日本労働弁護団の50年
日本労働弁護団といえば、経営側の経営法曹会議と並ぶ労働関係法曹の団体ですが、そこから全4冊の大著が送られてきました。わざわざ私のようなもののところにお送りいただき有り難うございます。
さて、第1巻は第1部語り継がれる歴史、第2部権利闘争小史からなり、いろいろと勉強になりました。第2巻と第3巻は雇用と労働条件・人権の確立を目指してと題して、最近10年間の権利闘争を実際の裁判を取り扱った各弁護士が書いており、判決文だけでは判らない生々しい状況が浮かび上がってきてたいへん興味深い読み物になっています。4つめの別巻は資料集ですね。
歴史編を読んでいくと、労働弁護団ははじめは総評弁護団といい、総評の裁判闘争のために結成されたんですね。ところがそれがだんだん先細りになってきて、80年代には労働争議はほとんど激減して国鉄の分割民営化に対する国労の闘争くらいになっていたようです。そういう中で、新機軸を切り開く形でホットライン活動を始めたら、朝から晩まで電話が鳴りっぱなしの状態になり、そこからいわゆる市民的労働事件を中心に扱うようになっていったということです。
ある意味ではそこから労働契約法だの労働審判制だのといった個別労使関係への注目が進んでいくわけで、90年代初め頃が一つの歴史的転換点であったということが改めて理解されます。
同弁護団のHPはこちらです。最近の提言のたぐいもここに載っています。
« 非正規労働に関する組合の動向 | トップページ | 労働法グリーンペーパーのフォローアップ »
コメント