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2007年12月25日 (火)

野川忍先生の労働法教科書

野川忍先生から、大著『労働法』と『わかりやすい労働契約法』をお送りいただきました。有り難うございます。

1491 1497

http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1491.html

http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1497.html

まず注目は版元です。商事法務といえば、文字通り会社法を中心とする商事法務関係の雑誌や書籍を出しているところですが、そこからこういう堂々とした労働法の教科書が出されるようになったということは、労働を抜きにして会社を論ずることはできなくなりつつあるという時代認識の現れと見ることもできるかも知れません。

もちろん、ヨーロッパ諸国では会社法の中に労働者参加の規定があることからもわかるように、そもそも会社法と労働法は不可分の関係にあるわけですが、近年の日本では労働者のことを棚に上げてコーポレートガバナンスを論じて何の疑問も持たないという傾向も見られることを考えると、少しは効果があるかも知れません。

それから、構成としては、総論が大変充実しています。普通、総論は冒頭でごく簡単に、というのが一般的な教科書のパターンですが、本書は、

>主要目次
《総論》
■労働法の基本的な原理
労働法の原理 「労働契約」の意義--労働基準法の規整 雇用契約と労働契約の関係--労働契約法から雇用契約法へ
■労働法の歩みと憲法規定
労働法制の成立と展開(日本と外国) 労働法と憲法規定
■労働法とグローバルな視座
アメリカの労働法 ドイツの労働法 EU・英仏その他の国々の労働法 国際労働関係法

《各論》
■個別的労働関係法
労働憲章と雇入れ時の法規制 雇用における男女平等の法理 就業規則の役割 雇用関係の成立と法規制--採用内定・試用期間 人事権の意義と限界 配転・出向・転籍の法理 安全衛生と労災補償 賃金の法規制 賞与・退職金・賃金制度の変貌 労働時間の法的意義と基本構造 弾力的労働時間制と休憩・休日 時間外・休日労働と年次有給休暇 服務規律と懲戒 労働契約の終了
■団体的労使関係法
労働組合の法的意義と機能 団体交渉と労使協議制 労働協約の法的構造 団体行動の法理 不当労働行為救済制度
■日本の雇用政策
雇用のための法的サポート 特別な対象者に対する雇用促進政策
■労働法の現代的課題
非正規労働者--期間雇用、パート・派遣 職業生活と家庭生活の調和 企業法務のなかの労働法 企業変動のなかの労働関係 労働条件変更の法理 労働紛争解決システム 公務員と船員

というふうに、歴史的なところと国際比較的なところが大変詳しく書かれています。激変の時代であるからこそ、時間軸と空間軸で広く視野をとって、物事を見ていく必要が高まるわけですが、まさにそれに対応した3412910_2構成だと思います。それから、その歴史のところですが、いくつもの参考書が本の表紙の写真付きで掲げられています。こんな具合です。

  3311710_2 3310910 3810010 3313510

どれも岩波文庫ですが、それはこういう労働問題の古典をちゃんと収録している文庫が岩波だけだと云うことですね。

また、外国法について、アメリカとドイツだけ特別扱いで、あとはEU、フランス、イギリスその他をひとまとめというのはいささか・・・。

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