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2007年6月

フレクシキュリティ

去る6月27日、欧州委員会が予告通り、フレクシキュリティに関するコミュニケーションを出しました。

http://ec.europa.eu/employment_social/emplweb/news/news_en.cfm?id=263

正式には「フレクシキュリティの共通原則に向けて:フレクシビリティとセキュリティを通じたより多くのよりよい仕事」という題です。

その共通原則とは何かというと、

1.EU雇用成長戦略と欧州社会モデルの強化、

2.権利と責任のバランス

3.フレクシキュリティを様々な環境、必要、課題に適応させる

4.非正規の、不安定な雇用にある者(アウトサイダー)と常用フルタイムの者(インサイダー)のギャップを減らす

5.被用者が(内部)キャリアの階段を上るとともに(外部)労働市場を移動することを援助することで、内部及び外部のフレクシキュリティを発展させる

6.ジェンダーの平等と万人の機会均等を支援する

7.労使間、公的機関及び他のステークホルダー間の信頼の空気を促進する

8.フレクシキュリティ政策のコストと利益を公正に配分する

といったところのようです。

見るからに様々な政治的立場の妥協の産物なわけですが、やはり外部労働市場のフレクシキュリティ一辺倒ではなく、内部労働市場のフレクシキュリティをきちんと位置づけている点が重要でしょう。

この問題は引き続き丁寧に追いかけていきたいと思います。

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船員労働委員会の廃止?

一部官僚系ブロガーの間で国土交通省の組織再編の話題が盛り上がっているようですが、人様の組織のことにあれこれ口を挟むものでもありますまい、と生ぬるく見守っているつもりでありましたが、こういう話になってくるとやはり一言・・・。

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2007062800050

>国土交通省は28日、海難審判庁を航空・鉄道事故調査委員会と統合し、陸・海・空の事故調査や分析を横断的に行う独立組織「運輸安全委員会」(仮称)を新設する方針を固めた。特に海難事故について再発防止に向けた提言機能を強化する。これに合わせて外局の抜本的な再編を進め、海運関係の労使紛争を調停する船員労働委員会については、一定の役割を果たしたとして廃止する方針だ。
 同省は観光立国の推進に向けた体制強化のための新組織「観光庁」の設置も検討している。こうした外局再編は今夏の2008年度予算概算要求と組織・定員要求に盛り込む考えだ。

観光庁でも何でも好きなように作ればいいけど、「海運関係の労使紛争を調停する船員労働委員会については、一定の役割を果たしたとして廃止する方針」ですか・・・。

いや、組織財源として船中労委の事務局長ポストを使いたいというのは分かるのですが、海運関係の労使紛争はどこが対応するという構想なのでしょうか。その「運輸安全委員会」がやるのでしょうか。船員労働委員会の法律上の根拠は労働組合法でありまして、その委員は公労使の三者構成でなければならないのですが、運輸安全委員会というのは三者構成にするということなのでしょうか。

もしかして、件数も少ないんだし中労委で一緒にやってよ、ということだとすると、その組織財源は中労委に持ってきていただくのが筋のような気がいたしますね。

いずれにしても、本件は行政組織面のみの検討では足りない側面がありますので、慎重な検討を期待したいと思います。

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労務屋さん on 三者構成

先日のエントリーで紹介した、23日の労働政策研究会議について、労務屋さんに取り上げていただいています。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/2007_ebdc_1.html

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20070627

このうち、特に会議後のレセプションで話題になったテーマに言及しておられるところが、実は一番重要だったりします。

>会議ではあまりおおっぴらには言われませんでしたが、終了後のレセプションなどの場で多くの出席者が指摘していたのが「政労使の力量不足」ということでした。・・・

>労働条件分科会の運営で厚生労働省事務局にかなりの失策があったことも否定できないとは思いますが。

>使用者サイドとしても、なにせ奥谷禮子さんが分科会委員に出ているくらいですから、力量不足は否定できないでしょう。・・・

>労働サイドにも難しい事情があるように思います。会議の議論では代表性が注目されていましたが、そもそも運動論としての問題もあるでしょう。

この最後の点については、労務屋さん自身の審議会における経験を踏まえて、こういう風に言っておられたのが印象に残っています。

>代表性についてもちょっと妙な感じがあって、私はおそらく連合は正社員以外のパートや有期契約社員、派遣社員などについてもその代表たらんとしていろいろ努力しているのだろうと思っています。ただ、私自身が参加している審議会の部会でもそういうきらいがあるのですが、それらの組織の活動家が傍聴にきているせいもあってか、議論の内容と無関係であっても一通りそうした組織の利益を主張しなければ代表者としての正当性が確保できないと思っているのではないか?という印象を受けます。私が具体的に経験した例として、雇対法改正を議論している部会で、直接関係のない均等待遇などの話を労働者代表委員が繰り返し持ち出して、議論が進まなかったということがありました。

ここはさらに突っ込むといろいろと論点のあるところでしょう。

最後の

>考えてみれば他の省庁の審議会は軒並み形骸化している(失礼)わけで、まじめに3者構成でやっている労働政策審議会はまだしも機能しているほうではないかという気もします。

という点については、私も、フロアとの質疑で、花見先生の辛辣な「隠れ蓑じゃないか」というご発言に対して、私が「他の役所の審議会は100%隠れ蓑だが、労働省の審議会は3分の1しか隠れ蓑にならない。労使を説得しないと通らない」とお答え下記憶があります。

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継続的契約の更新拒否

これは労働法の判例ではありません。しかし、へたな労働法の判例よりもはるかにものごとを考えさせてくれます。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070627111154.pdf

平成19年06月19日 福岡高等裁判所判決 地位確認等請求控訴事件(平成18(ネ)868)です。

本件は,Y会社の発行する「Y新聞」(「わが国有数の発行部数を誇る新聞」だそうです)の新聞販売店を経営するX1が,Y会社がした新聞販売店契約の更新拒絶には正当な理由がないと主張して,Y会社に対し,新聞販売店契約上の地位を有することの確認を求めるとともに,Y会社が継続的取引関係における供給者側の優越的地位を濫用し,同Xの営業権を違法に侵害したとして,不法行為に基づく損害賠償請求をした事案です。

原審は,X1の地位確認請求を認容したが,Xらの損害賠償請求をいずれも棄却したので、Y会社及びXらがともに控訴したのですが、

本判決のコアは次の通り。

>新聞販売店契約は,新聞の宅配という重要な役割を特定の個人に独占的に委託することから,Y会社でもそれなりに信頼できる者を人選して締結しているはずである。そして,X1は,平成2年11月に,約1200万円の代償金を支払って,Y会社と新聞販売店契約を締結し,その後更新を続けて,平成8年8月1日には,本件新聞販売店契約を締結したことから,Y会社は,同Xを新聞販売店を経営する者として適任であるものと判断していたといってよい。
他方,X1としても,その後も店舗確保のために新たに建物賃貸借契約を締結し,当該建物の増改築に資金を投下したりしていること(上記1( )イ),また,Yh店の経営のために従業員を雇用し,セールス業者に4報酬を支払い,販売拡大のために景品等を提供するなど,相当多額の投資をしてきたことが認められ(甲17,原審でのX1本人),もとよりYh店での営業を生活の基盤としていることは明らかである。そうであれば,Y会社が継続的契約であるX1との本件新聞販売店契約の更新をしないというためには,正当な事由,すなわち,X1が本件新聞販売店契約を締結した趣旨に著しく反し,信頼関係を破壊したことにより,同契約を継続していくことが困難と認められるような事情が存在することが必要であるものというべきである

そして、Y社側が挙げる更新拒絶の理由を悉く否定していきます。

>X1の虚偽報告の程度は決して軽視することのできないものであり,その責任も軽くはない。まして,同Xが上記(イ)のような誓約書を提出したこともあることを考えれば,なおさらである。しかしながら,上記(イ)のようなY会社の新聞販売店に対する態度などに照らせば,Y会社が,X1の虚偽報告をもって本件新聞販売店契約の更新拒絶の理由とすることを容認することはできない。むしろ,上記1( )ないし( )及び2( )ウの諸事実に照らせば,Y会社の本件新聞販売4 6 1店契約の更新拒絶は,ある意味ではX1がYh店の区域分割の申入れを断ったことに対する意趣返しの面があり(同Xが分割に応じていれば,契約更新をしていたと思われる。),また,同分割申入れの背景にSらとIとが意思を通じた策動の如きものが窺われることを考慮すると,Y会社の更新拒絶に正当な事由があるとはいい難い。

>しかしながら,同Xの拒否の動機が虚偽報告の発覚をおそれたことにあるとすれば,虚偽報告に至る背景やそれについてのY会社の姿勢等も合わせて考慮すべきであり,その虚偽報告には酌量すべき諸事情があること,本件の場合,帳票類の提示拒否によってY会社が受ける不利益は虚偽報告を発見できなかった点にあるところ,虚偽報告自体が更新拒絶の理由とはなり得ない以上,帳票類の提示拒否だけを取り出して,更新拒絶の正当事由とすることはできない道理である。・・・

そして、結論として原判決を変更し、地位確認請求に加えて損害賠償請求も認容しました。

いやあ、しかし、「継続的契約である」新聞販売店契約の更新拒絶に正当事由、つまり、「新聞販売店契約を締結した趣旨に著しく反し,信頼関係を破壊したことにより,同契約を継続していくことが困難と認められるような事情が存在することが必要」であるというのなら、同じように継続的契約である有期労働契約の更新拒絶に同様の正当事由は要らないのですか?と聴いてみたくなる気もしないでもありません。

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家庭生活と学生生活の両立

欧州議会男女平等委員会が去る6月19日、標記のような報告を採択しました。

http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?pubRef=-//EP//NONSGML+REPORT+A6-2007-0209+0+DOC+PDF+V0//EN

正式には「EUの若い女性が家庭生活と学習期間とを結合することができるような措置のための規制的な枠組みに関する報告」であって、いろんな要求を挙げています。

幼い子供を持つ学生に学生保険を作れとか減税せよとか、学校に保育施設を作れとか、教育課程を柔軟化せよとか、つまり学生生活を普通のワークライフバランスでいう職業生活と見なして家庭生活との両立を可能にしなければいけないという発想です。

実際、女性が高学歴化していく中で、学生生活が家庭生活と両立しがたいものであれば、それもまた少子化の原因になるわけですから、当然の指摘ではありますが、問題は学校の先生方が、企業の人事担当者並みに社会的責任を感じてくれるかどうかではないかと思います。そういう感覚はまるでない人々が多いという印象を受けていますもので。

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この会議は規制改革会議で、規制緩和会議ではない

規制改革会議の委員さんにもいろいろあるということで・・・。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2007/0416_02/summary041602.pdf

規制改革会議の質の高い国民生活の実現WG第1回福祉・保育・介護TFの議事概要ですが、 

>麻田課長:現行法令上では、原則として労働者の権利として育児休業の分割取得が認められていないということの理由についてだが、まず、大前提として、育児・介護休業法は、どんな中小企業でも守らなければいけないという最低基準を定めている。企業の中でこの最低基準を上回る取り組みをされることは全く自由で、制度的な制約は全くない。分割取得というか、育児休業を一旦終了した後で、再度取得させるという仕組みを作ることは全く問題ない。

法律上の最低基準としては、一旦育児休業して、それを終了した後で、再度取得をするということは原則として認めていない。例外として、2回目の育児休業の必要性が高いと考えられる場合は、例外の措置として再度の取得が可能となっている。このような特別な事情以外で、再度育児休業を取得するということについて、確かに無いことはないと思う。

しかしながら、育児休業を取得させるということは、仕事や人のやりくりを事業主がするということで、その負担が必ず生じる。その事業主の負担ということと、その分割取得を認めなければならないというニーズがどの程度あるのか、バランスをよく考えなければならない。

ところで、今回、規制改革会議から規制強化的なご提案をいろいろと頂いている訳だが、企業側からどのような要望があったのか知らないが、経営への影響やその必要性について、企業側の認識を把握されるのも必要ではないか。

>白石主査:まず、この会議は規制改革会議ということで、規制緩和会議でないということは、国民の便益を最大化するためには、緩和策だけではダメではないか。国民の安全を守り、生活の質の向上をはかるための規制を強化する点があっても良いのではないかというもとに名前が変わったと聞いている。労働者の権利を守る高めるためには、若干の規制強化も検討の俎上に上るのではということ。また、これまで、何人かの有識者や企業のヒアリングは行っている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いやあ、「一部に残存する神話のように、労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方」を持ち、とりわけ「過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となるなどの副作用を生じる可能性もある」ということも弁えず、「ごく初歩の公共政策に関する原理すら理解しない議論を開陳する向き」は、「行政庁、労働法・労働経済研究者など」だけではなく、規制改革会議の内部にも獅子身中の虫の如く存在しているではありませんか。

まずは規制改革会議の内部でご意見を統一してから外に出されても罰は当たりますまい。

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マースデン『雇用システムの理論』

4757121644 邦訳が持ち望まれていたデイビッド・マースデンの『雇用システムの理論』が、宮本光晴・久保克行両氏によって遂にNTT出版から翻訳刊行されました。

邦訳の副題は「社会的多様性の比較制度分析」ですが、原書の副題は「社会的多様性のミクロ的基礎」。そう、単純素朴な新古典派経済学初等教科書の人間観にとらわれて、「ごく初歩の労働問題の原理すら理解しない議論を開陳する向き」には、とてもいい解毒剤になるでしょう。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4757121644.html

宣伝文句は「アメリカ・イギリス型市場経済対ドイツ・日本型市場経済の二項対立からは見えてこない「資本主義の多様性(ヴァラエティ・オブ・キャピタリズム)」を解明する。来るべき時代の労使関係論」だそうで、「雇用システムに関する比較制度分析の決定版!欧州型」とひとくくりにされる雇用システムの多様性を明らかにする」と述べています。

第1部 雇用システムの理論(雇用関係;経営者権限の限界;雇用ルールの普及の優位性;分類のルールと雇用システムの統合)

第2部 実証分析の結果と人事管理への含意(データからみた雇用システムの多様性;業績管理;報酬とインセンティブ;技能と労働市場の構造)

第3部 結論(雇用システムと企業の理論:社会的多様性)

念のため申し上げておきますが、上記のような奇矯な方だけでなく、およそ労働問題に関心を持つ人には必読の書です。

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国民生活白書

今年の国民生活白書のテーマは「つながりが築く豊かな国民生活」だそうで、家族のつながり、地域のつながり、職場のつながりに分けで論じられていますが、ここで取り上げるのはもちろん3番目の職場のつながりです。

http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h19/10_pdf/01_honpen/index.html

まず現状分析として、

>職場における人のつながりは、企業の業績向上にも好影響を与える可能性が高い。

>職場の人とのつながりを持ちたくても持てていない人がいる。4人に1人が職場の人と仕事以外でも付き合いたいと考えながら、実際にはそのような付き合いができていない。特に、若年層パート・アルバイトでその傾向が強い。

>若年層を中心に勤続年数が短くなるなど、職場と人のつながりは弱まっている。

>一方で、労働時間が二極化し、働き盛りの正社員を中心に、職場における時間的な拘束が強まっている人もいる。

と述べ、そういった事態をもたらした背景として、まず企業側の雇用方針の変化として、

>日本的雇用慣行の見直しや雇用の非正規化など企業側の雇用方針は変化している。

働き方や勤労に対する意識の変化として、

>職場内のIT化の進展などにより、個人単位で仕事をする機会が増えている。

>若年層を中心に会社人間的な考え方は弱まる傾向にある。

を挙げています。また、職場のつながりの変化による影響としては、まず身体の疲れやストレスへの影響として、

>正社員では職場における時間的拘束の強まりや人とのつながりの弱さから、パート・アルバイトでは雇用の不安定さから、身体の疲れや仕事のストレスを感じている。

コミュニケーション不足として、

>約4分の1強の人が社内コミュニケーションを不十分と感じている。

>職場でのコミュニケーションや助け合いの不足は、働く人のメンタル面にも影響している可能性がある。

人材育成機能の弱まりとして、

>4人に1人が若手の育成に手が回らなくなったと感じている。

といったことを指摘しています。

そして、職場のつながりの再構築に向けた新たな動きとして、ワーク・ライフ・バランスなどいろいろ紹介されているのですが、やはり注目しておきたいのは、ITベンチャー企業の

>「安心して長く働ける会社」であることを若手社員や学生にアピールするとともに・・・

とか、人材情報サービス会社の

>、正社員とパート・アルバイトの交流を目的に会合を開催している・・・職場で一体感を持って仕事に取り組む雰囲気が醸成されている・・・

電子部品カタログ販売会社の

>アルバイトや派遣社員も含めた社員の能力向上を目的に、・・・企業内大学を開講している。会社全体の業務の流れを把握できるようになった、講座をきっかけにコミュニケーションが活発化したなどの成果が上がっている。

といった、上っ調子にビッグバーーーンしたりせずに、長期的な人間関係の構築と技能の向上を図るという日本的雇用システムのコアをしっかり再確立しようとする会社の姿です。

内閣府の中からこういう適切な指摘がされることは大変時宜を得たもので、多くの国民の目に触れることが望まれます。

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EU基本条約再生?

