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2007年8月

2007年8月31日 (金)

舛添厚労相 on 労働問題

火曜日の記者会見から・・・。

http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2007/08/k0828.html

>(記者)規制緩和がいろいろ進んできました人材派遣業界に関するトラブルや法令の違反がかなり近年目立ってきているのではないかという指摘が、あるんですけれども。法改正や監督の強化等を含めて今後どう対応をとられるんでしょうか。

>(大臣)偽装請負のようなことが件数として増えていることは確かでありますので、まず実態を調査して、それから労働者派遣制度が現実にどうなっているのか。私もこの問題は現場に踏み込んで見てきているわけではありませんので、もう少し実態を検討し、専門家にヒアリングをやってもらったり、現場を見てもらったり、私もできればそういったところを調査してみて、その上で、これだけトラブルが増えてきているので、何らかの処置をとらなければいけない。これも少し時間をいただいて検討させていただければと思います。

>(記者)大臣、労働分野の規制緩和、経済界を中心に規制緩和を求める声が強いのですが、例えば、ホワイトカラーエグゼンプションとか、派遣、人材派遣の禁止業務をとっぱらうとか、そういう労働分野の規制緩和についてどういうお考えをお持ちでしょうか。

>(大臣)これもまったくバランスの問題で、どちら側に行き過ぎてもいけないってことにつきるだろうと思います。まさにホワイトカラーエグゼンプションみたいな問題は、残業手当ゼロ法案と言われて終わってしまったのですが、逆に非常にフレキシブルな形で給与体系を考えることが、競争力のある企業に生まれ変わる、特に単純労働者ではなく企画なんかをやる人たちにとって、それが今は正しいのですね。だけど逆にただ働き、サービス残業させられるのではないかということも正しい、だからそこはもう少し議論をして、国民の納得のいく形で、有識者の意見を聞きながら、そして、現場を見ながら考えたいと思います。だから、私はこの労働行政っていうのも、どっちかに傾く時っていう、こっちが100%良くて、こっちが100%悪いというものではなくて、それぞれ良い点がありますので、どの辺でバランスをとるかということで判断するしかないかなと思っています。

この点に関しては、バランスのとれた適切な答え方ですね。というか、ホワエグとはまさにそういう給与の在り方のバランスの問題なのに、労働時間規制の適用除外にしてしまった連中の問題でもあるわけですが。

ちなみに、

http://www.mhlw.go.jp/general/sosiki/profile/daijin.html

これによると昭和54年まで法学部の助手だったことになっていますが、帰国後は駒場で助手をしていたはず。私が岩永健吉郎教授と舛添助手のゼミにいたのだから間違いない。ギデンスの『先進社会の階級構造』とか読まされた記憶があるし。最初のフランス人の奥さん(さつき女史は二番目)も連れてきたし。

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みずほリポート

みずほリポートといっても、瑞穂ちゃんの夏休みリポートではなくって、みずほ総合研究所の報告書です。お間違えなく、・・・って誰が間違えるって?それはともかく、

http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/report/report07-0822.pdf

「高まる20~30歳代の労働負荷~労働時間の現状とワーク・ライフ・バランス実現に向けた課題~」という標題で、筆者は政策調査部の大嶋寧子さんという方です。

労働時間問題を労働負荷とワークライフバランスという観点から要領よく的確にまとめていますが、特に後半の政策課題を論ずるところでは、私の文章なども適宜活用していただいており、シンクタンク系のこの手のリポートの中では出色です。

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労働法の立法過程-三者構成審議会

昨日、連合の労働政策審議会労働側委員のみなさまの前でお話ししてきました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/rouseishin.html

いささか辛口に過ぎるとのご意見もあろうかと存じますが、これもまた愛情表現ということで御寛恕いただければ・・・。

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2007年8月30日 (木)

スポット派遣に日雇い保険適用?その2

昨日紹介した風の噂・・・じゃなくって、連合通信の報道の中味がHP上にアップされたので、引用しておきます。

http://www.rengo-news.co.jp/news/kiji/070828.htm

>厚生労働省は八月二十四日、日雇い(スポット)派遣労働者に日雇労働保険を適用できるかどうかについて、「可能性がある」と初めて前向きな考えを示した。派遣ユニオンが行った「厚労省交渉」の席上で回答した。同省は実態調査を踏まえ、近く検討結果を発表するという。
 日雇労働保険は、一定の条件の下で働く日雇い労働者に対し、仕事にあぶれたその日のうちに日雇労働者求職者給付金(アブレ手当)を支給する制度。被保険者となる労働者はハローワークから「被保険者手帳」(白手帳)の交付を受け、各現場で働いたことを証明する印紙を張ってもらう。
 スポット派遣大手のフルキャストは今年二月、日雇労働保険の適用事業所申請と、白手帳に貼る印紙を購入するための「雇用保険印紙購入通帳」の交付申請を行っていた。しかし、同省は「想定していなかった新しい就業形態であり、調査が必要」などとして、これまで結論を出していない。
 ユニオンの要請に対し、同省の担当官は「日雇労働保険が適用される可能性がある」「被保険者となる方を雇用している事業所には印紙購入通帳の交付を考えている」と回答。スポット派遣労働者への同保険の適用について、踏み込んだ見解を示した。
 スポット派遣では、会社都合による突然の仕事のキャンセルや、危険な現場に派遣されてもその日の収入が断たれることを考えて働くことを断れないなどの問題があり、同ユニオンは日雇い労働保険の適用を主張してきた。
『連合通信・隔日版」

というわけで、どうも派遣事業者に印紙購入通帳を交付するというやり方のようですね。ある程度のモラルハザードはやむを得ないという判断なのでしょうか。

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2007年8月29日 (水)

昭和8年の三菱航空機名古屋製作所争議

リベサヨな歴史家からは日本がファシズムに塗りつぶされていた時代だと片付けられている昭和8年に、今日の労働問題からしても大変興味深い事件が発生しています。

矢次一夫氏の『労働争議秘録』(日本工業新聞社)から、それを紹介しておきます。

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この三菱航空機名古屋製作所は、約2000人の職工に加え、約4000人の「人夫」を使っていましたが、その仕事は職工と同じで、会社と雇傭関係なく、大西組という人夫供給業者と関係を有するのみとされていました。

この「人夫」名義の臨時工は就職に際し、こういう誓約書を差し出していました。

>誓約書

一、三菱航空機株式会社に対しては雇用関係全然なきこと。

一、使用の期間は全然定めなきにつき何時使用止さるるも不服なきこと。

一、会社にて不要となりたる時は即日使用止せらるること。

一、使用止せられたる際退職手当等一切なきこと。

一、会社の規則及大西組の規約に違反したる者は即日使用止せらるること。

一、会社及び大西組の名を汚したる者は即日使用止せらるること。

一、作業上の機密を漏洩しその他会社及び大西組の不利益を図りたる者は即日使用止せらるること。

以上の各項は何等不服なく従事可致候

大西惣吉殿

ところが、会社がこの人夫名義の臨時工200人あまりを解雇し、誓約書通り手当は一線も払わないといったので、彼らが怒って争議団を結成し、ビラを配布したり会社球団演説会を開催したりしています。その会社への公開状は以下の通り。

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>公開状

三菱不当解雇反対闘争同盟代表 山本梅一

三菱航空機製作所長 後藤直太殿

 貴下は三菱航空機製作所の所長として顕揚なる地位と責任とを有する人です。私どもの以下質問するところに対し良心と責任を持って応えてください。

一、我々昨年及び一昨年貴社が東京、横浜、大阪、広島、佐世保等に派遣出張せしめたる社員福井技師、堀技師、坪井銘之助、遠藤満吉、鎌田忠治等に勧誘され、貴社工場に優良なる条件をもって三年四年間雇用せらるべきことを約束し、その為現在の職場を離れ、郷里を捨てて貴社に来た者です。然るに一度着名して入社せんとするや、突如として大西組なるものが現れ、会社の職工人夫はすべて大西組の供給になっているから、ここで働きたければ、この契約書に調印せよと強要され、我々は一人も承知したのではないが、既に在来の職を捨て、卿を離れ遠く来て帰るに旅費なく、泣く泣くこの不法きわまる契約書に記名調印したことは事実です。然しその後の作業の実際は、大西組と何らの関係なく、会社の工場で会社の機械で会社役員の指揮の下で、会社の仕事をやっていたのですから、かの不法不合理極まる一片の契約書は既に反古に帰し、三菱航空機の職工として採用されたことに相違なき者として、極力忠実に働いてきました。

 然るに貴社はあくまで我々に不当なる差別待遇をなし、工場法の一切の保護規定より除外し、健康保険に加入させず、突如として抜き打ち的解雇を申し渡し、而も臨時職工なりと称して、一銭の予告手当、帰国旅費をも支払わず、然も我々に対しては「よく働いてくれてご苦労であったが、会社の仕事が中絶したから」と申し渡しておきながら、偶々社会の問題となるや「彼らは不良職工である、懲罰解雇に付した」と、何等の罪なき我々数百人を傷つける公表を為して顧みないのです。

 後藤所長足下、足下は之等の経過の一切を顧みて、果たして心中疚しきところなく、恥じるところなきを得るのですか、足下の為したるところは、明白に労働者募集取締令の第三条、第四条に違反し、工場法第二十七条及び健康保険法に違反する不法非道の行為たることは、一言議論の余地ない問題であると信じますが、貴下は果たして如何に答えられるのですか・・・。

一方、監督官庁たる愛知県知事に対しても、こういう申請書を出しています。

>申請書

 名古屋市南区西築地六号地所在三菱航空機株式会社名古屋製作所は、常時推定六千人以上の職工を使用致居候所、この過半数推定四千人以上の者は最短三ヶ月以上一年乃至二年の長期にわたり契約して、もっぱら同社の業務に従事致居候に拘わらず、同社専属人夫請負者大西組なるものより、不当なる強制手段により記名調印せしめられたる契約書により、全然事実と相違する臨時日雇いとして待遇せられ、工場法、健康保険法等の適用より除外され居り、負傷疾病の際も適当の診療を得る能わず、解雇退職の際も予告手当等一切支給為さず、却って右大西惣吉は、右職工の募集雇い入れ作業等に何等の関係なきに拘わらず、ただ単に右一片の契約書により、名義上雇用主たる如く仮装したるのみにて、一ヶ月少なくとも三千円以上の不正利得を占得致居候間、会社及び大西惣吉の右の如き行為は明白に工場法施行令、健康保険法並びに労働者募集取締令に違反するものに有之、尚且刑法第二百四十六条の二項に該当の犯罪を構成し居る疑いあるものと存候につき、何卒同会社の違法行為に対し、厳重御処分相成ると共に、今後速やかに右の如き違法極まる臨時日雇い職工と称する如き制度を撤廃し、健康保険法その他関係法規の保護を普からしめる様、厳重御命令相成度此段申請候也。

これに対しては、各労働団体が一斉に応援に駆けつけ、社会大衆党の幹部が指導するだけでなく、県庁側が会社側に対して大変厳しい姿勢をとり、愛知県警察部長名で所長に対し、就業規則に関する照会を行うなどしています。その背後には、協調会から内務省社会局に移り、この時名古屋地方職業紹介所長であった糸井謹治氏がいたということです。

また、これは失笑ものですが、争議が勃発して真っ先に会社にやってきた大阪朝日新聞の記者が、応接間に通されて三時間以上待たされて、受付に聞いたら「先ほど外出しました」、天下の大新聞の記者たるものに待ちぼうけを食わすとは不都合だとカンカンになり、地元の新愛知の記者も門前払い、そこで記者団の会合で三菱ケシカランとなり、以後会社には寄りつかず、もっぱら組合と県庁のみ訪ねて記事を書く、県の若い役人は大いに公憤を発しているというわけで、その結果新聞記事が労働組合の機関誌の如くなったとかいう裏話もあるようです。

結局、会社側が全面降伏します。

争議団の解決報告書は、

>解決報告書

 去る八月三十日、天下の大財閥三菱に向かって決死の戦いを宣したる我が闘争同盟は、以来茲に一週間、正義を愛し弱者に味方せらるる全名古屋市民諸君の熱烈火の如き盛んなる御声援の下に、文字通り身命を擲って戦い続けてきました。幸いにして厳正公明なる県警察当局は、微力なる我等の主張をも容認せられて終始適切有効なる処置を進められ、各新聞社亦絶大なる世論の支持応援を与えられ、特に在名労働組合に至りては、終始大挙動員せられて、絶大なる応援闘争に進出せらるるあり、為にさしも日本ブルジョアジーの王者三菱も遂に従来の非道を悟りたるか、一昨日以来県当局を仲介とする交渉は急速に進展し、我等が闘争の中心題目たりし、(1)日雇い制度の撤廃、(2)大西組契約書破棄、(3)全職工健康保険加入の三項は、同夜十一時に至り全部無条件承認の旨通達せられ、翌四日早朝工場内にも公表せられ、我等は凱歌の第一声を挙ぐるを得ました。次いで被解雇者たる我々争議団員直接の問題たる、(4)不当解雇手続是正、(5)争議費用、帰国旅費、特別退職手当支給の二項目につき四五日折衝を続けましたが、五日夜十二時に至り、之亦要求全部会社の承認を得るに至り、茲に本同盟の主張全部一点の欠くる所なく貫徹するを得て我が国労働運動史上にも比類稀なる成果を収めて、最後の凱歌を挙げ得たるは歓喜に堪えざる所であります。・・・

. 

