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2007年11月22日 (木)

労働の擁護

一昨日のテーマに関連して、小泉義之さんが、「Critical Life (期限付き)」というブログで、「労働の擁護」というエントリーを書かれていることに気がつきました。

http://d.hatena.ne.jp/desdel/20071105

>いま労働を擁護することは難しい。立場を異にする人でさえ、労働をネガティヴに捉える労働観を共有しているからである。共に“労働は義務である、労働は退屈である、労働は疲労の源である、労働は不自由である”と考えた上で、一方は“にもかかわらず、為さねばならぬ”と語り、他方は“だからこそ、別の道を歩まねばならぬ”と語っている。共に、労働は生きる上での宿命的な労苦であるとするキリスト教的原罪観の一種を受け継いでいるのである。となると、取りうる道は二つしかない。労働に外在的な目的を設定して労働を手段として受け入れる道(国富のため、企業のため、効率的生産のため、家族のため、老後の備えのため、大人になるため、社会化するため、自立するため、等々)と、労働に代えて別のコンセプトを持ち出してそれが労働を呑み込んで僅少化すればいいだろうなと願望する道(自由時間、余暇、怠惰、プラクシス、活動、欲望、贈与、コミュニケーション、パフォーマンス、ギョーカイ、知識・文化・情報、精神労働、非物質的労働、等々)である。

 しかし、この構図はよくない。一つには、労働そのものと労働編成そのものを変えていく展望を直接的に切り開かないからである。特に後者の道は一見よさそうに見えるものの、現在の労苦に満ちた労働(編成)の只中に別のコンセプトを実現する潜在性を見出そうとしない点で、強く言えば、プチ特権階級的で反労働者的だからである。例えば、嫌がられる労働そのものに喜びが内在していることを見ずして、また、不公正な労働編成の只中に新編成の萌芽を見ずして、どうして展望が開かれるだろうか。後者の道は、労働概念を蒸発させようと目論んでいるのかもしれないが、それだけでは労働の現実を蒸発させることはできないのだから、詰まるところ、労働を労働そのものとして考えることを回避していることになる。それは、強く言えば、新知識階級・新プチブルのイデオロギーである。

私はそこまでは言いませんが、まあでもそういうことなんですよ。

>労働(者)の擁護が難しいのは承知している。誰だって旧来の労働観を信ずる気にはなれない(二回半捻った上で些かの苦渋をもって指摘せざるをえないが、『工場日記』はやはり戦時体制下での(悪しき意味での)奴隷道徳である)。世の中には、経済・経営・社会政策・社会福祉の辛気臭い論議だけが蔓延している。しかも、私の感触では、労働(運動)を考えるに際して、実践的障害だけでなく、実に多くの認識論的障害が存在している。思想的には、それらを一つ一つ解きほぐして乗り越えていく必要がある。迂遠な作業だ。だからこそ、労働(経済)問題を専門とする多くの方々に願いたい。各種の「原因」で倒産したり傾いたりする企業にしても、労働者の立場に立った別の再建計画を捻り出せるし捻り出すべきではないのか。マックの時給を数百円でも上げる方策を捻り出すべきではないのか。過労死の労災認定も結構だが、それ以前に企業の生産性向上と労働者の自由・余暇を両立させる新制度を命がけで考え出すべきではないのか。憂き世離れしたスコラ談義は得意なようだが、どうして(お望みなら、経営者側も政府も呑めるような)具体的な処方箋を一つも書けないのか。高々一つの企業について(お望みなら)経営者と労働者が一緒になって立て直すプランすらどうして書けないのか。他方、オルタの掛け声は聞き飽きた。セーフティネット概念をめぐる訓詁などどうでもよい。現状の労働政策(社会的包摂スローガンを含め)が19世紀のそれと大して変わりないことなど自明であって、そんなことを詮議してどうなるのか。あえて、こう言っておく。専門家は、周縁労働者や産業〈予備軍〉に同情を寄せて良心を示す暇があるなら、企業〈本丸〉と労働者〈本隊〉のためにこそ闘うべきである。諸君が赴くべきは、場末やストリートや第三世界ではなく、丸の内ビル街であり、郊外の運輸・流通・情報の拠点であり、海岸沿いの工場群であり、ゼネコンであり、官公庁である。

これを偽悪的発言と捉えてはならない。むしろまっとうすぎるくらいまっとうな考え方ではないか。

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