生活者本位の消費者主権?
天漢日乗さんのブログに、北見赤十字病院内科医大量退職問題についての地元掲示板への書き込みが載っていまして、
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/01/post_1377.html
いやはや、生活者本位の消費者主権というものを、こういう風にはき違え極めるとここまで行くんだなというのがよおく判ります。
>職場放棄するようなクズ医者しか供給してこない大学が悪い。人格高潔な使命感あふれる良医をきちんと供給する義務を放棄した大学に全責任がある。今回、話題に上がっているクズ医者を北見市民は決して許さない。お前らは末代まで恨まれる。お前らに対する憎悪の念は筆舌に尽くしがたい。
新しい医者はまもなく来るだろう。だが、油断は禁物だ。新しい医者がどんなクズかわからないからだ。我々は新しい医者を徹底的に監視し、真贋を見極めるつもりだ。仮に、我々の要望に応えられないクズ医者だったら、我々なりの対策をとるつもりだ。お気楽な気持ちで北見に来られては迷惑だ。
北見で働くに値する医者には北見の医療を支える犠牲的精神が必要不可欠だ。北見市民に対する尊敬の念を持たない尊大な医者も迷惑だ。北見市民は患者様であり、医者は単なる奉仕者であるという基本的な理解が求められる。
>北見で働かして欲しいなら、きちんと地元の人に挨拶して己の分限を弁えて欲しい。自分が仕事をもらう立場であり、雇用主は地元住民であることを理解できることが必要。北見の人々に生かされていること、自分が余所者であり、新参者であることが理解できること。つまり、地元の人々の意向が最優先されること、余所者のくせに自己主張をしないこと。このような最低限度のモラルが求められる。いままでの医者はこの程度すら出来なかった。
>北見日赤病院のひどさは本当に市民でないとわからない。私はいったん今いる医者を全員首にして、改めて新たに私たち市民の目線で雇った医者で新北見日赤病院を立ち上げるべきだと考えています。今残っている医者を一刻も早く首にすればむしろしがらみのない施設として医者も雇いやすくなる。会社と同じです。
>北見在住の市民です。医師の顔色ばかりをうかがう行政側の対応に呆れ果てています。平均年収の3倍を貰っておきながらまだ給料アップを要求したり、どの業種でもサービス残業当たり前のご時勢に自分の休みばかり主張する医者連中の幼児性にはうんざりです。医者は世間知らずとは思っていましたがここまでとは思いませんでした。あえて言いますが、幼児の甘えに対しては毅然とした対応が必要だと思います。一つ我儘を聞き入れたら必ず次の要求が出てきます。一度医者も叱り飛ばして世間の厳しさを教育してあげたほうが彼らの為でもあると思います。
こういう「市民」さまが、労働市場の消費者主権を振り回すことを正義だなんだと褒めそやしてきたわけですよ、リベラルサヨクな皆様は・・・。
医者はexitという選択肢が容易に取り得る数少ない職業の一つなんですが。
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■典型的な「モンスター・ペイシェント」。
医は算術?〜医龍?〜
http://oyazi007.blog101.fc2.com/blog-entry-70.html
苦しむ女房を励まして何とか病院へ・・・・
診察を終え出てきて話を聞くと・・・
原因が分からない!との事。
薬を出すので痛みが治らなかったら15日又、来てくれとの事。
点滴を受けながら痛みに苦しむ女房・・・・
その姿を見て・・段々・・・・・
(ー‘‘ー;) ひくひく・・
俺 『すみません・・先生呼んでく... [続きを読む]
hamachan議長、ご紹介いただきありがとうございます。
ところで、その後、この書き込みはネタだと読者の方に教えていただきました。ただ、その元ネタは「彦根市立病院での安心なお産を願う会 掲示板」(現在閉鎖)に昨年1月に書き込まれたモノです。寒心に堪えない書き込みを保存してくださっている方がいらっしゃいますので、ご参照下さい。
http://d.hatena.ne.jp/mycat/20070125
投稿: iori3 | 2008年1月30日 (水) 14時08分
お知らせいただきありがとうございました。
さすがに北見の「市民」ではなかったようですが、彦根の「市民」さまではあらせられたようです。
こういうサービス提供者を胡麻の油よろしく絞れるだけ絞ればいいという生活者本位の消費者主権論が、24時間営業のコンビニやレストランの非正規労働の蔓延と店長さんの長時間労働を生み出してきているのではないか、という疑問をマスコミもたまには考えみるといいと思います。
少なくとも、厚労省の雇用政策研究会報告だって、ここまでは云っているんですよ。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/12/dl/h1225-3a.pdf
>(消費者に対するサービスの在り方の見直し)
消費者ニーズの多様化、高度化を背景に、年中無休の24 時間営業など、消費者からみれば便利で多様なサービスが提供されているが、雇用面からみれば、働き方に悪影響が現れている面もある。今後の労働力人口減少を見据えると、貴重な労働力の有効活用を図ることが必要であり、企業側はさらなるIT化や機械化の推進によって労働力の節約に努める必要がある。さらに、企業活動の背景にある消費者ニーズについては、消費者は利便性のみを追求するだけでなく、必要なサービスに対する価格設定の在り方、サービスを提供する企業の労働者の働き方にも配慮するなど、社会全体で個々の消費行動の在り方について検討する必要がある。
投稿: hamachan | 2008年1月30日 (水) 14時25分
掲示板で書き込んでるだけなら、別にいいと思うけど
消費者主権ってのは「金がないと医療サービスが受けられない」とかいうのに近い話と思うから、ちょっと違うような気が
投稿: ええ | 2008年1月30日 (水) 21時25分
「ワーク・ライフ・バランス」。個々人の、職業生活と個人生活のバランスだけでなくて、社会での、「労働者」と「生活者(消費者)」のバランスもだいじですね。どっちが大切とかえらい、とかではなくて、どちらの意義も理解して、対等に。
「これまでOOが(ここでは「医者」)がいばっていたが、これからはOOが(ここでは「患者」)がいばるんだ」というのでは、社会の基本構造は変わらずに、誰がいばるかが変わるだけのことですよね。
「自由liberte、平等egalite、博愛fraternite」というフランス革命のスローガンが好きです。「博愛」は現在では「連帯solidarite」に変わっていると思いますが、どれも今でも通用する言葉ですね。明治維新でも「四民平等」とかあったし、今や金の話だけの「経済」だって、もともとは「経世済民」=社会政策、だったのになあ。
投稿: ぶらり庵 | 2008年1月30日 (水) 22時56分