日本の近代史を考える上で大変重要なのは、それまで争議のたびに悲惨な負け方を繰り返していた労働組合側が、この(リベサヨさんのいうところの)ファッショな時代になると、そう簡単に負けなくなって、いやむしろこの事件のように勝つようになるということです。ここのところを抜きにして、百万言費やしてみたところで、昭和史の本質が分かったとは言ってはいけないんですよ。

 ちなみに、同じ愛知県では昭和12年(昭和史の決定的瞬間の年ですね)に、愛知時計電機の極めて興味深い争議が起きています。これについても、そのうち紹介したいと思います。

それはともかく、70年以上も昔の事件とはいいながら、実に今日のありように似たところもこれあり、こういうのをきちんと学んでおくことこそが「歴史に学ぶ」ということでなければならないと思うわけです。

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働き方というか、生き方の改革

月曜日の深夜行われた舛添新厚生労働大臣の記者会見

http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2007/08/k0827.html

>(記者)厚生分野についてはいろいろお話があったのですが、労働関連で今考えていらっしゃることというのはどういったことが。

>(大臣)やはりフリーターの問題というのは、格差の一つですね。フリーターでも本当に好きでその自由な立場がいいという方もおられるけれども、正規の職業に就けなくてフリーターだと、それからパートの人を含めて、やはり正規かそうじゃないかで相当格差が生まれていますので、こういうことをどうするのかと、それから、長期的には働き方、もちろん労働三法とかいろいろな現実の法案を通さないといけないというのはありますけれども、私は長期的に思っているのは、働き方というか、生き方の改革をやらないといけないなというように思っています。つまり、人生80年、90年時代になっているのに、人生60年時代の制度がそのままになっている、したがって、老後をどうするか、それから、定年退職制というのはどうなのですかと、それから、年功序列賃金というのは、実は、定年退職制があるからなわけで、まさに定年退職制と連動しているのが年金の問題であるわけですから、例えば、フレキシブルリタイアメントのようなことをやるのかどうなのか。ですから、働き方の大改革というのは、日本人の生き様の大改革と、これがある意味で求められているのが今の少子高齢化社会だろうというように思っています。長期的な話ですけれども、私は実を言うと、そこにメスを入れない限りは、この国の形を変えるのは難しいかな、年金問題も実はそこに連動していると思っていますので、そういう分野についても全力を挙げて、ビジョンないし夢を政策の形で実現できたらと思っています。

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スポット派遣に日雇い保険適用?

昨日のネットカフェ難民の調査結果は、昨日の夕刊各紙でも大きく取り上げられていました。(日経だけは、同じ派遣でも違う話題を1面に持ってきていたようですね。さすが日経とでもいうべきか)

朝日はこういう論評をしていますね。

http://www.asahi.com/life/update/0828/TKY200708280217.html

>厚労省は来年度からネットカフェ難民向けの相談窓口を設け、職業紹介や無料技能講習の紹介などを始める。だが、NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の湯浅誠事務局長は「就労支援だけでは解決は難しい。職業訓練の間の生活費、住居費をどうするか。日雇い雇用保険の適用など、既存の制度で使えるものもあるはずだ」と指摘する。

>今回の調査は、こうしたホームレス状態が若年層にも広がっている現実を行政にも突きつけた。独協大学の森永卓郎教授は「非正規雇用の拡大で、新たな貧困層がネットカフェに集まっており、放置すればスラム化の恐れもある。今なら敷金や家賃の無利子融資など、わずかな支援で生活を立て直せるので、早急な対策が必要だ」と訴える。

私がEUの紹介をしていた頃はほとんど関心を持たれていなかった「ソーシャル・エクスクルージョン」とか「インクルージョン」という問題意識が、ようやくモリタクさんのような超有名どころの売れっ子の方々にも共有されるようになってきたようで、慶賀の至りではありますな。

ちなみに、もやいの方が指摘している日雇い雇用保険の話、このブログでも何回かその適用の難しさのよって来たるところをお話ししてきたところですが、風の噂では厚生労働省が前向きの回答をしたとか、近く検討結果を発表するとか、報じられているようであります。

http://www.rengo-news.co.jp/

>日雇保険適用に前向き回答/スポット派遣で厚生労働省/近く検討結果発表へ

派遣会社のモラルハザードとかアブレの確認とかといった難点をどのようにクリアしようとしているのか、たいへん興味深いところではあります。

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2007年8月28日 (火)

日雇い派遣と住居喪失不安定就労者の実態調査

ここのところ「ネットカフェ難民」などという名で報じられてきた日雇い派遣等の不安定就労者に関する実態調査が、厚生労働省から発表されています。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/h0828-1.html

ポイントは、

>1 短期派遣労働者には若年層が多く特に男性においては正社員になることを希望する者も多く見られること

>2 住居を失い寝泊まりのためにネットカフェ等を常連的に利用する住居喪失者は約5,400人と推計されその年齢構成としては20歳代と50歳代に山がみられること

>3 住居喪失者である短期派遣労働者は両調査において一定数見られたが概数調査によれば約600人住居喪失者は短期派遣労働者ばかりでなく、むしろ「短期直用労働者」や「失業(1ヶ月未満の直接雇用契約)者」のほうが多いこと

です。

も少し詳しく見ていくと、調査対象10社で、1日5万人あまりが日雇い等の短期派遣で働いていて、男が6割、女が4割、併せて35歳未満が7割。

>平均就業日数は14日。平均月収は13.3万円。

>短期派遣として働く理由(複数回答)は、「働く日時を選べて便利であるため」(47.8%)、「収入の足しにするため」(36.7%)、「正社員としての就職先が見つかるまでのつなぎとして」(24.7%)など。

>ネットカフェ等をオールナイトで利用することがある者は37.9%であり、これらの者のうち、住居がない又は住居に帰れない事情があるために、ネットカフェ等に寝泊まりする者は1.7%。

このあたりの数字をどう解釈するか、なかなか悩ましいところではあります。

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2007年8月27日 (月)

舛添厚生労働大臣!

とりあえずニュース速報と云うことで・・・。

うげげ

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青森雇用・社会問題研究所ニュースレター

青森雇用・社会問題研究所が発行しているニューズレターの21号に、「労働史の中の非正規労働者」という文章を寄稿しました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/aomori.html

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というだけで終わりにしてもいいんだけど、せっかくだからこの「研究所」の紹介をしておきますね。

これ、実は「弘前大学人文学部社会法研究室の学生を中心とする研究ユニット」で、研究主幹の紺屋先生を除くと、全員現役の美人女子大生です。先の日本労働法学会の懇親会で挨拶して回っていたので、覚えている方も多いでしょう。というとなんだか色物みたいですが、レベルが高い!ただ者ではない!とても学部レベルとは思えない。これはホントです。

今回の21号でも、求人票と求人広告をめぐる法律問題に果敢にアタックしています。これはホントに読む値打ちありです。

研究員の顔写真とかをここに出すと個人情報保護的にまずいと思いますので、メールアドレスだけ載せておきます。

arcess_aomori@yahoo.co.jp

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2007年8月24日 (金)

超リベサヨなブッシュ大統領

これも雑件ですが、突っ込むと日本の労働法政策ともつながってくるんですけどね。

http://www.asahi.com/international/update/0824/TKY200708240002.html

いやあ、云ってくれました。

>日本の軍国主義者・・・は、人類のあり方への無慈悲な考えに突き動かされていた。イデオロギーを他者に強いるのを防ごうと立ちはだかった米国民を殺害した。

>第2次大戦に着手した時、極東の民主主義国は二つしかなかった。オーストラリアとニュージーランドだ。日本の文化は民主主義とは両立しないと言われた。日本人自身も民主化するとは思っていなかった。

>結局、日本の女性は参政権を得た。日本の防衛大臣は女性だ。先月の参院選では女性の当選が過去最高になった。

>国家宗教の神道が狂信的すぎ、天皇に根ざしていることから、民主化は成功しないという批判があった。だが、日本は宗教、文化的伝統を保ちつつ、世界最高の自由社会の一つとなった。日本は米国の敵から、最も強力な同盟国に変わった。

こういう台詞を日本国内で戦後60年間吐き続けてきたのは、ブッシュ大統領の盟友の側ではなく、その反対側の人たちであったと云うところが、日米関係の歴史の皮肉という奴なんでせうねえ。

朝日新聞自ら指摘するように、「戦前の日本を国際テロ組織アルカイダになぞらえ」るような「粗雑な歴史観を露呈」しているわけですが、その台詞はほとんどそのままリベサヨな皆さんに降りかかってくるというわけで。「大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた史実は完全に無視され、戦前の日本は民主主義ではなかった、という前提」で近代日本を語られたんじゃかないませんや、まったく。

ま、ここくらいまでは、ちょいとモノの分かったブロガーなら書いてるでしょうけど、その先があります。じゃ、なぜその日本が戦争に突入していったのか。多くの一見穏当な歴史観はそこで間違う。戦前の日本は立派にリベラルだったのに、軍国主義に席捲されたとか、そういう類のね。

戦前の日本が過剰にリベラルだったから、それに対するソーシャルな対抗運動が「革新派」として拡大していったからなんでね。まさに、ポランニーの云う「社会の自己防衛運動」。戦前の二大政党制の下では、本来そっちを取り込むべき立場にあった民政党は、確かに社会政策を重視し、労働組合法の制定に努力したりしたけれども、同時に古典派経済学の教義に忠実に従うあまりに金解禁を断行し、多くの労働者農民を不況の苦痛に曝すことを敢えて行うほどリベラルでありすぎたわけで。どっちにも期待できない労働者たちは国家主義運動に期待を寄せるしかなくなったわけで。

この辺、二大政党制に舞い上がりかけている民主党さんによーく歴史を勉強し直して貰わなければならないところでっせ。

夏休みの課題図書を増やすのは心苦しいのですけど、

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480061577/

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坂野潤治『昭和史の決定的瞬間』ちくま新書

この中味を簡単に喋ったものが、連合総研のDIOに載っていますので、そっちをリンクしておきます。

http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no156/leadersseminar.htm

(追記)著者と書名を書くのを忘れていました。

ちくま新書は玉石混淆ですが、これはもっとも読むに値する名著です。

せっかくなので、決定的瞬間、つまり広田弘毅内閣が退陣して、宇垣一成内閣が流産するあたりの記述をいくつか引用しておきます。

>「平和」と「反ファッショ」を掲げる「人民戦線派」は宇垣内閣の成立を期待し、「戦争」と「社会主義」を求める「広義国防派」は、宇垣内閣反対、林銑十郎内閣支持の立場

>筆者が近年、「平和」と「改革」の背反性という難問に直面しているからである。仮に「ファシズム」という便利な概念が存在しなかったとすれば、昭和12年1月の日本で、社会大衆党と既成政党のどちらをとるかは、大問題であったはずである。

>さらに、「戦争」と「平和」の問題に目をつぶれば、陸軍と結んでも資本家に打撃を与えようとする社会大衆党の立場は、十分に社会主義的であった。労働組合法はもちろん退職手当の法的保障にすら応じない資本家側の全国産業団体連合会の立場を、民政党も政友会も衆議院で忠実に代弁していたのである。

>そのような政友会と民政党が、「ファシズム」と「戦争」に反対するために宇垣一成内閣を支持しようと呼びかけても、社会主義者は簡単にはその呼びかけには乗れなかったのである。

>戦後の歴史学にあっては、一方の極に「平和と反ファシズムと資本主義」があり、他方の極には「戦争とファシズム」があったことが前提とされてきた。この図式を「ファシズム」抜きに歴史的事実に即して描き直せば、一方の極には「平和と資本主義」が、他方の極には「戦争と社会主義」があったことになる。宇垣一成内閣構想は前者を代表し、林銑十郎内閣構想は後者の支持を得ていたのである。

>社会大衆党の改革要求、資本主義批判を「ファシズム」の側に組み込んでしまっては、当時の日本の政治社会を理解できないのである。

(再追記)

ついでに、戦後歴史学では反戦平和の闘士としてもてはやされている斉藤隆夫、帝国議会で軍部を痛烈に批判した粛軍演説ですが、彼はその冒頭こういういい方をしているんですね。

>一体近頃の日本は革新論及び革新運動の流行時代であります。

>しからば進んで何を革新せんとするのであるか、どういう革新を行わんとするのであるかといえばほとんど茫漠として捕捉することはできない。

>畢竟するに、生存競争の落伍者、政界の失意者ないし一知半解の学者等の唱えるところの改造論に耳を傾ける何ものもないのであります。

生存競争の落伍者」ごときのいうことに耳を傾けることなんぞできるか!

とまで罵られて、反ファシズムのため連帯しませうと云えるほど、日本の社会主義者たちは心広くはなかったわけです。

赤木君ではないが、「ひっぱたきたい」と思ったであろうことは想像に難くありません。

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失業の非効率性

ここんとこ鳴りを潜めておいでのようだった「痴呆でいいもん」こと大坂先生が、久しぶりに色々お書きになっておられるようです。

http://d.hatena.ne.jp/osakaeco/20070823

>私自身が以前のものもふくめて小野さんの著書から勉強になったと一番感じることは、不況を効率性の観点からとらえる視点だ。ケインズ政策は、市場の効率性と引き換えに、失業を抑える政策とうけとられることが多い。しかし、失業とは労働が遊休している状態なので、それ自身が非効率な状態である。これは小野さんのような頭のいい人なら、すぐにわかることなのだが、私自身は小野さんの本を読むまで、少くともはっきりは理解していなかったと思う。小野さんはあくまで不況の問題を効率性の問題としてアプローチしようとする。

ていうか、経済学者って、失業を効率性の問題ってあんまり思っていなかったんだ!と、却って新鮮な思いです。

我々実務家の感覚からすると、働けるのがたらたらしてるなんてもったいないじゃん、というのがまず先に来るんですけど。

ま、有能で効率的に働ける奴だけが働いていれば、あとの奴は下手にうろちょろされても困るということなんでしょうけど、そいつらが飢え死にしていいんならともかく、めし食わさなくっちゃいけないんですからね。

この辺の感覚の違いがくっきり出てるのが、例の福井・大竹編著の「脱力」本。馬鹿な無能野郎はさっさとクビにして生活保護で面倒見ろっていうわけですが、働ける奴が働きもせず生活保護で食ってるってのは、マクロにはとんでもない非効率なんですけどね。

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2007年8月23日 (木)

リフレ出版のメイ著

夏休みの課題図書が分厚くて難しい本ばっかりという苦情もあるようなので、疲れた頭を癒すのに絶好の本を紹介します。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/486223058X.html

486223058x 三浦正好という人の『日本語の語源の謎』という本です。

発行所は東京図書出版会というところですが、発売元がリフレ出版というところで思わず失笑ですが・・・。

たまたま手に取ったのですが、はしがきを読んでひっくり返りました。こうです。

>この本は主に日本語と英語、ドイツ語、ロシア語の中に見られる、同一語源と思われる言葉を、比較して並べてみたものです。

>日本語は孤立語だとする学者もかなりいるようです。しかし、この本を読んでいただければ日本語は決して孤立語ではないことをおわかり頂けるものと思います。私が調べたのは英語、ドイツ語、ロシア語の3語族だけであり、しかもいまだに不十分です。

