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2007年9月20日 (木)

高橋亀吉 on 臨時工問題

高橋亀吉といえば戦前活躍した有名な民間エコノミストですが、昭和12年というまさに日中戦争の始まった年に出版された『日本産業労働論』(千倉書房)は、今日の労働問題と対比して幾つも興味深い証言を残しています。

中小企業労働、女子労働、農村の過剰労働力、日雇い自由労働などさまざまな領域を分析しているのですが、まずは臨時工問題を。

>・・・以上は臨時工が常用工に比し、より低劣な労働条件に従事しつつある事実の概要であるが、今やかかる低劣な労働条件下にある臨時工の激増せる結果、一般労働者の労働条件その他に、各種の弊害的影響を及ぼしつつある。

>臨時工が多数に雇用され、しかもその技術の熟練化において常用工に比し、殆ど遜色なき結果、勢ひ臨時工の低賃金が、実質的に賃金水準決定の標準とならざるを得ない。即ち事業が繁忙になり、労働需要の増大するや、それに連れて労賃も上がると云ふのが、上昇期資本主義経済の原則であるが、近年に於いては、工場主は、いつでも低賃金の臨時工を以てその必要労力を補給し、之を半永久的に使用し得る結果、工場主は臨時工の使用によつて絶えず新しき賃金水準を造出することが出来る。事実、満州事変以降我が資本家階級は、賃金高き常用工と、低廉賃金の臨時工とを漸次スリ替へることによつて、我が賃金水準を低下せしむることにある程度成功し来たつたのである。

>之に加ふるに、従来、我が労資関係の美点として維持されてきた退職手当其の他の福利施設等の所謂恩恵的施設が又、臨時工増大の結果、今や崩壊の危機に立ち、かかる方面からも一般労働者の労働条件は実質的に低下する危険にさらされてゐるのである。

>次に臨時工増大の影響として此の際注目に値することは、常用工の特権意識の濃化と労働団結力の阻害の傾向であるが、之は無論今日までの所、ハツキリと表面に現れている訳ではないが、次章に後述する如く、今日労働組合が主として常用工中心に組織され、臨時工の組合加入者少なきは、臨時工そのものの労働期間の短いと云ふことに主因するが、又一面には、かかる労働者内部に於ける暗流がその原因の一つをなしてゐると云はれてゐる。

>又、常用工と臨時工の利害の対立から、常用工が臨時工を差別視し、臨時工の存在を常用工の特権維持のバリケード視する傾向のあることに就いては、池田鉄工所の今井四郎氏が、去る昭和十年二月の東洋経済新報社主催の座談会に於いて、他の角度から次の如く述べてゐる。

>『ただ面白いのは、私の方では臨時工の良いのをドンドン本工にしようとするのです。それを却って一般の従業員は希望しないのです。・・・それが既得権の侵害といふことに取るのですな。私の所で常時専門の職工が千名居るとするのです。本雇になると会社が絶対に保証してくれるといふ観念を有つてゐる。それが四百名殖やして千四百名になると、ノーマルの状態に於いては千名で四百名は要らなくなる。さうすると其の中の四百名が整理されることになると、誰が整理されるかと云ふと、臨時工を全部本雇にされると、従来の本雇の十年、二十年勤めた者が整理される。だから臨時工はあとから来た者だから、成るべく我慢させろと云ふのです。これは何処でも同じことではありませんか。組合の人は口では厳正なことを言はなければならないが、実際には内で働いて居る職工は、各々の立場からさういふ風に考へるのです・・・・・・』

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EU労働法政策雑記帳: 高橋亀吉 on 臨時工問題: 興味深いので紹介します。 ご注意いただきたいのは,既存の組合を批判したい,とかなんだとかという意図とは関係ないということです。 面白がって紹介しただけです。 一部を抜粋すると, >又、常用工と臨時工の利害の対立から、常用工が臨時工を差別視し、臨時工の存在を常 >用工の特権維持のバリケード視する傾向のあることに就いては、池田鉄工所の今井四郎氏 >が、・・・(後略) などと,正社員と非正規社員の溝のような記述があったり... [続きを読む]

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