在宅勤務萌え?
先日公表された経済財政諮問会議労働市場改革調査会の第2次報告書、外国人の所は既に論評したとおりで、研修・実習の扱いは概ね妥当ですが、秘かにメイドさんやベビーシッターをこれで導入しようという意図はもっときちんと説明して国民的議論をすべきではないかというところでした。
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/13/item1.pdf
ところがこの報告書、その後に在宅勤務の話が延々と書かれています。
現在厚生労働省の通達(平成16 年3月5日基発0305001 号)で
>① 当該業務が、自宅で行われること
>② 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
>③ 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと
とされている要件について、
>(1)①に関して、在宅勤務の要件として、とくに自宅内に仕事専用の個室を設ける必要はないこと。
>(2)②に関連して「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされて」いる場合とは、情報通信機器が常時通信可能な状態(オンライン状態)にあるだけではなく、その通信機器を用いて使用者が随時、業務に関する具体的な指示を労働者に対して行うことが予定され,かつ、労働者もその指示に即応できるような状態にある場合(いわゆる「手待ち時間」に当たる場合)を指すこと。したがって、仮に終日、情報通信機器が接続可能な状態にあっても、在宅勤務の労働者の勤務状況を使用者が常時監督するための手段(例えばTV カメラ等)が設置されておらず、労働者が自由に持ち場(端末の前)を離れることのできるような状況にあれば、当該要件を充足するものとなること。
>(3)③に関連して、使用者が随時行う具体的な指示とは、一般的な指示(業務目標や期限など)ではなく,業務遂行の方法や時間配分に関する具体的指示であること,また「随時」とは,その頻度にもよるが、例えば朝夕に指示があるだけであれば、具体的な指示があったとはいえず、当該要件を充足するものとなること。
という解釈を出せという要求です。
別に問題はない、というかある意味でもっともな話なのですが、わざわざこれだけのスペースをとって、外国人問題と並べて打ち上げるほどのはなしかねえ、という気がしますが。正直言って課長補佐クラスの議論のような気がするのですが。
今後の検討課題として、
>(1)事業場外労働のみなし制の特例として構成する
>(2)裁量労働のみなし制の新たなタイプとして構成する(この場合、「時間の配分の決定等が大幅に労働者の裁量に委ねられている」か否かが重要になる)
>(3)独自のみなし労働制や、それ以外の新たな労働時間制度の一種として構成する
という案を提示していますが、要するに
>もっとも、在宅勤務であっても健康確保措置として休日は重要である。このため、労働時間が過長なものとならないための手段を講じた上で・・・
ということを念頭におきながら、制度設計をしていけばいいわけです。
私はむしろ、在宅勤務の問題を取り上げるのであれば、労働者ではないとされる在宅就労者の法的取扱いについても議論を提起すべきではなかったかと思います。現行の家内労働法は家内労働者を「物品の製造、加工等に従事する者」と定義しており、それゆえコンピュータやインターネットを用いて情報処理を行う等の行為はこれに含まれません。ILO条約でいうホームワーク(「宿題」じゃないよ!)は双方を含みますし、情報化社会に工業時代のなごりみたいな法律がそのままになっているのもどうかという気もします。その辺は今回は全然触れられなかったわけですが、できれば今後検討して貰いたいところですね。「労働者」ではないだけに、却って厚労省外部からの問題提起がされることに意味があると思いますよ。少なくとも課長補佐クラスの通達の文案をあれこれ考えるよりも。
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