連合はなぜ過半数組合の権限拡大に反対したのか
昨日都内某所で某研究会。
そこでちょいと話題になったのが、昨年労政審労働条件分科会で、就業規則不利益変更の合理性判断を過半数組合や労使委員会の合意にかからせようという提案に連合が反対した件。
もちろん組合の立場からして、組合とは別の労使委員会なんて得体の知れないものに権限をやれるかという反応をするのはまあ当然で、別段不思議ではないのですが、不思議なのは過半数組合、つまり自分たち自身にそういう権限を与えようという提案をも、そんなのいやだといって蹴ってしまったことです。
ここにはいろんなファクターが絡んでいて簡単には論じられないのですが、労政審の特に終盤にいたって、労働者の集団的利益を擁護する労働組合自体の政策判断よりも、労働弁護士の個別労働者の利害を最優先する考え方が優越してしまったことの問題点は、きちんと総括しておかなければならない点だろうと思います。そしてその背後にあるのは、労働法をほとんど個別労働者の労働契約法だと考えるような今日の労働法学の偏りもあるように思われます。契約原理だけでいくんだったら民法があれば十分で、労働法なんて要らないでしょう。
今日、労働法を抜本的に見直す必要があるとすれば、それは何よりも忘れ去られつつある集団的労使関係法の原理を、誤って個別労使関係法だと思いこまれている就業規則法理に再注入することから始まるはずだと私は思うわけで。
これはだいぶ前にここにちらと書いたことがあります。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_45db.html
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/04/post_faba.html
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