フォト
2025年4月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ

« 山口二郎氏の反省 | トップページ | 今後の労働時間規制の在り方 »

2008年1月25日 (金)

分煙要求で解雇

これは興味深い事例です。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/72372.html

>職場の分煙対策を要望したことで不当に解雇されたとして、砂川市の男性(34)が二十四日、勤務していた建設資材製造会社「道央建鉄」(滝川)を相手取り、解雇の無効確認と給与の支払いを求める訴えを札幌地裁岩見沢支部に起こした。NPO法人日本禁煙学会(東京)によると、職場での受動喫煙をめぐり非喫煙者側が解雇されるのは極めて珍しく、こうした解雇処分の違法性を問う訴訟は、受動喫煙防止を盛り込んだ健康増進法の施行(二○○三年)後、全国で初めて。

 訴状によると、男性は○七年一月、道央建鉄に入社。当時、勤務していた同社の事務所では、従業員の半数以上が自席で喫煙していた。男性は入社直後から頭痛や吐き気、不整脈などの症状に悩まされ、同五月には「急性受動喫煙症」と診断された。

 男性は診断結果を上司に提出し、分煙対策を要望したが、会社側は「喫煙しないとうちの社員は仕事にならない」「たばこが苦手なら他の仕事を探した方がいい」などとして応じなかった。

 男性の相談を受けた滝川労基署は同八月、同社の実態を調査し、同社は受動喫煙に関して改善を指導されたという。その直後、会社側は男性に退職か配置転換を受け入れるよう命じ、男性がどちらも拒否すると、「やむを得ない理由がある」として解雇された。

 男性の代理人の黒木俊郎弁護士(札幌)は「解雇の実質的な理由は労基署への相談であり、解雇は労働基準法違反」とし、男性は「上司から『たばこを我慢できないのはおまえが悪い』などと煙たがられ、納得できなかった。泣き寝入りせずに戦いたい」と話す。

 一方、道央建鉄の西田洋一社長は「私を含め社員の大半が喫煙者で、完全な分煙対策には費用もかかる。社会の流れに逆らっているのは承知しているが、男性と会社の双方のために解雇した」としている。

煙草を吸ってる側が、吸わない側を「煙たがる」とはこれいかに、なんて冗談を言いたいわけではなくって、ゴホンゴホン、すいません。

労基署への相談が理由だとすると簡単な話になっちゃいますが、非喫煙者が分煙を要求したことを理由とする解雇という観点からはたいへん興味深い事案です。労働者の大半が喫煙者であるような中小企業で、その喫煙労働者の権利をどう考えるかという観点も忘れてはいけないですし。

« 山口二郎氏の反省 | トップページ | 今後の労働時間規制の在り方 »

コメント

テーマ:喫煙者の権利について。
その会社、チェックしてみましたら、26人という小さい会社ですね。その事務所で半数以上が喫煙、と。いまどき、10~20人のオフィスで半分以上が喫煙というのはなかなかないような気もします。で、これは、統計的に証明できるわけではないけれど、わたしの経験では、ストレスの高い職場・職種ほど喫煙率が高く、個人としては、喫煙てアディクションの問題に近いですね。あと、ここで訴えているのは男性ですが、これが妊娠している女性だったら、その人に対して「喫煙者の権利」などと言えるのか、と。わたしは非喫煙者で、喫煙者の権利は認めるが、JTは「(煙の出ない)食えるタバコ」を開発しろ、と思ってる人間です。喫煙者は、非喫煙者を混ぜたグループの中にいるときになぜか、煙を外に向ける。その人がいることを容認しているグループなら、お願いだから煙は仲間うちで深呼吸して全部吸ってくれよ、ゴホンゴホン。地域密着型・定時退社厳守のSME(中小企業)の多いヨーロッパなら、どの職場にも日本よりずっと普通に妊婦もいるでしょ、と思いますけど。

すみませんが追伸。「妊婦」を出すと誤解されそうで。わたしは、ナントカマークつけてながらハイヒールやらミュールやらはいていて、子どもが産まれたらバギーを閉まる寸前の電車のドアのつっこむような「妊婦」まで擁護するつもりはありません。(とはいえ、そういう妊婦の子どもは、子ども自身には責任はなくて気の毒ですが。)

これもフランスネタで、今年1月1日から、これまでの室内禁煙に加えて、カフェ・レストランなどでの全面禁煙が、罰金付きで法制化されたようですね。

http://tf1.lci.fr/infos/sciences/sante/0,,3666708,00-loi-anti-tabac-questions-.html

このページの質問9で制定の目的を、保健相は「非喫煙者、特に労働者を受動喫煙のから保護するため」と言っているようですね。
日本でも、近年の癌の増加をみると、考えてしまいます。

フランス保健相のサイトを見たら、ばっちり「禁煙大キャンペーン」 http://www.sante.gouv.fr/
「サルでもわかる」禁煙マークをクリックしますと、どういう根拠からかわからないけれど、「喫煙常習者の二人に一人はタバコで死にます!受動喫煙で死ぬフランス人は年間5千人!だから、保健相の今一番の課題は禁煙!」という宣戦布告。
そこまでやるかなあ、と思いますが、日本の「保健」の優先が「メタボ」よりは、たしかにいいかも。フランスでは義務なんかではない職場での健康診断、「わたしは健康だし、自己責任で管理するからほっといてくれ!」と言うのに、「義務だから受けろ」としつこい指導。そして、わたしの一番測られたくない体重を量られ、もっと測られたくない「腹囲」を測るんだって(泣)。もう絶対受けるもんか、ほかにやることあるだろうが、メンタルヘルスとか(怒)!でも、労働者が健康診断を受けられるような職場は恵まれている、ということ自体は理解しています。でも、腹囲計測義務化はいやだ。細身男性のhamachanには理解できない悩みかもしれませんが。

続報!
道央建設は解雇を撤回したようです。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/74767.html?_nva=23

>職場の分煙対策を要求したことで不当に解雇されたとして、砂川市の非喫煙者の男性(34)が、勤務先だった滝川市の建設資材製造会社に解雇の無効確認などを求めている訴訟で、同社が六日までに分煙対策を実施し、男性に解雇の撤回を通知したことが分かった。

>同社は男性の提訴から十日後の今月四日に解雇を撤回。男性が要求していた職場の完全分煙を一日から実施したとしており、男性に六日から出勤するよう求めた。

>これに対し男性は、急性受動喫煙症と診断されていることから、「十分な受動喫煙対策が取られているかを確認しないと職場復帰はできない」として、六日の出勤は見合わせた。

>近く、男性の代理人が同社の分煙対策状況を調査するという。

うーむ、けむり解雇事件という裁判例ができる機会がなくなったのはいささか残念な気はしないではないですが、まあ当事者にとっては妥当な結果かと。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 分煙要求で解雇:

« 山口二郎氏の反省 | トップページ | 今後の労働時間規制の在り方 »