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2007年10月24日 (水)

第1回雇用政策研究会議事録

8月24日から始まった新しい雇用政策研究会の第1回目の議事録がアップされています。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/txt/s0824-3.txt

いままで労働問題にはあまり関わりを持っていなかったように見える経済産業研究所の鶴光太郎氏がなかなか面白い提起をしています。

>○鶴委員 ・・・その中で私のような素人が見ると、一つひとつのいろいろな問題がどう連関して、もっと根源的なところに潜んでいる労働問題というものはないのか、上滑りな議論になっているのではないかという個人的な印象を持っています。
 1つ私が思うのは、佐藤委員の議論にもありましたけれども、正社員化ということではないのかもしれないということです。私もそういう部分があって、1つは長期的なコミットメントというところが今は非常に薄くて、よく金融の世界ではショートターミズムという経営者の短視眼的思考と言われるのですけれども、労使ともに非常にコミットメントが弱くなるとか、非常に短期的な見方になっていて、そこにいろいろな問題が出てきている印象を受けています。それをどうロングタームなコミットメントに持っていくのか。
 これは昔の終身雇用とか年功賃金ということではないのだと思うのです。新たな形でそういうことをやるということで、職業能力の向上とか意欲や能力、それからワーク・ライフ・バランスが、全部つながっていると思うのです。将来予測可能性みたいなところがあってこそ、全部の問題が解決していく。だからそういう本源的なことが、一体何なのかということも、これだけ議論が相当いろいろ出てきているので、もう一度考え直してもいいのではないかと思っています。

これに対して厚労省は、

>○小川雇用政策課長 ・・・まさに根源的な問題というか、そういうことは何かということですが、さらに長期的なコミットメントが薄れている。要するに、やや短期的になっているのではないかというご指摘があるわけで、ある意味では1990年代前半ぐらいだったら日本の経済システムは長期勤続を前提として企業内労働者を中心として、またその資本市場においても間接金融優位で、特にクォータリーレポートを気にしない。要するに、アメリカとの対比において日本の経営というのは長期的視野に立った経営ができたということを言われてきたわけですが、それが最近は若干変わってきていて、むしろ当時ある意味で批判的に見られていたアメリカ型に近くなってきて、まさにクォータリーレポートに気を遣いながら短期の利益極大化に走りすぎているのではないかという批判もあるわけです。そういったものは、どう考えていくか。元に戻して間接金融に融資しても、それはそれでまた難しいわけです。あとは我々としては、おおもととしては労働省の話ですから、長期的なコミットメントを考え、自分が会社に10年いると思えば、若しくは従業員が10年いると思えば一生懸命企業内でも能力開発投資をするとか、自分もそのために頑張るということもあるかもしれませんが、それがわからなければ、明日辞めるかもしれない社員に対して能力開発投資をする義務はないということもありますから、どうやって長期的雇用というか、どの範囲で長期的雇用を考えていくかでかなり根源的な問題かもしれませんので、それはまさにご議論をいただければと考えています。

と応じています。旧来の終身雇用や年功賃金とは違う形でのロングターム・コミットメントをどう作っていくのかというまさに根源的なテーマですね。

若者の関係では、JILPTの小杉さんがこう語っています。

>○小杉委員 ・・・若い時期のワーク・ライフ・バランスは何かというと、学ぶことと、新しい生活を始めることと、働くことのバランスで、この中の学ぶことの中には就業してからの企業内での訓練という話だけではなくて、学校教育段階からが入る。既に高校によっては、高校に入るとすぐにアルバイトを始める子が圧倒的多数だという学校がいくつもあって、これは教育社会学で最近時々言われていることの1つですが、実はパートタイム生徒という実態がある。フルタイムの学生のように言われていますが、現実には週20時間ぐらい労働している高校生がたくさんいるわけです。その辺から、学校教育の段階での就労と能力形成をきちんと議論していくべきではないかと思います。
 さらに、ある程度の年齢が経った段階での生涯職業能力開発、文科省の言葉では生涯学習ですが、文科省の生涯学習審議会の中でも、いま職業能力形成というのは生涯学習の中では重要だということを改めて言われている段階になっています。そこで、能力形成をする機会をどう設計していくかというときに、いま視野に入っている部分の、公共や企業内だけではなくて、学校教育をそこで、能力開発の機会としてどう重視させていくか。特に、日本の高等教育の、非常に偏った若者しか相手にしない高等教育ではない高等教育のあり方というのも視野に入れなければならないのではないか。その辺は少し文科省のほうに動きがありますので、そこまで視野に入れて高等教育がどうあるべきかということ。それがいま再チャレンジ政策でいろいろ動きがありますが、その辺まで視野に入れた議論が必要ではないかと思います。以上です。

