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2007年10月29日 (月)

権丈先生 年金租税論を轟沈

勿凝学問シリーズ、111巻と112巻が一気に配達されました。

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare111.pdf

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare112.pdf

まず前者は「もはやコミカルな年金租税方式論者たち」と題して、先日(10月25日)の経済財政諮問会議でのやりとりを取り上げています。

>基礎年金を消費税で賄うべしという論を、再分配政策の政治経済学からみると、(良かれ悪しかれ)その本質は、企業による社会保険料負担を消費者による消費税に移転する政策ということになってしまう。この点、10月25日の経済財政諮問会議の中でおもしろいやりとり・・・否、コミカルなやりとりがあったようなので、今日は、それを紹介。

意気込み勇んで、有識者(?)議員とかいう人たちが「持続可能な基礎年金制度の構築に向けて」なる報告で、基礎年金財源を100%租税にする案を提出したらしい。

彼らの報告の中の「企業が負担してきた分(約3.7兆円(平成19年度内閣府試算値))」が目に留まった閣僚からは、「企業負担がなくなって、国民の負担というのは、議論は、耐えられないのではないか」とのなかなか本質を突いた発言があったとのこと。当たり前のことで、今のご時世、企業負担を減らして(巷間言われる)庶民増税で賄おうという魂胆丸見えの政策を掲げたら、票をいくら失うか分かったものじゃない。

ここで、有識者であるらしい財界側の諮問会議議員の答弁が、笑える(記者会見発言要旨より)。

税方式というのは安心できる年金への一つの選択肢であって、企業の負担の軽減ということは、全く思いもしていないと。これが目的ではないと。具体的な制度の議論がないまま、企業負担がなくなるから、軽減されるから、企業が税方式を主張するという議論が多くて戸惑っていると。

あっ、そう。「企業の負担の軽減ということは、全く思いもしていない」わけか。お志ご立派なことです(笑)。さらにはこの前まで「税方式でやった方がいい」とおっしゃっていた財界代表たちは「わたしたちは、租税方式を支持しているわけではない」とかのたまわられたらしく、租税方式論者たる経済学者の有識者議員の梯子はいずこ?――いやはや、もはやコミカル。

最初から権丈節が炸裂していますな。

これに続いて、「租税を基礎年金の財源にすれば未納未加入問題が解決するという彼らの錦の御旗も危ない」という話ですが、これが展開されているのが112巻「年金財政シミュレーションという研究について 朱に交わっても赤くなるなよ」の方です。

>世にはかわいそうなことがしばしば起こるようで、数年前に、当方の大学院講義に出席していた、今や立派な社会人となった昔の学生が、ある学会に報告希望を出す際に、まぁ、取りあえずと、第2志望のコメンテイターにわたくしの名前を書いていたらしい。そうすると、あろうことか第1志望の先生が他の人のコメントをすることになったらしく、彼のコメンテイターには第2志望の人物が決まってしまった。彼の報告テーマは「年金財政シミュレーション・・・」。彼はひょっとすると厄年かもしれない――。

学会報告でのそのセッションでは、第1報告も、第2報告も・・・公的年金を民営化したり保険方式から租税方式に変更したりする年金財政シミュレーションの研究であり、コメンテイターやフロアーからの質問者も、シミュレーションの技術的な話で盛り上がっていた。そんな中、わたくしの出番となり、かつての当方の講義の学生に次の質問をした。

質問

•制度移行問題について、同じような研究をしている人たちの間でどのような議論をしているのか?

•他の制度、たとえば、年金受給年齢以前の生活保護制度との整合性について、同じような研究をしている人たちの間でどのような議論をしているのか?

•制度移行後の年金受給要件について、同じような研究をしている人たちの間でどのような議論をしているのか?

会場は、シーンとする。最後に、司会者が「なにか質問、ご意見はありませんか」と問うても、水を打ったような静けさ――そして終了。

これまでこの国でなされた年金財政シミュレーションでは、たとえば、現行制度から財源を消費税にするばあいには、いますぐ全員に基礎年金の満額が給付されることが仮定されてきた。そのとき彼らは、「租税方式の下では、未納未加入問題が解消され、結果、無年金低年金問題も解消されるメリットがある」と言いつづけてきた。不思議なことに、未納未加入問題があり、ゆえに無年金低年金問題があるために、租税方式に切り替えることが難しくなるという側面を、彼らは考えたことがないようなのである

この「シーン」「水を打ったような静けさ」が、この世のどこにもない空理空論を操ることばかりにかまけ、時間と空間の中に実在する現実社会の制度をまともに考えることを怠ってきたスコラ的お学者センセどもの姿を見事に晒していますね。

社会保障について真実であることは労働についても真実なのが悲しいところです。

>学会終了後、報告者と、あとひとりの若い研究者とともに喫茶店に行く。 「生きていくのにいろいろと大変だろうけど、朱に交わっても赤くなるなよ」――と、本当のコメントをして、本日の仕事を終了。

でも、権丈先生の弟子としてこういうコメントをして貰えるだけ、この方は幸せだと思いますよ。

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