>・・・しかしそれはあまりにも偏った考え方なのです。私は自由にヨーロッパの言葉を勉強するうちに、日本語族がいかにヨーロッパに広く言葉の源を残してきた人たちであるかに気がついたのです。その事情はこの本をお読みいただければご理解いただけると思っております。

どういうレベルの言語学かというとですな、たとえば、

日本語       メシ      飯

英語        mess      食事、おかゆなど

ドイツ語      Meβ      会食

ロシア語    месиво  ごっちゃまぜの食べ物、あまりうまくない食べ物

とか、

日本語       タベル      食べる

ドイツ語      tafeln       食べる

ロシア語  табльлот  定食

スペイン語     taberna     食堂

とか、

日本語       イヒ       飯

英語         eat       食べる

ドイツ語      essen      食べる

ロシア語    есть      食べる

てなぐあいです。

ここまでくると、清水義範氏の『蕎麦ときしめん』に収録されたあの稀代の名作「序文」を想起される方も多いのではないでしょうか。

http://www.eng.ritsumei.ac.jp/asao/penpen/bookreview/soba.html

あとがきに、三浦氏がなぜこんな研究に志したのかについて、少年時代の思い出が書かれています。

>小学1年生の3学期には和英辞典でローマ字を覚えました。そして歩くという言葉を調べてみたらwalkであり、私はこれをウアルクと読み、火のことはフィアー(fire)と読みました。中国語の火のホァという言葉とも似ているので、これらの言葉から、昔の人たちは皆どこかでつながっていたのではないかと考えました。

疲れた頭がますます発酵してしまったって?それはごめんなさい。

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行政改革推進本部専門調査会議事録

16日のエントリーで議事概要を紹介した、8月6日の標記会合の議事録がアップされています。

http://www.gyoukaku.go.jp/senmon/dai12/gijiroku.pdf

やっぱり気になるのは、B案の「権利義務設定・企画立案職員」なるカテゴリーですが、

>この権利義務設定・企画立案に関する業務に従事する職員とそれ以外の職員を分けるというのは、従来のわが国の公務員の考え方からしますと、随分難しい作業になるのではないかと思います。
この2 ページの下の参考のところに、「ドイツの例」としまして、ドイツでは官吏と非官吏が区別されております。官吏は、公法上の勤務・忠実関係に立ち、統治権関与・公権力行使等を担当すると。非官吏の場合には、公務員でありますけれども、私法上の雇用契約関係に立つ、要するに民間の労働者の労働契約関係と基本的に変わらないと。したがって、協約締結権、争議権が付与される、こういう分け方であります。
わが国の場合は、こういうような官吏、非官吏という考え方を従来から全くとっておりません。要するに公務員として一つの制度、一つの職員という取り扱いだったと思うわけでありまして、それを線引きするというのはなかなか難しいのかなと思いました。これが1 つであります。(西村委員)

>一番問題なのは、権利義務設定・企画立案関与職員という、私はあまり聞き慣れた言葉ではないものですから、この概念あるいは考え方というのは一体どういうものなのか。その職員は、どういう職員を言うのか。さらに、その数はどのぐらいにわたるのか。そういうことがないと、交渉協約権を付与したとしても、その対象者や範囲はなかなか定まらないのではないかな、こう思っておりますので、その点も明らかにしていただきたい。
この件は、私は、協約締結権を付与する範囲というのは、管理職、非管理職の単位で区分けすることが合理的ではないか、こう考えておりまして、管理職の範囲等につきましては交渉・協約で決めて、うまく時代に合うようにしていったらよいのではないかな、こう思っております。(丸山委員)

>普通、民間企業の場合で、例えば経営企画に当たる、それから財務の直接の折衝に当たるというものは、もともとそういう争議権から除外するというのは、そんなに不思議なことではなくて自然にやることだし、それから現実に設備の保全だとか人命、保安の業務にかかわる者はもともと除外するということは普通に行われているように思うんですが、伺いたいのは、公務員の場合にそういう職種という概念があるのかどうなのか。さっき権利義務設定・企画立案に関与する業務というようなお話がありましたけれども、もともとそういう協約締結とか争議になじまない職種というようなものというのは存在するのかどうなのか、そこのところをちょっと伺いたいなと思います。(加藤委員)

>実は今回、権利義務設定あるいは企画立案職員ということで切り分けをさせていただいておりますが、要は従来、こういう発想で非現業の職員の方を分類しようとか、そういうふうにしたことがあまりないものですから、どういうふうに説明し、分類すればよいのかというのはなかなか悩ましくて、従来の発想でいきますと、むしろ公権力行使とか公の意思形成というような言葉も1 つあるのだろうと思うんですけれども、民間とどの程度遠いのか、民間で同種のような業務をやっている、いないというようなことで分けていこうとしたら、こういう言葉が適切ではないかということで、こういう言葉でとりあえず整理してみてはどうかというのが、事務局側としては思っておったところです。
実は、しからば具体的にどの程度の切り分けができているのかということですけれども、正確にこの概念どおりに職員の方をきちんと分類してというところまでは、いっておりません。そういう意味では、正確に「このぐらいの方がこうなんだ」という算出は非常に難しいということで、そこまでは至っておりません。(株丹次長)

>ドイツの例がここに出ておりまして、官吏と非官吏で、これは先ほど西村先生のお話であれば、今の日本の状況とは違うということでございましたが、一方、明治憲法下では、ドイツの憲法に倣ってつくっておりましたので、官吏、それから非官吏ではなくて吏員という言葉を使っておったと思いますが、その下に使用人というのがいまして、そのときと現在の政府の状況はかなり違うと思いますけれども、当時の国家行政組織法的なもので官吏と吏員をどういうふうに分けていたのかということを持ってきて、今の切り口に当てはめることができないのかなというのが1 つです。
それから、橋本行革のときに、企画立案と執行を分けて、執行のうち、なるべく固まりで外に出せるものをエージェンシー化しようということで独法をつくりました。あのときは概念整理だけで、具体的に職員の職務に当てはめるというところまではいかなかったと思いますが、そのときにどこまで詰めたのかというのを引っ張り出すのもあるのかなと思います。(林副大臣)

なんだか全然認識が一致していませんなあ。

いや、戦前のドイツ型官吏モデルに戻るというのであれば、それは筋の通った解決法です。でも、そうするということは、公務員法制からは全く切り離されてたまたま官公署で働いているだけの純民間労働契約に基づく労働者になるということですから、100%労働行政の管轄下にはいるわけですよ。なんかあったら労働委員会に行くわけですよ。行政当局だからといって何も特別扱いはないですよ、純民間企業のオヤジと同じですよ。そこまで分かった上で仰っているならそれで結構ですが。

清家先生のこの冷ややかな発言が、夏の暑さを冷ましてくれます。

>このシミュレーションからわかったことは、大きく幾つかあると思いますけれども、一番重要なのは、労働基本権を全面的に付与するにしろ、あるいは部分的に付与するにしても、いずれにしても使用者側、従って最終的には国民の側に、相当大きな交渉コストがかかってくるということを、はっきりと国民には伝える必要があると思います。
これは、全体交渉、あるいはそれぞれの個別交渉のコストも非常に大きくなりますし、同時に、今、いろいろご説明、あるいはシミュレーション委員会の委員からもお話がございましたように、争議等が発生した場合、国民が被るコストというのは非常に大きなものになりますので、ぜひこの専門調査会全体の議論の中では、これも当然といえば当然ですけれども、そういう国民が被るかもしれない大きなコストに見合うベネフィットが国民にあるかどうかということを検討していただきたい。本当のシミュレーションであれば、コストとベネフィットを比較衡量するというのがあるべき姿でしょうけれども、ここはベネフィットというのは特に何も考えておりませんので、コストについてのシミュレーションをいたしましたけれども、まだ専門調査会においては、具体的にどういうベネフィットがあるかということについては議論されていないように思いますので、ぜひ今、このシミュレーションで挙げたようなコストに見合うベネフィットが、労使当事者だけではなくて、国民にどれほどあるのか、ということを検討していただきたいということでございます。

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公務員行政

続・航海日誌さんのところで、

>総務省に“地域力創造部”(NHK)

菅総務大臣によりますと「地域力創造部」は、来年度から設置するもので、コミュニティ・交流課や地域振興課、それに頑張る地方応援課の3つの課で構成されます。そして、地方の空き家を活用して都市部に住む人との交流を盛んにしたり、過疎地域の医師の確保やインターネット基盤の整備など、活性化に取り組んでいる地方自治体を、人材・財政両面で支援したりすることにしています。

>その名前は正直どうかと、、、。そして財源は? もしかして、バッシングの中でオワタ\(^o^)/状態な公務員部の振替?

http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0708.shtml

むしろ、地方公務員行政と国家公務員行政が不自然に別れた形になっているのを一緒にするという話なのでは?ぜんぜんあさっての旧郵政は別にして、旧総務庁の人事・恩給局と旧自治省の公務員部は、中味は同じようなことだし、もっというと旧人事局というのは張り子の虎であって、中味は公務員部が考えていたわけだし。人事院をどうするかというのとも絡むけれど。

公務員制度改革からくる組織再編が先にあって、そこからひねり出した案のような気もしますね。

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2007年8月21日 (火)

モノ作りを支える製造請負・派遣の高度化

経済産業省が製造業の請負や派遣に関心を持ってきたようです。ちょっと前になりますが、8月10日に商務情報政策局サービス産業課がまとめた「モノ作りを支える製造請負・派遣の高度化に向けて報告書」が公表されています。

http://www.meti.go.jp/press/20070810002/20070810002.html

問題意識は「モノ作り分野におけるグローバルな競争が激化している中、いかにして製造請負・派遣サービスの高度化を図っていくか、また、いかにして製造請負・派遣の現場で働く就業者の満足度・労働意欲を高めていくかといった観点」ということのようです。

そのポイントは、

>就業者の満足度・意欲向上に資する環境を製造請負・派遣会社(ベンダー)と製造メーカー等(ユーザー)が協力して提供することにより、製造請負・派遣サービスの高度化を図る余地は大きい

>就業者のモノ作り意識を高める環境を提供することによっても、製造請負・派遣サービスの高度化を図ることが可能

>製造請負・派遣会社(ベンダー)のみならず、サービスを利用している製造メーカー等(ユーザー)とも協働の上、就業者の意欲向上に資する職場環境をいかにして構築しているかについての成功事例を公表し、普及すること

>就業者が自らのキャリアアップを図るインセンティブを生み出すため、自らの努力、能力向上が客観的に評価されうる仕組みを企業の枠を越えて構築すること

ということです。

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労働CSR入門

4062879069 さて、夏休みの課題図書シリーズ、今回は吾郷眞一先生の『労働CSR入門』(講談社現代新書)です。CSR、企業の社会的責任については汗牛充棟といってもいいほどたくさんの本が出されていますが、労働関係ではあまりありません。これは、日本人の関心のありかを示しているとも言えますが、本書は、これに対して相当にジャーナリスティックに危機感を煽る形で書かれています。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4062879069.html

吾郷先生はご存じの通り、現在の日本で国際労働法分野の第一人者です。先のハローワーク市場化テストの委員会でも、数少ない良識派として活躍されたのはご承知のとおり。かつてILOに勤務されたこともあり、労働基準を世界に広げていくことに対する強い気持ちは人後に落ちないはずですが、国際労働基準を振りかざしてアメリカ的価値観を押しつけてくる今日の労働CSRの動きに対して、この写真のオビの文句にもありますように、「アメリカが仕掛けてくるソーシャルラベリングの罠に気をつけろ!」という、まことに愛国的、憂国的な声を上げておられるのです。

>・・・以上のように、社会条項を多角的貿易枠組みの中に貫徹できなかった米国は、それと同じ効果を労働CSRによって達成しようとしていると私は見ています。そして、このことは途上国のみに向けた政策ではなく、日欧という経済ライバル(とくに労働CSRについてほとんど対応をしてきていない日本)に対しても効果があるのです。

>すなわち、国連やILOなどのような正規の国際政府間機構が定めた国際標準を無視し、自分が考える「公正労働基準」を「標準化」することによって、たとえば中国市場における日本企業の活動に制限を加えることができるでしょう。

>労働CSR問題において、米国国務省が民間機構を利用し積極的に推し進めようとしている目的は、たんにアジア地域における労働基準を高め、労働者の生命と健康を守ることだけにあるのではない、もっと大きな隠れた戦略が存在する。そう思われてならないのです。(p74)

ではどうすればいいのか。企業レベルの対応としては、こう言います。

>・・・つまり、企業行動要項を正式に掲げ、ILOその他の正式な国際法上の義務を遂行することを公約することです。得体の知れない(ちょっと言いすぎですが)NGOから基準実施を認めて貰うのではなく、自分たちはしっかりと、国際法を遵守しているということを示し、逆に相手側が依拠する認証機構の正統性を問いかけることをすれば、相手が守勢にまわるはずです。(p174)

しかし、それにとどまらず、吾郷先生は「積極的に打って出る」「日本発の国際標準を提案」せよと訴えます。

>今こそ政労使の協議の上に、「和」の精神に則った労働CSRを構築することが、日本の(アジアの)特色を生かすことになる・・・

>労働CSRにおいては政労使三者による合意と共同が重要不可欠なのです。イギリスのようにCSR大臣というものを内閣に置くまでにはならないとしても、日本でも厚生労働大臣の下にCSRを管轄する機関を設けるべきです。

一方で市場原理主義に基づき規制緩和を押しつけながら、他方で労働CSRを競争相手への戦略的武器として使おうとするアメリカに対して、「ソーシャルラベリングの罠に陥る」ことなく、労使協調に基づいて大同団結し、日本発の世界標準を構築して誤ったグローバリゼーションに呑み込まれないことが肝要という同書のメッセージは、この問題を考える上で、一つの拠り所になるでしょう。

