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2007年10月 9日 (火)

福井先生対談録その1-学歴採用論

規制改革会議のHPに労働タスクフォースの議事録が一挙に掲載されています。

いずれも大変面白いので少しずつ読んでいきましょう。

まず、5月15日付の第5回、経済同友会の小島専務理事との対談ですが、労働規制緩和についてはまあそんなところかという風に進んでいきますが、俄然面白くなるのが福井先生お得意の「解雇規制なんかがあるから企業が学歴だけで採用したがる」論について、

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2007/0515/summary0515.pdf

○ 福井主査 会員企業の新卒、中途採用市場での採用戦略として、我々が1 つ念頭に置いている仮説は、解雇がしにくいと勿論、正規雇用よりも非正規雇用を増やすというのは当然あり得ることですし、非正規雇用の中でも、比較的有期雇用なり派遣なり、権利保護の強い類型を選ぶときには、できるだけ後でトラブルが少ないような人を選ぶ傾向がどうしてもあるのではないかということを考えているわけです。
具体的には、給与に見合う労働生産性を発揮してもらう確率が高そうな人。言い換えれば、ある程度のブランド学歴を持っている人をどうしても中心に集めたがる。それが合理的な経営採用戦略になっているという傾向がありはしまいかという仮説も持っているのですが、そういう傾向は会員企業の間にはありそうですか。
○ 小島専務理事 非正規雇用の採用についてそういう傾向があるかどうかはちょっとわかりませんけれども、むしろ普通の新卒の採用に関して言うと、我々のところでアンケートをとった結果は、少なくともどこの大学を出たかということに関しては、全く重点を置いていないというのが会員企業の答えです。
やはり、人柄なり、能力がどこまで見られるかはともかくとしてね。
○ 福井主査 本当ですか。建前上公表されることが前提になっていると余り露骨なことが言えないということはないですか。
○ 小島専務理事 個別企業について公表しているわけではなくて、会員全体に対してとったアンケートの答えですから、決して建前ではないと思います。
現実問題として、私も1 つの会社におりましたけれども、そこでも別に大学のレッテルというよりはやはり本人次第なので、それこそ私どもの会社などは、なかなか東大の人などは受けに来ないですけれども、ある年東大が4 人来たけれども全部落としましたなどという話もあるぐらいで、それは全く大学のレッテルではない採用の仕方です。
○ 福井主査 就職面接のプロセスを通じて、ある程度能力を見極められると自信を持っておられる企業が多いのですか。
○ 小島専務理事 それは程度問題ではないですかね。
私どものところなどは、せいぜい採っても5 人とか6 人しか採りませんから、それに例えば1 0 0 人ぐらいの人が来たときに、やはりずっと見ていきますと、それはある程度の能力なり性格もありますね。共同に仕事をしていくときに、暗くて何も言わないような人は、幾ら能力があるからといっても採れませんね。
そういういろんなことはあると思います。ですけれども、それはどこの大学だという話ではなくて見ているようです。私自信が直接やっているわけではないからあれですがね。
○ 福井主査 それが本当なら、そんなに問題ではないのかもしれません。
一方では、表では言わないけれども、それは当然、学歴差別をしますよという企業も、よく聞こえてくるものですから。
○ 小島専務理事 ですけれども、率直に言うと、私はそんなことをしていたら適当な人が採れなくなるのではないかという気がします。
○ 福井主査 多分、面接のときにも人柄とか能力がある程度わかるような業種とか職種ですと、ある程度相関はあると思います。例えば営業とかであれば、ある程度人当たりを見ればわかるとか、経理の仕事だったら数的処理能力とかパソコン能力を見ればわかるとうのはあるかもしれないけれども、企画やアイディアなどの込み入ったことが必要になる、度の専門的知識が必要になるという辺りになってくると、総合力などはなかなか面接で見抜けないかもしれない。
そうすると、後で意外に外れたということになる。
○ 小島専務理事 それは幾らでもありますよ。
○ 福井主査 そのときに、要するに同じわからないのだったら、無難な者を採っておくという企業もあるかもしれない、という傾向がありはしまいかということをお伺いします。
○ 小島専務理事 これは、アンケートからだけでは何とも言えませんけれども、恐らくそれで過去、みんな失敗しているのですよ。

これはすべてのことについて言えますが、学者が頭の中であれこれ考えることを、企業の実務家は現実の日々の作業の中で実験検証しているのです。「恐らくそれで過去、みんな失敗しているのですよ」という経営者の言葉の重みをもう少し考えるべきではないでしょうか。

