雇用促進法改正案でも、特に進展はないようです。
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