企業譲渡指令改正への労使への第1次協議
ひさしぶりに、EU労働法のコア部分に関わる立法動向です。
企業譲渡指令(通称既得権指令)の改正に関する労使団体への第1次協議が、去る6月20日に行われたようです。
http://ec.europa.eu/employment_social/social_dialogue/docs/cross_border_transfer_en.pdf
これは、国境を越えた企業譲渡の場合に、どちらの国の法律が適用されるかという国際私法的な問題に関わるものです。本指令はEU加盟国に共通の法規範ですが、そこで用いられている被用者とか雇用契約とかの概念は加盟国法に委ねられています。また、本指令は企業譲渡の際雇用契約が譲渡先に移転されるべきことを定めていますが、労働者がそれを望まない場合に、譲渡元企業に残るかどうかは加盟国法に委ねられています。国境を越えた企業譲渡の場合、これら適用されるべき国内法が食い違い可能性があり、そこのところを手当てすべきではないかというのが協議の趣旨のようです。
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