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2008年1月16日 (水)

就職内定状況

11月末現在の就職内定状況が発表されました。まず高校新卒者ですが、

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/01/h0116-1.html

就職内定率は79.7%で、男子は84.4%、女子は73.7%です。いずれもここ5年間上昇基調にあります。2003年は60.3%だったのですから、大きな回復ぶりです。大体1996年から1998年の水準に戻ったということです。

求人倍率は1.71倍で、2003年の0,90倍に比べると倍近くまで回復したということですね。こちらもほぼ1990年代中葉の水準に回復したわけです。

ただ、地域格差は依然として大きいものがあります。内定率でいえば北海道は55.4%(女子は47.6%)、沖縄は39.5%(女子は34.4%)と低迷していますし、求人倍率でいうと青森の0.46倍なんてのは、やはり高卒労働力が請負労働に流れ込んでいく原因になっているわけで、これをどうするかは大きな問題ですね。

都市部は既に過熱気味に労働市場が逼迫しつつあるのだから、ある意味で高度成長期と同じ様な発想で、全国的な労働力の広域移動を政策として考えるということもありうるのかも知れません。少なくとも、現在のような労働力の広域移動を請負業者の手に委ねてしまっているような状態が望ましいとは言えないはずですから。

ただ、これは地域格差を前提とし、固定化しようとする発想ではないか、と批判を受けることは当然予想されますが。

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コメント

「昔から、終身雇用なんてありません。そんなものは幻想です」というブログ界隈で流行っている言説は正しいのでしょうか。お時間があれば、ぜひ正しい事実認識をご解説頂けると幸いです。

ミスリーディングな表現なので修正すると、「戦後日本社会でも終身雇用なんて存在してません。そんなものは幻想に過ぎなかったのです」という主張がなされているようです。

それは「終身雇用」という言葉を、どう定義するか次第でしょう。本当に死ぬまでことごとく面倒を見るのだけが終身雇用だと定義するならば、そんなものは戦前であれ戦後であれ幻想に過ぎないことは明白です。
しかし、可能な限り長期的に雇用を継続し、その間技能を向上し、賃金も(規模によって上がり方はかなり差はありますが)年とともに上昇していくという在り方が、「あるべきモデルとして」存在していたという意味においては、(それを吉本隆明式に「共同幻想」と呼びたければ呼んでもいいですが、少なくとも社会的実態として存在していたという意味においては)「幻想」ではありません。

「あるべきモデルとして」という意味は、大企業であればあるほどそのモデルを現実に実行可能であるのに対して、中小零細企業になればなるほど現実の変動の中で完全には実行しがたい面が出てくるという意味です。ですから、現実には中小零細企業になればなるほど勤続年数は短くなります。景気のアップダウンの中で雇用を現実に維持できる能力に差がある以上、それはやむを得ないことですが、逆にいえばそれは当事者たちの意識構造においては「やむを得ないこと」なのであって、正々堂々と正しいことではなかったということです。この点において、中小企業の正社員なんてフリーターみたいなもんだという言い方をするとすれば(少なくとも社会の共同主観的存在構造としては)正しくありません。

これは賃金構造においても同様です。大企業ほど賃金カーブが急であり、中小になればなるほどそのカーブが平べったくなるのは、賃金は年功的であるべきであるという社会的規範とそれが現実にどこまで実行可能であるかという企業の能力との相関関係で決まるものであって、そもそも本質的にそういう賃金構造でない非正規労働者とは異なります。

これに加えて、経営者団体や労働組合や国のこういったシステムに対する価値判断が、戦後60年間の間に結構揺れています、というよりも大きく変動しています。「終身雇用はもう終わった!」とかね。そういう社会的イデオロギーがその時々の言説を支配しているように見えることもあって、ますます事態の真相が見えにくくなるという面もあります。

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