準司法機関の統廃合
続・航海日誌さん経由で、
http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0801.shtml
昨日の日経の記事
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080106AT3S2900M05012008.html
に若干のコメントを。
>政府・与党は行政処分への不服申し立ての審査や紛争処理などを担当する中央労働委員会などの行政機関の統廃合を検討する。処理件数が減っている機関があるほか、処分を出す省庁の担当者が人事異動でその処分を審査をする機関に移る例があり、中立性を疑問視する声があるためだ。自民党司法制度調査会を中心に作業を進め、できるものは18日召集の通常国会に関連法案を提出したい考えだ。
不服審査機関の見直しでは国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会と海難審判庁の統合が昨年12月に決定。政府・与党は国交省所管の船員中央労働委員会も2008年度中に厚生労働省所管の中央労働委員会に吸収させる考えだ。
最後の船中労委と中労委の統合については、昨年本ブログでも触れましたが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_451c.html(船員労働委員会の廃止?)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_50e9.html(今さらボヤきません)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_fd4f.html(船員労働委員会の運命)
結局、船中労委からはたった一人の定員も移ることなく、船員に関する紛争処理事務はめでたく中労委に移管されることと相成りましてございます。これで観光庁長官をせしめたのですから、さすが国土交通省というところですかな。
まあ、それはともかく、この上の統廃合って何だろうとおもって、同じく続・航海日誌さんのリンクをたどって、平成19年12月14日 自由民主党政務調査会司法制度調査会経済活動を支える民事・刑事の基本法制に関する小委員会「【緊急提言】準司法改革の成果と今後の指針」
http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/pdf/seisaku-032.pdf
を見てみると、不服審査関係で大きな改革を狙っているようです。上の記事で「処分を出す省庁の担当者が人事異動でその処分を審査をする機関に移る例があり、中立性を疑問視する声がある」というのは、労働保険審査会などはまさにその典型で、だから審査会で蹴られたものが裁判所で労災認定されるんじゃないかなどと遺族や弁護士の方々が批判する所以でもあるわけですが、一方で、労災認定の技術的な意味での専門性というのはなかなか半端なものではなく、関わったことのない人間がいきなりやれといわれてできるものでもないという面もあるわけです。上のリンク先文書で例の消えた年金の関係で、総務省に設置された年金記録確認第三者委員会の方がよっぽど立派にやってるじゃないか、というのとそう簡単に同列に論じられるものではないように思われます。
とはいえ、じゃあ今の労働保険審査会のままでいいのかというと、やっぱり上の指摘は重いものはあるわけで、役人仲間じゃない第三者でしかも労災補償の詳しいところにもきちんとした知識を持った外部の人を、ということになると弁護士とか社労士とかという話になるのでしょうか。
ただ、いずれにしても、ただでさえ業務量が処理能力を超え気味で仕事の溜まっている労働保険審査会を、下手に統廃合してしまうとフリーズしてしまう危険性がありますので、そこは念頭においておく必要はありましょう。
« 佐川子会社が二重派遣 | トップページ | 2008年版経営労働政策委員会報告 »
コメント