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2007年8月10日 (金)

人事院勧告

一昨日、人事院が公務員給与の改定に関する勧告をしましたが、若いところがちょびっと引き上げられるという給与の話はおいといて、公務員人事管理に関する報告の方に興味深い記述があります。

http://www.jinji.go.jp/kankoku/h19/h19_top.htm

http://www.jinji.go.jp/kankoku/h19/pdf/dai3.pdf

>2 専門職大学院等に対応した人材確保

>(1) 国家公務員採用試験に対する応募者は、公務を取り巻く厳しい状況の下、ここ数年減少傾向が続いている。その要因としては、民間企業の採用拡大や受験年齢人口の減などのほか、公務の役割が変化している中で、法科大学院、公共政策大学院等の専門職大学院の設置などに伴って、公務への人材供給構造に大きな変化が生じていることが考えられる。引き続き公務に多様な有為の人材を確保していくためには、平成18年度年次報告書で言及したとおり、公務員の役割や働きがいの明確化、働き方の合理化、社会貢献など公務に特徴的な仕事の魅力の発信などが求められるとともに、新たな人材供給源の開拓や若手職員のモティべーションを維持・向上するための計画的な育成が必要である。

>(2) 専門職大学院の設立をはじめとする大学教育の変化に対しては、学識経験者による研究会の報告に基づき、大学院出身者の受験をも念頭に、Ⅰ種採用試験について記述式試験を重視する方向での最終合格者の決定方法の見直しなどを行い、平成18年度から実施に移したところである。
Ⅰ種採用試験の事務系区分においても、大学院出身者の合格者数の増加が認められるところであり、その状況等を十分に検証しながら、専門職大学院出身者を含めた有為の人材の確保に向けて対策を講じていく必要がある。
公共政策大学院出身者については、比較的多くの者が公務員試験を受験し、合格・採用に結び付いており、今後とも、本府省での「霞が関インターンシップ」や第一線で活躍する行政官による連続講演などを通じた募集活動を強化していきたい。また、法科大学院を含めた対策としては、大学関係者や学生など人材供給側の意向等を十分に把握するとともに、行政官に求められる資質や専門性、公務における人事管理の在り方などを踏まえつつ、関係各方面や有識者の意見も聞きながら、多様な有為の人材の確保に向け、採用試験をはじめとする採用の在り方について、早急に検討を進めていくこととしたい。

専門職大学院出身者向けの新たな採用区分を考えようということでしょうか。

これと次を読み合わせると、人事院の考えていることが何となく浮かび上がってくるような・・・。

>3 新たな幹部要員の確保・育成の在り方~キャリア・システムの見直し~

>行政課題が複雑化・多様化する中で、高い志や倫理観と高い専門性を持った幹部要員を公務に確保し、育成することは、効率的で質の高い行政運営のために極めて重要である。諸外国においても、長期的視野に立って計画的に幹部要員を確保・育成するためのシステムを設けているところである。
しかしながら、現在のいわゆるキャリア・システムについては、従来から、「採用時の1回限りの選抜で、生涯にわたる昇進コースまでが決定されるのは不合理」、「閉鎖的なキャリア・システムが特権的な意識を生じさせている」などの批判がなされてきたところである。これらの批判は、人事運用の在り方にかかわるものであり、採用後、相当の期間を経た後においてまで採用試験の種類等が過度に考慮されてきたことに問題がある。
一方、効率的な幹部養成にとっては、政策形成に関与する職務経験や管理的業務の訓練、海外留学などの機会には量的に制約があることから、採用後の比較的初期からこうした機会を優先的に付与するにふさわしい人材を公正に選抜することが極めて有効である。また、高い資質の人材を公務に誘致する観点からは、そのような挑戦的な訓練機会を与えられることが大きな魅力となる面もある。
これらの点も念頭に置きつつ、今後の幹部要員の確保・育成の在り方を考えるに当たっては、第一に、「採用時の1回限りの選抜」によることなく、公平で効果的な能力・実績に基づく選抜を行うこと、また、これと表裏の関係にあるが、第二に、複雑化・高度化した行政需要に機動的に対応できる幹部要員を訓練し育成する仕組みを構築していくことについて、各府省等の関係者を含めて、広く国民の合意が形成されることが必要であると考える。
このような考えに立った上での新たな幹部要員の確保・育成の在り方については、例えば、①Ⅰ種採用職員の採用後の早い段階からの選抜の強化と、Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の計画的育成・幹部職員への登用を推進する、②大卒程度の採用試験であるⅠ種採用試験とⅡ種採用試験とを統合し、その後の昇進については、採用試験の種類にかかわらず個人の能力・適性に応じて行うとともに、幹部要員の選抜・育成の仕組みについてはその中で構築する、③現行の採用試験の種類は基本的に維持しつつ、一定の時期において又は一定のポストへの昇任に当たり、採用試験の種類に関係なく能力・適性に応じた選抜を強化し、幹部要員はその中から育成していく、などの考え方がある。
今後、検討に当たっては、幹部要員に求められる資質・適性とは何か、競争的な労働市場の下で優秀な人材を公務に誘致する上で有効か、幹部要員をどのような方法で選抜することができるか、複雑化・高度化する行政課題に迅速かつ適切に対応できる人材育成が可能か、職務経験や研修機会などをどのように体系的に付与することが効果的か等について、諸外国における幹部育成方法なども参考にしながら、職員間の公平性や機会均等の観点を踏まえつつ、幅広い検討を行い、国民的な合意形成を行っていく必要がある。本院としても、以上の問題意識に立ちつつ、採用試験の在り方も含めて検討していきたい。
当面、各府省において、Ⅰ種採用職員については採用後の早い段階から能力・適性を適切に把握し、選抜を強化するとともに、Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員については本院が示した指針に基づき登用促進を図ることが重要である。