昨年ここでもホットに論じられた学校教育、なかんずく高等教育の職業レリバンスの問題とつながってくるテーマですね。

委員の中で異色なのはやはりこの人、モリタク先生でしょう。

>○森永委員 皆さんと違った視点のお話をします。私は経済企画庁にいた時代から、完全雇用の達成というのが政府の最大の責務だとずっと教わってきたのですが、どうも完全失業率が下がるとか、有効求人倍率が上がるということでは捉えきれなくなってきているのだと思います。例えば、政府は2002年1月が景気の底だと言って、それ以来景気が拡大してきたと。完全失業率は5.5%から4%を切るところまでになったし、有効求人倍率は0.5から1倍を大きく超えるところまで来た。
 ところが、ここの5年間の景気拡大の中で雇用情勢が良くなったかというと、全く良くなっていない。むしろ悪化しているのだと思います。それは何かというと、例えば名目GDPで捉えると2002年1~3月期、底だった時期から今年の1~3月期までの丸5年間を取ると、名目GDPは22兆円増えているのです。だから我々は、成長の成果を22兆円も手にしたのです。ところが、普通だったら労働分配率を7割として15兆円ぐらいは労働者のところに行かないといけないのに、この5年間で雇用者報酬がどう動いたかというと5兆円も減っているのです。景気が拡大しているのに労働者の生活がどんどん悪くなってきている。しかも、5兆円が減った中で5兆円家計が増税されていて、社会保険料で4兆円弱増えている。14兆円も手取りが減っているのです。だから、所得が減っているわけですから内需関連が増えるはずがないのです。
 なぜこんなことが起こってしまったかというと、雇用者報酬が減った最大の要因は非正社員化がどんどん進んだからだと思います。特に20代前半に集中的に現れていますが、非正社員が3倍に増えています。この人たちの年収がどのぐらいあるかというと、本当に100万円代前半です。こういう人たちが劇的に増えている中、これを放っておくと何が起こるかというと、例えば日本経団連のアンケートで、非正社員でずっとやってきた人を正社員で採りますかと聞くと、98%の企業が採らないと言っています。実は雇用もないし、小杉委員がやった調査の中で、就業構造基本調査の2002年のを再集計して20代後半男性の年収別結婚率を出すと、年収1,000万円ある人は72%が結婚しています。ところが、フリーター層の100万円代前半の年収の人は15.3%で、6人に1人も結婚していないのです。
 私は、少子化対策のための仕事と子育ての両立支援というのは、はっきり言うと意味がないと思っています。なぜかというと、原因は生涯完結出生率が2.0で落ちていないわけです。落ちているのは結婚率です。今回蒔苗さんが用意してくれた未婚率は正確ではなくて、未婚の人と離死別と国勢調査では、答えたくないという人が大量にいます。
これを合わせると30代前半で49.4%、要するにほぼ半数の人が非婚なのです。これは1年に1%ずつ上がっていますから、いまは日本の30代前半の52%ぐらいが非婚なのです。要するに、結婚できなかったら日本は子供を生まないわけですから、どうしたら結婚できるようになるのかというのを本当に考えないと、社会が壊れてしまうのです。
恐ろしいことが起きていて、私は個人的な趣味でアキバ系のシングルの人たちとたくさん付き合っていますが、完全に絶望なのです。本当にひどいことが起こっていて、人間の女性と付き合うことに対して諦めてしまっているのです。その先に進むと、人間の女性に対して全然脳波が反応しなくなるのです。この状態を放置したら、私は日本は確実につぶれると思います。どうしたらいいかというと、この10年間のアメリカ型金融資本主義の追求というのが大きく間違えていたのだと思います。ずっと安定して生活できる。将来に、安心して小さな幸せが欲しいというぐらいしかみんな思っていないのです。
その中でA社が何をやったかというと、コスト削減のためにどんどん非正社員に低賃金で働かせて、人件費単価を下げて利益を増やしてきた。だから、この5年間で企業のほうは所得を劇的に増やしたのです。その結果何が起こったかというと、景気拡大のこの5年間で企業が払った配当金の額が3倍になっています。法人企業統計で見ると、大企業の役員の報酬は倍になっているわけです。要するに、自分たち勝ち組だけ大儲けをして大金持ちになって、その皺寄せを全部働く人に持っていった。これは賃金を低下させただけではなくて、もう1つは労働者から生き甲斐を奪ったという大きな犯罪をしたのだと思います。
 議事録が公開されるので名前だけ伏せておきますが、ある新興IT企業のいま裁判になっている人ですが、その人と話をしたのです。私は、彼にこう言ったのです。「いきなり採った人間を3カ月後に査定入りして給料を下げたり、パソコンから事務用品まで全部労働者の自腹にしたり、夜中までコキ使ったり、そんなひどい労働条件を放置していたら、あなたの会社は労働者がやめて将来駄目になっちゃいますよ」と言ったら、彼は「いいんだよ、やめたきゃやめれば。やめたら、またマーケットから採ってくればいいんだから」。これが、いまの企業家の悪い思想なのです。要するに、労働者をパーツだと思っているのです。そのパーツ、道具だと思っているというのは、いままで人間だったのです。Aさん、Bさんだったのを単なる道具だと思って、その思想背景には新古典派の経済学の生産関数があって、彼らは労働力と資本があって、それを組み合わせれば付加価値が生まれると思い込んでいるとんでもない間違いをしているのです。そんなことはないのです。付加価値は、現場が毎日毎日一生懸命に努力して、日々の改善をして付加価値を作り上げるわけです。どうもいままで日本の雇用政策の中で、それを支援するようなことをこの10年間はやってきてしまったのではないかなと。厚生労働省に反旗を翻すと何されるかよくわかりませんが、私は製造業の派遣労働を解禁したのは間違いだったと思う。今回のパート労働法も例えば同一の仕事に同一賃金は当たり前の話なのにどういう人を対象にしますかというとパートタイマーなのに雇用の期限の定めがなくて転勤にも応じて、普通の労働者と全く同じような昇進も全部受け入れる。そんなパートがいるわけはないのです。だから普通に書けばいい。同じ仕事だったら同じ賃金。長時間労働が問題だというのだったら、監督署に言って経営者なり人事部長をバンバン逮捕すればいいわけです。そういうことをきちんとやれば、私はまともな国というかまともな労働市場になっていくと思います。とにかく真面目に一生懸命に働いた人が飯が食えないし結婚もできないという労働市場を作ってしまったというのは大きな問題で、これをいますぐ改めないと日本は壊れてしまうと思います。

