川喜多先生の名台詞
電機連合NAVIという雑誌の4月号に、川喜多喬先生の講演録が載っています。「人材こそが日本の誇り-育成に投資を惜しむな」という題で、いつもの川喜多節が炸裂していますが、大変まっとうなことをまっとうに主張されていて、電機連合の中だけで読まれるのはもったいないので、いくつか引用しておきます。
まず、「景気と雇用の粗野な連動でよいのか」ということで、
>単純に景気しだいで採用数を変動させるのは人間中心にモノを考えていない行動ではないか
>モノを考える経営者であれば、世の中の景気が良くなってきたら、人を採るのを少し控える。世の中の景気が悪いときでも、できるだけ人を採用し企業内の世代によるでこぼこをなくして雇用を保持する、このように考えるべきだと思うが、最近流行の「市場の論理」信奉だけでいくと、数量調整を平気でやってしまう。
>「知識労働者」が机上で先が読めると思うのが間違いで、例えば東京大学の経済学部を出て、ノーベル経済学賞モノの経済モデルを作り、世界最新鋭のコンピュータを使って計算すれば景気予測ができるかといえばできないであろう。
>アメリカ型経営がそうだが、学校秀才が、本社という組織の中枢にこもってコンピュータを前にして数字だけで現場を想像すれば世の中が見えるということではない。数字に出ない世の中が現に動いているのが現場であり、そこでは数多く人々の生きた知恵が働いているからである。
>いわゆる学校秀才型の経営者は、本社の建物の中で数字を通しのみ人をくくって考え、「世界中の最適なところでモノを調達し、世界中で最適なところで人を働かせればいい」と無邪気に考えがちであり、これはまことに恐ろしいことである。
>かつてモノつくりの現場では、たたき上げの人たちを工場長にしてきた。今でもトヨタでは、工場の課長の半数は現場たたき上げである。トヨタの工場がなぜ強いかというと、課長が全て2人ずついるからである。1人は技術系で、もう1人が現場たたき上げである。
>ところが現場たたき上げの人たちが課長になれないような社会、つまりアメリカ流の、外から学校秀才がMBAなどと称して上に横はいりする社会を作ると、現場の知恵が見えていない者が指揮棒を振ることになる。
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