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2007年9月 3日 (月)

新パート指針

先月末、パート指針の改定について答申が行われ、今月中にも新指針が策定されることになるわけですが、

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/h0828-2.html

この指針の基本的考え方の中には、こういう一節があります。

>短時間労働者の雇用管理の改善等の措置を講ずるに際して、その雇用する通常の労働者その他の労働者の労働条件を合理的理由なく一方的に不利益に変更することは法的に許されないこと、また、所定労働時間が通常の労働者と同一の有期契約労働者については、法の定める短時間労働者とはならないが、法の趣旨が考慮されるべきであることに留意すること

前半部はパートじゃない方の労働者の話ですし、後者はいわゆるフルタイムパート、つまりパート法でいうパートじゃないけど世間でパートといわれている非正規労働者のことですね。

こういうのが入るのには使用者側はもちろん若干抵抗したのですが、実は国会の附帯決議で、

>いわゆるフルタイムパート(所定労働時間が通常の労働者と同じである有期契約労働者)についても本法の趣旨が考慮されるべきであることを広く周知し、都道府県労働局において、相談に対して適切に対応すること

>我が国における短時間労働者の多くは、労働時間が短いことに加え、有期労働契約による問題が多い実態を踏まえ、有期契約労働者と通常の労働者との均等・均衡待遇の確保を進めるため、有期契約労働者に関わる問題を引き続き検討すること

>正社員の労働条件について、本法を契機として合理的理由のない一方的な不利益変更を行うことは法的に許されないことを周知するとともに、事業主に対して適切に指導を行うこと

というのがつけられていたので、やむを得ないということになったのですね。

これは、実態を考えると、こういうのをつけたくなる気持ちはよく分からないではないのですが、逆に一体パート法って誰のための何のための法律?という疑問が湧いてくるのも否定できません。

実際、労政審機会均等分科会において、佐藤委員はこういう発言をしています。6月28日の議事録ですが、

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/txt/s0628-1.txt

>○佐藤委員
 今日お答えいただかなくてもよいのですが、指針の解釈になるかもしれませんので少しご検討いただきたいことの一つは、パート労働法はパート労働者と通常の労働者の処遇の均等・均衡なのですが、この通常労働者というのは誰なのか。一応解釈通達か何かに正規型の労働者と書かれていますが、では、正規型の労働者はまた誰なのか。無期契約かというと短時間の無期契約の人もいるのです。パート労働者は短時間ですからわかります。しかし、フルタイムとは何なのか。フルタイムだと、有期のフルタイム労働者がいるわけです。ですから、通常労働者というのが誰なのかということ、つまりパート労働法ができたときは、正規型の労働者で多分よかったと思うのですが。いわゆる正社員、正社員が何かというのは法律上どこにも書いていないのですが、正社員も非常に多様化しているのです。この前ある会社が相談に来たのですが、その会社は、正社員、これは当然無期契約なのですが、時間で見ると週40時間の人もいれば、35時間、30時間、20時間の人も全部正社員なのです。本当にテンポラリー(temporary)な小売業ですから。しかし、圧倒的に通常の会社が有期にしているのを無期契約でやっている会社なのです。
そうすると、「うちは何をすればよいのか」と。つまり、「みんな正社員だ」と。そうするとパート労働法を適用する人は、ほとんどがテンポラリーな人で「うちは関係ないのですか」という相談を受けたのです。つまり、通常の労働者は何かということをきちんと言わないと、企業は事実上処遇の均等・均衡をやれない時代になってきたということで、それを少しご検討いただきたいというのが、一つです。
 2番目は、フルタイムパート。附帯決議でも「いわゆる」と書いてあるからいいのですけれども、大事なのはパートという名前を付ければ、つまりフルタイムパートという言葉が、いろいろなところで使われるのがよいのかどうかということです。基本的にパート労働者は短時間の人だということです。それをよくわかりませんがフルタイムパートと言って、フルタイムだけどパート労働者だというのはやはり良くないだろう。つまり、パート労働者は短時間であるということを定着させていくということが大事だと思っています。そういう意味では、まさか公共職業安定所などでフルタイムパートという求人ができることはないだろうなと。基本的には労働時間がどうなのか、雇用契約がどうなのかということです。フルタイムパートなどという言葉が、いろいろな政策文書の中に、基本的にはフルタイムパートという言葉を特に求人などに使ってほしくないと思っています。パート労働者は短時間の人ですというように事業主が求人していただき、求人にエントリーする人にパートという字が「これは短時間なのですね」とわかるようにしていくということは、結構大事ではないか。フルタイムでパートなどという言語矛盾のものは使われないようにしていくことがとても大事かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

この点については、私も拙著の中でこういうことを書いたことがあります。

>そもそも、ILO条約にせよ、EU指令にせよ、「通常の労働者」などという概念は存在せず、比較可能なフルタイム労働者とパートタイム労働者との均等待遇を要求しているに過ぎない。日本ではパートタイム労働者という概念の中に、有期契約労働者や時間給労働者等といったさまざまな非正規労働者の問題を盛り込ませて議論をしてきた経緯があり、パートタイム労働者の均等待遇問題がいわば全ての非正社員を正社員並みに処遇することと意味するかのように扱われてきたが、この先事態を進展させるためには縺れた糸を一旦解きほぐし、他の条件が等しい所定労働時間の長い労働者と短い労働者の間での均等待遇というところに一旦着地させる必要があるように思われる。
 もともと、1970年1月に出された婦人少年局長通達では、「現状では、パートタイム雇用についての概念の混乱が、近代的パートタイム雇用の確立の上で問題となっているので、パートタイム雇用は、身分的な区分ではなく、短時間就労という一つの雇用形態であり、パートタイマーは労働時間以外の点においては、フルタイムの労働者と何ら異なるものではないということを広く周知徹底する」(1970年婦発第5号)と、政策の方向を明確にしていた。この頃までは労働行政も外部労働市場に力点を置いた法政策をとっていたのである。その後の内部労働市場重視の法政策が、正社員の雇用確保に重点を傾けていく一方で、非正社員のさまざまな問題をパートタイム労働者に一切合切放り込み、微温的な態度をとってきたに過ぎない。そういう「概念の混乱」の上に均衡処遇や均等待遇を議論してきたことの無理が露呈してきたのだとも言える。
 しかしながら、ようやく有期労働契約の問題は有期労働契約の問題として一個の法政策として議論されるようになり、またさまざまな労働契約をめぐる問題が法政策の課題として取り上げられるようになってきた。パートタイム労働問題は純粋のパートタイム労働問題に戻ることができる状態になりつつある。将来的には、正社員と呼ばれる労働者層の雇用管理の多様化の中で、その一類型としてのパートタイム労働が確立していくという方向が展望されよう。(『労働法政策』p310~311)

そうは言っても・・・、ということは分かった上で、やっぱりそういうことを言った方がいいと、私は思うのですね。

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