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2007年10月26日 (金)

藤川恵子氏の年齢差別論

リクルートワークス研究所の藤川恵子さんが、同研究所のHPに「募集・採用における年齢制限禁止についての一考察―改正雇用対策法施行を目前に控えて 」という文章を書いています。

http://www.works-i.com/special/employment_laws/report_1.html

今回の雇用対策法改正による年齢制限の禁止について、まずこういう懸念を呈します。

>1つは、例外事由において若年者に限った募集・採用が比較的容易に認められる点だ。中高年の再就職を促進することが、募集・採用における年齢制限禁止の目的である。例外事由が拡大解釈されて運用されると、中高年が再就職の際にぶつかる年齢制限という障壁は低くならないのではないか。

>若年者の失業やニート・フリーター化が社会問題化している現状を考えると、職務経験のない若年層の雇用促進が重要な政策課題である点ではコンセンサスがとれている。しかし、雇用対策法における年齢制限禁止の目的が中高年の再就職促進である以上、目的に矛盾するような例外事由は最小限に留めるべきではないか。若年者の雇用促進は別の施策として行う方が、整合性を保つ上でも、本来の目的を完遂するという点でも、望ましいと思われる。

ここは藤川さんの年齢差別論が主として中高年を焦点に当てて考えていることが、昨年から今年にかけての年長フリーター問題を中心とする議論の展開との間でずれを生じているように見えます。

「雇用対策法における年齢制限禁止の目的が中高年の再就職促進である以上」というのは、2001年の雇用対策法改正時の問題意識であったのは確かですが、今回の改正はかならずしもそうではなかったのですね。その辺、立法経過をもう少しきちんとフォローされた方がいいように思われます。

藤川さんは最後のところで、

>今回の改正の目的は中高年の雇用促進であり、募集・採用における年齢制限禁止は、これまで「35歳位まで」といった求人票や求人広告により再就職活動を妨げられてきたミドルエイジ層を支援すべきである。本来の目的に即して、ミドルエイジを優遇する募集や採用については、認める方向で議論してもよいのではないか。でなければ、今回の改正がもたらす利益が限定的なものになってしまうと危惧せざるをえない。

とも言っているんですが、それこそ赤木君たちからすれば、若者対策は別にしろとか、ミドルエイジを優遇しろとかいうのは、「ひっぱたきたい」議論になってしまうのではないかと・・・。

私はむしろ逆で、たまたま就職の時期に氷河期にぶち当たってしまった年長フリーター層に対してはポジティブ・アクションが大いに認められて良いのではないかと考えています。

それに対してミドルエイジの問題は、単なる入口の年齢差別の問題ではなく、年功的処遇システムをどう考えるのかという問題です。若者から見れば、自分たちより3倍も4倍も価値の高い労働をしているとは思いがたい中高年者がなんで3倍も4倍も高い給料を貰って居るんだというのも「年齢差別」の一環であるわけで、入口だけではなくシステムとして議論する必要があるでしょう。

(ホワイトカラーエグゼンプションにも実は同様の問題が伏在しています。年功制で上がっていって時給4000円になった奴が時間外したから5000円払えっていうかよ、俺は時給1000円だぜ、ってのはしかし出ませんでしたがね)

入口の年齢差別ばっかりに気をとられると、

>アメリカの制度を真似せよとはいわないが、10月1日の改正法施行以降も、企業が履歴書や応募書類上に年齢や生年月日の記載を求めるなら、年齢制限を禁止する実際的な意義は小さくなる。募集において年齢制限をしなくても、提出された応募書類上の年齢をもとに、求人側があらかじめ設定した「(未公表の)望ましい年齢層」に該当する応募者だけを抽出することは可能だからだ。

>求人側による黙示的な年齢制限が可能となれば、年齢制限禁止の義務化は求職者にとってマイナスとなりかねない。この点について政府は、改正法が施行される前に、明確なガイドラインを示すべきである。

「真似せよ」といってるような・・・。

いや、もちろん、「年齢差別禁止の立法化は世界的トレンド」です。私も繰り返しあちこちで紹介してきているように、

>1960年代に年齢差別禁止法を制定したアメリカは先駆者といえるが、少子高齢化を背景に募集・採用段階を含む雇用における年齢差別禁止を立法化する動きが世界的に広がっている。EUは2000年に雇用平等に関する指令(2000/78/EG)を採択し、同指令のなかで年齢を理由とする雇用差別を禁止する。同指令をうけて、これまでにフランス、ドイツ、イギリスを含む加盟国が雇用における年齢差別禁止法を制定している2
日本における今回の年齢制限禁止の義務化も、少なからず世界的な流れを受けたものだと考えられる。もっとも、日本と欧米では、雇用慣行、労働市場の需給構造、労働者の意識などが異なるので、年齢差別禁止政策を導入するうえで、相違点を考慮する必要がある。

どの「相違点」に着目して、そういう政策をとるべきかという判断のところなのですね。

実は、来月某日、某所でこの問題について報告を致します。内容はその後ここにアップします。

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