正社員と非正社員の関係性をめぐり、重要なターニングポイント
このブログでも何回か紹介してきているJILPTのコラム、ときどきいいエッセイが載ります。今回は渡辺木綿子さんの「最近のヒアリングで感じること」という小文ですが、
http://www.jil.go.jp/column/bn/colum087.htm
>この間、パート労働者をはじめとする非正社員の、待遇改善に係る企業・労組ヒアリングを多数手がけたが(注2)、調査当初は、企業側のアレルギー反応だけでなく、正社員vs非正社員の利害対立もあり、協力を請うのも一苦労であったことを思い出す。
しかし最近になって、正社員と非正社員の均衡待遇や、非正社員から正社員への登用・転換に、自主的に取り組む動きが急速に拡がってきた(注3)。改正論議が始まった頃を思い起こせば、隔世の感がある。
と感慨深げに語っています。
彼女が挙げるのは、例えばある企業の人事担当執行役員
>「率直に言って、正社員を減らしすぎたという反省がある」――。その弁は、ここ数年進めてきた効率化に、行き過ぎがあったのではないかという思いをストレートに表現したものだった。
また、フリーターを活用したローコスト経営で有名な、あるメーカー
>「フリーターのままでは結婚すらできないという、悩みを聞き続けてきた。弊社の急成長を支えてくれたそんなフリーターに、いま報いたいという思いだ」――。
さらに、
>一方、労組の側の意識にも、この数年で着実に変化の兆しがみえる。職場の8割を占める非正社員を徐々に組織化し、正社員と合わせ7万人を超える大所帯に成長した、ある労組にインタビューした時のことだ。
>「利益成長を求めつつも、ある程度は一定の原資の中で、それぞれ(正社員、非正社員)がいかに仕事や働き方に比べ、納得して共生できるかを考える必要がある」――。
彼女の云うように、「いま、正社員と非正社員の関係性をめぐり、重要なターニングポイントに差し掛かっている」のは確かでしょう。
ただ、それが「改正パートタイム労働法を追い風にして」なのかについては、わたしはいささか懐疑的です。パートという言葉で非正規労働者がくくられている間は見えてこなかったものが、見えるようになってきたということが重要だったように思われます。
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