フランスとオランダの国民投票で否決されてからずっと瀕死状態だったEU憲法条約ですが、去る21,22日のブリュッセル欧州理事会で、「憲法じゃない」新条約という形で、何とか再出発したようです。政府間会合(IGC)の設置が承認され、再び議論が始まります。

http://www.consilium.europa.eu/ueDocs/cms_Data/docs/pressData/en/ec/94932.pdf

この後ろに、議長国ドイツが提案し、合意に至ったIGCのマンデートが載っていますが、できるだけ憲法条約に盛り込まれた成果は生かしつつ、大したものではないというふうにしようという気持ちがにじみ出たものになっていますね。「法律」とか「枠組み法律」とか言ってたものも元の規則や指令に戻されています。

ETUCがこれを歓迎する声明を出しています。

http://www.etuc.org/a/3752

が、「悪魔はいつも細部に宿る」(The devil is always in the details)と述べて、今後慎重に精査していくとも述べています。

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労働保険で年金を確認

読売の記事ですが、

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070625it01.htm

>政府・与党は24日、年金記録漏れのうち、厚生年金加入者に関する記録の持ち主などを特定する方法として、雇用保険の加入記録を利用する方針を固めた。雇用保険の加入者情報は、厚生年金の加入者をほぼ網羅するためだ。25日に初会合を開く有識者による「年金記録確認中央第三者委員会」が7月中旬にも策定する記録確認の運用指針(ガイドライン)でも、この方針を採用する見通しだ。

ということです。

>代替の証明として活用できれば、「厚生年金の加入記録が見つからず、加入を証明する書類もない」という加入者の多くに役立つことになる。具体的には、本人の申し出に基づき、厚生年金に加入していた期間に相当する雇用保険の加入情報を参照する。会社勤務の事実が証明できれば、年金の支給に結びつける考えだ。記録の参照は、本人の承認を得ることを条件とする方針だ。

現在、雇用保険と労災保険は徴収を一元化していて、基本的には労働基準監督署ベースで保険料を徴収するという仕組みです。サーベルで摘発する行政が保険料を徴収するためか、収納率はかなり高いのです。叩けばほこりの出る会社としては、払わないでいると基準法違反でやられるかも、と思うのでしょうか。今回の話は年金の記録漏れ対策ということですが、いっそ厚生年金の徴収もこちらに一元化してしまった方が効率的かも知れません。国税への一元化という民主党案は省を跨いでしまいますが、これだと同じ厚生労働省内部で済みますし。

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判例評釈:いよぎん事件

週末に発売された『ジュリスト』1337号に、私の判例評釈-「特定労働者派遣事業において登録型雇用契約は可能か?」が掲載されています。有名な伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件を取り上げました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/iyogin.html

派遣労働をめぐる裁判例のうち、一番いろいろと論点の多い事件ですね。労働側の担当弁護士は有名な中野麻美さんですが、どういう感想を持たれるか興味深いところです。

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2007年労働政策研究会議

去る23日(土曜日)、日本労使関係研究協会の2007年労働政策研究会議が開催され、午後のパネルディスカッションに参加しました。

http://www.jirra.org/kenkyu/year.html

ここで発表した私の報告を掲載しておきます。なお、これは他の論文やディスカッションの要約記録とともに、日本労働研究雑誌の増刊号に載る予定です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/2007jirra.html

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金正日と日本の知識人

41dcrowtpdl_ss500_ 何でこんなエントリーがこのブログにあるのかいぶかしくお思いの方もおられるでしょうが、この本の著者の川人博氏は過労死、過労自殺問題で有名な闘う人権派弁護士です。

私が『ジュリスト』に書いたニコン・アテスト事件の評釈が会社側の証拠として提出されたりしたこともあり、いささか微妙な(というか下手すると敵対するような-私は評釈の形をとって法政策論を論じたのであって、そういうつもりは毛頭ないのですが)関係であったりするのですが、

http://homepage3.nifty.com/hamachan/atestnikon.html

これはそういう労働弁護士としての活躍とは別の、川人氏のもう一つの顔が現れています。

http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1498975

>姜尚中は金正日のサポーターか――
政治学者と人権弁護士が「諸君!」「週刊朝日」で繰り広げたマスメディア騒然の大論争の核心がここにある。類似の発言を続ける知識人の責任を問う!

>なにを「主張する」かではなく、なにを「する」かが喫緊の問題なのだ。
六者協議の進展を図りつつ「拉致問題」の解決をすることが荊棘の道であることを、日本人は知っている。著名大学教授は、<虚妄>を説き論点を巧妙にズラしている……。

第1章 姜尚中氏は、民衆とともに闘え
第2章 知識人の責任を問う
第3章 苦悩する在日と私
第4章 拉致被害者を救い、北朝鮮に人権の旗を
第5章 アジアの人権と平和を求めて
エピローグ 被害者救出と金正日独裁体制の崩壊をめざして

雑誌『諸君』で始まり、『週刊朝日』で繰り広げられた姜尚中氏との論争に加えて、和田春樹、佐高信氏ら、口では人権を言いながら北朝鮮にはダブルスタンダードを使う知識人たちを片っ端から叩きのめしていて、痛快な本です。

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規制改革推進のための3か年計画

本日、規制改革推進のための3か年計画が閣議決定されました。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2007/0622/index.html

もとになるべき答申から労働がすっぽり抜け落ちてしまっているのですから、計画でも労働という項目はないのかなと思いきや、これがちゃんと入っているから不思議です。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2007/0622/item070622_02-14.pdf

どういう項目かというと、

14 労働

(1)派遣労働をめぐる規制の見直し等

① 紹介予定派遣以外の労働者派遣における事前面接の解禁【平成19 年度中に検討】

② 派遣労働者に対する雇用契約申込み義務の見直し【平成19 年度中に検討】

(2)雇用の流動化等に対応した環境整備。【平成19 年度中に検討】

といったもので、例の「脱力をもたらす」意見書の影はほとんどなく、それ以前の答申や計画をそのまま持ってきてなんとか形を整えたという感じです。

どういう政治プロセスでこうなったか興味深いところです。

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法務省が先に考えていた!?

外国人労働者問題を巡る私のつぶやきみたいなエントリーに、続・航海日誌さんを経由して、スズロゴトさんがさらに深く突っ込んでいただいています。

http://d.hatena.ne.jp/chikuma_jp/20070618#p2

片隅の微少なブログにつらつら書いていただけなら霞ヶ関の権限争いの一方の立場に立ったような書き方でもよかったのですが、意外に広い範囲の方も読みに来られるということを前提とすると、もう少し公平な記述を心がけないといけませんね。

私のブログ、だけではなく多くのこの問題を扱った書物も、政府部内で最初に外国人雇用許可制をぶちあげたのは労働省の研究会という風に書いてあるのですが、実を言うと、その1年ほど前に法務省が内部的に検討し、新聞にリークするということもあったのです。

日本経済新聞1986年12月6日夕刊「じゃぱゆきさん規制へ立法 法務省検討 雇用者への罰則盛る 許可制導入、営業停止も」

日本経済新聞1987年2月14日「外人労働者へ門戸開放研究 単身を原則 3年間限度 法務省 労働省は反発」

その翌年の労働省のが正式の研究会の報告であるのに対して、こちらは入管局内部のプロジェクトチームの提言に過ぎないので、いささかレベルは違うのですが、入管局への許可制を考えていた法務省にとって、あとから職安への許可制を打ち出した労働省が「ウザイ!」という気持ちは分からないでもないです。

私の見た限り、これが政府部内における最初の提案ということになるようです。

(参考)

日本労働年鑑 第59集 1989年版 特集 日本における外国人労働者問題

http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/rn/59/rn1989-041.html

>この間題でたえず先行的な役割をはたしてきているのが、外国人の出入国管理業務を直接になっている法務省である。八六年一二月六日、法務省は、二年後の立法化をめざして、「雇用者に対する営業停止など罰則を盛り込んだ特別法『外国人労働者雇用者事業法案』(仮称)」の立法化の検討に入った。

>八七年二月には、プロジェクト・チームの提言をまとめている。そのおもな内容は、外国人単純労働者の導入は、「日本への定住を避けるため在留期間は三年程度にかぎる、単身の″出稼ぎ″を原則として、家族の入国は認めない」というものであった。

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企業譲渡指令改正への労使への第1次協議

ひさしぶりに、EU労働法のコア部分に関わる立法動向です。

企業譲渡指令(通称既得権指令)の改正に関する労使団体への第1次協議が、去る6月20日に行われたようです。

http://ec.europa.eu/employment_social/social_dialogue/docs/cross_border_transfer_en.pdf

これは、国境を越えた企業譲渡の場合に、どちらの国の法律が適用されるかという国際私法的な問題に関わるものです。本指令はEU加盟国に共通の法規範ですが、そこで用いられている被用者とか雇用契約とかの概念は加盟国法に委ねられています。また、本指令は企業譲渡の際雇用契約が譲渡先に移転されるべきことを定めていますが、労働者がそれを望まない場合に、譲渡元企業に残るかどうかは加盟国法に委ねられています。国境を越えた企業譲渡の場合、これら適用されるべき国内法が食い違い可能性があり、そこのところを手当てすべきではないかというのが協議の趣旨のようです。

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労働3法案は断念?

国会の会期が12日延長になり、労働3法案にも成立の芽が少しが出てくるのかな?と期待していましたが、やっぱりそうは問屋が卸してくれないようです。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070622AT3S2101P21062007.html

うーーむ、「労働国会」だったはずなんですが・・・。労働法案など政局の前には鴻毛の軽き・・・。

まあ、ザッツ・ポリティクス!ってわけですか。いかに連合が民主党に投票しても、そこんとこだけ与党と協力して通してあげるというわけにはいかないと言うことなんでしょう。

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労働市場改革専門調査会が外国人労働問題を論議

経済財政諮問会議が6月8日に厚生労働省、経済産業省及び法務省の担当官を呼んでヒアリングし、ディスカッションした議事録が公開されています。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/09/work-s.pdf

前半は各省からの説明ですが、その後核心的な議論に入っています。

厚労省案と経産省案の相違点である研修生の労働者性の問題について、樋口先生の発言を皮切りにホットな議論が展開されています。

>(樋口委員) 八代会長のご指摘の第1点目について是非聞きたいが、経済産業省の研究会案では、1年目は研修制度として、ここは労働者性は認めないということであったが、労働者性を認めることの問題点はどこにあると考えているのか。更に、認めない場合には、最低賃金を含めて労働関連法は適用にならないが、実費程度の研修手当ということで問題点はないと考えているのかどうかお聞きしたい。

>(佐藤委員)今の樋口委員の1 点目の質問に関連して、経済産業省の説明では、この研修の仕組みを技能移転のためのものとしながら、同時にこれは建前であるとも言われた。その建前の下で労働力確保を図る仕組みとして考えているにもかかわらず、最初の1年は研修としている。それは一つの考えだとは思うが、技能移転のためのものだと考えたときに、どのような仕組みが良いかについて議論すべきだと思う。経済産業省は、技能移転は建前だが、他方で労働力確保が必要だと考えているのか、また、研修、労働力確保といいながら、賃金不払いや残業をさせているなどの問題を、先ほどご説明いただいた提案の中で解消できると考えているのかどうかを伺いたい。

>(経済産業省)それでは、経済産業省あての一番重要な質問は労働者性の点ではないかと思っている。まず、佐藤委員からの、研修生を実質的に労働者と見ているのかというお尋ねである。制度の趣旨としては労働者ととらえていないが、これは建前であり、実質的に中小企業を含めた生産現場の活性化に役立っているという点はそのとおりである。御参考までに、昨日の国会での議論をご紹介する。「外国人研修・技能実習制度は、国際貢献の制度といいながら、ものづくりの中小企業の格安労働力の確保のために使われているのではないか。」という質問に対して、大臣は、「あくまでも、この制度は相手国の発展に資するような技能移転を図っていくことが建前である。本当に建前化してしまっているのであれば、本音で労働力確保のためにやればいいとの指摘かもしれないが、中小企業といえども歯を食いしばって頑張るところは頑張ってもらわなければならないのであり、低賃金で3K職場のことは外国人にやらせようという精神は、国際社会の中で尊敬される地位を築かなければならない日本としては、歯を食いしばってもそういう策は取るべきではない」という認識であり、この建前を外してしまったときのダメージを非常に懸念している。

・・・この点については、この研究会での全体の認識としては、働いているときはうまく労働法規を適用して、研修時は適用しない。例えば研修時間の座学に最低賃金法を適用すると、おそらく中小企業はできるだけこれを減らしていこうというインセンティブになる。現在はそういうインセンティブになっていない理由は、研修中は住居費等も全額企業負担になっており、研修計画を定めて、それに対して一括して企業がお金を出す仕組みになっており、企業側にとって研修の有無でコストが変わってくるわけではないのである。他方、研修生も、例えば日本語研修をサボって働けばたくさん給料がもらえるわけでないので、そのようなインセンティブが働かないのである。そういう仕組みの中で、研修制度が成立しているのであり、悩ましいところではあるが、とりあえず今の研修制度を維持して、その研修がしっかりできる枠組みをつくっていこうという方向性の議論を出したということである。おそらく、ここの問題は、前述の趣旨をわかってきちんとやろうとしている企業にとっては研修型の方が明らかにいいということだと思う。ただし、ここはしり抜けしようとするとしり抜けできてしまうところがあるので、それを防止するためには労働者にしてしまった方がいいというところであり、なかなか中間的な解決が見つからなかったので、とりあえず、この研究会としては研修を維持することとしているが、それがベストの解決策だと思っているわけではない。

>(樋口委員)確認だが、「とりあえず」と、「ベストではない」との発言について、「とりあえず」ということは早晩見直す必要があると認識していると考えてよろしいか。

>(経済産業省)これは研究会報告だが、役所の立場としては、これを一つの足場として関係省庁と議論をするということであり、その過程で当然いいところをお互いに取り入れていこうという発想になると思っているので、そこがしっかりできればいいと思う。実際のところ、極めて争点だけをクリアーに言えば、座学研修は労働か否か、最低賃金が適用されるか否かという点の整理なのではないかと思う。

ぎりぎり突き詰めるとそういうことになるでしょうね。

このあとで、労働法学者のはずの小嶌委員がややピンぼけな発言をします。

>(小嶌委員)質問ではなく意見になるが、3省のお考えを聞くと、法務大臣も経済産業省も研修制度を存置と考えておられる。そうすると、研修制度はやはり意義があるのではないかという感じもする。研修制度を廃止することにより、本当の労働者保護になるのかどうかは疑問であり、最初の時点から労働者にしてしまうというのは、少し行きすぎではないかという感じがする。トレーニングは本来、無給であってもおかしくはない。最近の米国映画にも、6か月間完全に無給というものがあった。映画で取り上げられたのは外国人の研修ではないが、外国人だけ特別に扱っていいかという疑問があるのと、一般に研修という場合、工業高校の生徒が対象となる研修もあるし、大学生の研修もある。大学も研修生を受け入れているし、他大学に受け入れてもらうときもある。その場合に、最初から有償であって、かつ労働者として扱うという姿勢でうまくいくかどうか、つまり外国人の研修について労働者として扱うとした場合、他の研修にも影響が出ないかという懸念がある。その点だけ申し上げておきたい。

これに対して、労働経済学者のはずの樋口委員が的確なコメントをしています。

>(樋口委員)おそらく外国人だから特別に扱うのではなく、研修が実態として研修ではないというところに今問題があり、それをどうするかは、やはり基本的な問題として考えていくべきだろうと思う。その上で、事実関係を確認したいが、先ほど経済産業省から、1年目は座学があるからなかなか実習として扱えない、労働者性をかけられないという説明があったが、日本人労働者についても企業の強制する座学については、労働者性がその間に発生していると思うが、そうではないのか。事実関係として、一般の企業で行う座学と企業が従業員に対して強制する座学を受ける期間はやはり労働者性が発生しているように思うが、いかがか。

>(経済産業省)まず山川委員の御質問だが、企業が強制する研修であれば当然、労働者として扱っているとの認識をしている。研修制度の場合の問題は、1つは要するに全研修のうちの3分の1という、かなりの時間を座学することになっており、それは国が強制をしている。それをどうすればうまくやれるかという部分だと思う。繰り返しになるが、この部分を突き詰めると、小嶌委員からも指摘があったが、その性格論はさて置き、理想の姿を言えば、研修としてしっかりやっているところはまさに研修として、それを実態として労働者として使っていれば、それは労働者として扱うというのが一番いいのだろうが、実際にこの整理をするのは極めて困難である中で、どちらを取るかという選択だと思う。その中でとりあえずだが、やはり研修という仕組みにした方が、技能移転がしっかりできるという当初の目的に沿っているという判断をしたということである。それが質問の1点目への回答である。

>(厚生労働省)先ほどの経済産業省への質問に関連して補足させていただくが、厚生労働省の研究会で命題となった実務研修中の保護についてだが、まさに実務研修はOJT訓練と何ら変わらない、そういうことから区別が付かず、研修生の保護を図る観点から、やはり労働法を適用することが求められるのだろうという結論である。一方、日本語教育等の座学については、当然この研究会でも必要だとしている。座学の部分の扱いは、これから制度設計をする段階で、また色々と検討しなければいけないと思っている。ただ、事実関係としては、経済産業省も回答しているように、日本の企業であれば、業務命令としての研修行為であれば、当然、労働基準法の適用があり、実態としては、日本人の若者も、給料を支給されながら研修を受けるのではないかと思う。

それが現行法の解釈としては正しいのです。

その他、より大きな問題として、井口委員が繰り返し「このローテーション方式が十分に機能していると考えているのか」「労働法を適用すれば、ローテーション方式が機能するようになるというような性質の問題ではない」と抜本的な見直しを求めているのに対して、各省ともリラクタントな姿勢で、いささか苛立った井口委員は

>(井口委員) 再度、2点質問させていただきたい。先ほどローテーション方式の件で質問したが、各省の認識は、まだ不十分だと思う。ローテーション方式の下では、研修生や技能実習生は、特定の企業に縛り付けられているので、ある意味で低い労働条件や賃金分野から動けないわけである。動けない背景には、受入れ先企業の分野では、国内で必要な人材を入手できないからこそ、研修生、技能実習生を受け入れている側面もある。そのように特定の企業に縛られているため、搾取的なことが起きやすく、東アジア諸国でも同様の問題が多発している。もし、特定の企業から動くことができるなら、自動車産業で働いている日系人のように、より高賃金の分野に行った方が得である。このことについては、第7回の専門調査会では、私のプレゼンテーションの中で、各種のデータや相関分析の結果を用いてご説明した。特定企業に縛り付ける方式であるからこそ問題が生じているのであるから、問題が起きたときには、早くこれをキャッチして、場合によっては、その企業から研修生や技能実習生を移動させることを考えないと、本当の意味の救済策にならない。労働法を適用して罰則をかけても、何か月もトラブルに巻き込まれた研修生本人たちを救済することにはならない。したがって、ローテーション方式の限界をしっかりと認識いただけないか、というのが1点である。2点目は、低労働条件の分野で研修を受けている人たちが多いのであるからこそ、とにかく、労働法あるいは最低賃金を適用することは、最低限の措置として必要ではないかと思う。その点について、各省が共通認識を持っていただけないものであろうか。例えば、繊維業と水産加工における低い労働条件を是正することはできなくても、少なくとも最低限の労働条件だけは適用するということで、各省間で合意していただけないのだろうか。しかし、労働法を適用するだけでは不十分なのは、山川委員もおっしゃっていたとおりである。

これに対して、

>(厚生労働省)・・・井口委員の御指摘に答えていなかったが、ローテーション方式の問題点は、確かに井口委員がおっしゃるとおり、二律背反的なものがあり、研修・技能実習だから企業が特定できる反面、そこがタコ部屋的になったり、悪質な拘束的な労働になっているケースがある。厚生労働省の研究会の委員からも、井口委員と同じように、やはり移動が認められないことが問題の大きな原因であるという指摘があった。ただし、移動を可能にすると、例えば、縫製業で働いている方が、どんどん賃金の高い業種に流れていくという現実も出てくるのではないかという状況があり、あとは現行制度の中でどうやって技能実習生、研修生が相談をしやすくする、あるいは監督指導をしやすくするかということをやっていかなければいけない。

この辺はあちらを立てればこちらが立たずで、なかなか難しい問題です。

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上級公務員の給源

人事院人材局が「平成19年度国家公務員採用 I 種試験の合格者発表」を公表しています。

http://www.jinji.go.jp/kisya/0706/saigo.htm

この中で注目されるのはやはり、

>合格者の系統別・学歴別割合(〔 〕内は昨年度) 

法文系 ・・・・・ 大学:72.3% 〔 79.1%〕   大学院:26.9% 〔 20.8%〕 (うち専門職大学院:15.0% 〔 9.6%〕)

