ソクハイユニオン
JILPTの内藤忍さんが、「メッセンジャーの労働組合」というコラムを書いています。
http://www.jil.go.jp/column/bn/colum079.htm
メッセンジャーというのは、「都心などにおいて自転車で緊急の書類を主に企業から企業へと運ぶ仕事をしている人々」だそうです。阿部真大さんが書いたバイク便じゃなくて、自転車便の方なんですね。彼女自身も「大学院生時代にメッセンジャーとして働いていたこともあり、この業界の就労実態には関心を持ち続けてきた」とのことで、その就労実態や組合結成のいきさつなどについて興味深い記述がされています。
やはり問題だなと思われるのは、
>メッセンジャーは、まず、本社のセンターから携帯電話で配送の仕事を指示される。事実上、彼らに諾否の自由はない。勤務時間は指定されており、営業所における朝礼が日課となっている。業務で使用する携帯電話は指定会社のものを使用しなければならず、最初に業務に就くときは、数日間の研修を受けなければならない。そして、本人に代わり他人が労務を提供することは契約で禁止されている。欠勤や遅刻をすればその日数に応じて歩合率が下がる。また、本人たちが手にする平均的な歩合報酬は、必要経費を引けば、時間単価で一般のアルバイトの時給と大して変わらないうえ、他社の業務に従事することは事実上困難である。さらに、服装や髪型などに関する細かい服務規程が存在する
と、労働者性が極めて高い就労実態であるにもかかわらず、
>彼らは会社と「運送請負契約」を結び、「個人事業主」として扱われている。したがって、仕事中に交通事故に遭っても労災補償は受けられず、そのため、個人で保険料全額自己負担の傷害保険に加入しなければならない。また、個人事業主扱いゆえに、雇用保険などその他の社会保険も一切ない。それどころか、仕事で使う自転車、その整備費用、携帯電話料金、地図やペン・メモ帳など全て、個人が自分で全額負担しなければならず、月にかかる必要経費は数万円にもなるという。また、一日の配送業務の終わりには、伝票整理作業を営業所で行うことになっているため、1日の実質的な拘束時間は 11時間以上に及ぶ。毎日 100km近く走って疲れきっても有給休暇の一日も与えられない
という状況にあることでしょう。そんな中で、
>今年 1月、連合東京のアドバイスのもと、バイク便大手の株式会社ソクハイで働く自転車便スタッフ(メッセンジャー)が中心となって、労働組合ソクハイユニオンが結成され、
>団体交渉を通じて、従来配送人が負担してきた費用(運送に伴う印紙税代)を会社負担とすることや、業務上事故に遭った配送人の一部につき、低額ではあるが会社から独自の補償を受けられることを合意した
というのは大きな一歩であることは間違いありません。
ソクハイユニオンのブログというのもあるようです。
http://sokuhai-union.blogspot.com/
ポケットベル使用料の天引きが不正ではないか、など他にもいろいろと問題があるようです。
« 地獄への道はグッドウィルで敷き詰められて・・・ | トップページ | 教育の職業的意義 »
コメント