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2008年1月 7日 (月)

佐川子会社が二重派遣

今年も年始から派遣祭りの予感が・・・。

http://www.asahi.com/life/update/0106/TKY200801060156.html

>厚生労働省は、佐川急便グループで物流大手の佐川グローバルロジスティクス(SGL、東京)に対し、労働者派遣法に基づく事業改善命令を出す方針を固めた。日雇い派遣大手グッドウィルから労働者を受け入れ、別の企業に送り込む違法な二重派遣をしていた。物流大手への改善命令は極めて異例。グッドウィルもすでに、SGLにからむ二重派遣を含め、違法派遣の多発で事業停止命令の通知を受けており、違法派遣問題は広がりをみせている。

>派遣労働者の申告をきっかけに昨年8月、静岡労働局が立ち入り調査して発覚。SGLは物流会社だが、一部で派遣事業も行うために07年3月に派遣事業の許可を受けており、派遣法による処分の対象となった。厚労省は、二重派遣された人数が多く悪質で、改善命令が必要と判断した。昨年12月19日付で不利益処分の予定をSGLに通知しており、弁明を聞いた上で最終的に決める。

>物流業界では季節による業務量の変動が大きく、日雇い派遣を大量に活用している。二重派遣といった違法行為が横行しているとみられ、厚労省は派遣会社だけではなく受け入れ側も処分することで、業界全体の適正化を促す考えだ。

という記事です。以下法制的解説。

二重派遣については、業務取扱要領にこのように書かれています。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/dl/1.pdf

>第1 労働者派遣事業の意義等

1 労働者派遣

(5) 労働者供給との関係

ニ いわゆる「二重派遣」は、派遣先が派遣元事業主から労働者派遣を受けた労働者をさらに業として派遣することをいうが、この場合、当該派遣先は当該派遣労働者を雇用している訳ではないため、形態としては労働者供給を業として行うものに該当するものであり、職業安定法第44条の規定により禁止される。
これについては、派遣労働者を雇用する者と、当該派遣労働者を直接指揮命令する者との間のみにおいて労働者派遣契約(第7参照)が締結されている場合は、「二重派遣」に該当しないものである。したがって、労働者派遣契約を単に仲介する者が存する場合は、通常「二重派遣」に該当するものとは判断できないものであること(詳しくは(6)のロ及びハ参照)。

本件でいいますと、SGLは自ら雇用していないグッドウィルの労働者を、第一の派遣契約によって取得した指揮命令権によって支配従属下に置き、他の企業に送り込んでいたわけですので、概念上労働者供給に該当するということですね。労働者派遣に該当しない労働者供給は職業安定法上禁止されていますから、その違反だと。

ただ、おそらく世間一般的には、二重派遣が悪いのは派遣料をグッドウィルとSGLに二重にとられるからだろうと意識されているのではないかと思われます。実質的には確かにそうなのですが、現行派遣法上、派遣料なりマージン率に上限規制というのはありませんので、一社派遣でも二重派遣以上にマージンを取られている可能性もないわけではありません。そこは、派遣会社は自ら雇用しているんだから「(「搾取」はあっても)中間搾取はあり得ない」という建前でできているので、世間の常識的な感覚といささか食い違うところです。

実はこのブログでも縷々書いてきていますが、派遣法にはそういう世間の常識感覚と食い違うところが結構あります。いままで、派遣はそもそもケシカランvsもっと規制緩和せいのやや不毛な対立図式の中で、陣地とりゲームにばかり関心が逝って、派遣法システム自体のそういう矛盾は放置されてきた感がありますが、そろそろそういうところの見直しに足を踏み入れてもいいのではないかというのが、私の考えです。

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