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2007年12月 5日 (水)

社経生北浦氏のJILPT論

JILPTのHPに載った有識者コラム、今回は社会経済生産性本部の北浦正行氏です。

http://www.jil.go.jp/seisaku/column/kitaura01.htm

>「労使関係」や「労働問題」という用語が、一般の眼に触れる機会が少なくなっていることは残念である。「社会政策」も、司法試験の科目から削られて久しいし、大学でも看板どおりの授業になっていないことも少なくない。しかし、いまの世の中はどうだろうか。フリーターやニートの増大、団塊の世代の定年到達、経済格差の拡大、長時間残業や過労死問題、仕事と子育て等生活との調和、非正社員の均衡処遇など、いまのわが国を悩ます問題はすべて「労働」の世界のオンパレードだ。加えて、労働法制の改正ラッシュである。とりわけ、成立した労働契約法は新しい労使関係のありようを提示するだろう。

JILPTは、こうした労働問題のウオッチャーとして、これまでにも多くの良質な調査研究や情報提供に取り組んできており、労使をはじめ、多くの「労働」関係者の頼りとなってきた。ここで忘れてならないのは、これらの労働に関わる諸問題は、労使関係という枠組みの中で発生するものが多く、労使の利害に結びつきやすい点にあることだ。そこで、そのいずれの立場に偏することのない「中立的」な立場での運営ができるかどうかが極めて重要な点となる。

そのために、JILPTの源流である「日本労働協会」は、基金を設けその運用によるなど、中立的な立場から事業を進めることを特徴としていた。もちろん、時代変化の中で、「公」の形も変わってくるが、その精神は受け継がれていくべきだろう。今後とも、より民間に開かれた機関となるとともに、官民の中間的な立場であることを活かした運営が望まれるところだ。

その意味で、民間研究の基盤となるようなベーシックな領域やテーマには、もっと力点を置いてほしい。証言や記録の収集や編纂といったことも、地味ではあるが他ではなかなかできない。もうひとつの源流である職業研究所の流れを引いて、職業ハンドブックや職業適性検査のような優れたツールの開発も数多く提供してきたことも忘れてはならない。要は、労働に関するデータベースとしての蓄積とその広範な提供に努めることによって、教育機関や民間研究機関はもとより、わが国の労使の共有財産を整備していく役割を担っていくことが重要ではないか。

まさしく適切な指摘と申せましょう。JILPTを潰して、一体ほかのどの機関がそういう役割を果たすことができるのでしょうか。

ただ、その次の

>もうひとつ忘れてならないのは、労働大学校の存在である。これが、この法人を単なる研究機関とは一味違うものにしている。行政職員に対する研修がその基本的な役割であるが、これからの時代には、政策は国だけの独占物ではない。自治体はもとより、各種の公共団体やNPO、更には民間企業にとっても、公共政策に関する最高水準の知識の提供は有益のはずだ。一般の高等教育機関などとの連携も必要だろう。

というのはやや違うような。研究機関の研修機能と云うことであれば、それはむしろ行政職員に対する研修というよりは、広く一般の労働者や、労働組合役員、企業の人事管理担当者に対する労働教育という領域になるのではないかと思われます。

実は、かつて労働省労政局には労働教育課というのがあって、労働教育というのをやっていたんですね。これはもちろん職業教育とは違いますし、職業意識啓発とか何とかいうたぐいのでもなく、労働法の基本的な考え方だとか、労使関係の在り方だとかいったことを広く一般に広めることを目的としていたのですが、もう十分広まったからええやないかということで、1959年に廃止されたんですが、昨今の状況をつらつら鑑みるに、もう一遍そういうのがあってもいいのかなあという気がしないでもありません。

で、実はJILPTの前身の日本労働協会というのは、まさに労働教育をやるために(労働教育課が廃止される前年の)1958年に設立されているのです。

その提案理由説明にはこういうことが述べられています。

>政府と致しましては、従来とも鋭意労使及び国民一般に対し、いわゆる労働教育に努めて参ったところであり、また今後ともこれを継続する所存であります。

 しかし、労働教育には、その性質上、また技術上、政府又は地方公共団体が行うことを不得手とする分野も少なくございません。また、我が国におきましては、労働問題に関して、確固たる基礎を持つ専門研究機関はほとんどないといってもよい状態であります。そこで、これらの分野を中心として、公正かつ科学的な研究を行うとともに、これに基づきまして、労使及び国民一般の労働問題に関する理解と良識を培うことを目的とする専門団体を設置することが是非とも必要と存ずるのであります。

ホントのところは、本省の労働教育課を潰して福祉共済課を新設するために、その仕事を外郭団体にアウトソースしたというところではないかと思われますが、それはともかく、ここでいわれているような意味での「労働教育」こそが、今の時代に必要とされていることであることは間違いないのではないでしょうか。

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