というところでしょう。着実に専門職大学院を初めとする大学院組が拡大してきているようです。

役所も長らく、「官能性」で白紙の状態の学卒者を採用し、OJTで先輩が鍛えるという日本的雇用管理でやってきたわけですが、そろそろ曲がり角なのでしょうか。実際、外国に出ると、カウンターパートはみんなマスターは当たり前、ドクターもぞろぞろみたいな感じですから、彼我の学歴格差を是正するという観点からは意味があるのは間違いないですが。

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日本郵政グループ労働組合

JPU(かつての全逓)と全郵政が統合を決めたと報じられています。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070621AT3S2101021062007.html

これによって、「日本郵政グループ労働組合」となり、単組としては日本最大の労働組合になります。もうすぐ民営会社になることもあり、過去のしがらみを引きずるのはこの辺でやめようということになったのでしょう。

かつての総評と同盟の対立の激しい時代を記憶している人にとってはいろんな意味で感慨無量でしょう(ていうか、私自身、もはやその世代ではありませんが)。もっとも、ここ20年近くは同じ連合加盟組合としてほとんど同じような路線を取ってきていたので(郵政民営化に対する対応もほとんど同じようなものでしたし)、公共サービスをめぐるアピールにも顔を揃えてきていましたから、その意味では遅まきながら収まるところに収まったということかもしれません。

同じようにかつて組合間の対立の激しかった国鉄が、JRになった今でもかつての(というか、いささかねじれた形でですが)路線闘争を引きずり続けているのを見ると、どこでどう道を選べば良かったのか、逆に郵政はどこがうまくいったのか、政治学的研究の好事例ではなかろうかという感じがします。

ま、いずれにせよ、「将来は非常勤職員の取り込みなどで30万人を目指し、10月に民営化で発足する日本郵政(西川善文社長)への交渉力を強化する」ということですので、期待していきたいところです。

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日本経団連の提言

日本経団連が「豊かな生活の実現に向けた経済政策のあり方」と題する提言を公表しています。「経済政策」といっていますが、内容的には労働社会政策に関わるところが大きいものになっています。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/051.pdf

基本的な認識は「日本は依然として、国際的にも豊かで、また、経済的な格差も比較的小さい社会である。しかし、先行きを楽観視してばかりもいられない。少子高齢化などによる成長力の低下、就職氷河期に不安定就業化・無業化した若年者の問題など、将来に向けて懸念される課題は多い」というものです。

具体的には、「若・中年者の不安定就業化・無業化の影響」については、

>将来に向けて懸念される第2の問題は、いわゆる就職氷河期に社会に出た若年者が、不安定就業化あるいは無業化していることによる影響である。90 年代後半以降、日本経済が、かつて経験したことのない長期にわたるデフレに陥る中で、多くの企業は長期雇用をできるだけ維持するために、新卒者採用を大幅に絞り込まざるをえなかった。この時期に高校や大学などを卒業した若者の中に、やむをえずパートタイム労働者、派遣社員といった形で就業したものも少なくない。例えば、90 年代半ばから2000 年代はじめにかけて、いわゆるフリーターの数が大幅に増加している。また、同じ時期には、高校や大学を卒業してから進学も就職もしない無業者の割合も大きく上昇した。こうした傾向を背景に、いわゆるニートと呼ばれる、学校等を卒業してからも職に就かず無業でいる若者の増大が、新たな社会現象として注目されるようになった。2002 年以降、日本経済が息の長い回復を続ける中で、新卒採用への需要は劇的に改善し、バブル期並みの水準にまで達している。これと並んで、いわゆる第2新卒などの需要も拡大し、これらの結果、フリーターの数は減少に転じている。また、無業者の比率も、着実に低下している。学卒者を中心とする若年者の雇用問題は、景気回復に伴い、改善しつつある。
問題は、就職氷河期に社会に出て、結果として不安定就業化あるいは無業化した層が取り残されるおそれがあることである。実際に、フリーターの総数は減少しているが、学卒でフリーターとなる数が減る一方で、比較的年齢の高い層のフリーターはあまり減少しておらず、いまや中年フリーターが増えつつあるという分析もある。また、同様の傾向がニートにもみられる。かねてより、日本の人材育成や職業訓練は、企業などにおいて常勤者として働く中で、企業内訓練、OJT(On the Job Training)を中心に、職業能力や社会人としてのスキルを身につけるという形をとってきたが、その裏面の問題として、パートタイム労働者、登録型派遣社員といった人々の場合は、職業能力を形成する機会が十分に得られないことが少なくない。不安定就業や無業のまま、年齢を重ねれば、就職機会や処遇などの面でますます不利となることが懸念される。こうした状況を放置すれば、不安定就業化・無業化した若・中年者が低所得階層への滞留を余儀なくされ、将来にわたって、所得格差が拡大することになる。そうしたことになれば、経済力への不安が一因となって結婚になかなか踏み切れず、非婚化・晩婚化の進行を招くおそれもある。これが、少子化傾向を加速し、将来の労働力人口の減少、ひいては成長力の低下をもたらすこととなる。
また、低所得者層の子女が、所得面での制約から十分な教育を受けられないことがあれば、世代間にわたる貧困の連鎖が生じる懸念さえあり、このような事態を防ぐ必要があることは論を待たない。

「構造的な生活困窮者の増加」については、

>第3の懸念材料は、高齢化の急速な進行、経済社会の変化などを背景に、構造的な要因によって生じる生活困窮者が増加傾向にあることである。これにより、社会の中における格差が拡大、定着することが懸念される。

>日本のジニ係数は、1999 年から2002 年にかけて0.0263 ポイント上昇したが、その要因を分解すると、その約65%は人口構造の高齢化によるものであり、約25%は世帯の構成人員数が減少したことによるものである。すなわち、日本の所得面における不平等の度合いは、みかけ上増加しているが、そのうち約90%は、「世帯主の年齢構成の変化=高齢化」と、「世帯人員の変化=小規模化」によるものであり、なかでも、人口の高齢化が大きくかつ深刻な要因となっている。

>こうした構造的な生活困窮者の増大によって、生活保護の受給者が増加している。生活保護は、生活に困窮した人々の暮らしを支える最終的なセーフティネットである。被保護実人員の伸び率は、景気回復に伴い減少傾向にあるものの、いずれにしても、生活保護世帯が増加している状況は望ましいとはいえない。

そして、今後の経済政策として、「イノベーションの加速や人材の質的向上・有効活用などを通じて、人口減少下でも高い成長を実現しうる新しい「日本型成長モデル」を確立し、持続的かつ安定的な経済成長を実現すること」を挙げつつも、

>しかしながら、若・中年層の不安定就労化・無業化、構造的な生活困窮者の増加といった問題については、マクロ経済環境を良好に保つだけでは完全に対処できない面もあり、成長の果実を国民各層に広く行き渡らせつつ、全体の底上げを図っていくために、就業能力の向上や、真に必要なセーフティネットの整備などの政策をきめ細かく展開していかなければならない。

と述べ、どこぞのノー天気な成長さえすればすべてマンセー的な議論とは一線を画しています。

まず、「不安定就業化・無業化している若・中年者の就業能力向上・就業促進」については、

>このように足許で若年層の雇用情勢は大きく改善しているが、これにより、若年層の不安定就業化や無業化などに伴う問題が、全面的に解消していくわけではない。いわゆる就職氷河期の90 年代半ばから2000 年代はじめにかけて大きく増加したフリーター、ニートに代表されるような不安定就業化・無業化した若・中年層については、適切な政策対応をとらない限り、根本的な解決には至らないおそれが強い。近年、適職への再挑戦を希望している若年者が増加していることなども鑑みれば、景気回復が続いている今こそ、とくに20 代という職業人としての基礎を固めるべき年代において職業能力を向上させる機会に恵まれなかった人や、経済的な自立を目指しながらその機会に恵まれなかった人が、必要な就業能力や社会人としてのスキルを体得することができるような就労促進策を推進することが、重要な課題である。本年4月の経団連提言「官民協力による若年者雇用対策の充実について」で指摘したように、労働市場における需給調整機能の強化や、企業の採用・処遇の見直しが不可欠である。依然高水準にある不安定就業化もしくは無業化した若・中年層などの経済的自立を促し、所得や生活水準を引き上げることは、格差の固定化を防ぎ、結果として成長力の維持・強化につながる。

と述べ、

具体的には政府に対して、「労働市場における需給調整機能の強化」と「職業能力向上を通じた就労促進型のセーフティネットの構築」を軸とした対策を進めることを求めるとともに、企業の自主的な取り組みとして、

>まず若・中年者等への就労機会の提供や処遇制度を見直していくことが求められる。若・中年者に対しては、①新卒採用に偏る採用を見直し、既卒者やいわゆる第二新卒者を通年で採用する仕組みの活用、②中途採用をより容易にするため、年齢などを偏重した賃金制度から、仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度への転換、③いわゆる非正規社員を正社員に登用する仕組みの整備などの点について、それぞれの企業の実情に即して自主的に見直していくことが重要である。加えて、学校教育から労働市場への移行サポートとして、企業の積極的な協力を要するものとしては、インターンシップや職業観醸成プログラムへの積極的な参画、教職員の民間企業研修への協力が挙げられる。
こうした自主的な取り組みの一環として、2007 年2月に政府が打ち出した「成長力底上げ戦略」に盛り込まれている「人材能力戦略」への協力も求められる。既に実施されているトライアル雇用制度や、2007 年度にモデル事業が開始される「実践型人材養成システム」の実施状況を踏まえつつ、多くの企業が協力できる形での「職業能力形成システム」(ジョブ・カード制度)の普及促進を図っていく必要がある。また、大学・専門学校等における「実践型教育プログラム」を開発していく際に、企業の知見を反映させることも有効と考えられる。

>さらに、より根本的な観点から、貧困の世代間連鎖を防ぐことを考えるならば、教育の果たすべき役割をより重視していく必要がある。低所得者の子女が低所得層に滞留することを防ぎ、次世代の健全な育成、機会の均等を目指すためには、家庭内において必要な学習を行う習慣づくりは当然として、とりわけ初等中等教育段階における公教育の信頼回復・機能強化は重要な鍵を握る。また高等教育については、例えば、回収の厳正化・債務保証制度の見直しを前提とした奨学金、授業料・入学金等の貸付制度の拡充をはじめ、国立大学における特別枠(学費免除)の設定、学費減免を行う私学に対する補助の拡充の検討など、経済的側面での支援を思い切って進めていくことも必要である。

と述べています。

さらに、「福祉政策の考え方」として、

>高齢者世帯、単独世帯、母子家庭などが増加傾向にあるなかで、生活困窮者に対する福祉政策は欠くことができない。なかでも生活保護制度は、資産・能力等すべてを活用しても、なお生活に困窮する者にあまねく適用される基礎的なセーフティネットとしての重要な役割を担うものである。保護の実施機関である都道府県・市は、本来保護を必要とする者が、制度に関する知識や理解が不十分なこと、あるいは、手続きが煩瑣であること等の理由で、保護の網から漏れることがないよう、細心かつ的確に制度を運用していくことが望まれる。しかし、生活保護の目的は、あくまで最低限の生活を保障するとともに、自立を助長するものでなければならない。生活保護が自立自助の意志を減殺し、「貧困の罠」となることはなんとしても避けなければならない。したがって、被保護者の経済的自立を促す施策をさらに充実させていくべきである。このため、生活保護基準について、低所得世帯の消費実態等を踏まえて見直しを行うとともに、勤労可能な世帯に対しては、収入の一部を手元に残す勤労控除について、基礎控除、特別控除、新規就労控除等のあり方を見直し、より就労インセンティブが働く仕組みにしていく必要がある。
あわせて、先に述べた職業能力の向上や、地域における若者支援の拡充といった雇用・労働政策、地域の雇用創出を目指した地域活性化政策等を総合的に活用し、構造的な生活困窮者を減少させることができれば、その結果として、格差の固定化の防止にも寄与していくと考えられる。

と、明確にワークフェア的な思想を打ち出しています。

一方、社会保障制度については、「社会保障制度を通じた再分配政策は、所得格差を是正する機能を有するが、その反面、社会保障制度を維持するためには、大きなコストを要することを忘れてはならない」「それが過大に行われることにより、国民負担率が上昇すれば、経済成長が阻害され、その結果として、国民の生活水準を低下させ、また、既にみてきたように、かえって種々の経済的格差の解消にマイナスの影響を与えかねない」と釘を刺し、

>したがって、公的年金・医療・介護など、国民生活のセーフティネットである社会保障給付を、経済の身の丈にあったものにしていくことで、さらなる国民負担率の上昇を回避していくことが重要である。

>適切な再分配機能を維持しつつ、社会保障給付を真に必要とされるセーフティネットにできる限り絞り込むことを通じて、社会保障給付総額の伸びを、少なくとも人口の高齢化の進展を踏まえた経済成長率(高齢化修正GDP 成長率)程度に抑制すべきである。

と主張しています。

最後のところで、こう述べているのは、日本経団連の立ち位置をよく示していると思われます。

>生活困窮者の増加を防ぎ、低所得者層が世代を越えて固定化されないようにすることは、それ自体重要な政策目標のひとつであり、そのために雇用・労働政策の強化、教育・人材育成の充実、社会保障・福祉政策の効率的・重点的実施など、総合的な手立てが講じられるべきである。そのために経済界も、応分の責任を果たしていかなければならない。
しかしながら、格差是正を重視するあまり、行き過ぎた再分配政策が行われれば、努力と成果の享受の関係が不明確になり、勤労意欲やリスク挑戦的な企業家精神が殺がれることになる。同時に、社会保障や税などの国民負担が上昇すれば、かえって成長が鈍化するおそれが強い。このように国の活力が失われるなかで、結果として「貧困の中での平等」は達成されるかもしれないが、それは多くの国民が望むことではない。

>、いま求められているのは、経済政策における軸足の転換である。さらなるグローバル化や人口減少という大変化のなかで、豊かな経済社会としての地位を維持していくためには、何よりもまず、結果の「平等」に過度にこだわるのではなく、「公正」に重きを置きながら、個人の努力や勤労の価値を何よりも尊重することを通じ、経済の成長力の強化を図っていく必要がある。同時に、必要なセーフティネットを効率的に維持し、国民生活の安心を確保することが求められる。

経営者側の政策アジェンダとしてみれば、大変よくバランスのとれたものになっていると思います。これと労働側や消費者など一般国民側の意見とがさらにバランスされることによって、(「公正」すら目の仇にするような一部のへんてこりんな連中のかけ声に踊らされるよりはよっぽどまともな)政策が実現していくでしょう。

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経済財政改革の基本方針2007

いわゆる「骨太の方針」が昨日の経済財政諮問会議で答申されました。正式名称は標題のとおりです。内容はこのブログで何回か取り上げてきましたので、ここでは省略します。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0619/item1.pdf

「美しい国」へのシナリオ、というのが副題で、これはまあご愛敬ですが(民間議員が文句をつけたとかどうとか言う報道がありますが、つまらんことをいうものです。これこそ首相の言うように「趣味の問題」でしょう)。

http://www.asahi.com/politics/update/0619/TKY200706190670.html

それよりも深刻なのはマスコミ人の構造改革病です。正式名称から「構造改革」という言葉が抜けたことをけしからんといわんばかりにあげつらっています。

http://www.asahi.com/politics/update/0619/TKY200706190669.html

いやあ、マスコミの皆さんは、そんなに構造改革が大好きなんですねえ。構造改革さえあれば、格差是正も再チャレンジも何にもいらないんでしょうねえ。一方で構造改革のせいでこんなにひどくなったとか書いているんですがね。自分の左手が足りないと言って叩いていることを右手が下らんことやるなと言って叩くのだからいささか統合失調気味ではないんでしょうかね。

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OECD雇用見通し2007刊行

昨日予告した標記書物が刊行されたようです。

http://www.oecd.org/document/38/0,3343,en_2649_34731_36936230_1_1_1_1,00.html

第1章はブラジル、ロシア、インド、中国(いわゆるブリックス)の労働市場。その手の人には必読でしょう。

第2章は「More jobs but less productive? The impact of labour market policies on productivity 」と題して近頃日本でもかまびすしい雇用と生産性の問題を取り上げているようです。曰く、雇用親和的な労働市場政策の生産性と経済成長への影響は何か?社会保護は生産性に有害か?市場依存型の労働市場が高水準の雇用と力強い生産性の向上を同時に達成する唯一の道か?これは読まずばなるまい、ってとこですね。

第3章が本書のメインテーマでしょう。グローバル経済における労働者はより脆弱になってきたのか、という問題です。中国やインドの国際経済への統合によって、労働者がより不安定になり交渉力を失ってきたのか?オフショアリングの雇用や賃金への影響は何か?政策決定者は労働者がグローバル化の公平な分け前を得られるように何ができるのか?これは面白そうです。

第4章は社会保護の雇用への影響がテーマ。保険料ベースから税金ベースにすることが雇用機会創出に役立つかとか、低賃金労働の税社会保険負担を低減し高賃金労働に負担を高めることの得失などが論じられているようです。

第5章は失業者のアクチベーション。各国職業安定機関の様々な手段が検討されているようです。

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OECD雇用見通し2007版本日公表予定

最近2006年版の邦訳が刊行されたOECD雇用見通しですが、本日2007年版が公表される予定のようです。

http://www.oecd.org/document/10/0,3343,en_2649_201185_38757898_1_1_1_1,00.html

グローバル化は雇用の不安定化と賃金の不平等化を拡大しているか、もしそうなら、国々はこれにどう対処しうるか、社会保護や労働規制の改革の役割は何か、という宣伝文句が載っています。これを見ると、読まねばならぬという気にさせられます。

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記号化した対語の羅列化により,宇宙論,生命誕生,人類誕生,文明開化を理論化する方法

これはいかなる意味においても労働法政策とは関係ありません。単純にオモロイから紹介するだけで。

平成19年06月14日、知的財産高等裁判所の判決です。平成19(行ケ)10067、審決取消請求事件 記号化した対語の羅列化により,宇宙論,生命誕生,人類誕生,文明開化を理論化する方法 ってやつで。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070618103504.pdf

本件は,原告が,後記特許出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これを不服として審判請求をしたが,特許庁から請求不成立の審決を受けたので,その取消しを求めた事案です。

その「発明」の内容は、「宇宙論,生命誕生,人類誕生,文明開化の各思想を,記号等を用いて理論化することにおいて,記号化した対語だけを用い,宇宙論,生命誕生,人類誕生,文明開化の各思想を,自然科学,社会科学,人文科学の自然法則だけを利用して(利用してとは,自然科学,社会科学,人文科学の自然法則の定説だけを根拠にしてということである),その記号化した対語を羅列化することで,限定的に,そしてコンパクトに理論化する技術」なんだそうです。

