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2007年8月16日 (木)

公務員の労働基本権

先の参院選結果で戦後レジームからの脱却にはブレーキがかかるのではないかとの観測もあったようですが、何を何を、我らが渡辺喜美公務員制度改革担当大臣の戦後レジーム脱却路線はますます加速しているようであります。

去る8月6日に開かれた行政改革推進本部専門調査会(第12回)の議事概要が公開されました。まだ議事録ではないのですが、どんなことが話題になったかは分かります。

http://www.gyoukaku.go.jp/senmon/dai12/gijigaiyou.pdf

冒頭、渡辺大臣から、出すべき結論は決まっているとのお言葉。

>かねてよりお願い申し上げているとおり、協約締結権、争議権を一定の範囲で付与する方向でご検討頂き、秋ごろ、10月くらいを目途に最終的な結論を出して頂きたい。

ここに出されたのがシミュレーションという資料で、現業も非現業も全部まとめて(警察等は除く)争議権まで与えてしまうという大変ラディカルなAパターンという奴と、現業・独法プラス非現業の行(二)には争議権まで、一方権利義務設定・企画立案職員には団体交渉権まで、その中間のなんていうんでしょうか一般職員とでも呼んでおきますかその人たちには協約締結権までという何やら工夫を凝らしたみたいなBパターンという奴が提示されています。

http://www.gyoukaku.go.jp/senmon/dai12/siryou2.pdf

もっとも、座長から「ここで示されるパターンが選択肢でない」とのお断りつきで、しかも各委員から補足説明として、こういう風に言われています。ちょっと長いですが引用しますね。

>・争議権付与の範囲について、政策企画立案と実施部門で分けるという考え方がありうるが、争議行為が発生して国民が困るのはむしろ現場の方である。霞が関がストをしても困らないかもしれない。付与の範囲について、論理的に導かれるものと実態として困るものとの間にねじれがある。

>交渉の公開について、闇の中で決めることは許されないが、どこまで公開するかという問題がある。協約を公開するのは当然として、交渉のプロセスまで透明化するとなると実質的な決定が闇に潜るというおそれもある。

>・協約締結権付与の範囲について、Bパターンの「権利義務設定・企画立案職員」とそれ以外に分けることについて、従来は、公務員として一つの固まりとして扱ってきたので、線引きすることは難しい。

>協約事項の範囲について、Bパターンは任用、分限、懲戒を成績主義や人事管理の公正性の確保を理由に協約事項としていない。民間は自由にこれらを決めているが、公務の場合には、法令等できっちり決めるという考え方も可能と考える。

>交渉不調の場合の調整について、Bパターンでは、非現業の法律事項等は議会で判断するとしているが、第三者機関に諮らない制度は代償措置論との関係でやや問題がある。

>民間給与等の実態調査について、公務員の給与水準を団体交渉によって決めるとしても、民間では自分の企業の業績がベースになるが、公務には業績もないので、民間の状況を何らかの形で斟酌すべきである。その際に、組合が民間の給与の状況を集めるのは大変であり、独立機関できちんと調査する体制をつくる必要があるのではないか。

>交渉・協約締結の当事者(職員)の制限について、日本では複数組合主義が基本であるが、右側の一定の組織率で区別するパターンはかなり異なる制度である。左側の制約しないパターンが日本のシステムに整合的であるが、公務員ということで右側の一定の制約をかける仕組みもできなくはないと考える。

>・このシミュレーションは、選択肢ではなく、作業上の条件設定として置いたものであることを明確にすべきである。

>争議権の付与について、業務が停止することによる国民生活への影響を考慮する必要がある。住民の日常生活に影響がある地方公務員の場合に特に慎重な検討が必要である。

>Bパターンの協約締結権付与の「権利義務設定・企画立案職員」の現実の切り分けは困難である。実質的に処分に関与する職員に課長補佐級まで含めるのか、小規模の市町村で様々な業務をこなす職員の区分をどうするのか、といった問題がある。

>・このシミュレーションは選択肢でない。全面的あるいは部分的に付与した場合の話であり、現行制度を変更しない選択肢を排除するものではない。シミュレーションから分かったことは、全面的付与にしろ、部分的付与にしろ、使用者や国民に交渉コストやストによるコストがかかることであり、コストに見合うベネフィットが国民にあるかどうか本会議で検討していく必要がある。

まとめた方からこれだけいろいろと問題点が指摘されるというのも妙なものですが、これに他の委員が指摘していることを加えると、とてもこれで10月に最終的な結論が出せるような状況ではないのではないかとしか思えないのですが・・・。

どなたの発言か分かりませんが、

>便宜的に俸給表で区分するとの説明があったが、例えば行(一)6級は、本省では補佐だが地方では課長になる。ここを全員付与するとか付与しないとかで整理できないのではないか。また職務の話が先ほどあったが、独立行政法人の見直しの議論の中で、公権力行使も法律で定めれば民間でもできるということになっており、これらに従事する全員に付与しないというのも無理があるのではないか。

というのも鋭い指摘で、そんなことも整理し切れていないのかという感じではあります。

逆に、現行法制度の中で一番筋が悪いというか、説明が付きにくい消防職員と刑務所職員に団結権も禁止されているという点については手を触れずにそのままというところも、何だかなあという感じではあります。

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コメント

いつも拝読しております。

何と言うか、Bパターンで、「権利義務設定・企画立案職員」に争議権を与えない理屈までは分かるのですが、協約締結権を与えない理屈がよく分かりませんでした。

また、「権利義務設定・企画立案職員」をわざわざ切り離した一般職員に争議権を与えない理屈もよく分かりませんでした。

そもそも、異動や併任、出向等もある訳で、一般職員とその他なんて切り分けが出来るとは思えないのですが。

少数組合の問題も取り上げてますが、そんな問題以前に、職員のその時のポストに応じて、協約締結できるかどうかが変わったりするような仕組みでは、双方の交渉コストが大きくなり過ぎると思います。

何にしても、こう言う案では、人事院は無くすことができそうもありませんし、渡辺大臣あたりが「これで公務員のリストラが可能になる」とか素朴に考えているのだとしたら、ちょっと浅墓過ぎるのではないでしょうか。トラブルを防ごうと先回りして変に策を弄しているせいで、歪なものになりそうです。

ひょっとして、「コストに見合うベネフィットが国民にある」訳ないのだから、労働基本権は再度棚上げという結論ありきで議論の為の議論をするのが目的なんでしょうか。

完全な議事録がまだできていないし。シミュレーションの方の議事録は全く中味が入っていないので、どういう次第かは分かりませんが、どうも渡辺大臣に仕方なくおつきあいして、こういう無理無理だと分かっているシミュレーションをわざとやって見せているのではないかという印象がないわけではありません。
月末の内閣改造後、どなたが公務員制度改革担当大臣になられるかによっても、今後の審議の方向はかなり左右されそうな気がします。

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