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2007年5月 1日 (火)

強制連行・労働における安全配慮義務

4月27日に最高裁が下した西松建設事件判決は、もちろん日中共同声明、日華平和条約、サンフランシスコ平和条約など国際法上の論点がてんこ盛りなので、私如きが口を出す余地はないようなものですが、実は労働法の観点からも興味深い点があります。

http://www.asahi.com/national/update/0427/TKY200704270091.html

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070427134258.pdf

それは、原審が「上告人と上記中国人労働者とは直接の契約関係にはないが,特殊な雇用類似の関係にあり,上告人は,その付随的義務として,安全配慮義務を負っていたというべきである。そして,上告人がこの安全配慮義務を尽くさなかったことは明らかであるから,債務不履行責任を免れない」と判示した点について、日中共同声明による請求権放棄の抗弁を認めなかった部分と異なり、「是認することができない」とか何とか言っておらず、法理として認めたように思われることです。

認定によればその状況は、

>本件被害者らは,家族らと日常生活を送っていたところを,仕事を世話してやるなどとだまされたり,突然強制的にトラックに乗せられたりして収容所に連行され,あるいは日本軍の捕虜となった後収容所に収容されるなどした後,上記のとおり,日本内地に移入させられ,安野発電所の事業場で労働に従事したが,日本内地に渡航して上告人の下で稼働することを事前に知らされてこれを承諾したものではなく,上告人との間で雇用契約を締結したものでもない。
本件被害者らのうち,被上告人X (移入当時16歳)は就労中トロッコの脱線1事故により両目を失明し,被上告人X (同18歳)は重篤なかいせんから寝たき2り状態になり,いずれも稼働することができなくなり,昭和20年3月に中国に送還された。亡A(同23歳)及び亡B(同21~22歳)は,上記(5)の大隊長撲殺事件の被疑者として収監中に原子爆弾の被害に遭い,Bは死亡し,Aは後遺障害を負った。亡C(同18~19歳)は,ある日,高熱のため仕事ができる状態ではなかったのに無理に仕事に就かされた上,働かないなどとして現場監督から暴行を受け,死亡した。

ということのようですが、要するに雇用契約関係にはなかったけれども「特殊な雇用類似の関係」にあったから安全配慮義務があり、それを尽くさなかったから損害賠償義務が発生するという理屈は、明示的にではありませんが最高裁も認めたということのように思われます。

ちなみに、同日付の日本軍による強姦事件判決についても、原審が「日本法上の不法行為責任についてみるに,国の公権力の行使に関してはいわゆる国家無答責の原則が妥当するが,上記加害行為は,戦争行為,作戦活動自体又はこれに付随する行為とはいえず,国の公権力の行使に当たるとは認められないから,国家無答責の原則は妥当せず,被上告人は,民法715条1項に基づく損害賠償責任を負う」とした点を否定していません。これもいろいろと面白い論点のあるところです。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070427165434.pdf

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