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2007年8月14日 (火)

日雇い派遣と雇用保険

前にもこのブログで取り上げましたが、日雇い派遣に雇用保険を適用できないのかという問題。最近、フルキャストが適用事業所の申請をしたが、厚生労働省が保留しているという記事がありました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007072802036468.html

記事のスタンスは、

>フルキャストユニオンが加盟する「派遣ユニオン」(東京)の関根秀一郎書記長は「スポット派遣労働者の月収は十二万円ほど。日雇労働保険が適用されれば仕事の少ない月も約五万円は保障され『ネットカフェ難民』解消にもなる。厚労省の対応は権利の侵害だ」と指摘。日本労働弁護団会長の宮里邦雄弁護士は「スポット派遣でも、一定期間継続していて生計がその収入に依存していれば当然、日雇労働保険の対象だ」と話している。

と、いかにも(例によって)役所がけしからんという感じですし、確かにここに書かれている役所側の台詞を見ると、

>同省雇用保険課は「スポット派遣は雇用保険法制定時には想定外だった。就労業務が生活の糧で、仕事探しが難航していることが失業給付の前提だが、スポット派遣は片手間の就労である可能性もあり、実態調査の後、判断する」としている。

をいをい、何が片手間だ!といいたくなるかもしれません。

雇用保険課がこういういい方をしている理由は分かりませんが、制度を知っている人なら、問題点はモラルハザードにあるということは分かるはずです。いや、およそすべての失業保険制度には労働者側にモラルハザードの危険性があるわけで、それは日雇い失業給付でも同じですが、日雇い派遣は派遣事業なんです。派遣会社が、この場合であればフルキャストが、自分のところに登録している労働者に対して、仕事を出すか出さないかを決められる立場にあるということなんです。

派遣じゃない通常の、つまり直接雇用の日雇いであれば、使用者は手配師から紹介を受けるだけですから、今日はこいつには仕事をさせないで失業したことにして日雇い保険からカネを払おう、こいつはそろそろ印紙を貼らせるか、てな操作はできないわけですよ。

ところが、派遣事業というのはまさにその労働市場アロケーションをやるのが業務です。それも自分が使用者になって。そうすると、経済学的に合理的行動をとる派遣会社であれば、当該日雇い派遣労働者が給付を得るのに必要な最小限度の印紙を貼れるように就労日数をコントロールし、自ら払う賃金額を極小化し、日雇い失業給付を極大化するように行動するはずです。

「スポット派遣は雇用保険法制定時には想定外」というのは、まさにここのところの問題なのであって、「片手間の就労」かどうかというのは本質ではないように思われます。

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コメント

勉強になりました。ありがとうございます。

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