雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会報告書
厚生労働省とJILPTに設置された雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会の報告書「上質な市場社会に向けて-公正、安定、多様性」が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/s0809-3.html
報告書自体はこちらです。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0809-3a.pdf
報告書のポイントは次のとおりです
>雇用労働をめぐる構造変化に的確に対応して、持続可能な経済社会を実現していくためには、中長期的に一貫性の高い雇用労働政策を策定する必要があり、このためには、雇用労働政策を策定する上で、常に念頭におき政策の妥当性を判断する「基軸」が必要。
中長期的に一貫性があり、かつ、実効性の高い雇用労働政策を策定するには、「基軸」について、雇用労働の事情に精通し、また当事者でもある労使の代表者が、それぞれの立場を超えて、学識経験者とともに、その共有に向けて、議論を行うことが重要。
>グローバル化等の中で、企業の競争力の強化や経営の効率化を図る必要があるとともに、労働者は職業人であると同時に生活者であることから、生活の安定と自己実現を図っていくことが必要。
また、労働は通常の商品のように一回的取引で完結するものではなく、継続性があり、そのことが労働者の能力・生産性とも深く関係しているという性格を踏まえるとともに、労働サービスが人間そのものと不可分であり、組織性や集団性を持つものであるという点をも考慮して政策を策定していくことも必要。
以上から、「競争力の強化、経営の効率化」と「労働者の職業生活の安定、自己実現」との調和を図るために、適切に市場メカニズムを活用しつつ、(1)公正の確保、(2)安定の確保、(3)多様性の尊重の三つの要素を満たしていくこと、この意味での「上質な市場社会」に向けて政策を講じていくことが雇用労働政策を策定する上での基軸。
>具体的には、
(1) 公正の確保 ~豊かな活力ある経済社会にふさわしい「公正な働き方」の確保~
(2) 安定の確保 ~「雇用の安定」と「能力開発による職業キャリアの発展、安定」の確保~
(3) 多様性の尊重 ~多様な選択を可能とすることによる能力発揮、競争力の確保~
であり、それぞれが満たされる雇用労働政策を策定していくことが必要。
ちなみに、下の方の研究会メンバー構成を見ると、私がオブザーバーとして名を連ねていますね。
わたくし的に一番強調したのは、政策の中味もさることながら、「中長期的に一貫性があり、かつ、実効性の高い雇用労働政策を策定するには、「基軸」について、雇用労働の事情に精通し、また当事者でもある労使の代表者が、それぞれの立場を超えて、学識経験者とともに、その共有に向けて、議論を行うことが重要」というところです。最近、この話をする機会が多くて、先日の労使関係研究協会のパネルもそうでしたし、今度9月1日に乃木坂の日本学術会議でやる立法学のシンポジウムも、ほかの方々はともかく、私は三者構成原則の話を中心にやるつもりです。
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