福祉ガバナンス宣言-市場と国家を超えて
近く(11月初旬ということです)、日本経済評論社から、、岡澤憲芙・連合総研編『福祉ガバナンス宣言̶市場と国家を超えて』という本が出版されます。
連合総研のDIOの最新号に、その各章の中味の概要が載っていますので、ご紹介します。
http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no221/houkoku_2.pdf
最初に宮本太郎さんの総論があって、その後、私を含む10人の各論が続き、最後に岡澤憲芙さんのまとめがあるという構成です。
総論 新しい福祉ガバナンスへ̶もう一つの選択肢( 執筆:宮本太郎・北海道大学大学院教授)
第1 章 生涯を通じたいい仕事̶福祉社会のコア( 執筆:濱口桂一郎・政策研究大学院大学教授)
第2 章 不平等感の高まり̶人々の意識の背後にあるもの( 執筆:白波瀬佐和子・東京大学大学院准教授)
第3 章 新たな時代の社会保障・医療政策を構想する( 執筆:広井良典・千葉大学教授)
第4 章 就労を中心にした所得保障制度( 執筆:駒村康平・慶応義塾大学教授)
第5 章 社会的公正と基本的生活保障( 執筆:後藤玲子・立命館大学大学院教授)
第6 章 女性環境の整備と福祉̶ワーク・ライフ・バランスの視点から(執筆:斉藤弥生・大阪大学大学院准教授)
第7 章 東アジアから見た日本の福祉ガバナンス( 執筆:武川正吾・東京大学大学院教授)
第8 章 福祉多元主義の時代̶新しい公共空間を求めて(執筆:坪郷實・早稲田大学教授)
第9 章 社会連帯の創造と排除(執筆:久塚純一・早稲田大学教授)
第10章 マクロの経済発展と福祉( 執筆:神野直彦・東京大学大学院教授)
終章 生活様式の変容と福祉ガバナンス̶ダイバーシティ・ウエルフェア・マネジメント(執筆:岡澤憲芙・早稲田大学教授)
どれも大変面白いですよ、と宣伝しておいて、ここでは私の書いた第1章の要約を。
>福祉社会とは貧しい人々にお金を与えることではない。社会の中に居場所のない人々に、仕事という形で居場所を与えることである。仕事さえあれば福祉社会になるわけではない。それはいい仕事、まっとうな仕事でなければならない。先行きの見通しのないどん詰まりの仕事や、低賃金で昇給の見通しもない仕事を与えるだけでは福祉社会と言えない。教育訓練を通じて技能を向上させ、賃金も上昇していくようなまっとうな仕事によってこそ、人々を社会に統合していくことができる。
これまでの日本的な「いい仕事」-専業主婦を持った男性労働者を前提にして、時間外労働や遠隔地配転を認めながら、経営危機でも正社員の雇用だけは守るというモデル-には別れを告げるべきだ。共働き夫婦が二人とも正社員として生活と両立させて働いていける仕事が「いい仕事」でなければならない。
詳しくは同書をお買い求め頂ければ、と。
« 労働者代表としての過半数組合 | トップページ | ワークショップ「新しい労働ルールのグランド »
コメント