フォト
2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 派遣会社の企業譲渡に既得権指令適用 | トップページ | 欧州オンブズマン労働時間指令で圧力強化 »

2007年9月19日 (水)

日本経団連の研修・実習制度見直し論

昨日、日本経団連が「外国人研修・技能実習制度の見直しに関する提言」を公表しました。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/068.pdf

先日発売された『季刊労働法』の私の文章でもこの制度の経緯を若干詳しく説明していますので、それらも読み合わせていただくとよいのではないかと・・・。

さて、日本経団連ですが、基本的考え方は「外国人材が日本で働いて収入を得ながら技能を修得できるという点と、国内で求人募集を行なっても応募がない産業や中小企業等が人材を確保できるという点で、その意義は大きい」から、「同制度そのものは基本的に今後とも維持すべきである」という点にあります。

とはいえ「内外に批判があることも事実である」ので、「問題の発生を抑止する制度の確立」とともに、「受入れ人数枠や範囲の拡大、再技能実習の制度化など、優良な受入れ機関や研修・技能実習生に対する優遇措置を講じることにより、制度運用の適正化に向けたインセンティブを高めていくことが不可欠」というところが、まさに経団連です。

その見直しのポイントですが、たとえば「受入れ機関の適正化」については「自主的にコンプライアンス強化に努めるべき」として、「厚労省案は悪質な一次受入れ機関の排除を目的として、本来の事業協同組合等としての一定期間以上の活動実績を一次受入れ機関の要件とすることを提案しているが、その結果、・・・研修・技能実習をより効果的な形で適正に実施しようとする意欲ある機関の新規参入が阻害されてしまうおそれがある」と批判しています。あくまでも「事前規制から事後チェックへ」でいくべきだということのようです。

最大の問題である「研修生の法的保護」については、厚労省案に対してこういう批判の仕方をしています。

>厚労省案では、最低限の安全衛生教育や、日本の生活習慣、職場において必要な日本語教育については、現行制度と同様に受入れ当初の段階で実施するとしているものの、技能レベルの評価を行うことなしに技能実習に移行することになり、技能移転が有効に行われるか疑問が生じる。

非紳士的な言い方をすれば、技能も身に付いていない段階で労働者性を認めて保護なんかしてしまうと、技能移転が有効に行われなくなるぞ、それでもいいのか、というわけですね。

ではどうするのかというと、

>研修を1年(その3分の1は座学)、技能実習を2年と固定する必要はなく、それぞれの期間については極力、柔軟性を確保すべきである。

>たとえば現行では、原則1年以内の研修期間のうち、3分の1以上を非実務研修に充てることとされているが、研修生が来日前に母国で日本語の学習や日系企業における研修・勤務等の経験がある場合は、それにより修得した日本語能力・職務知識等に応じて非実務研修の期間を短縮し、その分を実務研修に充てることを認めるべきである。さらに研修・技能実習期間の組み合わせにかかわらず、合計3年の滞在を認め、この期間内において、技能検定基礎2級相当の試験に合格した時点で技能実習に移行できることとすべきである。これにより、たとえば半年の研修と2年半の技能実習の組み合わせなどを可能とすべきであり、この結果、研修生は一定の技能を修得した上で早期に技能実習に移行することができ、法的保護が強化されるとともに、より高額の給与を受給することが可能となる。

という提案になるわけですが、これは役所系の研究会報告でも払拭し切れていない点なのですが、どうも「座学」は「労働」に非ずという間違った発想が瀰漫しているように思われます。座学だって、使用者の業務命令に従って受講すれば労働なんですよ。問題は、外国人の場合日本語能力とか生活知識といったそもそも職務と関係のない座学もしなければならないということなのであって。

経産省の研究会と同様、経団連も再実習制度には大変熱心です。できるだけ広く認めて貰いたいということですね。

>研修・技能実習を修了し、一定レベル以上の技能を修得した者が、より高度な技能もしくは多能工として必要な関連技能を身につけ、母国の技術レベル向上に貢献できるようにするため、再技能実習を制度化すべきである。

>この点に関し、厚労省案は、企業単独型に限り、帰国後一定期間(たとえば3年)経過後に2年間の再実習を認めるのに対し、経産省案は企業単独型・団体監理型を問わず、優良認定を受けた受入れ機関について、帰国後半年から1年後に高度技能実習(再実習)の受入れを認めるとしている。

>本件については、経産省案に基づき、優良認定による再技能実習の制度化を図るべきである。

そしてさらにその先に「再技能実習修了後の就労」を要求しています。

>将来にわたり技能者が慢性的に不足すると予想される分野については、二国間協定の締結や労働需給テストの導入を前提に、一定の日本語能力や技能水準を満たす外国人材を、在留資格「技能」の拡充により受入れることが不可欠である。再技能実習修了生は、まさにこの「一定の日本語能力や技能水準を満たす外国人材」に該当するものと考えられる。この点に関し、経産省案では、再技能実習中に高度な技能検定を取得した者につき、就労ビザによる入国を認めることを「将来的」に検討するとしているが、そのような技能取得者が引き続きわが国で就労を希望し、受入れ企業側でもそれを望む場合には、上記の「技能」の在留資格を付与することを早急に検討すべきである。さらに、将来的には、技能実習を修了した者についても、高度な技能取得や本人・受入れ側の希望を条件として、「技能」の在留資格を付与することを検討すべきである。

この「技能」資格で就労する外国人は「当面は基本的にローテーション型の受入れとすることが適切」というのですが、さてそんなことができますかね。

そのためには家族を連れてきてはいけない、結婚してはいけない、単身で働け、といわなくちゃいけませんが、先進国日本がそういう非人道的なやり方を貫けるかというのが問題で、貫けないのであればそれははじめから移民を導入する覚悟でやるということです。そこまで踏み込んだ議論をするか、というのが、ここには現れていない本当の問題点なのですがね。

« 派遣会社の企業譲渡に既得権指令適用 | トップページ | 欧州オンブズマン労働時間指令で圧力強化 »

コメント

自分たちの守るべきルールを守らず、「規制緩和」「構造改革」の名前で利権と権限の拡大だけを要求するそんな経団連クオリティが、ご引用の記事からも読み取れますね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本経団連の研修・実習制度見直し論:

« 派遣会社の企業譲渡に既得権指令適用 | トップページ | 欧州オンブズマン労働時間指令で圧力強化 »