なお、本書では必ずしも詳しく書かれていない民間団体の動き、とりわけビジネス法務の動向については、『季刊労働法』(218号)(9月刊行予定)に掲載される予定の戎居皆和「国際労働法の新たなフロンティア」が詳しく分析しています。こっちは吾郷先生ほどパセティックではありません。

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2007年8月20日 (月)

内部労働市場とマンパワー分析

31924502 なんとなんと、名のみ高く翻訳のなかったあのドリンジャーとピオリの内部労働市場論の古典的名著が、21世紀も8年目になってようやく日本語になったようです。

ここで何回か紹介した野村正實氏が、旧著『日本の労働研究』の中で、隅谷三喜男氏の内部労働市場論はドリンジャー・ピオリの議論を正しく伝えていないと批判し、その後の日本の内部労働市場論の欠陥として指摘したことはご承知のとおりですが、その原点がようやく日本語で読めるようになったのですから有り難いことです。

http://www.waseda-up.co.jp/bhtml/07616.html

もっとも、私は隅谷氏の議論やその後の小池和男氏の議論は、近代主義の時代から企業主義の時代へという日本社会自体の思想史的転換をいわば体現しているのであって、社会がそのような議論を需要したがゆえに供給されたという風に理解していますので、ドリンジャー・ピオリの議論との関係は実は二次的なものに過ぎないと考えていますが。

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2007年8月17日 (金)

派遣のリアル

01602901_20070805162541 宝島社新書から出た門倉貴史『派遣のリアル 300万人の悲鳴が聞こえる』は、ある意味でなかなか面白い本です。

外見からは、売れっ子エコノミストが、近頃ハケンとやらが流行しているみたいやから、ちょいと勉強して一冊書いたろか、ででっちあげたみたいな印象を受けますが、まあそういう面もなきにしもあらずではありますが、特に派遣労働者や派遣会社に勤務する人々のインタビュー記録が結構切り口がよくって、労働関係者にとっても読む価値大いにありです。

http://tkj.jp/book/book_01602901.html

もちろん、特に本文のところは、派遣の仕組みとか派遣の歴史とか現状とか、労働関係者にとっては今さら的な情報が多いし、いささかどうかと思うような記述もあります。特に、第5章では、2006年11月に経済財政諮問会議が労働ビッグバンを打ち出したので、それの実行として2007年の通常国会に労働関係6法案が提出されたみたいな記述になっており、をいをいという感じですが、まあそのへんはともかくとして。

1番目、2番目は普通の派遣。職場見学という名目で事前面接、とか部署名を半年ごとに変えて派遣期間を半永久的に延ばすとかにも、まあそんなもんでしょうみたいな。

3番目、4番目は派遣会社の正社員。6番目は派遣会社勤務の派遣社員という、いずれも派遣する側からの視点で見た派遣の姿。しかし、派遣会社のコーディネーターが別の派遣会社からの派遣社員というのも、何というか。でも、3番目の人も、派遣スタッフから内勤のアルバイトになり正社員になって1ヶ月で支店長ということですから、まあそんなものかも。この人の言葉はなかなか感動的です。

>三者の関係が公平なバランスだときれいごとを言う気はありません。とはいえ、言いなりではありません。スタッフの声を吸い上げ、派遣先企業に改善を求めることもありますよ。何度も足を運び、派遣の仕組みを説明して派遣先の担当者の意識を変えていく。しかし、その担当者の上司が『しょせん、派遣だろ』といった考えの方の場合、最終的に無駄足になってしまうこともありますが。私個人の考えとしては、心から『このクライアントはひどいな』と感じたときはおつきあいをやめます。休憩が満足に与えられない、免許が必要な危険な作業をさせられる。スタッフさんがそんな扱いを受け、事故が起きるリスクを考えれば、依頼そのものを断りした方がいい。

>人間同士が関わり合う派遣というビジネスには、お金だけで計れないポイントがあるんです。

>この仕事は、確かに人をものとして捉える瞬間が必要だけど、本当にそこまで割り切れるものじゃないですから。

派遣事業をただ悪者扱いするのではなく、こういうヒューマンなビジネスでもあり得るという面も意識しながら、しかし必ずしもそうあり得るわけではないという面も見据えつつ、この問題を考えていかなければならないのでしょうね。

51snzs1q06l_ss500_ 7番目、8番目の製造派遣は深刻な話。募集時は月30万以上とかうまいこといって、片道切符渡して連れてきて、時給は1200円、やめようとすると旅費を返せ、と。今ならキャンペーン中で入社祝い金が2万円出ますとかいって、行ったらキャンペーンは終了しました、とか。なんやこれは、明治の『職工事情』の世界か、という感じですな。小学校の先生していた人が、社労士の勉強しながら派遣で働いて、組合作って活動始めるという、これはもちっと詳しくドキュメンタリーにしたい話です。

最後のドキュメントはライターによるスポット派遣体験記。お前は鎌田慧か?って、今じゃ何のことかわかんないかな。就業条件明示書にはフード系販促作業とあったのに、派遣先のセレモニーホールに行ってみると事務所移転作業で、商品を運び上げて棚を解体する作業、しかも指示するのはほかの派遣会社から来ている女性派遣スタッフで、その理由は「数日前に同じ作業を行ったから」とかこれも凄い話。

51w5kct58xl_ss500_ あと、いささか気になったのは、一番最初にデカデカと「労働は商品ではない」とILOのフィラデルフィア宣言が書かれていたり、あとがきで突如マルクスの「労働の疎外」がでてきたり(このへんは、思想史系の人は突っ込まないように。「労働の疎外」ではなく「疎外された労働」じゃねえかとか、『経済学哲学草稿』嫁とか、そういう話ではないですので)、ちょいと渋めですが、本文の最後のところで「ロー・ロード」「ハイ・ロード」が出てきたり、ううーーん、まあどうなんだろ。

労働は商品なんですよ。労働市場ってくらいですからね。しかし、生きた人間である労働は単なる商品であってはならない、ということなんであってね。「脱商品化」ってのは、一部福祉国家論の政治学者の方々が思いこんでいるように、国が働かなくていいように金をばらまくこと(だけ)ではないということに、話をつなげられれば一番いいんだけど。いや、ハイ・ロードってのは、まさにそういうことなんであって、それが上の派遣会社正社員の人の言葉にもつながっていくんだけれど。

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2007年8月16日 (木)

船員労働委員会の運命

今年3月に、自由民主党政務調査会司法制度調査会が「21世紀社会にふさわしい準司法手続の確立をめざして」というのを出していたんですね。

http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/pdf/seisaku-002.pdf

その中で、

>船員労働委員会のように、事件数の極めて少ないものは、少なくとも裁定機関としては、他の類似機関への整理・統合を検討すべきである。

と指摘され、

>中央労働委員会と船員中央労働委員会については、その組織の整理・統合を検討すべきであることは前述したとおりである。これらの地方組織についても、他の地方紛争解決機関との整理統合を含めその在り方を見直すべきである。

と書かれています。

結論はもう出ているわけですな。

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公務員の労働基本権

先の参院選結果で戦後レジームからの脱却にはブレーキがかかるのではないかとの観測もあったようですが、何を何を、我らが渡辺喜美公務員制度改革担当大臣の戦後レジーム脱却路線はますます加速しているようであります。

去る8月6日に開かれた行政改革推進本部専門調査会(第12回)の議事概要が公開されました。まだ議事録ではないのですが、どんなことが話題になったかは分かります。

http://www.gyoukaku.go.jp/senmon/dai12/gijigaiyou.pdf

冒頭、渡辺大臣から、出すべき結論は決まっているとのお言葉。

>かねてよりお願い申し上げているとおり、協約締結権、争議権を一定の範囲で付与する方向でご検討頂き、秋ごろ、10月くらいを目途に最終的な結論を出して頂きたい。

ここに出されたのがシミュレーションという資料で、現業も非現業も全部まとめて(警察等は除く)争議権まで与えてしまうという大変ラディカルなAパターンという奴と、現業・独法プラス非現業の行(二)には争議権まで、一方権利義務設定・企画立案職員には団体交渉権まで、その中間のなんていうんでしょうか一般職員とでも呼んでおきますかその人たちには協約締結権までという何やら工夫を凝らしたみたいなBパターンという奴が提示されています。

http://www.gyoukaku.go.jp/senmon/dai12/siryou2.pdf

もっとも、座長から「ここで示されるパターンが選択肢でない」とのお断りつきで、しかも各委員から補足説明として、こういう風に言われています。ちょっと長いですが引用しますね。

>・争議権付与の範囲について、政策企画立案と実施部門で分けるという考え方がありうるが、争議行為が発生して国民が困るのはむしろ現場の方である。霞が関がストをしても困らないかもしれない。付与の範囲について、論理的に導かれるものと実態として困るものとの間にねじれがある。

>交渉の公開について、闇の中で決めることは許されないが、どこまで公開するかという問題がある。協約を公開するのは当然として、交渉のプロセスまで透明化するとなると実質的な決定が闇に潜るというおそれもある。

>・協約締結権付与の範囲について、Bパターンの「権利義務設定・企画立案職員」とそれ以外に分けることについて、従来は、公務員として一つの固まりとして扱ってきたので、線引きすることは難しい。

>協約事項の範囲について、Bパターンは任用、分限、懲戒を成績主義や人事管理の公正性の確保を理由に協約事項としていない。民間は自由にこれらを決めているが、公務の場合には、法令等できっちり決めるという考え方も可能と考える。

>交渉不調の場合の調整について、Bパターンでは、非現業の法律事項等は議会で判断するとしているが、第三者機関に諮らない制度は代償措置論との関係でやや問題がある。

>民間給与等の実態調査について、公務員の給与水準を団体交渉によって決めるとしても、民間では自分の企業の業績がベースになるが、公務には業績もないので、民間の状況を何らかの形で斟酌すべきである。その際に、組合が民間の給与の状況を集めるのは大変であり、独立機関できちんと調査する体制をつくる必要があるのではないか。

>交渉・協約締結の当事者(職員)の制限について、日本では複数組合主義が基本であるが、右側の一定の組織率で区別するパターンはかなり異なる制度である。左側の制約しないパターンが日本のシステムに整合的であるが、公務員ということで右側の一定の制約をかける仕組みもできなくはないと考える。

>・このシミュレーションは、選択肢ではなく、作業上の条件設定として置いたものであることを明確にすべきである。

>争議権の付与について、業務が停止することによる国民生活への影響を考慮する必要がある。住民の日常生活に影響がある地方公務員の場合に特に慎重な検討が必要である。

>Bパターンの協約締結権付与の「権利義務設定・企画立案職員」の現実の切り分けは困難である。実質的に処分に関与する職員に課長補佐級まで含めるのか、小規模の市町村で様々な業務をこなす職員の区分をどうするのか、といった問題がある。

>・このシミュレーションは選択肢でない。全面的あるいは部分的に付与した場合の話であり、現行制度を変更しない選択肢を排除するものではない。シミュレーションから分かったことは、全面的付与にしろ、部分的付与にしろ、使用者や国民に交渉コストやストによるコストがかかることであり、コストに見合うベネフィットが国民にあるかどうか本会議で検討していく必要がある。

まとめた方からこれだけいろいろと問題点が指摘されるというのも妙なものですが、これに他の委員が指摘していることを加えると、とてもこれで10月に最終的な結論が出せるような状況ではないのではないかとしか思えないのですが・・・。

どなたの発言か分かりませんが、

>便宜的に俸給表で区分するとの説明があったが、例えば行(一)6級は、本省では補佐だが地方では課長になる。ここを全員付与するとか付与しないとかで整理できないのではないか。また職務の話が先ほどあったが、独立行政法人の見直しの議論の中で、公権力行使も法律で定めれば民間でもできるということになっており、これらに従事する全員に付与しないというのも無理があるのではないか。

というのも鋭い指摘で、そんなことも整理し切れていないのかという感じではあります。

逆に、現行法制度の中で一番筋が悪いというか、説明が付きにくい消防職員と刑務所職員に団結権も禁止されているという点については手を触れずにそのままというところも、何だかなあという感じではあります。

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2007年8月15日 (水)

実感

経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会の議事録です。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/11/work-s.pdf

前に紹介したように、在宅勤務における労働時間規制について、通達レベルというか、通達の解説レベルの細かな話を、厚生労働省の役人を呼んでえんえんとやっていて、、マニア以外にはいささかいかがなものかという感じでありますが、わたくし的にたいへん興味深かったやり取りがあります。

深夜業割増をめぐって、小林委員の

>そのためには1日あるいは1週間の休息時間をしっかり取るという形でのセーフティーネットを張り直した上で、仮に深夜に及ぶこともあり得るということを前提に制度を考えた方がよいのではないかということであるが、そのような点についてはいかがか。

という質問に対して、その厚生労働省担当官が

>もう一点、割増賃金によって間接的に深夜労働等を抑制している仕組みを解除する代わりに実体的な実労働時間に着目した時間外労働規制、深夜労働規制あるいは休息時間規制を組み合わせていくことは、方向性としてはあり得ると思う。労働時間規制のうち特に健康面を重視する立場に立てば、そういったものは立法政策として考えられると思うが、現在の多くの企業、労使の考え方は、それを改革するためにこの調査会があるのかもしれないのであくまで現状はこのような感じであるという意味だけであるが、我が国の実体的な労働時間規制は、大陸ヨーロッパ、EUと比べれば緩いわけだが、そのような制度であることにメリットを見出している。端的にいえば実労働時間規制をしっかりと入れる、その代わりに深夜割増は免除するというような法制度が歓迎されるかどうかについて、昨年からの経験からすると、現実問題としては非常に難しいと思う。

と、実感溢れる発言。

「それを改革するためにこの調査会があるのかもしれないので」というあたりに、いろいろな思いが凝縮されていますね。

それをこういう風に表現するのが役人道。

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2007年8月14日 (火)

雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会報告書

厚生労働省とJILPTに設置された雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会の報告書「上質な市場社会に向けて-公正、安定、多様性」が公表されました。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/s0809-3.html

