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2007年8月 7日 (火)

経済財政白書

先週労働経済白書が出たかと思うと、その舌の根も乾かぬうちに(ちょっと日本語違うか)今度は経済財政白書です。

http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07p00000.html

副題は「生産性上昇に向けた挑戦」で、最近の経済財政諮問会議でやたら労働生産性の上昇が唱道されているのと揆を一にしています。第1章は「長期化する景気回復とその先行き」でいわゆる動向編ですが、第2章が副題に対応する「今後の成長に向けた生産性向上と企業行動」、そして、第3章がなんと「労働市場の変化と家計部門への影響」で、もろ労働経済白書とかぶっています。

しかも、ある意味で労働経済白書よりも踏み込んだことを言っています。

話は非正規労働が増えてきて、しかも若年男性では非自発的な非正規が増えて、人的資本形成に差が出てきているというところから始まりますが、そこから派遣法など雇用法制がどう変わってきたかという話になり、解雇規制が失業を増やすかという例のテーマをOECDのデータを使ってやっていて、まあここまではいかにも内閣府やなあ、というところなんですが、その次がなかなかどうして。

雇用形態の多様化に対応した賃金雇用条件の交渉過程というテーマを取り上げているんですね。産業革命で労働組合が生まれ、産業資本家と交渉するようになったという社会政策の教科書を読み直しているような話があって、次にそれを経済理論で分析し、労使が繰り返し交渉して協力する戦略が望ましいという労働経済学の知見が示され、労働組合の賃金プレミアムが2000年以降顕在化してきたことを示して、労働組合の組織率低下の中で、労働組合以外の賃金交渉の仕組みにも言及しています。

このあたり、労働経済白書の問題意識とも響き合っていますが、ある意味より率直に書いている面もあり、たいへん興味深いところがあります。労働組合がないんなら労使協議制を使って労働者の交渉力向上に役立てさせようというわけですね。

最後は経済成長と格差の問題、これもクズネッツの逆U字曲線の話から、近年世界的に格差が拡大していることに説き及び、ワークフェア的な政策対応が論じられるのですが、そこにちゃんと例のデンマークモデルが紹介されています。もっとも、きちんとその批判点も言及しているのは立派です。

>その一方で、こうした制度の他国への導入については懐疑的な見方もある。特に手厚い失業給付や積極的労働市場政策には比較的大きな財政負担を伴い、デンマークのような租税負担が大きい国でのみ適用可能との指摘がある87ほか、デンマークの特殊性として、そもそも転職意識が高くフレキシブルな労働市場になっていること、終身雇用制度はなく同一労働同一賃金の仕組みが存在することも併せて指摘されている88。また、個別の政策ではなく、全体としての改革のパッケージが重要であり、例えば政労使の三者協調の伝統や労働者の平均スキルの向上などが導入の前提条件であったとの指摘もある89。したがって、デンマークのフレキシキュリティの成功を評価する際には、個別の政策のみならず、背景にある社会経済全体の仕組みとその改革の枠組みに着目することも必要であると考えられる。

よく分かってらっしゃる。

しかし、これだけのテーマを扱った第3章を敢えて副題に出さないというところが、政治的な思惑が感じられなくもないですね。

とにかく、去年の経済財政白書もそうでしたけど、最近の経済財政白書は竹中時代の政治的プロパガンダ白書とは明確に一線を画して、大変読み応えのある白書になっています。これも夏休みの読み物に最適です。だんだん増えてくるな。

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