ETUCの労働法グリーンペーパーへのポジション決議
去る3月20,21日にETUCの執行委員会が採択した労働法グリーンペーパーに対するポジション文書が公開されました。
http://www.etuc.org/IMG/pdf/Annex04-04-07.pdf
ネオリベラルっぽいフレクシキュリティに対する批判も激しいですが、私が個人的に大変興味を惹かれたのは、そもそも協議の仕方が間違ってるという批判です。
このグリーンペーパーは、広く一般に対する協議という形をとっていて、EU条約で規定された労使団体に対する協議という形をとっていません。
労働法の話をするのに、労使団体をさしおいて(と言うかそれを単なるワンノブゼムにして)一般に協議するとは何ごとか、というのがETUCの怒りなわけです。
条約上の労使への協議というシステムは、三者構成原則をEUの立法過程の中に現実化したものですが、確かに広く一般に協議というやり方では、皆様のご意見を聞きましたということにしかならない危険性があります。
しかもその内容が、正規労働者の雇用保護が過剰だから非正規労働者の雇用が不安定になるんだ、その辺をもっと柔軟化しろという労働側から見ればとんでもないものを含んでいるだけに、差別禁止問題のようなやはり労使への協議が召し上げられてしまった領域以上に腹が立つわけでしょう。
というか、差別禁止で労使に協議しないことに対しては、使用者側がけしからんと怒りをぶつけているのに労働側は黙っていて、こなた労働法グリーンペーパーについては、労働側が手続論をふりかざしているのに使用者側は中味についてしか文句を言わないという奇妙な(いやよくわかる)対照性を示しています。
この問題は、実は現在の日本においても、経済財政諮問会議の労働ビッグバンと三者構成原則に基づく労政審という形で、大変アクチュアルな問題なんですね。
いやあ、ありとあらゆるところで日本とヨーロッパが同時代的であることに感心します。
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