報告書自体はこちらです。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0809-3a.pdf

報告書のポイントは次のとおりです

>雇用労働をめぐる構造変化に的確に対応して、持続可能な経済社会を実現していくためには、中長期的に一貫性の高い雇用労働政策を策定する必要があり、このためには、雇用労働政策を策定する上で、常に念頭におき政策の妥当性を判断する「基軸」が必要
 中長期的に一貫性があり、かつ、実効性の高い雇用労働政策を策定するには、「基軸」について、雇用労働の事情に精通し、また当事者でもある労使の代表者が、それぞれの立場を超えて、学識経験者とともに、その共有に向けて、議論を行うことが重要。

>グローバル化等の中で、企業の競争力の強化や経営の効率化を図る必要があるとともに、労働者は職業人であると同時に生活者であることから、生活の安定と自己実現を図っていくことが必要。
 また、労働は通常の商品のように一回的取引で完結するものではなく、継続性があり、そのことが労働者の能力・生産性とも深く関係しているという性格を踏まえるとともに、労働サービスが人間そのものと不可分であり、組織性や集団性を持つものであるという点をも考慮して政策を策定していくことも必要。
 以上から、「競争力の強化、経営の効率化」と「労働者の職業生活の安定、自己実現」との調和を図るために、適切に市場メカニズムを活用しつつ、(1)公正の確保、(2)安定の確保、(3)多様性の尊重の三つの要素を満たしていくこと、この意味での「上質な市場社会」に向けて政策を講じていくことが雇用労働政策を策定する上での基軸。

>具体的には、

(1) 公正の確保 ~豊かな活力ある経済社会にふさわしい「公正な働き方」の確保~

(2) 安定の確保 ~「雇用の安定」と「能力開発による職業キャリアの発展、安定」の確保~

(3) 多様性の尊重 ~多様な選択を可能とすることによる能力発揮、競争力の確保~

であり、それぞれが満たされる雇用労働政策を策定していくことが必要。

ちなみに、下の方の研究会メンバー構成を見ると、私がオブザーバーとして名を連ねていますね。

わたくし的に一番強調したのは、政策の中味もさることながら、「中長期的に一貫性があり、かつ、実効性の高い雇用労働政策を策定するには、「基軸」について、雇用労働の事情に精通し、また当事者でもある労使の代表者が、それぞれの立場を超えて、学識経験者とともに、その共有に向けて、議論を行うことが重要」というところです。最近、この話をする機会が多くて、先日の労使関係研究協会のパネルもそうでしたし、今度9月1日に乃木坂の日本学術会議でやる立法学のシンポジウムも、ほかの方々はともかく、私は三者構成原則の話を中心にやるつもりです。

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今さらボヤきません

>というわけで、濱口教授の 「もしかして、件数も少ないんだし中労委で一緒にやってよ、ということだとすると、その組織財源は中労委に持ってきていただくのが筋のような気がいたしますね。」 船員労働委員会の廃止?(EU労働法政策雑記帳(6/29付)))とのご懸念どおり、スクラップ財源に利用して事務はぶん投げるという方針の模様。まぁ、エクスキューズとして定員はなんぼか中労委事務局に振り替えるんでしょうか。ともあれ、また先生のぼやきが聞ける…とか不謹慎にもワクテカしてしまったり(笑)。

http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0708.shtml

いや、今さらボヤきません。そういうことだろうなあとは思っていましたし。なんちゅうか、労働省設置当時に他省と権限を取りあった業務は、炭鉱といい、船員といい、歴史の流れの中で、当該他省の組織財源として移ろっていくものばっかりですなあ、とモソモソ呟いてみるばかりです。

ちなみに。朝日のリンクはすでに切れておりますので、記事自体も引用しておきます。

>事故調を拡大、海難審判庁統合し「運輸安全委」新設へ
2007年08月08日06時27分

 国土交通省は来年度、航空・鉄道事故調査委員会を拡大し、鉄道、航空に加えて海難事故も事故調査の対象にするよう組織を拡大・強化する方針を固めた。具体的には海難審判庁を事故調査委に統合して「運輸安全委員会」を新設する。一方、観光政策を進めるために新組織「観光庁」も設ける。

 航空、鉄道、海運に加え、高速道路やパイプラインの事故まで調査対象としている米国の国家運輸安全委員会(NTSB)をモデルに、国交省も陸、海、空の原因究明機能を一元化。事故の背後要因の踏み込んだ分析や、情報の共有化を進める。法律上の位置づけを変えて、現在の調査委より組織の独立性も高める。

 各組織の具体的な定員などを詰めており、8月下旬に決定する08年度の組織・定員要求に盛り込む方針だ。

 事故調査委は航空、鉄道の委員で構成されているが、運輸安全委では海難の専門知識を持つ委員も設け、再発防止策の提言などを行う。

 一方、海難審判庁は、原因を調べる審判理事所と、調査結果をもとに行政処分などを出す、裁判所に相当する審判庁があり、両方とも運輸安全委員会の傘下組織として存続させる。また、船員の紛争処理などを担う船員労働委員会は廃止。紛争調整機能を厚生労働省に、一部の調査機能は国交省の審議会に移す。

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日雇い派遣と雇用保険

前にもこのブログで取り上げましたが、日雇い派遣に雇用保険を適用できないのかという問題。最近、フルキャストが適用事業所の申請をしたが、厚生労働省が保留しているという記事がありました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007072802036468.html

記事のスタンスは、

>フルキャストユニオンが加盟する「派遣ユニオン」(東京)の関根秀一郎書記長は「スポット派遣労働者の月収は十二万円ほど。日雇労働保険が適用されれば仕事の少ない月も約五万円は保障され『ネットカフェ難民』解消にもなる。厚労省の対応は権利の侵害だ」と指摘。日本労働弁護団会長の宮里邦雄弁護士は「スポット派遣でも、一定期間継続していて生計がその収入に依存していれば当然、日雇労働保険の対象だ」と話している。

と、いかにも(例によって)役所がけしからんという感じですし、確かにここに書かれている役所側の台詞を見ると、

>同省雇用保険課は「スポット派遣は雇用保険法制定時には想定外だった。就労業務が生活の糧で、仕事探しが難航していることが失業給付の前提だが、スポット派遣は片手間の就労である可能性もあり、実態調査の後、判断する」としている。

をいをい、何が片手間だ!といいたくなるかもしれません。

雇用保険課がこういういい方をしている理由は分かりませんが、制度を知っている人なら、問題点はモラルハザードにあるということは分かるはずです。いや、およそすべての失業保険制度には労働者側にモラルハザードの危険性があるわけで、それは日雇い失業給付でも同じですが、日雇い派遣は派遣事業なんです。派遣会社が、この場合であればフルキャストが、自分のところに登録している労働者に対して、仕事を出すか出さないかを決められる立場にあるということなんです。

派遣じゃない通常の、つまり直接雇用の日雇いであれば、使用者は手配師から紹介を受けるだけですから、今日はこいつには仕事をさせないで失業したことにして日雇い保険からカネを払おう、こいつはそろそろ印紙を貼らせるか、てな操作はできないわけですよ。

ところが、派遣事業というのはまさにその労働市場アロケーションをやるのが業務です。それも自分が使用者になって。そうすると、経済学的に合理的行動をとる派遣会社であれば、当該日雇い派遣労働者が給付を得るのに必要な最小限度の印紙を貼れるように就労日数をコントロールし、自ら払う賃金額を極小化し、日雇い失業給付を極大化するように行動するはずです。

「スポット派遣は雇用保険法制定時には想定外」というのは、まさにここのところの問題なのであって、「片手間の就労」かどうかというのは本質ではないように思われます。

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2007年8月13日 (月)

デンマークと日本のフレクシキュリティ比較

オランダのティルブルグ大学にフレクシキュリティ研究プログラムというのがあって、いろいろとリサーチペーパーなんかがアップされているんですが、そこに最近、標題のような興味深い論文がアップされました。筆者はいずれもデンマークのアールボル大学労働市場研究センターのブレゴーさんとラーセンさんの二人です。

http://www.tilburguniversity.nl/faculties/law/research/flexicurity/publications/papers/fxp2007-13jiltpreport-final.pdf

日本についてはいささか通り一遍の理解というところもありますが(JILPTので勉強したらしい)、よく整理されていると言えましょう。

ちなみに、ここにアップされているほかのペーパーもこの問題を考える上で大変役に立ちます。オランダにせよ、デンマークにせよ、自国語が世界に通じるなんて端から思っていない国ですから、英語で読めるというのがメリットですね。

http://www.tilburguniversity.nl/faculties/law/research/flexicurity/publications/papers/

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2007年8月11日 (土)

折り目正しくない労働法学者?

いや、それは、小宮文人、土田通夫・石田信平、野川忍、野田進といった方々は「折り目正しい労働法学者」ですよ。そのことは確かです。

http://ameblo.jp/hidamari2679/entry-10042910506.html

でもですね、だからといって、私のことを「おっと、はまちゃん先生を書き忘れていた。必ずしも折り目正しいとは思えないが・・・」ということは、つまり私は折り目正しくないんですね、そうなんですね、と拗ねてみる。

まあ、確かにブログ上での今までの行状を見ると、折り目正しいとはいささか言い難いかも知れませんねえ。

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2007年8月10日 (金)

西部邁氏の公正賃金論

昨日、西部邁氏の「正論」欄に載った正論を取り上げたついでに、彼がその昔(30年以上もむかし)書いた公正賃金論を引っ張り出してみました。

『経済セミナー』に「労働と社会または労働のソシオエコノミックス」と題して連載して3回目で中断してしまったものの3回目の論文です。冒頭に「賃金は勤労に対する報酬であると同時に、「公正」「貨幣物神」「搾取」あるいは「紛争」といった人間関係における争点でもある」というエピグラフ風の言葉が書かれていますが、近年の最低賃金や均等待遇論をめぐる議論を、ケーザイ学だけ視野に入れた状態からすーっと焦点を引いて、ソシオ・エノミックス的に語ると、こういう風になるという意味で、このあたりは読み返してみる値打ちがあります(本人が覚えているかどうかは不明ですが)

>しかし自明のことではあるが、企業は孤立して存在しているのではなく、より広くコミュニティとのつながりを持っている。コミュニティの場から見れば、個々の企業こそが個別の集団なのであって、コミュニティの共同的枠組みから種々の掣肘を受ける立場にある。つまり、個別企業の定める労働条件や賃金は、それらについてコミュニティが持ち合わせている公正基準に照らして律せられるのである。労働市場の動きの中に、貨幣メディアだけでなく、権力や影響力のメディアが介入し、そしてそれらのメディアの働きは、それぞれのコードによって制約される。従って、コードの確保としての公正基準が労働市場に入ってくることになる。

>この点に注目すると、労働市場で決められる賃金(及び労働条件)は、コミュニティにとって公正と考えられる賃金(及び労働条件)水準から大きくは離れられないということが分かる。あるいは、大きく離れた場合には、労働市場それ自体が不公正と見なされて、労働市場の存立が著しく不安定になるだろうと考えられる。公正な賃金は、労働者がコミュニティの成員であることの証である。・・・

初等ケーザイ学教科書嫁イナゴさんたちには、これが何を言っているかすらよく分からないかも知れませんが、現場で賃金を扱っている人々には、(その衒学的な用語法がいささかうっとおしいかもしれませんが)その趣旨はよく理解できると思います。

つまり、これまでの主婦パートや学生アルバイトの賃金がどんなに低くても、それはコミュニティの公正基準と乖離したものではなかったのです。だから均等待遇なんてだれも言わなかったし、最低賃金が低すぎるなんて議論にもならなかった。現在の非正規労働問題が、これまでともっとも異なっているのは、西部氏のタームで言えば、まさに労働市場を制約すべきコミュニティの公正基準なのですね。

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人事院勧告

一昨日、人事院が公務員給与の改定に関する勧告をしましたが、若いところがちょびっと引き上げられるという給与の話はおいといて、公務員人事管理に関する報告の方に興味深い記述があります。

http://www.jinji.go.jp/kankoku/h19/h19_top.htm

http://www.jinji.go.jp/kankoku/h19/pdf/dai3.pdf

>2 専門職大学院等に対応した人材確保

>(1) 国家公務員採用試験に対する応募者は、公務を取り巻く厳しい状況の下、ここ数年減少傾向が続いている。その要因としては、民間企業の採用拡大や受験年齢人口の減などのほか、公務の役割が変化している中で、法科大学院、公共政策大学院等の専門職大学院の設置などに伴って、公務への人材供給構造に大きな変化が生じていることが考えられる。引き続き公務に多様な有為の人材を確保していくためには、平成18年度年次報告書で言及したとおり、公務員の役割や働きがいの明確化、働き方の合理化、社会貢献など公務に特徴的な仕事の魅力の発信などが求められるとともに、新たな人材供給源の開拓や若手職員のモティべーションを維持・向上するための計画的な育成が必要である。

>(2) 専門職大学院の設立をはじめとする大学教育の変化に対しては、学識経験者による研究会の報告に基づき、大学院出身者の受験をも念頭に、Ⅰ種採用試験について記述式試験を重視する方向での最終合格者の決定方法の見直しなどを行い、平成18年度から実施に移したところである。
Ⅰ種採用試験の事務系区分においても、大学院出身者の合格者数の増加が認められるところであり、その状況等を十分に検証しながら、専門職大学院出身者を含めた有為の人材の確保に向けて対策を講じていく必要がある。
公共政策大学院出身者については、比較的多くの者が公務員試験を受験し、合格・採用に結び付いており、今後とも、本府省での「霞が関インターンシップ」や第一線で活躍する行政官による連続講演などを通じた募集活動を強化していきたい。また、法科大学院を含めた対策としては、大学関係者や学生など人材供給側の意向等を十分に把握するとともに、行政官に求められる資質や専門性、公務における人事管理の在り方などを踏まえつつ、関係各方面や有識者の意見も聞きながら、多様な有為の人材の確保に向け、採用試験をはじめとする採用の在り方について、早急に検討を進めていくこととしたい。