(また余計なことをといわれるかも知れませんが、最近の本ブログをめぐる騒動を見ても、どういうタイプの人間が学歴にこだわるかはよく理解できるところですし)

解雇規制については、大変本質的な議論をしています。

○ 安念委員 専務の個人としてのお考えでも結構ですけれども、日本の経営者さんは恐らく無限に自由な解雇法制というのを支持される方は意外に少ないと思います。先ほど専務もおっしゃったように、アメリカの場合ですと、景気がいいときでも結構解雇しますよ。
要するに、ある部門の仕事がなくなったらもうそれで解雇だというやり方をしますね。それは非常にわかりやすいと言ったらわかりやすいので、まさにエンプロイメント・アット・ウィルです。
これはやはり、少なくとも日本の経営者の感覚にはなじまぬものですか。
○ 小島専務理事 要するに、私は、将来はわからないですね。つまり、雇用自身が日本の場合は、いまだに、言ってみれば総合職と一般職とかいろいろあるけれども、いずれにしても、あなたにどういう仕事をさせますかという採用の仕方をしていないのです。
そうだとすると、この仕事がなくなったからあなた首ですとは言えないわけです。ですから、そういう採用の仕方を、あなたはこういう仕事をするために採用しますという仕方をきちんと導入できれば、それはそういう解雇の仕方があっていいのではないかと思います。現に、例えば日本の外資系などではそれをやっています。
○ 安念委員 私の女房もそうですので、よくわかっています。
○ 小島専務理事 ですから、そういう採用、雇用の仕方を日本の企業が導入できるかどう
かですね。ですから、これはそこ次第なのではないでしょうか。
○ 安念委員 そういう方向性のようなものはあるのですか。それとも、やはり総合職なら総合職。つまりいろんなところを、事前の予告と関係なしにルーチンでぐるぐると回していくというのが、ここしばらく、例えば1 0 年とか2 0 年ぐらいのスパンで見るとそんなには変わらぬものだとお考えになりますか。職種採用というのはどうですかね。
○ 小島専務理事 1 0 年、2 0 年が一般と考えればわかりませんね。そういうことが導入される職種というのも出てくるだろうし。
○ 福井主査 製造業の一部は、実質的には職種採用に近いのではないですか。工場のラインのようなところですと、旋盤の専門家とか製造の専門家とか。
○ 小島専務理事 それはあるかもしれませんけれども、逆に言うと、ブルーカラーの方がある意味では終身雇用にならざるを得ないと思いますね。
○ 安念委員 経験によって生産性が高まってきますからね。
○ 小島専務理事 やはり、ずっと経験によってあれをしていくから。
○ 福井主査 確実にスキルが上がりますね。
○ 小島専務理事 ですから、ブルーカラーの方についは、むしろ終身雇用、年功序列というのは、あるいはかなり遅くまで残るのではないかという気がします。
ホワイトカラーの方は、先ほどおっしゃるような、この仕事で採用ということは次第に入ってくる可能性はあると思いますけれども、それは逆に言うと、企業の採用担当というか、逆に言うと、人事部を辞めて、企業がそれぞれの部署で人を採るというような仕組みができてくれば、それはあり得るかもしれないですね。
○ 福井主査 社内異動でも、実質的には転職と同じように、先方が望んで、本人が望み、先方が望まない限りは移れないというものはあり得ますね。
○ 小島専務理事 そういう仕組みが入ればね。ただ、日本の場合は、本当に社内異動は全部辞令一本でという話ですからね。

○ 福井主査 きちんとした業績評定ができていなかったら、自信を持ってあなたは残ってもらう、あなたは辞めてもらうとは言えませんね。そこの評価基準が若干はっきりしないんでしょうね。
○ 小島専務理事 それが評価基準がはっきりするということです。
もっと言えば、例えば日本の成果主義がなかなかうまくいっていない1 つの理由は、まさにそこになんです。ですから、勿論、日本の今の、例えばホワイトカラーの働き方にしても、先ほど申し上げたチームで働いているような意識はすごく強いです。しかも、そのチームが融通無碍に変わっていくわけですね。そうすると、一体たまたま上司にだれかいたかということによって、処遇にすごい差を付けざるを得なくなってしまうという問題があるので、それはなかなか難しい部分はあるんではないでしょうかね。

まさにジョブ型とメンバーシップ型の議論です。経団連に比べていささか地に足のつかない議論もできる同友会といえども、一般論としては福井氏や安念氏の議論におつきあいはしても、やはり自分の会社でどうするかという話になれば、そう簡単にジョブ型でいきましょうというわけにはいかないという経営者ならではの姿勢がよく示されています。

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