国民の豊かさの国際比較
社会経済生産性本部が「国民の豊かさの国際比較2007年版」を発表しました。
http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/01.data/activity000845/attached.pdf
>各国比較にあたっては、OECDや世界銀行の最新資料(主として2005年のデータ)から56の指標を選び、これらの指標を健康、環境、労働経済、教育、文明、マクロ経済の6つに分類し、各指標の偏差値を豊かさ総合指標として順位づけを行った。
ということなのですが、具体的には、
>【1】日本の豊かさは第7位(OECD30カ国)、主要先進国の中では1位
○日本の豊かさは、経済協力開発機構(OECD)30カ国中第7位で、前年に比べて1ランク順位を下げた。ただし総合指標値は前年の54.70から54.88へ上昇した。
○第1位はルクセンブルグ、第2位ノルウェー、第3位スウェーデン、第4位スイス、第5位フィンランドで、ヨーロッパの国々が上位を独占している(この順位は2005年から3年間変わっていない)。
○日本は主要先進国の中ではトップ。米国は第12位、英国16位。
【2】日本は環境指標(4位)、健康指標(5位)が上位、マクロ経済指標(22位)が下位
○日本が最も上位の指標は環境指標(第4位)で、そのほか健康指標が第5位、労働経済指標と文明指標はともに第9位で、これらの4つの指標はベスト10に入った。
○教育指標は13位と中位にあり、マクロ経済指標は22位であった。
○マクロ経済指標が悪い要因は、国民1人当たり政府累積債務や財政赤字の大きさ、1995~2005年の平均経済成長率の低さにある。
【3】「平均寿命」「人口当たり病院ベッド数」「単位労働コストの低下率」などは日本が1位
○日本が第1位になった個別指標は、「平均寿命」「人口当たり病院ベッド数」、「単位労働コスト(生産物1単位生産するのに要する賃金)の低下率」、「GDPデフレータ上昇率(年率平均マイナス1.0%)」の4指標である。
○最下位の指標は「1人当たり国際観光収入」、「平均経済成長率」、「1人当たり政府累積債務」であった。
おおむねなるほどという感じなのですが、ちょっと待ってよ、といいたくなるのが「単位労働コストの低下率」。
働く人の仕事の値打ちが下がることが「国民の豊かさ」なんですか、その「国民」って誰のこと?と、一言いいたくなりますね。
もしかしたら、生産性の向上率といいたいのかも知れませんが、いやだから例えば生産物1単位生産するのに要する労働時間数だとか資本費用だとかでそれを算定するというのであれば判らないではないのですが、生産物当たりの賃金が下がらないと「国民」様は豊かにならないのですかねえ。生産性向上の成果配分は労働者にもきちんと配分すべしというのが生産性三原則であったような気がしないでもないのですが。
も一ついうと、「生産物1単位」というのがいかにも製造業的であって、サービス業についてはどう考えて居るんだろうか、という疑問も湧いてくるわけですが、たとえば、介護サービス1単位当たりの生産性向上ってどうやって測るんだろうか、というようなことを考えると、ますます謎が深まってくるわけでありますね。
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いつも参考になります。
>単位労働コスト:成果配分・サービス業
11月の統計発表時に新聞からまとめてみました。断片的ですが:
http://trying.seesaa.net/article/67781472.html
豊かさ指標を作るとしたらどう位置づけるべきなのか…は、たしかによくわかりませんね。
投稿: 若葉 | 2007年12月 5日 (水) 01時16分
>日本が第1位になった個別指標は
単純に「数値が大きいのは」という意味かもしれませんね(優れている という意味ではなく)
上記は「豊かさ指標を作るとしたら、単位労働コストをどう位置づけるべきなのか…」のつもりでした。補足しておきます。
投稿: 若葉 | 2007年12月 5日 (水) 01時37分