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2007年12月 3日 (月)

労働法におけるローマ法とゲルマン法

小泉義之氏の「Critical Life (期限付き)」で、常勤、非常勤という言葉について論じられています。

http://d.hatena.ne.jp/desdel/20071202

>「常勤」なる指令語=阻止語は、ローマ法的伝統の契約モデルとゲルマン法的伝統の共同体帰属モデルの妥協の産物である

とか、

>「常勤」にしても「非常勤」にしても本当は極めて奇怪な用語であることに気付く必要があるし、その背景で複数の労働観・経営観がせめぎ合っている有り様を分析する必要がある。そのとき、おそらく、労働一般・所得一般・労働市場一般について一律に論ずるローマ法的立場の限界が見えてくるとともに、そうであればこそ、業種・業態によってはローマ法的伝統が依然として実践的には有効であることも見えてくるはずである。

という言葉は、その通りだと思うのですが、法制史の素養がないと、何を言いたいのかよく判らないかも知れません。

簡単に言うと、これは拙著『労働法政策』ですが、

>古代ローマ法においては物の賃貸借(locatio conductio rei)と雇傭(locatio conductio operarum)と請負(locatio conductio operaris)を全て賃貸借という概念の下に総括し、これを受け継いだヨーロッパ諸国では雇傭を労務の賃貸借と位置づける法制をとっていた。一方、古代ゲルマン社会の忠勤契約(Treudienstvertrag)は主君と家臣の軍事及び宮廷における奉仕の双務契約であったが、やがて身分上の上下を保ちつつ労務と報酬の債務契約と化し、貴族だけでなく僕婢や職人等にも広がっていき、雇傭契約となっていった。

ということです。「非常勤」という言葉の背後にあるのは、労務の賃貸借というローマ法的労働観であり、「常勤」という言葉の背後にあるのは、ゲルマン法的な忠勤契約なんですね。

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コメント

 こんばんは
 「ローマ法的伝統の契約モデルとゲルマン法的伝統の共同体帰属モデル」という表現に関心があるのですが、この詳細はご著書の『労働政策』で知れるでしょうか。また、ドイツ/ゲルマン地域では13世紀以降にローマ法がフランス地域よりも大幅に取り込まれたようですが、取り込まれるとローマ法とゲルマン法との間の区分は明示的でなくなっていくでしょうから、上記区分はまだ区分が明示的だったローマ帝国時代の、帝国内部側と周辺側の様相の違いに基づいていることになるのでしょうか。

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