専門職大学院出身者向けの新たな採用区分を考えようということでしょうか。

これと次を読み合わせると、人事院の考えていることが何となく浮かび上がってくるような・・・。

>3 新たな幹部要員の確保・育成の在り方~キャリア・システムの見直し~

>行政課題が複雑化・多様化する中で、高い志や倫理観と高い専門性を持った幹部要員を公務に確保し、育成することは、効率的で質の高い行政運営のために極めて重要である。諸外国においても、長期的視野に立って計画的に幹部要員を確保・育成するためのシステムを設けているところである。
しかしながら、現在のいわゆるキャリア・システムについては、従来から、「採用時の1回限りの選抜で、生涯にわたる昇進コースまでが決定されるのは不合理」、「閉鎖的なキャリア・システムが特権的な意識を生じさせている」などの批判がなされてきたところである。これらの批判は、人事運用の在り方にかかわるものであり、採用後、相当の期間を経た後においてまで採用試験の種類等が過度に考慮されてきたことに問題がある。
一方、効率的な幹部養成にとっては、政策形成に関与する職務経験や管理的業務の訓練、海外留学などの機会には量的に制約があることから、採用後の比較的初期からこうした機会を優先的に付与するにふさわしい人材を公正に選抜することが極めて有効である。また、高い資質の人材を公務に誘致する観点からは、そのような挑戦的な訓練機会を与えられることが大きな魅力となる面もある。
これらの点も念頭に置きつつ、今後の幹部要員の確保・育成の在り方を考えるに当たっては、第一に、「採用時の1回限りの選抜」によることなく、公平で効果的な能力・実績に基づく選抜を行うこと、また、これと表裏の関係にあるが、第二に、複雑化・高度化した行政需要に機動的に対応できる幹部要員を訓練し育成する仕組みを構築していくことについて、各府省等の関係者を含めて、広く国民の合意が形成されることが必要であると考える。
このような考えに立った上での新たな幹部要員の確保・育成の在り方については、例えば、①Ⅰ種採用職員の採用後の早い段階からの選抜の強化と、Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の計画的育成・幹部職員への登用を推進する、②大卒程度の採用試験であるⅠ種採用試験とⅡ種採用試験とを統合し、その後の昇進については、採用試験の種類にかかわらず個人の能力・適性に応じて行うとともに、幹部要員の選抜・育成の仕組みについてはその中で構築する、③現行の採用試験の種類は基本的に維持しつつ、一定の時期において又は一定のポストへの昇任に当たり、採用試験の種類に関係なく能力・適性に応じた選抜を強化し、幹部要員はその中から育成していく、などの考え方がある。
今後、検討に当たっては、幹部要員に求められる資質・適性とは何か、競争的な労働市場の下で優秀な人材を公務に誘致する上で有効か、幹部要員をどのような方法で選抜することができるか、複雑化・高度化する行政課題に迅速かつ適切に対応できる人材育成が可能か、職務経験や研修機会などをどのように体系的に付与することが効果的か等について、諸外国における幹部育成方法なども参考にしながら、職員間の公平性や機会均等の観点を踏まえつつ、幅広い検討を行い、国民的な合意形成を行っていく必要がある。本院としても、以上の問題意識に立ちつつ、採用試験の在り方も含めて検討していきたい。
当面、各府省において、Ⅰ種採用職員については採用後の早い段階から能力・適性を適切に把握し、選抜を強化するとともに、Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員については本院が示した指針に基づき登用促進を図ることが重要である。

当面はそういうことなんでしょうが、その先は「大卒程度の採用試験であるⅠ種採用試験とⅡ種採用試験とを統合」するということなわけで、そうすると、その統合された新Ⅱ種の上に、専門職大学院卒程度の新Ⅰ種がくると、こういうイメージを抱いているようですね。

入口に対して出口の話も重要です。

>民間企業については、既に、定年制の廃止、定年年齢の65歳以上への段階的引上げ又は再雇用制度等の導入が法律によって義務付けられ、また、使用者による再就職援助、雇用保険による求職者給付、高年齢雇用継続基本給付金など再就職ニーズや高齢期の収入の減少に対する様々な支援措置の制度化も進んでいる。同様に、公務においても、雇用と年金の連携を図り、職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備することが重要な課題となっている。具体的には、平成25年度を見据えて、民間と同様に年金支給開始年齢までの雇用継続を図ることを前提に、各府省や職員の意向、民間企業の動向等を踏まえた高齢期の雇用確保策についての総合的な検討を行う必要がある。
検討の方向性としては、①定年制の廃止又は65歳までの定年延長、②民間企業並みの再任用の義務化(必要な場合には特例定年・勤務延長の拡充)の二つが考えられる

とはいえ、

>① 高年齢者層の増加に伴う在職者数や新規採用者数等との関係。新規採用を抑制した場合の年齢階層別人員構成のひずみをどうするか。
② 高年齢者の継続雇用のために民間企業が行ってきている給与システムの変更、能力・実績に基づく人事管理の徹底等にどう取り組むか。
③ 職員全体が高年齢化する中での組織の活性化に留意した幹部職員の任用について、専門職種の拡充、処遇の在り方等を含め、総合的にどう考えるか。
④ 高年齢者層が増加する中で、職場全体の職務分担の在り方についてどう考えるか。また、短時間勤務やテレワークなどの多様な働き方についてどう考えるか。

といったことを検討しなければなりません。

一方で「国民から批判を受けない適正な退職管理」という要請もコレアリ、「今般、国家公務員法の改正により官民人材交流センター等の新たな枠組みが導入されることとなり、また、在職期間の長期化に向け複線型人事管理の導入に資する観点から、本日、専門スタッフ職俸給表の新設について勧告することとしたところ」ではありますが、課題は山積といったところです。

これと裏腹に、「国家公務員採用試験の受験年齢の上限」についても、雇用対策法の改正があったこともあり、「必要な検討を行う」ことが求められています。雇用対策法の国会審議でも質問はもっぱらこっちに行っていましたし、規制改革会議でも(例のトンデモ「労働」じゃなく「雇用・就労」の方)やられていますしね。

最後に、労働基本権のところでは、微力ながらもいうべき正論をきちんと吐いています。

>本院としては、専門調査会における議論を注視していきたいと考える。なお、職員の身分保障は、成績主義の原則の下、公務員人事の中立性を確保するために設けられているものであり、労働基本権制約と直接の関係にないことにも留意する必要がある。

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2007年8月 9日 (木)

野村正實大著について

6日に紹介した野村正實氏の『日本的雇用慣行』ですが、正確にはその第一編というべきものです。というのは、本書は会社身分制を中核概念として20世紀の日本の会社の経営秩序の在り方を分析したものなのですが、非正規雇用には触れられていないからです。

その理由は、あとがきにあるとおり、「正規従業員のみを取り上げただけで、本書は450ページとなり、300ページ前後が標準的となっている今日の研究書出版事情においては大部となっている。もし本書において非正規雇用を論じるならば、論じなければならない論点が多いため、本書の分量は単行本の限度を超えてしまう。非正規雇用については、本書とは別の著作で論じるべきである、と判断した」ということです。

それは分かるのですが(実際、じっくり読んでたら昨日までかかった)、さはさりながら非正規雇用が抜けていると、正規雇用の話自体が片手落ちになってしまうんですね。戦前や戦後も高度成長が始まった時期までは、ブルーカラーの本工と臨時工というのは相補的存在であったわけですし、高度成長期以降の女性労働を論じようとすると、パートを抜きには語れないですし、今日フリーターを抜きに「学校から実社会へ」の移行を論じられないわけで、「全体像構築の試み」になりきれないのです。

まあしかしこれは別に批判ではありません。特に、ホワイトカラーの雇用管理については、近年菅山真次さんをはじめとして、単発的にはいくつか興味深い研究がされてきてはいますが、こういう形でブルーカラーと対比させて、包括的に描き出した著作は初めてでしょう。私が昨年来追いかけてきたホワイトカラーエグゼンプションまたはむしろホワイトカラーノンエグゼンプションの問題も、こういう大きな枠組みの中に位置づけられることに依って、よりくっきりとその意味が理解されるように思います。ホワエグの問題を論じるあらゆる論者の議論がダメなものであったのは、頭の中にそういう枠組みができてないからなんですね。

女性についても、女性労働論は汗牛充棟とはいいながら、日本の雇用システムの中で的確に位置づけて論じたものってほとんどないんですね。

あと、あんまり中味に関係ないんですが、序章の文章で気になったのは、「会社」と「企業」についてです。野村氏は、

>「会社」と「企業」は実体的には同じものであるが、ニュアンスは異なっている。会社関係者はしばしば「ウチの会社」と言うが、「ウチの企業」とは言わない。「会社」は、そこに従業員が客観的にも主観的にも帰属するものである。それにたいして「企業」は、従業員をそのうちに含んでいるものの、従業員が主観的にもそこに帰属しているというニュアンスはない。日本的雇用慣行は、「会社」と従業員との関係である。本誌では極めて不自然な印象を与える場合を除いて。「会社」という用語を用いる。例えば、「大企業」ではなく「大会社」と標記し、「企業内組合」ではなく「会社内組合」と表現する。

と述べています。これは、日本社会の通常の言語感覚としては全くその通りなんですが、法律用語としては実は逆なんですね。商法上の「会社」とは社員すなわち株主等の出資者だけからなる社団をさし、いかなる意味でも従業員は含まれない。それに対し、「企業」自体は法律用語として用いられることはあまりありませんが、中小企業の定義が従業員300人未満とかいうように、むしろ客観的に従業員を含む概念になっています。この辺、恐らく戦時期の統制立法に企業という言葉がたくさん使われたこともあり、もともとはブルジョワ法的な「会社」概念に対して労資を統合する「企業」概念として使われ始めたはずだと思うのですが、それがいつから逆転して「ウチの会社」というようになったのか、概念史としても」興味深いところだと思います。

まあ、それは余計な話で、いずれにしても、これは労働研究界において久々の大著ですので、是非多くの関係者によって読まれることが望まれます。

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竹中厚労相だってえ!?

なんぼなんでも、それはあまりにも、というのが、

「安倍内閣改造人事 サプライズは竹中入閣(日刊ゲンダイ)」

http://newsflash.nifty.com/news/gendai/tk__gendai_02033112.htm

>竹中氏は経財相や総務相をやった“実績”がある。入閣させれば実務型内閣のイメージを打ち出せます。国民の最大関心事である年金担当の特命大臣か、厚労相を任せれば、雰囲気はガラリと変わる。事務所費の問題はないから、身体検査の必要もありません。安倍首相の周辺では、改造の目玉と考えられているようです(政治評論家・有馬晴海氏)

じ、じつむ・・・。教科書知を絵に描いたようなケーザイ学者が「実務型」ですかあ。

>安倍は政権発足時に竹中からマンツーマンで経済問題のレクチャーを受けている。関係は悪くないし、政権発足後も官邸にチョロチョロと顔を出していた。色気はタップリだ。

それが失敗の源なんですが・・・。

>竹中氏の狙いは日銀総裁ポストでした。来年3月で任期が切れる福井総裁の後がまに座ろうと、水面下では猟官運動も始めていた。しかし、参院で民主党が第1党になり、日銀法で定められている国会の同意が得られる可能性がゼロになった。権力欲も野心も旺盛な竹中氏のこと。安倍に三顧の礼で迎えられるなら引き受ける公算は大きい(事情通)

昨日の西部邁氏の「正論」ではないですが、格差拡大のA級戦犯を格差対策の責任者に持ってこようというのですから、なかなかのブラックユーモアではあります。

つうか、女性機械説けしからんで柳澤現大臣をさんざんぱら叩き付けておいて、竹中厚労相をもてはやすような変にリベラルなマスコミってのが出てきそうだから恐ろしい。そうなったら世も末ですな。(マスコミの皆さん、警告のつもりですぞ)

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2007年8月 8日 (水)

西部邁氏の正論

久しぶりにまた「正論」欄に載った正論を紹介します。今度は保守派論壇の重鎮西部邁氏です。

http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/seiron/070808/srn070808000.htm

参院選結果の評論なのですが、「カイカクに終止符を打て」というメッセージ。

>過ぐる参院選で自民党が大敗した真因は何か。

>その答えは、多くの選挙民が日本国家の現状に、漠たるものとはいえ根強い不平不満を、抱きはじめているということ以外ではありえない。

>小泉改革を頂点とする平成改革は、富者と貧者、大集団と小集団そして中央と地方それぞれのあいだに(国柄から外れているという意味で、過剰な)格差を、少なくともその感覚を、国民意識にもたらした。その被格差感は「公正と安定」から程遠いのが日本国家の現況なのではないか、との疑念をこの列島の津々浦々にまで広めた。

>安倍首相は「構造改革に疑義あり、平成改革は軌道修正さるべし」と、(おそらくは)本心を表明すべきではなかったのか。

>しかし「小泉継承」の立場にいた安倍首相には、平成の構造改革に対決する気力が乏しく、準備も足りなかった。

>かつて小沢一郎氏は「国民は自己責任で生活せよ、“小さな政府”へ向けてカイカクを断行せよ」と叫んでいた。その民主党代表が、今度の選挙では「生活が第一」と宣うていた。カイカクの“弊害”を減らすべく励んでいる安倍首相が、選挙となれば「カイカク断行」と叫ばざるをえなかった。

このへんは、西部氏の身びいきもあるとしても、そんなにポイントを外れてはいないと思われます。私もこのブログで、「安倍政権はソーシャルか?」と問うてみたこともありますが、再チャレンジ政策といった形で打ち出されてきた政策の背後には、ある種の連帯志向の社会政策思想があったことは確かであろうと思われますし、安倍首相自身が意識していたかどうかは分かりませんが、西欧社民主義勢力の中で展開されてきている権利と義務の相補性を強調する新たな福祉社会の考え方と通じるものもあったように感じられます。

ところが、選挙戦で我々が毎日見せられたのは「成長か、逆行か!」「改革か、逆行か!」という小泉・竹中時代張りの二者択一的絶叫で、いささか引いてしまった感はあります。その意味では、安倍政権の政策が否定されたわけではないと首相やその周辺の方々が思うのにも一理はあるのですが、それこそかつてグランドキャニオンに柵がないと偉そうに宣っていた小沢一郎氏に「生活が第一」といわれてしまったら、再チャレンジでは色あせるのも否めないところではあります。

何にせよ、この「正論」は言葉尻に文句をつければいろいろつけられるでしょうが、中味も結構正論です。特に最後に出てくる「保守思想の3つの要諦」は、保守主義者ではない立場から見ても、むしろ正しい改革を進めるべきという立場から見ても、かなり正鵠を衝いていると思います。