これにたいして、樋口座長が「事務局としては答えにくいことだろうと思います。何かあれば」と水を向けたのを受けて、事務局側が、

>○小川雇用政策課長 まさに答えにくいです。森永委員がおっしゃったような変化というのはここ10年間ぐらいで起こってきたわけですが、一方で結局のところバブル崩壊後の不景気の中で同時に国際競争が高まる中、強まっていく中で、まさに日本の国際競争を維持していくためにある程度コストカットをしてきたという企業側の論理もある。また一方でそれがなければ日本で製造できないから海外へ行くしかないよねということを言いつつ、そういったことを進めていったというまさに経営判断の問題だとは思います。
それをけしからんとか、けしからないというのは価値判断になってしまうので、それは置いておきますが、それが続いたときに森永委員がおっしゃったように日本国全体がおかしくなってしまっては一方で困るわけでしょうけれども、そこら辺はどうやって折り合いをつけていくのかということではないかと。若干私見も入ってきますが、そこをどう考えていくのかなということで、おっしゃるようにスパッと言えれば気持がいいのでしょうけれども、そうもいかない。経営側との折合いをつけつつ、企業側の軸と全体の整合性を考えながら最適な方法を模索していくのかなと考えていますし、こういったことも研究会でご議論いただければと考えています。

>○蒔苗雇用対策課長補佐 その辺は事務局としても同じ思いで、今日の論点ペーパーの1の「日本経済が持続可能な成長を続けていくための目指すべき雇用労働社会」はまさにそういう意味で、先ほどお話に出ましたように、やめたら採ってくればいいというのですが、全体で見ると採る人がいなくなるわけです。そこは短期的に良いことであっても、長期的に見ると持続可能かどうかは大事なことですので、そういったことを踏まえてやりたいということで、今回二極化という資料を出したのはそういう趣旨です。まさに、そういう点について2にありますように、「当面4~5年程度」何をやるべきかというのは中期ビジョンですので、必要な対応についていろいろご意見をいただければと思います。

とコメントしています。

ちなみに、モリタク先生がJILPTの援護射撃をしてくれています。

>○森永委員 ついでなので本筋ではないのですが、そのときに若年の雇用が危いというのをJILPTが最初に警告を発したのです。政府は全然わからなかった状況で。いまの日本のいちばんおかしいところは、そういうまともな研究機関の予算をどんどんカットしたり、こんなのは要らないとか、そういうことを言うところがおかしなところだと思います。そうですよね。

>○小杉委員 ありがとうございます。

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