どんなに素晴らしい「技術」かは、判決文だけではよく分からないところもありますが、

>例えば,「丁半」は,「文明開化」に分類され,その理由について「丁半という対語が成り立つには,双六がいる。丁を偶数,半を奇数と考える事も出来るが,丁半とは双六の采の目の事である。」と説明されている。「上下」は,「人類誕生」に分類され,その理由について「上下という概念は人類の判断基準である。」と説明されている。「体用」は,「宇宙論」に分類され,「体用という対語が成り立つには,先ず事物がいる。」と説明されている。「伯叔」は,「生命誕生」に分類され,「伯叔という対語が成り立つには,先ず生命がいる。」と説明されている。

というあたりを一瞥しただけで、そのすばらしさがよく分かります。

いやあ、なんともはや・・・。

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欧州議会で労働法の特別会合

本日、欧州議会の労働社会問題委員会で、労働法グリーンペーパーに関する特別会合が開かれるようです。

http://www.europarl.europa.eu/meetdocs/2004_2009/organes/empl/empl_20070618_1900.htm

プロタシェビッツ議員による決議案があまりにも最近のネオリベ系フレクシキュリティ寄りだと言うことで、山のような修正案がくっついています。

http://www.europarl.europa.eu/meetdocs/2004_2009/documents/pr/659/659979/659979en.pdf

http://www.europarl.europa.eu/meetdocs/2004_2009/documents/am/663/663656/663656en.pdf

さて、どういう結論になりますことやら・・・。

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IMF-JC on 外国人労働

IMF-JC(金属労協)が、本ブログでも取り上げた研修・実習制度に関する厚労省及び経産省の案や長勢法相の案に対する見解を明らかにしています。

http://www.imf-jc.or.jp/20070612_gaikokujin.pdf

見解はまず長勢法相の短期外国人就労制度について「創設すべきではない」と批判しています。

>長勢大臣は、外国人研修・技能実習制度において、人権侵害や労働法令違反、失踪などといった事例が発生しているなかで、法秩序の維持を司る法務大臣として、また、かつて自ら制度の立案に関与してきた経過から、こうした状況を看過することができず、外国人技能実習制度の廃止と短期外国人就労制度創設の提案を行ったものと理解している。

と、一応は提案の趣旨を理解した上で、しかしながら、

>、短期外国人就労制度の提案は、諸外国での外国人受け入れにおける失敗、負担、苦悩を踏まえていないと判断せざるをえない。格差社会がこれほど問題となっているなかで、さらに日本人と外国人との二重構造を作るような提案は容認できない。また外国人労働者の人権確保のためには、転職の自由を保証する必要があるが、転職可能な枠組みを作ったとしても、その実効性は期待できない。さらに、わが国産業の高度化を阻害し、低生産性分野を温存することによって、わが国の潜在成長力を弱めることになる。加えて、先進国たるわが国が、発展途上国の将来を担うべき有用な労働力を利用するだけで、これらの国々の発展に寄与しようとする発想が欠如したものであり、来日した外国人の帰国後の生活にも思いを致していないという点で、「美しい国」のすべきこととは言い難い。

と述べています。このうち人権と転職の自由については、

>失踪を防ごうとすれば、外国人労働者の人権を損なう危険性が常に存在する。「タコ部屋」化を防止し、人権を確保するためには、転職の自由が不可欠であるが、短期外国人就労制度において、制度上、転職可能な枠組みを作ったとしても、受け入れ団体が転職を支援するとは想定しがたく、その実効性は期待できない。

>賃金水準が低く、転職が事実上できないとすれば、外国人労働者は失踪して別の職に就こうとする可能性が強い。また帰国後、母国において何の仕事の保証もないため、帰国直前に失踪して不法就労者となる危険性も大きい。

と述べていてそうだろうなと思います。これをクリアしようとすると、短期就労制度ではなく、長期労働移民になってしまいます。前の河野太郎法務副大臣のプロジェクトチームの案は、そこまで踏み込もうとしたものでしたが、日本を多民族混交の移民社会にしてしまうまでの決断ができるのかどうかというところが最大の問題であるわけです。今の日本にそこまでのコンセンサスがあるとは到底思えません。

研修・実習制度については、経産省の案を「外国人研修・技能実習制度を積極的に利用している業界団体の代表と一部の学識経験者」による「内容に片寄った傾向がある」「もっぱら受け入れ拡大の意図が強く打ち出されたもの」と批判する一方で、厚労省の案に対しては「問題事例に直接メスを入れようとするもの」と評価しています。

>金属労協は、外国人研修・技能実習制度については、当面、団体監理型を拡大させるような方向での見直しではなく、人権侵害、労働法令違反、過酷な仕事内容、劣悪な職場環境、失踪、中間搾取などの状況の発生を防止し、「技術・技能を発展途上国に移転し、人づくりに寄与する」という制度本来の趣旨が機能するよう、厚労省研究会提案を踏まえつつ、これまで主張してきた見直しの具体策の実現を図っていく。

いずれにしても、今後2年間はこの問題が大きな政策課題として議論されていくことは間違いありません。

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UIゼンセン on コムスン

UIゼンセン同盟が、コムスンで働く介護労働者の加盟する組合として、談話を発表しています。

http://www.uizensen.or.jp/doc/saishin/0611.pdf

まずは、

>介護保険制度に併せて業界の秩序と制度基盤の安定を図ることを目的に業界との健全なカウンターパートとして、職業別労働組合「日本介護クラフトユニオン」を結成した。 現在、クラフトユニオンの組合員は64,000名であり、この業界で働く130万名の労働者の4.9%にすぎない。このような問題の再発防止と社会正義を貫くために更なる組織化を進める。

と、組織化実績をアピール。

次に、

>企業のコンプライアンスを監視できなかったことに重大な責任を感じている。この事実を真摯に受け止め、クラフトユニオン型CSR体制を早急に構築する。

と、組合としての責任を表明、その上で、

>現場で働く労働者にとっては、雇用不安を払拭し生活基盤を安定化することが“心のこもった介護サービス”の提供に資すると考える。㈱コムスンに対し一日も早く、事業譲渡先を明確にするとともに、事業移行計画の作成を求める。

>今回この問題が長期化かつ不安が増大した原因は、企業経営者のこの問題に対する対応の遅れと、社会と社内の意識にズレが生じた結果であり、遅ればせながら記者会見を実施したものの企業グループトップのこの問題に対する責任はあいまいにしたままである。 引き続き企業体質の改善と進退を含めた責任を求めていく。

と、企業グループトップ(折口氏)の責任を追及し、最後に、

>㈱コムスンで働く組合員は、問題発生以降も現場で懸命に介護サービスを提供している。罪のない労働者の努力が無にならないよう、組織の総力をあげて早期の問題解決に取り組む。

と取り組みを表明しています。

介護労働者の組織化という困難な課題に取り組んでいるUIゼンセンにとって、今回のコムスン事件はもちろん大変な事態でしょうが、これを転じて組織拡大のチャンスに活用できる可能性もあるように思います。

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解雇規制の法政策

明日発売の『季刊労働法』217号に、私の「解雇規制の法政策」が掲載されています。

http://www.roudou-kk.co.jp/quarterly/archives/002763.html

この号自体は、労働審判制度と格差社会の二つの特集が主なものです。

それから、個人的にたいへん興味深かったのは、巻頭言の花見忠先生の「迷走する労働政策-政策決定システムの凋落」という見開きのエッセイです。ちょうど昨日紹介した私の講演録で話した中味と重なるものですが、三者構成原則に対する評価が対照的なのですね。

かつて中央労働基準審議会の会長を長く務めた花見先生がここまでネガティブに言うのか!という感慨はありますね。

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労働法はどのようにして作られるのか

去る2月26日に

http://www.roudou-kk.co.jp/meeting/archives/2007reikai/002493.html

でお話しした標記講演のスクリプトです。労働法学研究会報 No.2406に載りました。

近頃何かと騒がしい三者構成原則について、歴史を遡ってわかりやすく喋っていますので、何かの参考になるかも知れません。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/tukurarerunoka.html

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日本経団連は規制改革会議に反対

規制改革会議のHPに、労働タスクフォースの議事録がいくつかアップされています。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/index.html

第1回(3月8日)は経営法曹の和田一郎氏、第2回(4月24日)は東京商工会議所の橋本部長ら、第3回(5月8日)は日本経団連の紀陸専務理事ら、第4回(5月9日)は労働弁護団の鴨田哲郎氏です。

この中で特に面白いのが日本経団連の紀陸氏との対話です。福井秀夫氏がこれこそ正しい政策に違いないと思いこんで繰り出すあれこれが、ことごとくいかがなものですかねえという感じでいなされています。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2007/0508/summary0508.pdf

まずは三者構成原則について、

○福井主査 ありがとうございました。
労働政策審議会についてですが、今の労政審は、言わばあらかじめ意見を定めてこられて、実質的な議論をするというよりは、立場を開陳する場として機能することも見受けられるように思います。政策論を交える場として妥当かという問題意識を持っています。それについてはどう思われますか。
○紀陸専務理事 三者構成の論議の進め方について、非常に論議のスピードが遅いとか、あるいは解決策としても、問題によりますけれども、足して2で割るような中途半端に終わっている。機能が役割として十全に果たしていない。それがゆえに、例えばいろんな法改正が遅れるという御批判もあります。それは認めます。
ただ、1つ考えておかなければいけないのは、例えば、これはどこが主導して進めるのか。お役所とか、あるいは第三者の機関が主導で進めることによって、やはり企業の現場の声がきちんと反映される、本当に担保されるやり方がほかにあるなら、それは考えておかなければいけないと思うのです。
また、労使共にいろんな意見がある中で、どうやったら円滑に意見を集約していけるか、むずかしいところです。
○福井主査 組合は、労働者全員が組織しているわけではないですね。要するに、全労働者が組織されて、その代表たる立場で何か意見が開陳されるならともかく、労働者すべてに関わる法律について、組織率が必ずしも高くない組合関係者が事実上、かなりの程度、政策の拒否権を持っていることになります。それ自体問題をはらんでいると思います。利害関係者が議決するという構成を見直す余地があると思われます。
○紀陸専務理事 基本的には、確かに組合員であろうが、非組合員であろうが、組合の認識というのは要するに働く者の代表という認識です。だから、遅ればせながらパートも組合員化しようとか、今は2割を切っておりますけれども、これは2割の意見だけではない。彼らが言うのは、ほとんど全部の、特に働く者の立場を我々は代弁しているという認識です。
○福井主査 組織化された人たちは組織化された人の代表であって、手続き上ほかの人の代表ではあり得ませんから、幾ら本人たちがそのつもりでも、それが客観的に代表だということにはならないのではないでしょうか。
○紀陸専務理事 例えば、いろいろな、労働相談110 番等で、彼らはいろんな働く人から意見を聞いているわけです。それを出していくわけです。ここは組合員の枠とかそういうものは関係ないわけです。
○福井主査 それは組合を通じないで出していただいた方がバイアスのない意見を把握できます。
○紀陸専務理事 例えば、委員の構成を、組合ではなくて、それでは、組合ではないところ、一般の従業員の中かどこかから選んで、要するに代表制の問題ですね。それでは、どこが本当の意味で非組合員の代表なのか。
○福井主査 代表というよりも、実態がよくわかればいいわけですね。実態がよくわかって、それをフェアに判定するような政策決定機関であればいいわけです。
○紀陸専務理事 しかも、それがある程度、政策の決定の過程と、終わった後のフォローをきちんとやれるか。担保がないとまずいですね。だから、それをどういうふうにやるか。そこを見た上で、結局、運用の問題もありますからね。政省令とか、法律とかがいっぱいありますね。それが一つのものをつくっておかないと連動していなければいけないわけでして、そこはかなりきめ細かく、現場の労使の実態等を聞かなければいけないと思っています。
○福井主査 参考人として来ていただければ足りるのであって、政策の実質的な審議機関の構成員になっていただくのはまずいといえる。
○紀陸専務理事 だけれども、職場の当時者でない人たちが机の上で絵を描くわけです。例えば、現在でも政策の新しい仕掛けをつくる場合がそうです。
○福井主査 そちらを工夫すべきです。政策決定ができる、言わば政策決定の効果のシミュレーションがフェアにできる方が取捨選択の絵を描いて、利害関係者はそれに対して真実の詳細な情報を提供するという構図ではないでしょうか。
○紀陸専務理事 そこのところが、人にもよりましょうけれども、第三者の方が、基本的には学識経験者になるのでしょうけれども、そういう方がどのくらい、本当の意味で労使の実態がわかった絵が描けるかです。

労働組合なんか政策決定に入れなくていいじゃないかという言質を取りたい福井氏に対して、紀陸氏は「職場の当時者でない人たちが机の上で絵を描く」ことに不信感を表明し、「そういう方がどのくらい、本当の意味で労使の実態がわかった絵が描けるか」とまで紳士的にやんわりと言ってるのですから、「何を言われているか気がつけよ」というところですね。

次は解雇規制です。

○福井主査 ああいう要件がない方がいいということですね。言わば、その場の状況で臨機応変な判断が可能な方がいいという御意見ですか。
それから、これも立法の中には入っていますけれども、前から基準法の中にあって、今度は契約法に行く、普通解雇の解雇権濫用法理、解雇が社会通念上、相当な理由を欠いて云々という基準ですが、それについてはどうですか。今、あの条文で何かお困りとか、あるいは問題点だと感じられることはありますか。
○紀陸専務理事 あれも、前の基準法改定のときにかなり論議がありまして、先生が一番御存じでしょうけれども、使用者側も相当、今、労側と公益側とかなりいろいろやった結果、ああいう文言に落ち着きまして、それが今度、契約法に移されて、企業としてはいろんな意味で、あの法案だけではなくて、問題にならないような運用をしているのだと思います。そういう意味で、今のところ、そんなに大きなデメリット・不都合が出ているという声は余り聞きません。
○福井主査 条文があるので、本来は解雇したい労働者を解雇できないでいるということはないですか。
○紀陸専務理事 それはないでしょう。
○福井主査 逆に、解雇したいときに解雇しているということですか。
○紀陸専務理事 勿論、合理的な事情がある限りはそうです。
○福井主査 裁判で、後で争われたときに、中には泥沼化した判例もありますね。非常に微妙なところで、長い間かけて争って、結局は企業が負けているというケースがありますが、裁判事例になったときの言わば勝敗の帰趨が読みにくい傾向は、今の判例法ではないですか。
○紀陸専務理事 一番問題なのは、予見可能性を、そういう法律をつくることによってどこまで担保できるか。それは非常に難しい問題だと思います。どういう字句表現にすれば予見可能性が高まるか。実は、それが非常に難しいわけです。判例自体もかなりさまざまですし、下級審、上級審で違うでしょうし、それから、流れによって変わってくるし、まして個別事由ですから、それを全部、最大公約数的にやったにしても、それは本当に企業によって予見可能性を高める担保になり得るかというと、そこは非常に難しいだろうと思います。
○福井主査 法律に何と書いてあっても、結局はそれについての解釈問題が出てきますね。
例えば、労使自治ということとも関連するのですが、労働契約、ないし労働協約の中に、整理解雇にせよ、普通解雇にせよ、解雇の場合にはどういう手続と、どういう実体上の要件でもって解雇がなされるのか、ということを、使用者側と労働者側が合意する形で基準を書き込んでおくということについてはどう思われますか。
○紀陸専務理事 労使が本当の意味で納得することがかけるでしょうか。
○福井主査 例えば、後で、言わば裁判所が今の解雇権濫用法理のような形で、もし超契約的な介入をしないこととなっていて、単純に裁判所は労使で決めた契約どおりの履行を担保し、債務不履行があったときの賠償なりを命じるにとどまるという仕組みがもしあったとするならば、労使、特に使用者側から見た整理解雇なり普通解雇の、後で争いになりにくくて、透明で公平な基準としては、例えばどういうことを書いておけばよさそうだと思われますか。
○紀陸専務理事 非常に難しいです。
○福井主査 もし、労働契約に自由に書かせてくれるとすれば、使用者の側としては、例えばこういう要件のときには解雇してもやむを得ないということについて、労働者にあらかじめ納得させたいというようなことが、もしイメージとしてあればということです。
○紀陸専務理事 整理解雇の場合とか、懲戒解雇の場合といろいろ要件が違いますので、あるいは手順とか、そこのところをどうやって書き分けるかです。しかも、その場合に、経過の裁量性、当然、裁量の下にやるわけですけれども、それがある程度、覊束されるようでは困るわけです。
ただ、問題は、今、先生がおっしゃったように、そういうような、言ってみれば私人間の契約で、そこの是非の判断を公側の方でとどめるという立法は可能なのかどうなのかです。そもそも、労側が争うときには、協約とか就業規則とかに記するにしても、実はこんな事情があって、我々は無理やりこういうものをやらされてしまったとかということを絶対言ってきます。
そうすると、根っこのところから、これは本当の意味で、協約として、あるいは就業規則としての妥当性がありや否やというところから恐らく論議が始まると思うのです。そうすると、どういう内容を定めていれば介入しませんというようなことが言えるかどうかです。そこは、私、そこの法的な理論はよくわかりませんけれども、かなり難しいようなことになるのではないでしょうか。
○福井主査 民法の一般条項に触れる場合はともかくとして、それ以外は契約を尊重するという立法は可能です。それはほかの契約法の中にはあります。
○紀陸専務理事 労働法で定めるわけですね。
○福井主査 今は解雇権濫用法理的なものを条文にしてありますし、判例についても、言わば立法の想定外の判例法がいっぱいあります。判例法を縛るのは立法の役割です。もっとも、例えば、公序良俗とか、権利濫用とか、民法の一般条項は当然残るわけです。それ以外のところは契約自由の原則に委ねるということを、仮に民法なり労働法令の中に書き込んでしまえば、そこは変わりません。
○紀陸専務理事 そうでしょうか。
○福井主査 そうです。裁判官は法律に基づいて判決を書かないといけないわけですから。
○紀陸専務理事 だから、権利濫用とか、公序良俗とか、やはり足がかりがあるわけですね。例えば限定列挙でやっても、それ以外の要素でもって、これは基準に当たらないけれども、そのほかの公序良俗に反するとかという判断というのはあり得るわけです。○福井主査 一般条項は当然に仕方がない。しかし、一般条項を使って判決を書くのは最後の手段ですから、普通は、もし当事者の決めた契約の担保をやれと書いてあったら、裁判官はそれ以外のことは考慮しにくくなる。
基本的に、裁判官に労働現場の契約の有効無効とかを、特に経営判断を代置して判断させることに問題があります。裁判官にはもともとそんな能力も、トレーニングの経歴も期待されていないわけです。裁判官は法の当てはめ、契約条項の当てはめに関する解釈に徹することが必要な領域があります。
○紀陸専務理事 でも、裁判官としては、申立てがあったら、それに判断しなければいけないわけでしょう。
○福井主査 裁判官が判断するのは、法の定めに反しない限り、本来契約の中身の達成です。労使の自由な合意で、どういう場合に整理解雇ができる、どういう場合には普通解雇ができると書いてあったときに、その合意にのっとって行われた解雇かどうかだけを契約条項の解釈問題として判断するという枠組みがありうるならば、その際に何を求めるか、を伺っているのです。
○紀陸専務理事 先生、それでスムーズにいきますか。
○福井主査 それは我々が考えることです。要するに、使用者としてそういう仕組みになったときに何か困ることがあるのかどうかということです。裁判官にあえてファジーな領域を残して判断させたいとお考えになるか、あるいは労使の言わば具体的で、客観的で、あらかじめ書き込んだ事由によってのみ裁判所に判断させるという方法を好まれるか、使用者の理解としてはどうでしょうかということなのです。
○紀陸専務理事 私ども、実は、さっき申し上げましたように、労使自治といいながらも、実際は、戦後、今日までいろんな労使紛争がありましたね。その中には、労がおかしいということも、使もおかしいというところもあったわけです。それで両方とも、いわゆるレベルを上げてきて、ようやく今の日本みたいになってきた。
でも、それはある程度の企業が成熟してきたという背景もありますけれども、労使協議が未成熟な企業も実はまだたくさんあります。そのような場合には、労使の交渉力格差ということも出てくるわけです。
○福井主査 労働者がだまされるというような感じですか。
結局、労働契約も、一種の契約に合意する意思表示の任意性というものが非常に重要です。ちゃんと選べる、選択し得る状況で選んだのか。あるいは詐欺的・脅迫的要素がなかったのか。十分な納得をもって選んだか。しかも、納得の中には、こんなはずではなかったというような、意表をつくようなトリッキーなことが起こらないということについて、ちゃんと納得していることも含まれなければなりません。一種の情報の非対称がちゃんと解消されているのか。その辺りは非常に重要です。
○紀陸専務理事 そういうものがきちんと前提になっていれば、その上でならば、その論議はわからないわけではないですけれども、それを実際にあまねく通用するようなことは非常に難しいのではないかと思います。