>第1に、人間の認識はつねに不完全なのだから、どんな改革にも「懐疑と議論」を差し向けよ。第2に、社会は有機体としての「自生的秩序」を持っているのだから、社会全体への構造改革は国家の自殺行為と心得よ。第3に、(国柄を)保守するための(現状の)「改革」は部分的で漸進的でなければならないのだから、「革命(レボルーション)」には、古き良き価値・規範を新しき状況において「再巡(レボルーション)」させるための〈技術知〉ではなく〈実際知〉が必要と知れ。

最後のところは、近頃の規制改革騒動を考え合わせると、むしろ「〈教科書知〉ではなく、〈現場知〉が必要と知れ」というべきところでしょうが。

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朝鮮人女子勤労挺身隊員

はじめに断っておきますが、これは正真正銘の女子勤労挺身隊員に関する事案です。あくまでも勤労に身を挺した人々の話です。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070808092046.pdf

本件は、勤労動員の一環として女子勤労挺身隊員として来日して軍需工場で就労した当時10代前半だった朝鮮人女性たちが、これを強制連行、強制管理、強制労働だったとして、国と会社を相手取った起こした訴えです。原審名古屋地裁は、これら事実を認め、損害賠償責任があると認めたものの、日韓請求権協定に基づき請求に応じる義務はないとして棄却しており、本判決もそれを維持しています。

この点はまさに国際法の話なので、私如きがあれこれ口を挟むべき筋合いではないのですが、その前の段階で、女子勤労挺身隊がそもそも強制労働だと言ってしまっていいのか、私はかなり疑問です。本件では、行かないと警察がお父さんをつかまえると脅かした云々というような話が出てきて、それが強制連行だという判断につながっているようですが、この制度自体は戦時体制下で日本中の女性に対して大々的に行われたもので、一般男性の勤労動員や学徒動員などとならぶものであって、それをILO29号条約にいう強制労働だといってしまうことには違和感があります。戦時労務動員は多くの国で行われたことであって、いささか安易な議論になっているのではないかと。

本件の社会的背景として、判決の後ろの方に「同一視被害」というのが出てきますが、韓国ではいわゆる軍の慰安婦と女子挺身隊がごっちゃにされ、徹底した男系血統主義の家父長制社会である韓国社会の中で、彼女らが勤労挺身隊員であった過去を隠さなければならず、それを打ち明けたところ、性的に汚された女として、破談になったり離婚されたりしたという事情があるようです。それは確かにひどい話ですが、ひどいのはそういう間違った認識で平気で人権侵害を行う韓国の男たちであって、女子勤労挺身隊という制度自体ではないでしょう。

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最賃目安

暦の上では昨日開かれていた中央最低賃金審議会目安小委員会が、今朝方までマラソン審議の末、遂に目安を決めたようです。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070808it03.htm

東京などAランクで時給19円、以下Bランクが14円、Cランクが9から10円、Dランクが6~7円という具合で、例年に比べればいかにも政策的に奮発した額ではありますが、当初考えていた引上げ額からすると最小限に抑えた額ともいえます。労働側にとっては到底満足のいく引上げ額ではないのでしょうが、まあ、なんといっても与野党の先生方の政略のお陰で、最低賃金法改正案が国会に置き去りにされてしまった中で、そこを何とか引き上げる理屈をつけてやってきたわけですから、まあこんなものでしょう。

それにしても、これからどうするんでしょうか。民主党は例の時給最低1000円とかいう改正案を国会に提出しているんでしたよね。その民主党が参議院で多数なんですから、筋から行くと参議院では民主党案を可決、衆議院では政府案を可決、結局最賃法は改正されないままということになるとか。それはあまりにも・・・。

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2007年8月 7日 (火)

経済財政白書

先週労働経済白書が出たかと思うと、その舌の根も乾かぬうちに(ちょっと日本語違うか)今度は経済財政白書です。

http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07p00000.html

副題は「生産性上昇に向けた挑戦」で、最近の経済財政諮問会議でやたら労働生産性の上昇が唱道されているのと揆を一にしています。第1章は「長期化する景気回復とその先行き」でいわゆる動向編ですが、第2章が副題に対応する「今後の成長に向けた生産性向上と企業行動」、そして、第3章がなんと「労働市場の変化と家計部門への影響」で、もろ労働経済白書とかぶっています。

しかも、ある意味で労働経済白書よりも踏み込んだことを言っています。

話は非正規労働が増えてきて、しかも若年男性では非自発的な非正規が増えて、人的資本形成に差が出てきているというところから始まりますが、そこから派遣法など雇用法制がどう変わってきたかという話になり、解雇規制が失業を増やすかという例のテーマをOECDのデータを使ってやっていて、まあここまではいかにも内閣府やなあ、というところなんですが、その次がなかなかどうして。

雇用形態の多様化に対応した賃金雇用条件の交渉過程というテーマを取り上げているんですね。産業革命で労働組合が生まれ、産業資本家と交渉するようになったという社会政策の教科書を読み直しているような話があって、次にそれを経済理論で分析し、労使が繰り返し交渉して協力する戦略が望ましいという労働経済学の知見が示され、労働組合の賃金プレミアムが2000年以降顕在化してきたことを示して、労働組合の組織率低下の中で、労働組合以外の賃金交渉の仕組みにも言及しています。

このあたり、労働経済白書の問題意識とも響き合っていますが、ある意味より率直に書いている面もあり、たいへん興味深いところがあります。労働組合がないんなら労使協議制を使って労働者の交渉力向上に役立てさせようというわけですね。

最後は経済成長と格差の問題、これもクズネッツの逆U字曲線の話から、近年世界的に格差が拡大していることに説き及び、ワークフェア的な政策対応が論じられるのですが、そこにちゃんと例のデンマークモデルが紹介されています。もっとも、きちんとその批判点も言及しているのは立派です。

>その一方で、こうした制度の他国への導入については懐疑的な見方もある。特に手厚い失業給付や積極的労働市場政策には比較的大きな財政負担を伴い、デンマークのような租税負担が大きい国でのみ適用可能との指摘がある87ほか、デンマークの特殊性として、そもそも転職意識が高くフレキシブルな労働市場になっていること、終身雇用制度はなく同一労働同一賃金の仕組みが存在することも併せて指摘されている88。また、個別の政策ではなく、全体としての改革のパッケージが重要であり、例えば政労使の三者協調の伝統や労働者の平均スキルの向上などが導入の前提条件であったとの指摘もある89。したがって、デンマークのフレキシキュリティの成功を評価する際には、個別の政策のみならず、背景にある社会経済全体の仕組みとその改革の枠組みに着目することも必要であると考えられる。

よく分かってらっしゃる。

しかし、これだけのテーマを扱った第3章を敢えて副題に出さないというところが、政治的な思惑が感じられなくもないですね。

とにかく、去年の経済財政白書もそうでしたけど、最近の経済財政白書は竹中時代の政治的プロパガンダ白書とは明確に一線を画して、大変読み応えのある白書になっています。これも夏休みの読み物に最適です。だんだん増えてくるな。

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欧州議会が最低賃金/所得について公聴会

日本の最低賃金もなかなか難航しているようですが、EUでも最低賃金の問題は最低所得保障の問題ともからみあって大きな論点になっています。

そこで、欧州議会の雇用社会問題委員会は9月12日に「EUにおける社会的統合のための最低賃金/所得の役割」と題する公聴会を開催するようです。

http://www.europarl.europa.eu/meetdocs/2004_2009/documents/dv/programmmehearingminimumwages/programmmehearingminimumwagesen.pdf

まずダブリン財団(日本のJILPTのようなところ)が日米と比較して欧州の最低賃金制度をプレゼンし、メインイッシューは次の通り。

・最低賃金の政策目的は何か?

・最低賃金があることの利益と不利益は何か、最低賃金制度は労働市場に競争の歪みを生じさせるか?

・既存の最低賃金制度はどの程度貧困や貧困のリスクを防ぐのに役立っているのか?

そして討論のテーマは、「貧困やワーキングプアとの戦いにおいて、EUレベルの最低賃金や最低所得に付加価値があるか?もしそうならどんな手段が考えられるか」

次に最低所得保障に関するプレゼンがあって、メインイッシューは上の「最低賃金」を「最低所得」に変えたものです。そして同様に討論。

どういう議論が行われるのか、たいへん興味深いですね。

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2007年8月 6日 (月)

野村正實『日本的雇用慣行』

31930747 臨時ニュースです。このブログでも再三ちらちらと引用したりして予告してきた野村正實先生の大著『日本的雇用慣行-全体像構築の試み』がミネルヴァ書房から出版されました。

453頁で4800円と、物量的にも大著ですが、内容的にも著者自身があとがきで述べているように「本書は、日本的雇用慣行の全体像を明らかにしようとする試みであり、私の研究史理解が正しいとすれば、全体像を明らかにしようとする最初の試み」というべく、まさに畢生の大著と言えましょう。

私も、中味はこれからじっくり読みますので、とりあえず臨時ニュースということで。

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労働経済白書

先週金曜日、今年の労働経済白書が公表されました。

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/07/index.html

今年の白書は、第2章で「人材マネジメントの動向と勤労者生活」と題して、特にJILPTの「経営環境の変化の下での人事戦略と勤労者生活に関する実態調査」をフルに使った分析がされているのが特徴です。も一つ、ワークライフバランスについてもいろいろと情報が載っています。

第3章の「変化する雇用システムと今後の課題」は、昨年の白書では第3章題3節でちょこっと触れていたテーマを、今年は大きく膨らましています。執筆責任者の石水喜夫氏の問題意識がより鮮明に浮かび上がってきているという感じです。

「まとめ」の文章をいくつか引用しておきます。

>経済社会の変化に伴って、成果配分の見直しを行わなくてはならないが、それは、同時に、我が国の雇用システムの見直しを伴うものとなる。
一国の雇用システムは、経済循環における再生産活動を円滑かつ持続的に実現すると同時に、社会の基盤を養い、安定させるものでなくてはならない。我が国の雇用システムについて、今までの姿を振り返ってみると、年功型賃金制度と勤続を重視する長期雇用の下で、雇用を安定させ職業能力を継続的に高めていくとともに、集団主義的な労働関係を基礎に、社会横断的な賃上げによって成長の成果が広く配分され、勤労者生活も充実し、内需の成長による力強い経済成長が実現されてきた。特に、このような経済循環は、高度経済成長期に有効に機能したものである。
しかし、高度な経済成長は我が国社会を急速に成熟化させ、勤労者意識の多様化を生み出した。今日、ものがあふれる豊かさよりも心の豊かさを求める傾向が強まり、経済成長の成果配分では、収入を増やすことよりも自由時間を増やすことの方が志向される時代を迎えている。また、仕事において、自分の能力や個性を生かしたいと願う気持ちは、今後もますます高まっていくものと考えられ、労働者の間では、自分の時間は自分で管理しながら、自主的、自律的に働き、仕事の成果は個々に評価してもらいたいという気持ちが、ますます強まっていくものと見込まれる。
勤労者意識の変化に伴って、労働者の働き方も企業の雇用管理にも、次第に変化が生じてきている。業績・成果主義的な賃金制度については、その運用にあたって、仕事の成果や取組みにあたっての努力が適切に評価されていないと感じる労働者も少なくないが、しかし、仕事の成果や取組みに対する努力を、個々に評価してもらいたいと願う労働者の意識が底流にあり、集団主義的な性格をもっていた我が国企業の労働関係は、今後も個別化の方向に進んでいくものと見込まれる。また、こうした成果を重視した評価システムの広がりによって、労働者の働き方も、自主性、自律性を尊重したものへと変化していくと考えられる。
一方、企業は、勤続を重視する長期雇用の慣行を引き続き重視している。個々の労働者の仕事と能力を評価する賃金制度が整備され、労働関係の個別化は着実に進展しているが、同時に、企業勤続を評価する賃金構造が強まり、結果として、年功型賃金カーブは維持されている。このことは、長期雇用慣行の下で、労働者一人ひとりに関するきめ細かな人事管理が行われ、採用、配置、育成、処遇が相互に密接かつ有効に運営されることによって、企業勤続の高い価値が生み出され、それが賃金制度の中で適切に評価されているということを意味している。また、企業の人事管理方針としても、非正規雇用者を活用しながらも、長期雇用の者を中核的な労働者と位置づける態度に変化はみられないと考えられる。
このように、我が国の雇用システムは、長期雇用を基本としながら、労働関係の個別化が進展するとういう傾向をたどっており、働く者一人ひとりが、職業生活におけるおのおのの段階において仕事と生活を様々に組み合わせ、バランスの取れた働き方を安心、納得して選択できるような柔軟な働き方の実現が、今後、ますます重要な課題となる。
今後の雇用システムにおいては、長期雇用のもつ人材育成機能と雇用安定機能を生かしながら、働き過ぎを是正し、仕事の効率と労働生産性を高め、労働者が日々の仕事に意欲をもって取り組むことができる環境を整備していくことが大切である。また、多くの人々が就業に参加することができるよう、フルタイムの仕事ばかりでなく、短時間勤務や在宅勤務など柔軟な就業形態を整備するとともに、労働者が一生涯を通じてバランス良く働くことができるよう、加齢に伴う一人ひとりの状況に応じた多様な選択肢を用意することにも努めていく必要がある。さらに、仕事と生活の調和のとれた雇用システムの実現は、育児期の女性の就業機会を広げることにもつながり、男女の職業生活における選択肢を豊かにし、少子化対策にも資すると期待される。
仕事と生活の調和を図ることのできる雇用システムの実現に向け、成果配分のあり方を今までの一律的なものから、一人ひとりの働き方に応じたものへと見直すことが重要である。