当面はそういうことなんでしょうが、その先は「大卒程度の採用試験であるⅠ種採用試験とⅡ種採用試験とを統合」するということなわけで、そうすると、その統合された新Ⅱ種の上に、専門職大学院卒程度の新Ⅰ種がくると、こういうイメージを抱いているようですね。

入口に対して出口の話も重要です。

>民間企業については、既に、定年制の廃止、定年年齢の65歳以上への段階的引上げ又は再雇用制度等の導入が法律によって義務付けられ、また、使用者による再就職援助、雇用保険による求職者給付、高年齢雇用継続基本給付金など再就職ニーズや高齢期の収入の減少に対する様々な支援措置の制度化も進んでいる。同様に、公務においても、雇用と年金の連携を図り、職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備することが重要な課題となっている。具体的には、平成25年度を見据えて、民間と同様に年金支給開始年齢までの雇用継続を図ることを前提に、各府省や職員の意向、民間企業の動向等を踏まえた高齢期の雇用確保策についての総合的な検討を行う必要がある。
検討の方向性としては、①定年制の廃止又は65歳までの定年延長、②民間企業並みの再任用の義務化(必要な場合には特例定年・勤務延長の拡充)の二つが考えられる

とはいえ、

>① 高年齢者層の増加に伴う在職者数や新規採用者数等との関係。新規採用を抑制した場合の年齢階層別人員構成のひずみをどうするか。
② 高年齢者の継続雇用のために民間企業が行ってきている給与システムの変更、能力・実績に基づく人事管理の徹底等にどう取り組むか。
③ 職員全体が高年齢化する中での組織の活性化に留意した幹部職員の任用について、専門職種の拡充、処遇の在り方等を含め、総合的にどう考えるか。
④ 高年齢者層が増加する中で、職場全体の職務分担の在り方についてどう考えるか。また、短時間勤務やテレワークなどの多様な働き方についてどう考えるか。

といったことを検討しなければなりません。

一方で「国民から批判を受けない適正な退職管理」という要請もコレアリ、「今般、国家公務員法の改正により官民人材交流センター等の新たな枠組みが導入されることとなり、また、在職期間の長期化に向け複線型人事管理の導入に資する観点から、本日、専門スタッフ職俸給表の新設について勧告することとしたところ」ではありますが、課題は山積といったところです。

これと裏腹に、「国家公務員採用試験の受験年齢の上限」についても、雇用対策法の改正があったこともあり、「必要な検討を行う」ことが求められています。雇用対策法の国会審議でも質問はもっぱらこっちに行っていましたし、規制改革会議でも(例のトンデモ「労働」じゃなく「雇用・就労」の方)やられていますしね。

最後に、労働基本権のところでは、微力ながらもいうべき正論をきちんと吐いています。

>本院としては、専門調査会における議論を注視していきたいと考える。なお、職員の身分保障は、成績主義の原則の下、公務員人事の中立性を確保するために設けられているものであり、労働基本権制約と直接の関係にないことにも留意する必要がある。

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