何とかして経営側に「解雇規制で困ってるんや」といわせたい福井氏。紀陸氏が思ったように喋ってくれないので困っている姿が臨場感溢れる姿で活写されています。

ここで両者が論じているのは、まさに雇用契約の本質的特性としての不完備性を認識できているかどうかという所なんですね。労務のプロである紀陸氏にはくっきりと見えているそのことが、「職場の当時者でない」くせに「机の上で絵を描く」のが大好きな福井氏には、見えていないわけです。

○紀陸専務理事 先生、それでスムーズにいきますか。

○福井主査 それは我々が考えることです。

スムーズに行かなくて困るのは現場の労務担当者なんですけど。

金銭解決の所も笑えます。

○福井主査 どうしても解雇したいときにお金を払いたいというわけではないでしょう。できれば使用者としては払いたくないわけでしょう。

○紀陸専務理事 そうではありません。解雇規制の強さや柔軟性の問題です。

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基本方針2007原案

昨日の経済財政諮問会議で、基本方針2007の原案が審議され、了承されたとのことです。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0612/interview.html

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0612/item1.pdf

内容は、5日に紹介した素案とほとんど変わっていません。

まだアップされていないようですが、朝日新聞が「労働ビッグバン自滅」と報じているようです。これは、事実認識としていささかいかがかと思います。規制改革会議のドンキホーテ氏が威勢良く打って出て見事に自滅したのは確かですが、経済財政諮問会議の八代先生の方は、第一弾は初めからこういう「国民フレンドリー」な内容にすることにしていたわけで、実際、そういう内容が並んでいるわけです。

第2章 成長力の強化

1.成長力加速プログラム

Ⅰ 成長力底上げ戦略

(1)人材能力戦略

① 「職業能力形成システム」(通称:『ジョブ・カード制度』)の構築(フリーター等の就職困難者や新卒者)

② 大学・専門学校等を活用した「実践型教育システム」の構築

③ 官民共同推進組織の設置

(2)就労支援戦略

① 「『福祉から雇用へ』推進5か年計画」の策定(母子家庭、生活保護世帯、障害者等)

② 「工賃倍増5か年計画」による福祉的就労の底上げ(授産施設等で働く障害者)

(3)中小企業底上げ戦略

① 「生産性向上と最低賃金引上げ」に関する合意形成

② 「中小企業生産性向上プロジェクト」の推進による賃金の底上げ

③ 最低賃金制度の充実

3.労働市場改革

(1)「憲章」及び「行動指針」の策定

・就業率向上や労働時間短縮などの数値目標

・ワーク・ライフ・バランス社会の実現度を把握するための指標の在り方

・ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた支援施策、制度改革等に関する政府の横断的な政策方針

・経済界・労働界を含む国民運動の推進に向けた取組方針

(2)労働市場改革についての検討(引き続き検討)

第4章 持続的で安心できる社会の実現

3.少子化対策の推進・再チャレンジ支援

(1)少子化対策の推進

① 働き方の改革によるワーク・ライフ・バランスの実現

② 包括的な次世代育成支援の制度的な枠組みの構築

③ 施策の有効性の点検・評価

④ 少子化対策の財源の検討

(2)再チャレンジ支援

(1)「再チャレンジ支援総合プラン」の着実な実行

(2)キャリア教育等の推進

このように、「労働市場改革についての検討」は引き続き検討であって、誰かさんのように自滅してはいません。ただ、何をいつどのような形で出してくるかは、政治情勢等を総合的に勘案して慎重に考えてくるでしょうから、選挙後にいわゆる「ビッグバン」がいきなり出てくる可能性はあまり高くないと思われます。

恐らく第二弾は外国人労働者問題となるのでしょう。現在の日系人や研修・実習制度が問題を多く抱えていることは誰もが認めるところですから、その改革というのは筋がいい。しかも、研修・実習制度について厚労省、経産省が改革案を出し、法相がさらにラディカルな提案をするなど、土俵ができつつありますから、そこに外国人労働者受入れ提案を放り込むというのはタイミングがぴったりでもあります。

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世界の労働市場改革 OECD新雇用戦略

およそ労働市場改革を論じようとする者であれば、必ず読まねばならぬものが毎年のOECD雇用見通し(Employment Outlook)ですが、膨大かつ中味が高度なため、実際にはあまり読まれていないようです。

そういう状況に大変有効なのが今回明石書店から刊行された標記書物です。これは、昨年改定されたOECD雇用戦略に、その分析ベースとなった2006年版雇用見通しの全訳をつけたもので、今日の日本における政策論争の基盤として使われることが期待されます。JILPTの戎居皆和氏の訳を樋口美雄先生が監訳しておられますので、安心して読めます。

http://www.akashi.co.jp/Asp/details.asp?isbnFLD=4-7503-2569-4

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2006年6月に改定されたOECD雇用戦略。人口高齢化、経済のグローバル化が進む中、あらゆる人の就業機会を拡大し、より良き雇用と所得の増大に向けて、包括的な労働市場改革戦略を世界比較可能な図表をもとに提示する。

日本語版刊行によせて
監訳者序文
国名略語表
第1部 OECD新雇用戦略
 第1章 雇用の拡大と質の向上、所得の増大をめざして:OECD雇用戦略の再評価から得られる政策的示唆
  第1節 現状と課題
  第2節 新たな証拠
  第3節 政策パッケージ
 第2章 改定版OECD雇用戦略
  A.適切なマクロ経済政策を設定する
  B.労働市場参加や求職活動に対する阻害要因を取り除く
  C.労働需要への労働・製品市場障壁の解消に対処する
  D.労働力の技能およびコンピテンシーの開発を促進する
  付属資料1 1994年版雇用戦略:10項目の一般勧告
  付属資料2 OECD雇用戦略新旧対照表
第2部 2006年版OECD雇用アウトルック
 第1章 労働市場の短期予測およびOECD雇用戦略再評価の公表
  第1節 最近の労働市場の展開および今後の見通し
  第2節 OECD雇用戦略再評価
 第2章 1994年以降の労働市場パフォーマンスと今後の課題
  第1節 全般的な労働市場パフォーマンス
  第2節 特定層の労働市場パフォーマンス
  第3節 1994年以降の所得分配および労働条件の動向
  第4節 現状および今後の課題
 第3章 あらゆる人の就業機会を拡大する一般的な政策
  第1節 マクロ経済政策と労働市場パフォーマンス
   1.1 インフレと金融政策
   1.2 財政政策
   1.3 マクロ経済政策と構造政策の調整
  第2節 福祉制度と労働市場プログラムが労働力参加や雇用に及ぼす影響
   2.1 失業給付と求職インセンティブ
   2.2 社会保護給付と税制の組み合わせが労働供給に及ぼす影響と就労を促す財政支援策
   2.3 積極的労働市場プログラムと失業者に対する就業化戦略
   2.4 就労可能要件を伴わない福祉給付に関連する政策課題
  第3節 賃金設定、税制、労働市場・製品市場規制が労働需要および雇用に与える影響
   3.1 賃金設定制度・政策
   3.2 労働所得に関する税制
   3.3 雇用保護法制
   3.4 労働時間編成
   3.5 製品市場規制
  第4節 生涯教育・訓練政策
   4.1 政策課題
   4.2 政策的示唆
 第4章 労働市場における特定労働力層に対する政策
  第1節 就業率の低いグループの雇用見通しの改善
   1.1 女性の労働力参加を拡大する措置
   1.2 高齢者の労働力参加を拡大する措置
   1.3 若年層の雇用見通しの拡大
   1.4 移民の雇用見通しの拡大
  第2節 条件不利地域の労働者支援
  第3節 インフォーマル労働からフォーマル雇用への移行の円滑化
 第5章 雇用の増大を目的とする政策の社会的示唆
  第1節 所得不平等および貧困に関する動向:労働市場パフォーマンスの変化との関連性
   1.1 所得不平等と失業率・就業率の推移
   1.2 1990年代における貧困の発生率および継続性:全体・特定層
   1.3 労働市場制度が世帯所得の不平等と貧困に及ぼす影響
   1.4 結論
  第2節 雇用安定とキャリアパスへの示唆
   2.1 臨時・派遣雇用:証拠および政策的示唆
   2.2 低賃金の発生率:傾向と政策的重要性
 第6章 政策の相互作用と補完性の把握および改革戦略への示唆
  第1節 労働市場政策・制度とマクロ経済環境
   1.1 マクロ経済ショックと労働市場政策・制度との相関性
   1.2 労働市場改革によってマクロ経済および財政パフォーマンスは向上する
  第2節 政策間相関関係と政策パッケージ
   2.1 既存の政策パッケージおよび雇用パフォーマンス
   2.2 政策の相互作用
  第3節 改革の政治経済
   3.1 分配効果とタイミング効果
   3.2 逆分配的効果とタイミング効果を克服する上での政策設計の役割
  付属資料6. A1 政策の主成分分析と雇用パフォーマンス
 第7章 政策・制度が労働市場パフォーマンスに果たす役割の再評価:定量分析
  第1節 構造的失業の決定要因
   1.1 政策、制度および失業:ベースライン結果
   1.2 失業パターンの追加的決定要因:最低賃金、積極的労働市場プログラム、住宅政策
   1.3 制度とマクロショックの相互作用
  第2節 各層別就業率
   2.1 男性・女性壮年層
   2.2 高齢労働者
   2.3 若年労働者
   2.4 政策が就業率に及ぼす効果の要約
  付属資料7. A1 ベースライン回帰モデル
参考文献
統計資料
資料 OECD新雇用戦略東京フォーラム:議長総括
訳者あとがき

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労働時間短縮とワーク・ライフ・バランス

内閣府が編集協力し、経済企画協会が発行している『ESP』という雑誌の6月号が「働き方を変える、日本を変える」という特集をしていまして、その中に私の標記論文も載っています。

http://www.epa.or.jp/esp/intro/0706.htm

http://homepage3.nifty.com/hamachan/espworklifebalance.html

ちなみに巻頭言は八代尚宏先生ですが、なんだかほとんど同じようなことを言っています。

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解雇規制

JILPT(労働政策研究・研修機構)から『解雇規制と裁判』という研究報告書が出されましたが、大変面白く、役に立ちます。

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2007/documents/029.pdf

第1章は有名な東洋酸素事件の裏事情を克明に追ったもので、判例集に載ってる判決文だけ見ていたのでは分からない背景事情がよく分かります。一言でいうと、この裁判を起こした原告たちは、かつて主流派だったが民主化同盟(!!)に組合本部を取られて川崎支部に拠っていた少数派なんですね。組合本部は退職金1000万円+αで決着して、文句あるなら勝手に裁判でもやれ、俺たちは知らんぞ、という典型的な労々対立図式の中の事件だったようなのです。この事件と並行して不当労働行為の訴えも起こしていて、そっちで和解して、何人かが復職するという決着になっているんですね。

役に立つのは江口匡太氏の解雇の経済分析です。解雇について偉そうに論じるのなら、まずこのくらいは読んで下さいね的論文です。もちろん、ご自分のお仕事がコンビニのアルバイト並みの単純労働だから完備契約だ、文句あるかとお考えの方は別ですけど。

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2007年労働政策研究会議

日本労使関係研究協会が開催する標記会議の案内がここに載っていますので、紹介しておきます。

http://www.jirra.org/kenkyu/year.html

6月23日(土曜日)に大同生命霞が関ビル6階のJILPT会議室で開かれます。

テーマは「雇用システムの変化と労働法の再編」で、荒木尚志先生の司会で、樋口美雄先生、中村圭介先生とわたくしがパネリストとしてディスカッションする予定です。

私は「労働立法プロセスと三者構成原則」という題で報告します。

なお、午前中は3つの分科会が予定されており、崔碩桓さんの「韓国における非正規労働者関連立法の制定・改正」、長谷川珠子さんの「日本における障害を理由とする雇用差別禁止法制定の可能性」があります。

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規制改革会議議長会見録

5月30日に規制改革会議第1次答申が出されたときの議長会見録がアップされています。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/meeting/2007/6/item07_6_interview.pdf

>○記者 もう一点ですが、21 日に公表された労働分野の改革の意見書ですけれども、公表時点では答申の問題意識の部分に盛り込まれるというふうに伺っていたんですが、今回丸々その章自体が盛り込まれませんでした。その理由について、お話しいただけますでしょうか。
○草刈議長 それはちょっと誤解があって、この前、朝日新聞に書いておられましたけれども、それを問題意識に、何をどういうふうに入れるかとかはその時点では決めてなかったんです。要すれば、労働法制の分野では、残念ながら今回は具体的措置事項に話が及ばず、結論を出せるような状況でなかったのでその節は設けない。いろんな事情があって設けられなかったと言った方がいいかもしれない。したがいまして、具体的措置がないままに問題意識のみをぽんと入れるというのは、この答申(案)にはなじまない。そういう判断でやっただけで、この後、勿論後半も続くわけですから、あるいは修正したり追加したりはあるかもしれないけれども、この問題意識として、どこかに入れるつもりでおりますけれども、そういう事情なので、是非御理解をいただきたいと思います。
○記者 1点だけですけれども、その問題意識に入れるかどうか、あの時点で決まっていなかったというのは、ちょっとこちらも容認できないところがあって、それは記者会見で入れるという旨の説明があって、それを受けて我々も記事にその旨書いたという経緯がありますので。
○草刈議長 そうですか。私が言ったんですか。
○記者 その発表の会見のときです。
○草刈議長 そうですか。そうだとしたら、私の方のミスでございますので、御勘弁いただきたいと思います。

それにしても、「いつもだと2、3人こちらに並ぶんですけれども、第1次答申が出たという機会なので、できるだけ多くの委員に来ていただくようにしてありますので、御質問等があれば後でやっていただければと思います」という絶好の機会だったのに、福井先生その「できるだけ多くの委員」の中に入っていらっしゃらなかったようで、ご発言がありませなんだ。

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法務大臣私案アップ

昨週金曜日に経済財政諮問会議の労働市場改革専門調査会が開催され、研修・技能実習制度について、厚生労働省、経済産業省及び法務省からのヒアリングが行われたようです。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/09/agenda.html

で、そこに各省の資料がアップされているのですが、特に長勢法相私案については新聞報道と法務省HPの閣議後記者会見録における発言記録しかなく、

http://www.moj.go.jp/SPEECH/POINT/sp070515-01.html

紙媒体の資料がなかったのですが、資料4 外国人労働者受入れに関する検討の指示について(法務大臣私案) としてアップされています。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/09/item4.pdf

内容は発言録と同じですが、こうして並べてみると三つどもえの状況が実感されます。

続・航海日誌さんから、

>おもしろそうなのでさっそく調べてみようかと思ったものの、本件については国会会議録等にまとまった記述がなく、ウェブ上の情報だけでは全貌を把握することは困難、というわけで途中で挫折…。識者の解説を期待しつつ、暇を見て文献を渉猟することにします。(;´Д`)

http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0706.shtml

と、暗にお前が解説せよとのお言葉。これをやりだすと自虐史観になってしまうんですが・・・。

お近くの図書館に新聞の縮刷版があることを前提に、必要最小限の参照記事だけ挙げておきますと、

読売新聞1988年1月4日「外国人労働者 原則禁止を転換、対象拡大 『中間技術者』にビザ 労働省方針」

日本経済新聞1988年5月13日「外国人雇用、揺れる永住者 『許可制』検討に韓国居留民団が反発 就職差別助長を懸念」

読売新聞1988年5月13日「外国人労働者受入条件 法務省と労働省が対立」

日本経済新聞1988年8月2日「外国人雇用許可制 当面たな上げも 労働省内に妥協案浮上」

毎日新聞1988年9月24日「雇用許可制先送りに 外国人労働者受入 法務省、押し切りそう」

といったあたりをざっとお読みいただければ、わたくしのトラウマのよって来たるところをご理解いただけるかと・・・。

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参議院厚生労働委員会議事録

例の規制改革会議の意見書の件で、5月29日の参議院厚生労働委員会において質疑がされていました。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0107/166/16605290062023a.html

○委員長(鶴保庸介君) この際、委員長から一言申し上げます。
 規制改革会議の名で出された文書が、当委員会で審議している労働法制の内容に言及しており、本委員会でも議論となりました。本日質疑で行う雇用対策法に係る内容も含んでいるとの議論がありましたので、委員長といたしましては、この件についての見解を求めるため、会議の所管省庁である内閣府で責任ある立場にある林内閣府副大臣の出席を本日求めました。
 この際、林内閣府副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林内閣府副大臣。
○副大臣(林芳正君) おはようございます。
 去る五月二十二日の当委員会の審議におきまして、規制改革会議の労働タスクフォース名で出された文書につきまして、御審議中の法案や政府の方針に反する不適切なものであるといった御議論がありまして、本日は、委員長の御要請により、同会議を所管、所掌する責任者として、本件についての政府としての見解と対応を御説明するために参上いたしました。
 最低賃金の改善、正規雇用労働者とパートタイマーとの差別の禁止、同一労働同一賃金の実現を始めとする労働政策の重要課題について、政府提出の関連法案との趣旨に照らしまして進めるべき政策の方向と異なる内容のある文書が、規制改革会議そのものではないものの、下部組織である労働タスクフォースの名をもって公表されたことは不適切なことであり、誠に遺憾であります。
 このため、規制改革会議の運営に当たっては、自由濶達な議論が行われるとしても、閣議決定を経て国会提出中の法案とそれに示された政策の方向に反することのないよう、渡辺規制改革担当大臣より草刈隆郎規制改革会議議長に指示をいたしたところでございます。
 政府といたしましては、同会議の適切な運営がなされるよう、今後とも指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。

○櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井でございます。
 昨日、現職の大臣が自殺されるという本当に大変なニュースが飛び込んでまいりまして、我々まず、松岡大臣の本当に心から御冥福をお祈りいたしたいと思いますし、極めて、何と言ったらいいんでしょうか、複雑な気持ちでございます。あとはまあこれから様々検証されていくことがあるんだろうというふうに認識はしておりますが、そういう点でもう一度、国会や内閣であるとか、そういったものの役割等を改めて検討していかなければいけないんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。
 その意味で、私は、今、林副大臣からるる御説明がございましたが、私は林副大臣には何ら責任がないんじゃないだろうかと。つまり、確かにそこのナンバーツーとしての責任はおありなのかもしれませんが、はっきり申し上げまして、規制改革会議の問題は今回に限ったことではなく、この暴走をいい加減に止めないと、この国のその政治の在り方そのもの自体がおかしくなるんじゃないのかなと、私はこれはもうどこの委員会でもずうっと続けて申し上げているところでございます。
 ここは改めて柳澤大臣と林副大臣のコメントを求めたいと思いますが、我々は、国会議員は選挙というものを経て国民の代表者としてこの場に立っております。国家公務員の方々は、国家公務員法というその縛りがあって、そこの中で自分たちもちゃんと責任を負って働いているわけでございます。そこの中で、規制改革会議の方々は、そういうその選挙も経ていない、それからある種の責任をきちんとした形で負うようなシステムになっていない。もう少し言えば、何か不適切なことがあったとしても社会的な地位まで失墜するわけではないという方が、余りに今の構造の中でいうと権力を持ち過ぎているんではないんだろうか、私はそのように感じていて、今の政治の在り方そのものを変えていかないといけないんではないのかなと、そう思っておりますが、大臣そして副大臣としてはいかがお考えでございましょう。
○国務大臣(柳澤伯夫君) どの時代もそうしたことが言い得るかと思いますけれども、私は今の日本の立っている時代的な背景というのはやはり転換期ということだろうと思っています。戦後うまくいってきた経済のシステムがバブルにまで至ってしまって、その崩壊の中で再生のために非常に苦しむということで、言わば、今若干景気の回復というようなことがあるとしても、これですべて、将来の展望に立ったときでも、一つの、何というか、国家の経済の運営モデルというものを我が物にしたという段階ではないというふうに思います。そういう中でいろいろな形の改革が試みられているということが現実の姿だろうと思います。
 改革を行う場合に、ボトムアップでできるかということになると、なかなかボトムアップでは改革というのはうまくいかないというのが通例でございまして、そういう意味では、現在、一時期の戦後の政治のやり方と随分変わったトップダウンのやり方が、時として、また場合によっては多用されるというような、そういうことにあると思います。
 そういうことで、いろいろ内閣の中にトップダウンのための装置と申しますか、そういうものができまして、そこでいろいろ識者が改革を進めるための、意見を言われるということが行われておりまして、櫻井委員や特に私なぞは昔なじんだ政策の運営からすると随分違う形になっているわけでございますけれども、しかしいずれにしても、そうであったとしても、最終の我が国の意思決定というのはこの立法機関でございますし、また内閣としての提案というのは閣議に諮って提案がまとまって出てくるわけでありますので、その過程でかなりいろんな意見を闘わせて、昔のように役人が準備をしてきたものをボトムアップするということでなく出てきたとしても、最終のところでは内閣の閣議決定、それから立法府における法律の制定ということで進んでまいりますので、大きな枠組みは十分維持されておると、その中でいろいろな御見識なり、我々もそうですけれども、使命感を持った仕事をするということが期待されていると、それに何とかこたえていこうとそれぞれの立場で努力をしているということではなかろうかと考えております。
○副大臣(林芳正君) 今、柳澤大臣から御答弁があったとおりだと私も思っておりまして、この規制改革会議の委員というのは、あくまでそれぞれの識見を持たれた方が答申をいただくと。しかし、その答申を受け止めてどうしていくかというのは、最終的には選挙で選ばれた我々、また議院内閣制における政府というものが政策決定を内閣の責任において行っているものでございます。
 櫻井委員から大変優しい言葉を掛けていただいたわけでございますが、与野党問わず、これはやっぱりどういう政策の決定をしていくのかということ、そして最終的にだれがどういうふうに国民に対して責任を取るのかということは大変大事な問題だと私も思っておるところでございまして、この審議の、規制改革会議のプロセスの中でどうしてもタスクフォース的なものの存在が、私もちょっと言葉に気を付けなければなりませんけれども、必要以上にクローズアップされているんではないかということを感じることが正直言ってございます。それは、我々がもう少しクローズアップされるように我々自身が努力をしなければならないということかもしれませんけれども、そういうことも含めて、きちっと最終的には、今、柳澤大臣がおっしゃられましたように、内閣として最終的なものを責任を持って決めて、その上で国会にお諮りをして審議をいただくと、この原則はきちっと担保してまいる、このことが基本であろうというふうに考えておるところでございます。
○櫻井充君 お二人がおっしゃったとおりになっていれば全く問題ないんですよ。言っているようになっていないから問題なんです。これは、今与野党がというお話がありましたが、私は自民党の議員の方々と話をしても、良識のある方々は皆おかしいと、そういうふうにおっしゃっていますよ。(発言する者あり)ですよね。
 ですから、そういう点から考えると、もう一度僕は原理原則に返ってやっていただきたいんです。別にボトムアップ方式をずっとやれと言っているわけでもありません。トップダウン方式が悪いと言っているわけでも何でもありません。これは、規制改革会議というのは国家行政組織法の中のいわゆる八条に定められている八条委員会ですね。八条委員会の役割は一体何なのかというと、この人たちは意見を言うことができるということだけの話であって、その後に対してこの自分たちが言ったことをどうやって通していこうかとか、どうやって反映させていこうかとか、そういうところまで僕は権限としてないんだろうと思うんですよ。
 その点について、まず改めて林副大臣に確認しておきたいと思いますが、私のその認識でよろしいんでしょうか。
○副大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、規制改革会議は答申を出すというのが仕事でございますので、その意見を出した後、今度は我々が政府として受けてそれを決定するということでございますので、この規制改革会議のお仕事は答申を作るということであろうというふうに思っております。
○櫻井充君 そうすると、これは第九回の規制改革・民間開放推進会議の中で、福井委員が、労働契約法制の中身について、きちんと協議を受けて、細部にわたって答申の趣旨が具体的に反映されているかどうかを事前にチェックするという手続が極めて重要だと思いますと、まずこういう発言もされているんですね。つまり、自分たちの意見がちゃんと通っているかどうかもチェックしていこうじゃないかと。そして、その場合に、駄目だった場合には、要するに、いずれにしろ、労政審で決まって閣議決定され、国会に提出されると、それ以降の段階でこの答申とは違う法案ができたことが仮に判明したからといって、事後的に修正を求めるということは、多大な労力、時間等の取引コストが掛かりますので、やはり法案を出す前に、内閣として決める時点でちゃんと事前にコミットすることが手続的に極めて重要ではないかと思いますと、そういうふうにコメントされているんです。越権行為も甚だしい。
 私は、まず一つ申し上げておきたいのは、このような委員が本当に適切なのかどうかということであって、改めて求めておきますが、当委員会に規制改革会議の福井委員の参考人としての招致を求めておきたいと思います。
 そして、その上で、今のコメントに対して林副大臣としていかがお考えか、その点について御答弁いただきたいと思います。
○副大臣(林芳正君) ちょっと今のところの、手元に資料がございませんが、私が今御意見を聞いて受け止めましたのは、多分その答申を基に、先ほど御答弁いたしましたように、閣議決定を政府としていたしますと、その閣議決定とどういう整合性があるのかと、こういうチェックをするということであれば、それは閣議決定の基になった答申をお作りになられた委員の方がその立場で閣議決定と、新しく法案も閣議決定されるわけでございますので、そういう趣旨であればあり得ることかなと思いますけれども、答申は答申でございますから、答申ということになるとその辺の整合性はどうなのかなと、そういう印象を今持たせていただきました。
○委員長(鶴保庸介君) 櫻井充君。
○櫻井充君 さっきの。
○委員長(鶴保庸介君) 後日、理事会にて協議をいたしたいと思います。
○櫻井充君 もう一度確認いたしますが、もう一度確認いたしますが、この発言の趣旨というのは問題があるというふうに認識されたんでしょうか。
○副大臣(林芳正君) 手元にその詳細な議事録がございませんので、その全体を見てきちっと判断をしたいと思いますけれども、答申そのものがあたかも全部実行されなければいけないと、こういう趣旨であれば、多少与えられている任務とどうなのかなという印象は持ちますが、全体を見て御判断をさせていただけたらというふうに思います。
○櫻井充君 これ、きちんと調べていただきたいと思います。
 そこの中で、もう一度だけ申し上げておきますが、内閣として決める時点でちゃんと事前にコミットすることが手続的に極めて重要ではないかと。僕はこれは八条の制度から完全に逸脱していることだと思っています。つまり、こういうことをやり続けているから問題なんですね。
 これだけではありません。もう一つは、経済財政諮問会議というのは、経済のことを取り扱うのがこれ基本原則ですね。それでよろしいでしょうか。ああ、規制改革会議です、ごめんなさい、規制改革会議というのは経済の重要事項について取り扱うということで、それでよろしいですね。
○副大臣(林芳正君) 規制改革会議につきましては、所掌を、内閣府の本府組織令で三十九条というのがございますが、「規制改革会議は、次に掲げる事務をつかさどる。」と、「経済に関する基本的かつ重要な政策に関する施策を推進する観点から、内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方」、「(国及び地方公共団体の事務及び事業を民間に開放することによる規制の在り方の改革を含む。)に関する基本的事項を総合的に調査審議すること。」となっておりますので、経済社会の構造改革という意味では、経済に直接かかわるものだけということではないのではないかというふうに考えております。
○櫻井充君 そういう話になると、基本的に言うと全部やれることになりますね、多分。
 教育委員会制度についても規制改革会議の中で実は議論されているわけです。ただし、これは規制改革会議の中でではないんですよ。調べてみると、規制改革会議の委員が決定される前に、新しい委員が決定される前にワーキングチームと称した会合が持たれているわけです。
 これはしかも、要するに、郵船かな、まあ草刈議長のところの会議室なんだろうと思いますが、そこで教育ワーキンググループという名前を付けられておりますが、自由討議をされるわけですね。自由討議されている内容を原案として、たたき台として、あとはメールの持ち回りで一応承認してもらって、規制改革会議の名前でこのことについても発表しているわけですよ。これは手続、全くのっとっておりません。渡辺大臣はこれは合法だというようなお話をされていましたが、大臣がそういうようなことで認めてしまうから、認めてしまうから、このようなことが何でもありでやられていっているんだろうと私は思っているんですよ。
 これは、教育再生会議の第一次報告について、それは問題があるんじゃないかということで、規制改革会議のある一部の人間が自由討議をしたんです。その上で、今度はその内容をたたき台にして、あとはメールの持ち回りの中で、会議もせずに、会議もせずに規制改革会議の一応意見として報告がされているわけですよ。なぜ彼らがそういう議論までしなきゃいけないんでしょう。
 そして、そこの中で、また、要するに我々の意見をどうやって反映させるのかということを言及しているわけですよ。これは草刈会長が、総理との見解相違があるとたたかれる可能性もあるので、渡辺大臣との会合を持ち、意見を合わせる必要があると、大臣に意見を言わせた上で、それをサポートする形がよいのではないかと。福井委員は、大臣との意見調整が利けば、流れを変えてくれる可能性もあると、まとめた見解を大臣経由で総理に訴えて山谷補佐官へ指示させる流れがよいのではないかと。大臣を経由して規制改革会議の名で出すのもいいが、逆効果になることも考えられると、こんなことまでいろいろ意見が交換されているわけですよ。こういう人たちを、こういう人たちを今までのようにやらせていいのかどうかということです。特にこの福井さんという方は、いろんな場面で顔を出してきて、いろんなことを自由に物を言ってめちゃめちゃにしていく方です。
 もっと申し上げると、彼は驚くべきことを言っているわけですよ。今のワーキンググループは、これ、公開されておりません。彼は「官の詭弁学」という本を書かれていて、そこの中で何と言っているかというと、要するに情報公開しないということ、官僚の情報公開が不足していることが最も問題なんだということを彼は言っているわけですが、彼の会議そのもの自体が実は情報公開なんかされていないんです。しかも、番記者を引き連れていって、さも規制改革会議で議論されたかのようにそのことを、たまたま番記者にその情報を提供して、それを有り難く書くマスコミがいるということが私は一番情けないことだと思いますけどね。しかし、こういう人に本当に何で委員をやらせるんですか。だから、ゆがめられていくんですよ。
 私からすれば、憲法四十一条に、国会は要するに国権の最高機関であると定められているわけでしょう。それが完全にゆがめられていますよ、この人たちによって。ですから、私はこの福井さんという方ははっきり申し上げて委員にふさわしくない、罷免させるべきではないのかなと、そう考えておりますが、副大臣としていかがでしょう。
○副大臣(林芳正君) この福井委員につきましての御指摘でありましたけれども、今国会の提出中の関連法案の趣旨に照らして進めるべき政策の方向と異なる内容のある文書と、今回の件につきましては冒頭申し上げたとおりでありまして、これを踏まえて適切に運営をするということを渡辺大臣から指示をしたところというところを先ほど申し上げたとおりでございまして、先ほど委員のおっしゃった、その読み上げられました資料というのがどういう性質のものか。
 要するに、非公式で委員方が自由にお集まりになってやることを全部やるなと、こういうことではないというふうに承知をいたしておりますので、最初から申し上げているところですけれども、最終的に会議として答申を受けた我々がきちっと、憲法の御議論もありましたけれども、内閣として、そして全体として、政府・与党としてということになりましょうか、最後は国会で御審議をいただくわけですが、そこの部分というのが非常に大事であると思っております。
 一方、民間の方に、有識者に入っていただいて議論していただくということでありますから、基本的には見識を持った方に自由に御議論をいただくというのがこの規制改革会議の趣旨であろうと、こういうふうに思っておりますので、そのところにつきまして、冒頭申し上げたように、国会の審議との関係でお願いを、指導をしなければならないところはすると。しかし、元々の趣旨はそういう知見を生かそうということでありますので、委員が御指摘になられたようないわゆる中身の問題ではなくて、どういうふうに運営していこうとかいうところにつきましては十分我々も注意をしてまいりたいと思っております。
○櫻井充君 自由討議をするなとは申し上げておりませんが、問題は、規制改革会議の新しいメンバーは一月三十一日に、たしか私の記憶が正しければ一月三十一日に閣議決定されているんですね、閣議決定されているんです。この自由討議は一月の二十六日に行われていまして、それは旧来のメンバーだけが集まって、新しい人は入っていないんですよ。ワーキンググループだからそれはそれでいいのかもしれませんが、それがたたき台になって、二月の十三から十五にかけて持ち回りの中で随分変わりました、その見解の内容を見ていただければ分かりますが。変わりましたが、閣議決定される前のメンバーがまずやっているものがなぜたたき台になるのかということなんですよ。彼らはメンバーじゃないですからね、正式な。
 それから、今回の規制改革会議の中でおかしいと私は思うのは、本来であれば今回の規制改革会議はどういうものなんだというまず方向性が決まってから人選されるべきなのに、まず十二月にはもう内々に人選されているんですね。そして、そのまだ正式なメンバーでもない人たちが決まってから、じゃ今度は規制改革会議はどういうことなんだという方向性をこれ決めているんですよ。ですから、やり方そのものがめちゃくちゃなんです、すべてが。だから、おかしいというふうに申し上げているんです。
 それから、これは自由だから何でもありなのかもしれませんが、この場で草刈議長の秘書の方も発言されているんですよ。秘書の方まで、田島さんという秘書が発言されているんですよ。もうここまで来ましたからあえて名前挙げますけれども、問題じゃないですか。幾ら自由討議だといっても、規制改革会議の教育ワーキンググループの会合、これは正式な名称かどうかは分からないけど、そのメンバーが話合いをする中で、なぜ全く関係のない議長の秘書まで発言しているんでしょうか。そういうやり方をしているから問題なんですよ。
 そして、しかも、これは持ち回りでその見解を出されましたが、今度はその後の規制改革会議の中で、ほかの委員の方からどういうことか十分によく分からないのでちゃんと補足の説明をしてほしいということを求められて、規制改革会議の会合の中で補足説明をしております。やっていることがでたらめなんです。
 こういうことをやられたら、まじめにやっている官僚はばかばかしくなりますよ、本当に。それから、我々国会議員だって、我々は国民の代表者ですよ。我々だってばかばかしくなるじゃないですか、こんなこと勝手にやられて。そして、今の流れでいえば、この人たちが正義であって、特に御苦労されているのは歴代の厚生労働大臣ですが、さも抵抗勢力のように言われて袋だたきに遭うと。これは大臣として心労がたまるのはこれもう当然のことだと思いますね。
 ですから、そういう点でいったら、まずここの組織そのもの自体をちゃんと見直さなきゃいけないですよ。今、有識者というお話がありましたが、福井さんはなぜ有識者として認めるんですか。その根拠を挙げていただけますか。
○副大臣(林芳正君) これは総理の諮問会議でございますので、私も所管の、先ほどナンバーツーと言っていただきましたけれども、あえて総理が御指名をされたわけですから、それぞれの専門分野での有識者ということでございまして、私が存じ上げている範囲で申し上げますれば、先ほど御著書の御紹介がありましたけれども、それ以外にも特に法務の分野等で多数の御著書もあり、非常な深い見解をお持ちだと、こういうふうに私としては承知をしております。
 今委員が御指摘のあった非公式な打合せの部分、草刈会長の秘書の方の御発言があったというところは、公式な会議をきちっと手続を取って最終的に会議として答申をまとめるというところは大変大事だというふうに委員の御指摘どおり思っておりますが、そこに至るたたき台を作る、委員の個人的な協議とか、自由濶達ないろんなそのたたき台作るためのブレーンストーミング的なものというのは一概には否定されるべきものではないだろうと、こういうふうに思っております。
 しかし、今、持ち回りとおっしゃいましたけれども、最終的にその会議として答申をまとめるというところの段階でデュープロセスというのがきちっと働くようにしていく、これは我々きちっと見てまいらなければならないと思っておるところでございます。
○櫻井充君 私が申し上げているのは、決まってないメンバーなんです、まだ、正式にね。正式に決まってないんですよ。今回の規制改革会議のメンバーとして閣議決定される前のメンバーが自由に議論したものがたたき台になっていることが問題だと申し上げているんです、ここのところは。
 つまり、閣議決定されるときに、もしかするとですよ、もしかすると、やはりこの方は駄目だとか、いいとかいう議論があるかもしれないし、少なくとも正式メンバーじゃないんですからね。ですから、手続がちゃんと踏まれていないからおかしいというふうに私は申し上げているわけです。
 それから、なぜ教育再生会議に対してまで意見を言わなきゃいけないのか私には理解できませんし、それから教育委員会制度に対してまで言及されているんですよ。経済の問題じゃないでしょう。教育委員会制度までこれが経済だと言われてしまったら何の歯止めもないし、こんな根拠法なんて要らないですよ。この規制改革会議の中の、これは政令だったか、省令かな、根拠法じゃないかもしれぬ、根拠法の中から出てくるようなこういうもの自体が形骸化しているから私は問題だというふうに申し上げているんですよ、手続として。
 ですから、林副大臣、ここのところはもう一度帰ってきちんと御検討していただけますか。その上で、その上でね、その上で、あとは考えていただければそれで結構ですよ。今、副大臣として苦しい立場におられてかばわなければいけないというところは大変だろうと私は思います、これは。私がそちら側にいたら、これは相当しんどいなと思いますよ。
 ですから、その意味で申し上げておきますが、まずちゃんと調べてくださいよ。事実確認をして、問題があると思ったらちゃんと処分していただきたい。そのことをまず申し上げておきたいと思います。
○副大臣(林芳正君) 規制改革会議がどういう範囲でやるかということについては先ほど内閣府令を読み上げさせていただきましたが、櫻井先生、総理と同じやり取りをされておられる中でも、総理からも、経済的な規制だけではなくて、教育や医療等の分野の社会的規制についても調査審議を進めてきたと、こういう御答弁もあるところでございまして、そこは先ほどの私が申し上げたところを御理解いただければと思います。
 その上で、先ほど来繰り返し御答弁申し上げているところでございますが、非公式に、自由に委員が議論をするということと、会議として正式にこの手続の中で最終的な答申をまとめる、ここをはっきり区別をした上で、その正式な手続の中で定めたいろんな規則等に照らしてデュープロセスでない部分があればこれはきちっと見ていきたいということを申し上げておきたいと思います。
○櫻井充君 本当にちゃんと見てくださいよ。
 それから、じゃ、もう一つ。その五月二十一日のところで、労働タスクフォースという名前でこれ出ていますが、一番上にもこれ規制改革会議と出ているんですよ。規制改革会議はちゃんと会議して了解事項ですか、これ。
○副大臣(林芳正君) これはあくまでタスクフォースとして出したものでございまして、逆に申し上げれば、規制改革会議として、会議として了承しておれば規制改革会議というクレジットで出すべきものと、こういうふうに考えております。
○櫻井充君 そういうところが、こんな文書まで偉そうに発表できるような権限がどこにあるんですか。どこの根拠法に基づいてこんな文書をまとめられるんですか。
 それからもう一つ、これは事務方が協力しているんでしょう。事務方がこれは協力しているんですね。これは正式な会合ですか、じゃ。
○副大臣(林芳正君) タスクフォースは正式な会合でございますので、事務方もそのタスクフォースの指示に基づいて事務的な協力をしているということでございます。
○櫻井充君 この人たちがこういう形でコメント出すことそのもの自体、こんな文書出すことそのもの自体を、副大臣としてはこれ真っ当だと思われますか。
○副大臣(林芳正君) 先ほど来繰り返しの御答弁になりますが、自由濶達な議論をしていただく、タスクフォースとしての意見を出すと、このこと自体は私は否定をされるべきものではないと思っておりますが、最初に申し上げましたとおり、政府として今御提案をして審議をいただいております法案、その法案についての政策の方向というものと、これ正式なタスクフォースということになりますと、全く違った方向であるということは、先ほど来申し上げましたように、不適切であるというふうに我々は認識をしているところでございます。
○櫻井充君 苦しいのはよく分かりますから、もう一度とにかく、僕はおかしいと思っているのは、規制改革会議の中の一部なんですよ、暴走しているのは、多分。それから、経済財政諮問会議もたった一人暴走している人がいてね、この人が民間委員という名前を称して四人の名前で全部出しているけれども、あれ四人じゃないでしょう、多分後ろで一人絵をかいているの、八代さんだけだと思いますがね。
 そういうことをやっていいのかということです。彼らは何の権限もないですからね、はっきり言っておきますけれどもね。何の代表者でも何でもなくて、それは皆さんが有識者だというふうにお決めになって、その有識者だと名のっているだけの話であって、例えばそれじゃ、これからその議論しなければいけない話になるんですけれども、年齢制限を撤廃しろというふうに今政府は進めているわけでしょう。じゃ、その当時、規制改革会議のメンバーだった、規制改革会議のメンバーだった、しかも今、労働政策審議会のメンバーの奥谷さんの会社のザ・アールという会社、じゃ、これは年齢制限撤廃していますか。
○政府参考人(高橋満君) 今、櫻井委員御指摘の個別の企業にかかわる状況については、今の時点では把握はいたしておりません。したがいまして、お答えは控えさせていただきます。
○櫻井充君 何言っているんだよ。あのね、ホームページ上にちゃんと掲載されていますよ、堂々と。じゃ、私がお話ししてどう思われるか、コメントを求めましょうか、そこまでおっしゃるのであれば。
 二十五歳から三十五歳って資格制限のところにちゃんと書かれていますよ、二十五歳から三十五歳と、堂々とホームページに掲載されていますよ。この方が労働政策審議会のメンバーですね、ホワイトカラーエグゼンプションをどんどん進めていって、やられている方ですね。この方は、規制改革会議のメンバーでしたね。過労死は自己責任と言った人ですよ。こういう人が本当に有識者ですか。
○政府参考人(高橋満君) 今の募集、採用にかかわって二十五歳から三十五歳という年齢を限って募集を行っておるということにつきまして、現在の雇用対策法で規定をされております努力義務規定と、これに基づきます年齢指針等で定められている一定の制限を掛けることについての合理的な理由のどれに当たるのか、これが明示されているのか、されていないのか、ちょっとその委員御指摘のホームページ上でどのように記載されているかつまびらかにしておりませんが、もし一定の合理的な理由というものが示されていないということになりますと、正に雇用対策法で定めております努力義務規定の趣旨に反するのではないかというふうには理解をいたしております。
○櫻井充君 じゃ、それはちゃんと調べていただけますか。
 つまり、労働政策審議会のメンバーなんですよ。そのメンバーとして適切なのかどうかということを私は問うているんですから、ですからこういうやり方をされている方、それから何回も、いつもこの委員会で問題になっていますけれども、過労死は自己責任だとか、そういうことをおっしゃっている方が適切なのかどうかということですよ。
 私は、様々な意見を持たれている方がその会議に出られることそのもの自体を否定しているわけではなくて、すべての人が同じ意見の人が集まればいいとは思っていませんよ。それは、今総理がつくられている自分のところの勉強会のあの集団的自衛権なんというのはまさしく自分の趣味、自分の意見と同じような人たちだけ集めてやっている、これがいいとは思いませんよ。
 しかし、一般的な社会常識から逸脱するような発言をされているような方からしてみると、本当にそれでいいのかどうか、きちんとした議論ができるのかどうかということを改めて考えていただきたいと思いますし、規制改革会議というのは福井さんに見られるだけでなくて、例えばいろんな規制を緩和しろと自分たちはほかの人たちに向かって言うけれども、自分たちのところはちゃんとやらない人たちが多いんですよ。宮内さんがその典型でしたけれどもね。プロ野球球団ができるときに一番反対したのは宮内さんですからね。おかげで仙台に楽天という球団ができて仙台としては良かったですけれども、結果的に見れば。ですが、ですが、あのときだって十球団にしてどうしてという、もっと一杯参入してきたらいいじゃないか、規制緩和して何とかだっておっしゃっている方ならそう言うのかなと思ったら全然違って、自分のところの利益を最優先されると。
 そういう人たちが民間委員として集まって制度をつくっているということが問題なんですよ。我々は、有権者の代表として、国民の代表としてちゃんと議論していますよ、これは。国家公務員だって、みんなどうやったら平等でというか、ちゃんと全体を見てやっていますよ。この人たちは自分たちの利益だけ考えているような人たち、やからが多過ぎるから、私は問題じゃないかなというふうに思っているわけですよ。
 ですから、そこら辺のところを、ここはお願いです。とにかく、林副大臣、改めてもう一度全部検討してみてください。そして、その上で、この規制改革会議の在り方、特にメンバーの構成、そして今までやってきているような内容について、余りに今の法制度上から逸脱しているところがあるんじゃないか、あったらそこをちゃんと是正していただくと、そういうことのまず御決意だけいただきたいと思います。
○副大臣(林芳正君) まず、手続については、先ほど来、委員の御指摘にお答えしているように、自由濶達な議論とそれからデュープロセスというのはきちっと精査をしてやってまいりたいと思っております。
 それから、中身につきましては、先ほど所掌を申し上げたとおりでございますので、いろんな経済社会の分野について御議論をいただくということでありますけれども、これは御判断の問題になるかと思いますけれども、例えば社会的に非常に不適切なそういう行動、行為といったものがもしあるようなことがあれば、これはきちっとそういうことのないように対応してまいるというのは当然のことであると、こういうふうに思っておるところでございます。
○櫻井充君 よろしくお願いしたいと思います。
 先ほど、総理からというお話がありましたが、総理に私が質問したのはもう相当前でして、その後も規制改革会議などで問題の、僕は、行動として問題点が随分ありまして、たまたま今日は午後から文部科学委員会で塩崎官房長官も出席している場で質問させていただくことになっていますから、改めてその場ででも質問をさせていただきたいなと、そういうふうに思っております

