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2007年10月 9日 (火)

福井先生対談録その2-菅野和夫先生

続いて5月17日付の第6回は、「労働法の権威でいらっしゃる菅野先生にお見えいただきまして」労働契約法やホワエグをめぐって議論がされています。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2007/0517_03/summary051703.pdf

ここでも、やはり中心の議論は、

○ 福井主査 さっき特に解雇について、アメリカのように非常に簡単な解雇ができるのが一種の国民のチョイスであるというお話がございましたが、アメリカとか、比較的解雇が簡単だと言われているイギリスのような社会に対して、恐らく日本国民が現在、法律で選択しているのは一種の解雇権制約的なものだと思うのですが、アメリカ、イギリスのような姿と日本のような姿と対比してのメリット・デメリットというようなことについては、先生はどういうふうに見らおれますでしょうか。
○ 菅野教授 結局、アメリカの法制というのは外部労働市場型の雇用の仕組みを想定していると思います。これに対し、我が国は、圧倒的に内部労働市場型の雇用の仕組みです。
そして、雇用の仕組みとして見たら、どちらも長短あるのであり、いずれにするかは経営者のチョイスだと思います。日本企業が人材を外部労働市場に全く依存するようなリスクを取るかということであって、やはり製造業は取らないと思います。サービス産業では双方あり得るでしょうが、基本的にはチョイスに委ねることだと思います。サービス業でも、やはり中核の人材はなるべく行く末の信頼できる社員に委ねたいという願望はまだまだ強いと思います。それを前提にして、解雇をアメリカのように自由にするという政策はまず通る見込みはないと思います。雇用の安定というのも社会の安定の基盤だと私は思っています。
一番いいのは、 内部労働市場と外部労働市場がうまく接合されている状態だと思います。
移りたければ移れる、採りたければ採れる。なかなかそのような労働市場の国はないのですが、理想はそうだと思います。

まさに市場における経営者の選択の問題なのですね。ただ、制度的補完性というのがありますから、いりまじりというのはなかなか難しいわけです。

とはいえ、それを労働法上区別することは不可能ではないし、現にありうるということは、

○ 福井主査 だからこそ、非常に影響力をお持ちになられているのだと思うのですけれども、特に個人としての労働者ということを考えたときに、先生方の問題意識を発展させると、例えばある個人で、終身雇用でめったなことでは解雇されないことを望む人と、そうでない人と、多分、両方あり得る。ないし間に濃淡もあり得ると思います。自分はある程度、キャリアアップするので、生涯、解雇されないというような保護は要らないから、その代わり年俸制でもうちょっとちゃんとした処遇が欲しいとか、あるいはスキルアップのための何らかの特別な研修が欲しいとか、解雇権制限以外のメリットと引換えに雇用されたいというような方がいるかもしれないという気がします。そういう方も、今は一律に、一種の情報の非対称があって、雇う前に使用者は採用志願者の主張が本当にそうかどうかということを見分けるのはなかなか難しいですから、基本的には後で解雇権濫用法理を援用するかもしれない人だという、一種のリスクの期待値を見込んで採用せざるを得ない。
そこに一種のシュリンクがあるような気がします。
それをもし峻別できれば、自ら望んで、不安定だけれども、別途、高給や高処遇を要求するというような労働契約のバリエーションが許される余地があるのではないでしょうか。
○ 菅野教授 ハイリスク・ハイリターンですね。
○ 福井主査 そこが、今、どうも一律になっているような気がします。
○ 菅野教授 しかし、裁判所は、やはり即戦力で、高い能力を期待された人は、それが裏切られたら解雇はしようがないと、はっきりしています。だから、そこは契約上、そういうもとして雇うということをはっきりさせる。そして、解雇のときには、勤続も短いですから退職金などは、少ないので、転職のサービスを利用させるなど転職支援があれば、期待された即戦力が全くない労働者について、客観的に合理的な理由を認めるという判断が十分あり得るわけです。

と解説しています。

また、労働条件変更に対しても厳しいではないかという和田さんに対し、

○ 和田専門委員 さっきの、解雇が厳しくて、その他の面で緩やかだというお話の関係のところで、少なくとも就業規則の点では、そんなに緩くないのではないかと私には思えます。なぜかというと、会社の調子の悪いようなとき、判例などを見ていると、整理解雇できるぐらい会社が傾いていないと、就業規則による不利益変更、特に賃金とかの不利益変更は認めてくれないような、バランスになっているように思われるからです。
○ 菅野教授 賃金の3 割よりも、今の私の一般的なイメージだと判例が許容するのは2 割くらいですか。
○ 和田専門委員 この間、やっと、よくて3 割でしょう。
○ 菅野教授 それは、相当に経営危機でないと、それ以下はだめだと。企業としては、雇用を守りながらそういうチョイスをしたのに、それが否定されたという感じですか。
○ 和田専門委員 そうです。
○ 菅野教授 法律家の頭だと、やはり基本的な労働条件とか賃金というのは、合意がないと変更できないはずだというところから出発すると思います。ただ、必要性があって、経営上やむを得なければ合理的変更ができる。それを判断するというのだから、あるところでチェックはすると。それのさじかげんになるわけですけれども、経営側の弁護士さんから見ると、そういう感じかなと思いますけれども、ヨーロッパ的な感覚から言うと、すごい柔軟性ですね。日本の就業規則の合理的変更法理は相当の柔軟性です。
○ 和田専門委員 済みません、その辺は勉強不足でした。

と、さりげなくたしなめています。

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