>我が国における成果配分の今までの展開を振り返ると、高度経済成長期には、集団主義的な労働関係の下で、いわゆる春闘方式による社会横断的な賃上げがもたらされ、1980 年代に労働時間の短縮が社会的課題となると、労働基準法の改正によって、社会全体として労働時間の短縮に取り組む機運も高まった。しかし、経済成長の成果によって、一定の豊かさに到達した今日、一人ひとりの労働者が抱える課題は、多様であり、個別化している。労働者の間に様々な働き方が広がる中で、ある者にとっては労働時間の短縮が課題となり、また、均衡処遇を通じて処遇の改善を望む非正規雇用者もおり、さらに、正規雇用の就職を期待する若者もいる。
労働関係の個別化は、集団的な力関係の下に均衡していた、今までの労使の力学を崩し、成長の成果が労働者全体に行き渡らないという今日の歪みをもたらした。今後は、新たな社会的均衡の回復に向けた取組みが求められるところであり、仕事と生活の調和を図り、一人ひとりの働き方に応じた成果の配分を実現することが重要である。個別企業の労使関係の中に、あるいは、我が国の雇用システムの中に、仕事と生活の調和に役立つ様々な制度を育て、定着させ、労働者がそれを積極的に活用することができる環境を整備することによって、我が国の経済循環において労働者への分配を強化することが大切である。また、このことは、限られた国民所得の分配にあたって、労使の交渉力によって成果を取り合うというレベルで理解されるべきではない。仕事と生活の調和は、今後ますます強まる人口減少傾向の中で、我が国における経済の成長と社会の安定を生み出すために欠くことのできない、社会全体としての対応なのである。人口減少社会への転換に即応した意識改革が求められる。
「ワークライフバランス」をキーワードとして、人口減少社会にふさわしい社会関係の構築に積極的に取り組まなくてはならない。仕事と生活の調和には、次の3 つの社会的な意義があり、その実現に向けた取組みを強化していくことが重要である。
第一に、仕事と生活の調和は、人口減少社会における労働力供給制約に対し、より多くの就業参加を実現することで就業率の向上と労働力の確保に役立ち、効率的な仕事の推進を通じて、労働者の意欲を引き出しながら、高い労働生産性を実現するものである。また、これらは、活発な企業活動と着実な経済成長にも大きく貢献する。
これらの実現に向け、多様で柔軟な就業機会をより広く提供するとともに、そうした働き方の下で、公正な処遇が確保され、誰もが安心して働くことができる労働環境を整備することが重要である。また、働き過ぎを是正し、仕事の効率の向上と労働者の意欲の向上を図るとともに、男性の家事、育児の時間を増加させることで、女性の就業参加の可能性をより一層高めることができる。
第二に、仕事と生活の調和は、生産、分配、支出へとつながる一国の経済循環を、人口減少の下でも円滑に展開させることに役立つ。仕事と生活の調和によって、労働力供給の制約が克服され、労働者への分配がより厚くなり勤労者生活が充実し、消費支出と内需中心の経済成長の実現によって、過度に輸出に依存することのない、安定したバランスのとれた経済循環が達成できる。
これらの実現に向け、賃金コストの削減のみを目的とした安易な非正規雇用活用を是正するとともに、若年者に正規雇用の雇用機会を拡大し、長期的な視点に立った職業能力の形成と、それに見合う着実な処遇の改善が求められる。また、就業形態間の均衡処遇を通じて、労働者の意欲と生産性の向上を図ることが求められる。さらに、労働者が仕事と生活のバランスの取れた働き方を安心、納得して選択できるような柔軟な働き方の下で、勤労者生活にゆとりを取り戻し、生活の安定と安心の下で、消費支出の着実な拡大も期待できよう。政府は、安定した経済成長の実現に向け、景気動向の正確な把握に基づき、機動的な経済運営を図りつつ、中長期的な経済成長力の強化に取り組まなくてはならない。また、そのことが、企業の長期的な視点に立った計画的な人材の採用、配置、育成を支えることになる。
第三に、仕事と生活の調和は、経済活動の前提である我が国社会の基盤を養い、安定させるものである。男女のバランスのとれた就業参加を通じて、結婚や子どもを持つことに対する希望の実現に役立つことが期待でき、また、労働者の自由時間の増大によって、地域社会の諸活動における担い手も増え、家庭や地域といった社会的な基盤を確固たるものとし、人口減少時代の社会の安定に役立つものである。
これらの実現に向け、長時間労働を抑制するとともに、育児や介護を支援する地域社会の取組みを充実させ、安心できる社会的基盤のもとに、労働者が、日々健康に仕事に取り組み、次世代が健やかに生み育てられることが重要である。また、就業を含む様々な社会参加の道を広げ、特に、高齢者が、自らの健康状態など、一人ひとりの状況に応じて、社会に貢献できることが大切である。さらに、地域社会における様々な社会貢献事業を、我が国社会全体として支援することによって、豊かな社会的基盤の中から優れた人材が多数輩出され、我が国経済の多様で活力に満ちた発展が実現されることが期待される。特に、こうした取組みは、今までの会社での職務経験に過度に傾斜した人生を送ってきた人々とは違う、感性が豊かで、問題解決能力に優れた人材を育てることに有効であると考えられる。
我が国社会は、今後強まる人口減少の未来を見据え、緊密な政労使のコミュニケーションとその強固な信頼関係の上に、仕事と生活の調和に向け積極的に取り組んでいくことが望まれているのである。また、こうした取組みによって、一人ひとりが生き生きと働くことができる雇用システムを構築することが重要である。

この最後のあたりは、本文の最後の一節が大変よく書かれていますので、そちらも引用しておきます。

>以上、みてきたことをまとめると、企業は長期雇用にメリットを感じそれを維持していこうとする意向が強い。また、そのデメリットである人件費負担や景気動向に応じた柔軟性の確保については、非正規雇用を活用することや業績・成果主義的な賃金制度を導入することにより、それを乗り越えようとしていることがうかがえる。
一方、労働者側の意識をみると、雇用情勢が悪化する中で長期雇用をよい制度だとする意向が強まっているものの、そのような傾向が中長期的にあったとは言い難い面もあり、平均勤続年数は若年層を中心に低下する傾向にある。その背景には、労働者が求めている仕事と生活のバランスがとれた働き方は、現状の雇用システムの中では実現が困難であるという現状への反発があることも考えられる。
正規雇用にみられる長い勤続やフルタイムの働き方は、職務経験の充実を通じて労働生産性を高めることに大きく寄与する。その結果として、勤続年数でみた賃金は、勤続年数が高まるほど賃金が高くなるプロファイルを描くこととなる。ところが、労働者の意識からみれば、第2 章第3 節で検討してきたように、勤続年数の高まりや労働時間の長さは、労働者自身にとっては仕事への満足感を引き下げる要因にもなると考えられる。仕事と生活のバランスを図ることで、仕事への満足感と高い労働生産性とをバランスよく生み出していくことが求められていると言えよう。
また、現在の雇用システムの中での非正規雇用の働き方は、勤続年数が短いため、勤続を通じて職務経験を積み上げることが難しく、将来的にも正規の職を得ることが困難である。このため、安定したキャリア・パスを歩むことができないのが現状である。特に、不安定な就業を繰り返している若年層の非正規雇用者について、その正規雇用化に取り組むことが重要である。
持続的な経済の成長を実現していくためには、労働者がその持てる能力を十分に発揮することで高い労働生産性を実現し、より多くの人々によって社会を支えるという視点から就業率を高めていくことが不可欠である。あらゆる人が参加できる柔軟性をもった雇用システムの下で、仕事を通じて職業能力を高めることができ、個々人の状況にも配慮しつつ生活時間とのバランスのとれた柔軟な働き方を実現していくことは、人口減少社会という我が国のおかれた環境下において、取り組むべき重要な課題であるといえるだろう。その際、進展する情報通信技術を活用し、就業環境の整備に努めつつ就業の場を広げていくことを検討することもできよう(コラム参照)。
働く人々すべてが充実した勤労者生活を営むことができるよう、仕事と生活の調和を図ることのできる雇用システムの構築を通じて、持続的な経済の成長と公正な付加価値の分配を実現していくことが大切である。

周知のように、白書がこうやって世の中に出るまでには、霞ヶ関村内部や永田町方面などいろいろな波瀾万丈のやり取りがあるわけですが、(昨年もそうでしたが)相当に石水色が濃厚に残った白書に仕上がっています。夏休みの読み物としての最適です。

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2007年8月 3日 (金)

フルキャストを事業停止に追い込んだ港湾荷役

今朝の朝日はなんと日雇い派遣市場と球場名市場を地獄への道グッドウィルと二分する大手のフルキャストが事業停止命令を受けたという記事が一面トップでした。

http://www.asahi.com/national/update/0802/TKY200708020381.html

>厚生労働省は、人材派遣大手のフルキャスト(本社・東京都渋谷区)に対し、3日に事業停止命令を出す方針を固めた。労働者派遣法で禁止されている港湾荷役業務に、労働者を派遣していたとみられる。これまでも禁止業務への派遣を繰り返しており、全事業所が事業停止の対象となる可能性が高く、一定期間新たな派遣ができなくなるため経営に影響が出そうだ。

 関係者によると、フルキャストの関西の事業所が今年5月、数人の労働者を港湾地区での荷役業務に派遣したという。労働者派遣法では安全確保の理由などから、港湾や建設、警備といった業務への派遣を禁じている。

だあからあ、朝日の記者さん、いつになったら日本のヤクザ史を勉強してくれるんですかあ?

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_2170.html

前にも書いたように、安全を云うなら、製造業にも危険有害業務は山のようにあります。いや確かに「アブナイ」世界なんですが、安全衛生的にアブナイんじゃないんです。

何か手ごろな本はないかなあと思っていたら、ちょっと偏向していますけど、こういうのがありました。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480818287/

近代ヤクザ肯定論ー山口組の90年 宮崎学

史上最大のヤクザ組織、山口組の歴史と実態に迫る!神戸の沖仲仕の群れから生まれた小さな組が、4万人の巨大軍団へと変貌をとげた、その原動力とは。

第1章 山口組の誕生―仲仕からヤクザへ
第2章 振興山口組の発展と衰退―米騒動から敗戦まで
第3章 闇市の混沌のなかから―窮民アウトローとしての出発
第4章 港の顔役―山口組の港湾支配
第5章 大衆芸能の裏側―美空ひばりと山口組
第6章 高度成長と全国制覇―頂点に立った山口組
第7章 被差別民の前楯、後楯―被差別部落・在日コリアン社会とヤクザ
第8章 対抗権力としての近代ヤクザ―山口組壊滅せず
第9章 近代ヤクザの変質と終焉―日本のヤクザが終わるとき

全港湾の関係者あたりからはいろいろと異論のあるところだと思われますが、一つの歴史叙述としては参考になります。

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2007年8月 2日 (木)

労働から見た日本の20世紀システム

構造計画研究所が9月11日に開催するKKE VISION2007というイベントの中で、標記のようなテーマでお話しをします。

http://www.go-event.info/kv2007/program.php#TRACK-J

私の出るトラックのテーマは「公文システム論による21世紀のあるべき姿」で、公文俊平先生、田中明彦先生に私が報告して、パネルディスカッションという予定です。与えられたテーマが21世紀なのに、わざわざ20世紀の話をしようというところがいかにもつむじが曲がっていますなあ、このおっさん。

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労政行政の未来

地方労働行政に携わっている人たちの集まりでの講演です。例の基軸の話ですが、出席者の大部分が労政・労働委員会部門の人々であることから、いささか木に竹を接いだみたいですが、最後のところで労政行政に関する思いを若干述べています。人によっては、これって言い杉!と思われるかも知れませんが。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/jichirokouen.html

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力士の労働者性

朝青龍問題については一般紙スポーツ紙こぞっていろいろ書いてるのでいまさら付け加えることなんかないのですが、ケガしたから仕事休みだと言って遊んでいたから懲戒処分で出勤停止かつ減給ということは、力士は労働者だってことのようですな。正当な理由なく巡業という業務に就くことを忌避したことがけしからんということなんでしょう。

品位とか品格とかふわふわ語を取り除いてみれば、日本相撲協会という使用者との間で使用従属関係にありその指揮命令(具体的には直属の上司たる高砂親方という管理職の指示)に従わなかったことが問題だということなんであって。

いやだから、労働法的には別に問題はないんですよ。ただ、これで力士が労働者ではなく、独立自営業者だなんて言われては困ると言うだけのことであって。

ちなみに、民法の方々には疾うに周知のことと存じますが、旧民法においては、「角力、俳優、音曲師其他ノ芸人ト座元興業者トノ間ニ取結ヒタル雇傭契約ニ之ヲ適用ス」(265条)という規定がありました。現行民法制定時にもこれらが外れたわけではありません。

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2007年8月 1日 (水)

まだ在宅勤務の話

参議院選挙の硝煙さめやらぬ昨日、内閣府経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会が開催されたようでありますが、どんな大テーマに踏み込んだかと思いきや、まだ在宅勤務の話にかかずりあって、今度は厚生労働省の役人を呼んであれこれとやってたみたいです。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/11/agenda.html

資料として通達やらなにらやいろいろ出ていますが、まあ労働マニアとしては突っ込みどころ満載で非常に面白いテーマではあるんですが、これだけの有識者集めて何回も論ずるようなテーマかね、という気が若干しないでもないですが・・・。これがテレワーク全般から労働者性の問題まで広がっていけば、相当ワイドな話になるんでしょうが、雇用契約を前提にした在宅勤務に限っているらしいので、そうするとせいぜい労働時間制度くらい。

この問題については、人事院で「国家公務員のテレワークに資する勤務時間の在り方に関する研究会』というのが開催されています。資料や議事要旨もここにあります。このあたりを読んで参考にされても宜しいんじゃないでしょうか。

http://www.jinji.go.jp/kenkyukai/telework/top.html

それともしばらくはこういうみみっち系の話題でつないでいくという戦略なんでしょうか。労働ビッグバンは遠くなる一方ですね。

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解雇規制とフレクシキュリティ

日本労働弁護団が出している『季刊労働者の権利』の7月号に、、標記のような文章を載せました。

http://homepage1.nifty.com/rouben/sonota/mokuji03.htm

ていうか、まだ実物は見ていないんですけど、HP上で紹介されているので、刊行はされたようです。

私の他に、小宮文人先生、土田道夫先生と石田信平さん、野川忍先生、野田進先生が寄稿していて、あと弁護団の大竹判例分析チームによる「大竹判例分析に異議あり」というのも載ってるようです。数日中には届くでしょう。

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