○小林正夫君 今日は内閣府の林副大臣にお越しいただきました。今日の委員会の冒頭でこの再チャレンジワーキンググループ労働タスクフォースからの内容についても御説明を受けました。そこで、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 私は、この内容を読んで非常に働く人側の視点に立つと不快を覚える内容だなと、このように受け取っております。そこで、この規制改革推進本部が平成十九年一月二十六日に設置されて、規制改革会議も同じように設置をされたわけです。
 その前にあった規制改革・民間開放推進本部と規制改革・民間開放推進会議の関係は密接に連携すると、こういうことが、省のホームページの中でも密接に関係するんだということがうたわれておりました。密接に連携するという中身を読んでいきますと、これは規制改革・民間開放推進本部のことですけれども、これは全閣僚で構成され、推進会議の代表者もここに出席をする、必要に応じ推進会議の代表者と関係閣僚が個別テーマについて折衝すると、それほど綿密に連携を図るんだということがこの会議と本部の間柄になったわけです。
 これが今回、規制改革推進本部と規制改革会議と、こういうように衣替えをしたわけなんですけれども、衣替えしても前のような関係というのは維持されていると、このように理解してよろしいんでしょうか。
○副大臣(林芳正君) 委員が今お話しになられましたように、今度新しくなりました規制改革会議と規制改革推進本部の間の関係というのは、前身の、今御指摘のありました規制改革・民間開放推進会議と規制改革・民間開放推進本部の関係と同様に、会議が取りまとめた答申の具体施策の推進や民間からの提案募集に基づく規制改革の推進をするということなど密接な連携を図るということでございまして、同様に密接な関係を図るということになっておるところでございます。
○小林正夫君 そうしますと、今回の労働タスクフォースというところのこの文書というのは、会議があって本部がありますね、それで会議の下の組織としていろいろ研究するところがあったと、ここがまとめてこの文書が出てきたということですね。
 そうすると、この内容と推進本部との関係はどのようになるんでしょうか。
○副大臣(林芳正君) 今回の労働タスクフォースの、今委員が御指摘になりましたいわゆる見解は、会議の下部組織であります労働タスクフォースと、まあ少人数で精力的にということでございますが、労働分野の規制改革の課題につきまして、今後いろんな関係者の皆様と御議論を進めるための出発点といいますか、基本的なスタート地点としての考え方という性格のものでございまして、現時点におきまして、今委員が御指摘になりました政府の方の規制改革推進本部としてまだ受け止めている段階ではない、こういう段階であるということに御理解いただきたいと思います。
○小林正夫君 今日の朝の副大臣のお話で私はこのように受け止めたんですが、再チャレンジワーキンググループが出したものは、要は本部側と調整せず勝手に出してしまったものだと、こういうふうに副大臣おっしゃったというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○副大臣(林芳正君) 再チャレンジワーキンググループのまたその下に労働タスクフォースというのがございまして、分科会の中の分科会ということでございますし、今申し上げましたように、これを決定して取りまとめたということではなくて、この考え方を基に今から議論をしようと、こういう性格のものでございますので、事前に規制改革本部の方に諮られて、これで結構だというような性格のものではないということでございます。
○小林正夫君 そうすると、今後もいろんなこういうグループが検討して提言するということがあり得ると思いますけど、それは今副大臣がおっしゃったような位置付けで今後も進めていくということの理解でよろしいんでしょうか。
○副大臣(林芳正君) 基本的にはそういうことで自由濶達な御議論をいただいていきたいと思っておりますが、委員会の冒頭で発言させていただきましたように、政府全体としては、閣議決定をした法案を御審議をいただいているという、そういう側面もございますので、この御審議をいただいている途中の法案と明らかに方向性が違うものは、たとえタスクフォースと、また問題意識といってもいろんなことで誤解を生じてはなりませんので、そういう意味で、政府として提案させていただいた法案ともう明らかに違う方向というものについては十分注意をしていただきたいということを大臣から議長の方に御指導していただいたと、こういうことを冒頭申し上げさせていただいたところでございます。
○小林正夫君 そこで、厚生労働大臣にお聞きをいたします。
 今回の提言は労働行政にかかわる提言の内容になっておりまして、解雇権の濫用法理の関係、あるいは労働者派遣法の見直しの関係、それと労働政策の立案に関するという、こういう三つのテーマから成っておりまして、いずれも厚生労働大臣が所掌する労働行政の内容なんですけれども、厚生労働大臣としてはこの出された内容についてどのように受け止められているのか。
 それと、先ほどのお話ですと、この会議の下部組織が検討したものなので、特に今の林副大臣のお話を聞いていると、厚生労働大臣が今回のこの提言に当たっていろいろ折衝したというかかわりはなかったのかなと、私はそのように理解しましたけれども、そこのことを含めて、そういうことでよろしいかどうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 正直申しまして、規制改革会議と会議につながるその組織というのは、これは政府の一部門ではありますけれども、ねらいとする改革が改革の内容だけに、いわゆる政府部内の調整というか合い議をするということはまず期待されていないんだろうと思います。
 ところが、我々は、そうはいいましても余りとんでもないことを言われても困りますから、そこで役人の組織としては懸命の努力をしてその草稿なるものを入手しようと恐らくするんじゃないかと、私は詳しいことは知りませんけれども、多分そうだろうと思うんですね。それで、そういう冒頭申したようなものであったとしても余りにも問題ではないかというようなことで、いろんな意見を、どういうつてを頼っていくか知りませんけれども、表明するということはあるんだろうと思います。
 ところが、元々、政府部内で調整するという性格のものじゃありません、これはもう本当に改革でございますから。最終的には閣議決定ですから、そこで我々の見解というのは担保されるわけでございますが、会議そのものが提案するものについてはある程度、ある程度というかインディペンデントに独立して意見表明するという性格のものだろうと思います。そうではあるんだけれども、事実上役所としては余りにもそれが飛躍のあるものでも困るものですから、今言ったような努力をすると。これがありていに言って実情だろうと、こう思うわけでございます。
 そういう意味で、我が方でもその入手した後いろんな働き掛けをしたやに私も仄聞しておりますけれども、しかし、やっぱりもう本当に、もとよりそういう調整のためのオファーをしているわけでも何でもありませんから、結局こうしたものとして提出をされたということであります。
 その感想やいかにということでございますけれども、私は、今一生懸命我々が、最低賃金を引き上げたいと思っていろいろな意味で努力をしているときに、最低賃金なんか引き上げたらもう雇用が失われるぞみたいなことを、まあそれは経済の、何というか、メカニズムとしてはそういう面はあるということまで私ども否定はしませんけれども、今我々が最低賃金を引き上げようという方向で法案を出しているときに、私はもう全く余計なことだというふうに正直言って思ったのでございまして、そういう意味で、前回でしたか、御質疑のときにも、全く政府の、いろいろ改革をするという立場は分かるけれども、とにかく政府部内の組織として今法案を御審議いただいているわけですから、そういうときにそういうことを言うというのは適切さを欠いているというふうに申し上げたわけでございまして、私の感想はそういうものでございます。

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2012 年を目指す高齢者雇用・就業対策

社会経済生産性本部の雇用政策特別委員会が、昨日「2012 年を目指す高齢者雇用・就業対策」という提言を発表しています。

http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/lrw/activity000818/attached2.pdf

一言でいうと、「、団塊の世代は2007 年に60 歳定年に到達したが、これら世代が65 歳に到達しはじめる2012 年をひとつの目途として、65 歳以上の年齢層までを視野に入れた対策の確立が急務となる」という問題意識です。

労働法制に直接関わるのは、雇用保険制度に関するところで、

>雇用保険法について、65 歳以上の雇用を促進するよう改正する必要がある。具体的には、65 歳以上も雇用保険の対象とするとともに、高年齢者雇用継続給付の適用対象年齢の65 歳以上への延長を図る。この場合、高齢者の雇用は、短時間勤務の場合が多いことを考慮し、従来の枠を広げ、どのような雇用形態で働いても給付が受けられるようにすべきである。また、雇用形態の実態に対応した雇用保険を給付するため、その方策のひとつとして、雇用保険料についても労災保険にならって高齢者雇用に伴う総額人件費に一定の比率を掛けて保険料を徴収することなどを検討すべきである。

と述べています。「どのような雇用形態で働いても」というのがどの程度までを念頭においているのかという問題もありますし、雇用保険のメリット制というのもなかなか難しそうですが(ビルメンや警備業ばかりが得をするという批判がすぐ出てきそう)、なかなかチャレンジングな提案だと思います。

後ろの方を見るともっと凄いことが書いてあります。

>生涯にわたるキャリアをサポートする手段を整備していくことも不可欠である。具体的には、現在の雇用保険の体系を抜本的に見直し、失業時の救済だけでなく、若者の就職活動の援助、自己啓発等の支援、育児・介護を含めキャリア中断への対応、高齢期のキャリア設計と具体化の支援など、すべての世代にわたるキャリア形成を幅広く支援する機能を持つ仕組み(キャリア支援保険)といった性格に改めていくことが考えられる。

実をいうと、私はこちらの方向性に賛成なんです。そうたやすいものではないというのは分かっていますが、これぐらいの大きな展望を持って抜本的に職業キャリア保険に大拡充していくぐらいの肝っ玉があってもいいじゃないか、と思っています。雇用保険3事業が2事業に切りつめられ、あんまり将来展望が見えない時期だからこそ、これくらいの発想があってもいい。

