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2007年10月 9日 (火)

福井先生の対談録その3-連合

続く5月18日はいよいよ連合です。古賀事務局長に、長谷川裕子、龍井葉二という最強(?)の組み合わせ。

ホワエグをめぐるやり取りも面白いですが、フォーカスはやはり龍井さんのこれでしょう。派遣の見直しの話から展開してきて、

○ 龍井総合局長 1 点だけ申し上げたいのは、結局日本は初任給から始めるわけです。半人前から始まって、一人前になる。スキルも生計費も。今言われたのは、ジョブ型になっていって、資格を取ろうが、大学を出ようが何でもいいですけれども、皆さんがそうおっしゃるイメージのときに、勤続ゼロ年であるところに行く人というのはイメージが湧きますか。問題はそこです。それがあるシステムが、それはスウェーデン型のように国でやってもいいし、ドイツ型のマイスターでもいいし、アメリカみたいに資格でやってもいいし、いずれにしろ勤続ゼロ年で、ここからスタートしますという人が、今はS E などでも若干いるけれども、途中で終わってしまうじゃないですか。
そういう人たちが出てくる、企業の在り方ではなくて、社会の在り方としてのイメージができるのであればお互いに議論できると思います。今は正社員とおっしゃるのだって、20 万からスタートするわけじゃないですか。中で、O J T でスキルアップしてやっと一人前になっていって、一人前になった人は次に派遣に行けます。今は一人前に行けないわけです。そのスキームを、今までは終身かどうかは別にして、企業内のO J T でやってきました。それを組み替えるのであれば、どういう仕組みで半人前を一人前に、だれの責任とだれのコストでやるんですかという対案がないと、一企業の中の正社員とバッファというのでは、人材は絶対育っていかないです。

○ 福井主査 対極的なところにアメリカや最近のイギリスのような解雇なり雇用なりについてかなりフリーな国があるわけです。ああいった国のモデルというのは、仮に日本に応用できるのかどうか。何か当てはめる余地があるのかどうかという点はどういうふうにお考えになりますか。
○ 龍井総合局長 ちょっと誤解があると思っていますのは、もともと長期雇用というのは法律ではなくて、組合の要求ではなくて、移動していたのが当たり前だった時代に、御承知のように企業がインセンティブで引きとめにかかったわけです。引きとめにかかって、我が社スキルを要請したわけです。そのときに勿論、さっき長谷川さんが言った積み上げの中でルールというのはできてきますけれども、もともとの企業経営でやったのは、自分がやりたいからつくったわけです。その在り方、雇用システムでベースにしないと、法律の在り方でA パターン、B パターンというのはちょっと間違えるのではないかなという危惧があります。

○ 福井主査 おそらく日本の企業でも勿論、最初は安く抑えて、だんだん年功序列で高くなって、収支は生涯で取るというシステムが1 つの典型で、今も根強いと思いますが、最近やや変わってきているという経済社会情勢の変化がございますね。
変わったのに応じて、熟練をどこでするかという論点もあり、それはアメリカなどでも同じ問題があるのですが、聞いているところでは、比較的製造業のブルーカラーなどは終身雇用・年功序列に近い形態が事実は普及している。そうでないホワイトカラー、企画的業務では、かなりすぐ首を切られるけれども、すぐ転職ができるという状況です。
そういうモデルの導入余地についてはいかがですか。
○ 龍井総合局長 最後は企業を超えて、厳密にディスクリプションまでいかなくても、電機のこういう業界だったら、こういうスキルだったら移動してもこんなものかと。さっきバッファとおっしゃったのは関係があって、同じバッファであっても、在勤で移動する場合と、あるスキルで移動できると両方あるわけです。ここのルールが残念ながらはっきり言ってありません。中小の製造業では下町を移動する場合には親方の目利きで大体こんなものだなと下がることはない。それが今おっしゃったホワイトカラーというときに、そのスキルが、そういう汎用性が、厚生労働省もいろいろ実験はしてきたけれども、やはりできていないわけです。
2 つ考え方があって、欧米的なジョブを何としても目指すと考えるのか。もうちょっとファジーな大括りなジョブみたいなところで、それこそ業界か何かで考えていくようにさせるのか。おっしゃったようにそのインフラがないと、そのシステムだけでは難しいです。

○ 福井主査 多分大勢はそんなに変わらないと思います。ただ、そのルールの問題としては、これまでの伝統的、支配的だった雇用秩序なり雇用慣行を特に推奨するというより、
その例外に位置づけられても構わないという業種、業態や企業規模、あるいは労働者について、別の選択をしたときに法律なり判例なりもそれを応援し得るような多様性を仕組みの中にインプットする余地はあるのではないかとも思います。
○ 龍井総合局長 やはりセット販売です。これはよくてこっちだけやるというのはできないです。

ここで長谷川さんがさりげなく皮肉を。

○ 長谷川総合局長 この間、各企業の企業の3 0 代後半くらいの若手の人たちとの勉強会があったのですが、やはり先生みたいにおっしゃるのです。もっと労働市場を流動化させて、移動できないかと言うので、私は「あなた、会社を辞めてみたらどうですか」と言いました。まず会社を辞めて、自分でどこか仕事を探して、やはり私は幸せだったわと思えるかどうか。それぞれの会社でものすごく期待されているあなたたちだから、まず自分で辞めてみて、今よりもっと条件のいいところに行って、自分は幸せだったというのだったら、是非教えてほしい。そうすればみんなもっと移動しますよと言ったら、みんな黙ってしまった。
○ 福井主査 転職市場が小さいですからね。実際上は移動の自由はなかなかないですね。
○ 長谷川総合局長 そういうのは自分でやってみてから言ってくださいよと言いました。
例えば研究者は移動しますね。西の方にいて東京の方に来たり、と。あと弁護士の方もする。看護師は1 つの病院に3 年くらいいると、いやになって別な病院に移動する方が多いようです。
○ 福井主査 何でいやになるのですか。
○ 長谷川総合局長 よくわからないです。看護師はとにかく定着しない。その病院で婦長さんだけは唯一2 0 年選手で、あとはもう3 年くらいでどんどん移動すると言われています。
あとの職種では余り移動するというのは聞いたことはない。
だから、大手の企業で優秀なところの中堅社員が移動するかどうかですね。

まさにこのような、自分のことは棚に上げて長谷川さんに労働移動自由化論をぶつ中堅社員の皆さんが、ブロゴスフィアでも気勢を上げているのではないか、と。これも余計なことですが。

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