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国民生活白書

今年の国民生活白書のテーマは「つながりが築く豊かな国民生活」だそうで、家族のつながり、地域のつながり、職場のつながりに分けで論じられていますが、ここで取り上げるのはもちろん3番目の職場のつながりです。

http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h19/10_pdf/01_honpen/index.html

まず現状分析として、

>職場における人のつながりは、企業の業績向上にも好影響を与える可能性が高い。

>職場の人とのつながりを持ちたくても持てていない人がいる。4人に1人が職場の人と仕事以外でも付き合いたいと考えながら、実際にはそのような付き合いができていない。特に、若年層パート・アルバイトでその傾向が強い。

>若年層を中心に勤続年数が短くなるなど、職場と人のつながりは弱まっている。

>一方で、労働時間が二極化し、働き盛りの正社員を中心に、職場における時間的な拘束が強まっている人もいる。

と述べ、そういった事態をもたらした背景として、まず企業側の雇用方針の変化として、

>日本的雇用慣行の見直しや雇用の非正規化など企業側の雇用方針は変化している。

働き方や勤労に対する意識の変化として、

>職場内のIT化の進展などにより、個人単位で仕事をする機会が増えている。

>若年層を中心に会社人間的な考え方は弱まる傾向にある。

を挙げています。また、職場のつながりの変化による影響としては、まず身体の疲れやストレスへの影響として、

>正社員では職場における時間的拘束の強まりや人とのつながりの弱さから、パート・アルバイトでは雇用の不安定さから、身体の疲れや仕事のストレスを感じている。

コミュニケーション不足として、

>約4分の1強の人が社内コミュニケーションを不十分と感じている。

>職場でのコミュニケーションや助け合いの不足は、働く人のメンタル面にも影響している可能性がある。

人材育成機能の弱まりとして、

>4人に1人が若手の育成に手が回らなくなったと感じている。

といったことを指摘しています。

そして、職場のつながりの再構築に向けた新たな動きとして、ワーク・ライフ・バランスなどいろいろ紹介されているのですが、やはり注目しておきたいのは、ITベンチャー企業の

>「安心して長く働ける会社」であることを若手社員や学生にアピールするとともに・・・

とか、人材情報サービス会社の

>、正社員とパート・アルバイトの交流を目的に会合を開催している・・・職場で一体感を持って仕事に取り組む雰囲気が醸成されている・・・

電子部品カタログ販売会社の

>アルバイトや派遣社員も含めた社員の能力向上を目的に、・・・企業内大学を開講している。会社全体の業務の流れを把握できるようになった、講座をきっかけにコミュニケーションが活発化したなどの成果が上がっている。

といった、上っ調子にビッグバーーーンしたりせずに、長期的な人間関係の構築と技能の向上を図るという日本的雇用システムのコアをしっかり再確立しようとする会社の姿です。

内閣府の中からこういう適切な指摘がされることは大変時宜を得たもので、多くの国民の目に触れることが望まれます。

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 平成19年の国民生活白書が発表されました。サブタイトルは「つながりが築く豊かな国民生活」です。  長年の伝統ある国民生活白書ですが、今回の白書は「つながり」という着眼点もよく、なかなかいい白書に仕上がっているのではないかと思います。  まず、生活全般の満... [続きを読む]

受信: 2007年6月27日 (水) 07時43分

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