この他、団塊世代が持つ技術・技能を次世代に継承していくために、「出向・転籍について企業間の仲介を行うため公的に設置されている産業雇用安定センターの機能をさらに拡充して活用する」とか、地域(都道府県または市町村)単位で、高齢者の技術・技能や職業経験を登録し、これを地域の中小企業等に提示しつつ、雇用機会を開拓していくような新しい仕組みとして、「かつての高年齢者職業経験活用センター(キャリア活用センター)のような方策を再構築していく」とか、さらに「全国展開されているシルバー人材センターの積極的な活用とその機能の充実強化を図る」といったことが提言されています。

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請負等外部人材に関する労使間の課題に関する調査研究報告

連合総研のDIO最新号に、標記研究委員会の報告の要約(というよりも事例紹介)が載っています。

http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no217/dio217.htm

http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no217/houkoku_2.pdf

執筆されているのは、社会科学研究所の佐野嘉秀さんです。

この研究委員会には私も参加し、総合家電メーカーB社、総合空調メーカーC社等にヒアリングに行きました。大変勉強になったと自信を持って言えます。やっぱり現場を見るにしくはないということですね。

来月号には私のコメントも載る予定です。

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大学卒業生のエンプロイアビリティ

経営団体が大学卒業生のエンプロイアビリティについての意見書を公開しています。いえ、日本経団連ではなく、ビジネス・ヨーロッパですけど。

http://www.businesseurope.eu/DocShareNoFrame/docs/2/JDHCPEEDLDGINGHAONINBDGMPDB39DBWAY9LI71KM/UNICE/docs/DLS/2007-00831-EN.pdf

5ページから6ページにかけて、大学で身につけて貰いたい能力が並んでいますが、

・自国語で口頭及び文書で明確にコミュニケートし、一般的なプレゼンテーション技術を適用する能力、

・数量的推論、一般数学的知識及び実務で数字を操作できる能力、

・適切な水準のIT能力

・最低2つの外国語による適切な水準の口頭及び文書の明瞭さ並びに知的敏感さ

・チームで作業し、リードし、必要な対人的敏感さを持って他のチームメンバーにフィードバックし、交流する能力

・十分な商業的及び企業的意識

・情報検索、計画、組織を含め、問題や状況について分析し首尾一貫した思考を展開するために、適切な調査作業手法を適用する能力

・知識、経験及び既得手法の適用において、問題解決、創造性及び柔軟性への適性

・キャリア展望を省察し生涯学習に関わる能力

これがEU版の「人間力」ってやつですか。これだけ備えている奴がいたら、誰だって欲しいですなあ。

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過労死・過労自殺とプライバシー

『時の法令』に隔旬(つまり毎月)連載している「そのみちのコラム」の第3回目は、標記のエッセイです。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/karoshiprivacy.html

ちなみに次回は「教育の職業的レリバンス」の予定です。

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基本方針2007素案

昨日の経済財政諮問会議に、基本方針2007の素案が提出されました。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0604/agenda.html

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0604/item6.pdf

労働関係の記述は、主として次の3個所です。まず、第2章「成長力の強化」の成長力加速プログラムの成長力底上げ戦略。ここに人材能力戦略と就労支援戦略が書かれています。

>人材能力戦略:誰でもどこでも職業能力形成に参加でき、能力を発揮できる社会の実現のため、「ジョブ・カード」制度を導入する。

>就労支援戦略:公的扶助受給者等を対象に、セーフティネットを確保しつつ可能な限り就労による自立・生活の向上が図られるように、福祉・雇用両面にわたる支援を行う。

次に第2章の3「労働市場改革」ですが、とにかく今のところは

>働き方の改革の第1弾として、仕事と家庭・地域生活の両立が可能なワークライフバランスの実現に向け、「ワークライフバランス憲章」(仮称。以下、「憲章」という。)及び「働き方を変える、日本を変える行動指針」(仮称。以下、「行動指針」という。)を策定する。

という話で、労働ビッグバンについては、

>引き続き検討を進める。

ということになっています。

これらとかなり重なる形で、第4章「持続的で安心できる社会の実現」の「未来への投資」に「少子化対策の推進」と「再チャレンジ支援」が載っています。

>長期デフレ等による就職難、経済的困窮等からの再チャレンジ:フリーターの常用雇用化やニートの職業的自立を促進するとともに、多重債務者や事業に失敗した人などが再チャレンジできるよう支援する。

>機会の均等化:様々な事情や困難を抱える人が就労や学習に積極的にチャレンジできるよう支援する。

現段階で今後の政策アジェンダとして掲げるものとしては過不足なくいいところにつけているように思われます。まあ、問題はここに書かれていないものの方だ、という考え方もありましょうけど。

同じく昨日の会議に提出された民間議員による「少子化対策の進め方」も、

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0604/item5.pdf

>ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、「働き方を変える、日本を変える行動指針(仮称)」を、今回の中間報告や男女共同参画会議・専門調査会中間報告等を踏まえ、内閣府を中心に関係府省が連携し、政府横断的な政策方針として年内を目途に策定すべきである。 この「行動指針」は、就業率向上や労働時間短縮などの数値目標を明確に掲げ、PDCAサイクルのもとに実績を検証しながら、その確実な達成を図るべきである。

とされています。

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現代の貧困またはマテリアリズムの欠乏

412kmi2mnnl_ss500_ 岩田正美さんの『現代の貧困』(ちくま新書)の中から、心に残った言葉を引いておきます。本の内容は、今まであちこちで読んできたり研究会で直接伺ったりしてきたことでもあり、ここで要約するまでもないのですが、6章の最初の所の記述が、この問題に対する日本の知識人のスタンスの問題点を良くあぶり出しているように思われたので。

>・・・

・・・貧困問題が厄介なのは、それは貧困だけで終わらないことだ。つまりそれは、多様な社会問題の背景の一つとなることが少なくないのである。・・・

たとえば貧困が病気と深い関係にあることは昔からよく知られている。・・・

また、ある時期までは多くの人々が、貧困を背景として非行や犯罪が生まれてくると考えていた。・・・

だが、こうした貧困と社会問題の関係が、今日の日本社会で言及されることはほとんどない。むしろ、多くの社会問題は、貧困ではなく豊かさの結果として生じていることが強調されている。たとえば、非行は中流家庭の子供たちに多いとか、病気は貧困に起因するのではなく、むしろ飽食によるメタボリック症候群に基づいている、等々。

多くの社会問題が貧困とは関係なく生じるということが強調され出したのは、もしかすると、これまであまりに多くの社会問題が、貧困との関係で語られてきたことへの反動かも知れない。だが、今度はその反動で、すべての問題が「ゆたかな社会」の病理や「心の闇」として語られるようになってしまった感がある。

このため、実は貧困が以前として多くの社会問題と結びつき、その解決を遅らせていると言うことに気付かない。むしろ、貧困と結びつけるような見方に対して、中流層の児童虐待や引きこもりなどの事例を列挙して反論するのが通例である。

むろん、「ゆたかな時代」の社会問題の多くは、多様な要因を背景に出現する。貧困だけが原因なのではない。中流層にも多くの問題がある。「心の闇」もあるだろう。メタボリック症候群は多数にとって大きな問題である。だが、「ゆたかな時代」になったからといって、貧困と社会問題の関連がなくなったわけではない。・・・

・・・

これはまさにその通り。現代ネオサヨ知識人における観念論の過剰とマテリアリズムの欠乏症候群とでも言うべきでしょうか。何かというと「心の闇」といいたがる教育関係者諸氏にも共通するものが・・・。

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生産性本部の提言

社会経済生産性本部が6月1日付で福祉政策特別委員会・提言「次世代のための家族政策の確立に向けて」を公表しました。

http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/lrw/activity000817/attached2.pdf

少子化対策の所は省略して、「若者に就職とセカンドチャンスを」のところを見てみましょう。

>(1)18 歳以降の教育・訓練機会の保障

現在、特に都市部においては、高等教育を受けられるかどうかが正規雇用を獲得できるかどうかのメルクマールとなっている。高等教育は家庭の経済力の制約を受ける。

日本版デュアルシステム(企業における就業と年齢を問わない教育訓練の複線化)のような実践的な職業訓練の拡大が望まれる。

言いたいことは凄くよく分かるんですが、第1パラグラフと第2パラグラフとが論理的に整合していないような・・・。間にもう二つか三つくらい文章が必要でしょうね。

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医師の過労死

平成17(ワ)5021 平成19年05月28日大阪地方裁判所 第15民事部損害賠償請求事件(医師の過労死)です。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070601131551.pdf

判決文の最後のところで、裁判官が肉声で語っているところが・・・。

>近年,精神的疾患を患い,自殺にまで至る者が少なくないが,本件においては,てんかんの既往症があり,うつ病に罹患したDに対し,上司であるF医師が可能な限りのフォローを続けたものの,F医師のみによってはフォローし切れず,若い将来のある医師が自ら命を絶ったものである。てんかんやうつ病に対し,周囲の者が十分な理解を示し,本人も罪悪感を持つことなく可能な範囲で業務を続けながら適切な治療を受けていれば,このような結果に至らなかったと考えられ,誠に残念な事案である。-このことを最後に付言する。

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日本労働研究雑誌6月号

標記雑誌が、「貧困と労働」を特集しています。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/06/index.htm

責任編集は大田聡一氏、大竹文雄氏、小杉礼子氏の3人ですが、解題を書いているのは大竹さんです。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/06/pdf/002-003.pdf

最低賃金と生活保護の逆転現象が本当に労働意欲を低めているかを検証した安部・玉田両氏の論考など、たいへん興味深いものです。

関根由紀さんの「日本の貧困」も俯瞰的な論考として貴重なのですが、ちょっと一言いっておくと、最後の最賃の記述が公益委員試案の段階のままになっているのは、雑誌刊行のスケジュールを考えるとどうなんだろうと。これはむしろ編集部の方で配慮して貰いたいことなんですが。経済学系の論文は、万古普遍の真理(でもないんでしょうが)を書くんだから1年や2年の遅れはどうって事ないのかも知れないけれど、法制度論は、特に事態が大きく動いている時には、そういう時間感覚では読者に違和感を与えるように思います。校正が終わっていても、事態の動きに応じて修正なり追加なりできるようにした方がいいのではないでしょうか。

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規制改革会議議事録

アップされたようなので覗いてみると・・・、

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/meeting/2007/6/item07_6_outline.pdf

第6 回 規制改革会議 議事概要
1.開催日時: 平成19 年5 月30 日(水)15:30~16:00
2.場所: 永田町合同庁舎 1 階 第1 共用会議室
3.出席者:
(会議委員)
草刈 隆郎 議長、八田 達夫 議長代理、有富 慶二 委員、安念 潤司 委員、翁 百合 委員、小田原 榮 委員、川上 康男 委員、木場 弘子 委員、中条 潮 委員、福井 秀夫 委員、本田 桂子 委員、松井 道夫 委員、松本 洋 委員、米田 雅子 委員
(事務局等)
岡下規制改革担当大臣政務官
田中 規制改革推進室長、井上 参事官、福山参事官 等
4.議題: ・答申案文決定
・その他
5.配布資料: ・規制改革推進のための第1次答申(案)
・規制改革推進のための第1次答申概要(案)
・規制改革会議第1次答申―主たる成果
6.議事概要:
・ 会議にて「規制改革推進のための第1次答申」が決定された。
(議事の詳細については、後日公表する議事録をご覧下さい。)

議事の詳細については、後日公表する議事録をご覧下さい・・・

後日ねえ、大変興味あります。

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厚生労働省のスコアカード

同じ市場化テストの話題ですが、内閣府の方に市場化テストに関するスコアカードというのが載っています。

http://www5.cao.go.jp/kanmin/scorecard/scorecard.html

「市場化テストの推進に向けた各府省の取組状況を、法施行から本年3月末までの期間を対象に、「官民競争入札等の導入実績」、「官民競争入札等監理委員会の審議への対応に関する委員の評価」の2つの評価基準により、監理委員会としての判断を5段階(A~E)のスコアで評価したもの」だそうです。いやあ、人様の行動を採点するってのは気分のいいもんですな。

http://www5.cao.go.jp/kanmin/scorecard/score20070331.pdf

これを見ると、導入等の実績では厚生労働省は法務省と並んでCですね。ちなみに、A,Bはなくって、Dが5つ、Eが5つ(内閣府さんもEだそうで)。成績優秀ですな。

こうやって、入札企業、厚労省と成績評価を受けたのですから、次は是非官民競争入札監理委員会の皆様方にも、他人様に評価されるという無上の喜びを感じていただきたいな、と思うところでございます。あ、規制改革会議の皆様の成績評価も忘れずに。

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市場化テストモデル事業の実績評価

標記実績評価書がアップされています。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/06/h0601-3.html

対象となったのは、キャリア交流プラザ事業、若年者版キャリア交流プラザ事業及び求人開拓事業の三つですが、どれにおいても民間側が負けているようです。

まずキャリア交流プラザ事業、

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/06/dl/h0601-3a.pdf

>事業実績を総括すると、就職率や定着率といった指標については、個々のキャリア交流プラザによる違いもあるが、概ね、国が民間を上回り、こうした傾向は、60歳以上の者や長期失業者等の就職が比較的困難とされる者について、より顕著に現れている。また、提供されるべきサービスの水準として目標に掲げていた就職率55%については、国全体として、これに近い水準を達成することができた(注。)

>民間実施地域における定着率が低かったことについては、民間事業者自身からも、目の前の就職を急いだ余り、早期退職を招いたケースが見られたとのコメントがあったところであり、就職率の向上を目標に掲げながらも、求職者のニーズを踏まえた適格な職業紹介を行うことが重要であることを、改めて認識する必要がある。

>また、職業紹介については、民間が運営するキャリア交流プラザにおいても、支援対象者の就職経路の半数近くはハローワーク経由となっており、民間事業者自身の紹介による就職は1割にも満たないものであった。結果として、民間事業者のノウハウを活かした支援を期待していた求職者からは、求人情報の提供や職業紹介が十分ではないという苦情も散見されたところである。

問題の求人開拓事業の様子を見ると、

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/06/dl/h0601-3c.pdf

>事業実績を総括すると、開拓求人件数、求人数、充足数、充足数1人当たりのコストといった全ての指標において、民間実施地域の実績は、比較対象とした国実施地域の実績に及ばなかったところである。

>その原因について受託事業者自身や事業を実施した労働局の分析からまとめると、各受託事業者によって状況は異なるものの、

・経費の削減を重視する余り、求人開拓に必要な体制が十分確保できなかったこと(契約社員や派遣社員を使ったため、人の入れ替えが多かった。また、そもそも、求人開拓推進員の数が少なかった等)

・また、そのため、求人開拓に必要なノウハウも十分蓄積できなかったこと(求人申込書の記載に不慣れであった等)

・求人開拓事業に対する理解が十分ではなかったこと(求人内容に関する確認項目の多さに対する認識不足等)

・民間事業者がハローワークの求人開拓を行うことについて、求人者の理解がなかなか得られなかったこと

・求人の確保だけで手一杯で、求人の質まで手が回らなかったこと(正社員求人の割合が低い等)

・地域の労働市場の状況や求職者のニーズが十分把握できていなかったこと(非効率な飛び込み営業等)

・全体として、求人開拓のノウハウが十分あるとは言えず、民間独自の工夫も余りみられなかったこと

などが考えられるところである。民間事業者にとっては、キャリア交流プラザ事業に比し効率的な求人開拓のためのノウハウの蓄積や求人者からの信用の獲得等特に当該事業を初めて実施することに起因する問題が大きかったことが窺える。

また、一部の受託事業者において、

・本来1つの求人を、就業時間帯ごとに分割して、複数の求人として受理した

・求人者の確認を取らずに、求人開拓推進員が勝手に求人年齢を書き換えてしまった

・求人予定があると聞いただけで、求人者に十分確認しないまま、勝手に求人を出してしまった

等の不適切な対応により求人者や求職者から苦情が出たケースも報告されているがこうしたトラブルは、受託事業者が、求人数を確保するために、求人開拓推進員に与えたインセンティブの仕組み(開拓求人の数が一定の基準を超えると報酬が与えられる仕組み)が過度に働いたことなども影響しているのではないかと思われる。

とうことです。

ちなみに、この評価委員会には、八代先生ご自身も参加しておられます。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/06/dl/h0601-3g.pdf

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長時間労働を前提に経済が成り立つということは、間違っている

安倍首相がそう語ったということです。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070601ia02.htm

>政府は1日午前、少子化対策に関する「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」(議長・塩崎官房長官)を首相官邸で開き、中間報告をまとめた。

>国民や企業に「働き方の改革」を促すため、政府が「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)憲章」を策定し、関係省庁などによる行動指針をまとめることなどが柱だ。

>安倍首相はあいさつで、「長時間労働を前提に経済が成り立つということは、間違っている」と述べ、働き方の改革の必要性を強調した。

>中間報告は2030年以降の急速な人口減少について「政策努力で変えられる余地がある」と指摘。少子化の背景にある、〈1〉「仕事か、子育てか」の二者択一の就業状況〈2〉非正規労働者の増大〈3〉長時間労働――などの是正が不可欠とした。

恐らく首相の頭の中は社会保険庁だの年金時効だのが渦巻いているのだと思いますが、そういう政局狙いの話は話として、この言葉はまことに正論であって、労働時間規制などという馬鹿げたものは悉くヤメレと叫ぶ一部規制改革会議関係者には是非聞かせたいところです。

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雇用社会相理事会

5月30,31日の両日開かれた雇用・社会政策・健康・消費者相理事会ですが、暫定版がアップされています。

http://www.consilium.europa.eu/ueDocs/cms_Data/docs/pressData/en/lsa/94394.pdf

法政策の観点から興味深いものはあんまりないんですが、補完的年金のポータビリティ指令案については、残念ながら合意はできなかったとあります。報道によると、オランダが反対したようですね。

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改正雇用対策法成立

社保庁騒ぎで国会はてんやわんやということですが、それでも地球は動いています。本日午前、参議院本会議で改正雇用対策法が成立し、募集採用における年齢制限が原則として禁止されることになりました。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070601AT3S3102S01062007.html

そりゃ、本来今国会は労働国会だったはずなんですから、いかに社保庁が憎くても、労働関係法案は粛々と審議していただかないと。この雇用対策法は、民主党が数年前から繰り返し提出し続けてきた年齢差別禁止の方向なのですから、坊主憎けりゃで潰すわけにはいかないわけです。

残った労働基準関係3法案ですが、同じように粛々と審議してもらえるかどうかですね。連合会長は、法案が通らなくても最賃を上げろといっているようで、

http://www.asahi.com/politics/update/0531/TKY200705310300.html

>連合の高木剛会長は31日の会見で、最低賃金法改正案の成立が不透明になりつつあることについて、「法案が通らないからといって、今年の引き上げを見送ることは許されない」と述べた。連合は大幅引き上げを最重要課題に掲げており、政労使の代表らでつくる「円卓会議」で6月中にも方向性を出したい考えだ。

なまじ改正しなくても上げてしまうと、改正の必要性がなかったことになってしまってこれまたいささか辛いところです。

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