フォト
2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« ETUCの労働法グリーンペーパーへのポジション決議 | トップページ | 発癌物質・催奇性物質及び生殖毒性物質への曝露規制第2次協議 »

2007年4月18日 (水)

日本経団連の「官民協力による若年者雇用対策」意見書

日本経団連が昨日、「官民協力による若年者雇用対策の充実について-労働市場のマッチング機能強化に向けて-」と題する意見書を発表しました。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/030.pdf

いろんなことが書いてありまして、かなりの部分はその通りという感じです。

まずもって企業自身が、新卒採用に偏る採用などの見直し 、年齢などに偏重した処遇制度の見直し、いわゆる正社員への登用の仕組みの整備をせよ、またトライアル雇用制度や実践型人材養成システムを活用し、ジョブ・カード制度に協力しよう、そして、学校教育から労働市場への移行をサポートするため、インターンシップや職業観醸成プログラムに積極的に協力するとともに、教職員の民間企業研修にも協力しよう、というわけです。

政府に対しては労働市場のマッチング機能を高めるため、ハローワークの見直し、機能強化を図れというわけで、具体的には、

>ハローワークは、無料かつ全国的な職業紹介組織を維持しつつも、現在問題となっている「就職氷河期」にやむを得ずフリーターとなった年長フリーターなどに対象者を特化したサービスも提供するよう、そのあり方(立地・サービス内容など)を見直すべきである。もちろん、今後も環境変化を踏まえた対象者の一層の絞込みやサービスの重点化が必要である。

と提起しています。また、

>在学中の学生に加え、中途退学・早期離職・新卒採用市場でマッチングしなかった者など、その意欲と能力を十分に発揮できていない若年者などへの支援拠点を用意し、学校から労働市場への円滑な移行をサポートすべきである。現在、政府はさまざまな求職活動支援施策や職業訓練施策を提供しているが、そのさらなる有効活用に向け、ハローワークを中心に若年層のさまざまなニーズに対して、ワンストップで支援ができる拠点を整備すべきである。

とも主張しています。まさに適切な指摘であって、対象を絞ったワンストップ化が重要な課題だと思います。

>学校における職業紹介などとハローワークを有機的に結びつけ、学生がハローワークを積極的に活用することを促進していくべきである。

というのも、まさにその通りでしょう。

その後に、(御手洗会長の名前が入った形で経済財政諮問会議の民間議員の意見が出されている以上、当然ではありますが)「民間開放の拡大」というのが出てきます。もっとも、「国が維持すべき最低限の職業紹介機能の効率化を図りながら、職業紹介事業の民間開放を一層進めていくべきである。労働市場のマッチング機能を高めるため、民間のカバーする範囲を拡大し、官民が相互に補完しあうきめ細かいサービスの提供体制が構築されれば、若年者雇用対策にも資することとなる」というのは大変もっともな意見です。

ただその後に、「求職者の希望により有料の民間職業紹介機関を利用し、再就職した際に、求職者が負担する職業紹介手数料に再就職手当を充てる仕組みなども検討すべきである」なんてのが出てくるのは、いささか有料職業紹介業者の個別利害に引き寄せられすぎている感があります。

後の方に出てきますが、「現在は年収700 万円以上の職業紹介に限って求職者から手数料を徴収することができるが、求職者の立場に立てば、手数料を負担してでも有益な求人についての職業紹介を受けたいというニーズもあろう。民間職業紹介のさらなる利用を促進するために、求職者手数料の徴収が可能な範囲についてはさらなる見直しを検討するとともに、一律に年収のみを基準として求職者の手数料負担の可否を決める仕組みは見直すべきである」という意見も出しているんですね。私はこちらはそうだろうなと思います。求職者が身銭を切ってでもいい就職をしたいというのを、ダメだという必要はなかろう、まあ経団連は年収400万でホワエグだと言っていたこともあるので、700万は高すぎだろうということになるんでしょうけど。

いずれにしても、本人が払いたいといってるのをダメだということはなかろうという話と、本人が払えなくても有料職業紹介業者が手数料を国から貰いたいという話とが共存しているのはいささか身勝手な感があります。まあこれはご愛敬ですか。

実は、ハローワーク側がもっと深刻に受け止めるべき指摘がそのすぐ後にきます。

>ハローワークはサービス提供機関であることを念頭に置き、求職者などがより利用しやすい環境を整え、その取組みの周知を徹底していく必要がある。たとえば、インターネットの利用や携帯電話向け求人情報提供サービスを拡充することのほか、在職者に対する職業相談、職業紹介を行うためにも、ニーズがある地域については、日曜日や平日夜間のサービス提供を拡充すべきである。

そういえば、経済財政諮問会議でも、休日開庁がけんもほろろに断られた云々という発言がありました。現在一部の職安では夜間土曜の開庁をやってはいますが、やはりそこがお役所仕事、民間ならもっと長時間年中無休でやってるぞ、と言う声が出てくるわけです。それにきちんと応えられなければ、求人開拓やりたくない民間業者にすら負けますぞ、という話ですね。

あと、訓練の話とかもいろいろありますが、興味深いのは最後のこれです。

>政府が、失業等給付を除くほとんどの雇用対策の財源を一般会計予算によらず、雇用保険二事業の保険料に依存している現状は適切でない。事業主の相互扶助である雇用保険二事業の無原則な拡大は行うべきではなく、事業を絶えず精査し、事業主拠出の雇用保険料で負担することが説明できない施策については、一般会計による負担も検討していくべきである。

これは全く賛成ですので、ひよわな労働官僚が大蔵省相手に大幅な一般会計予算を要求していけるよう、経済財政諮問会議でも応援方宜しくお願いしますね・・・なんて言うと叱られるかな?

« ETUCの労働法グリーンペーパーへのポジション決議 | トップページ | 発癌物質・催奇性物質及び生殖毒性物質への曝露規制第2次協議 »

コメント

おー、企業側からこんなお話が聞けるとは。
なんだか私が知らない間に、時代は変わってたのか?

私は「人間力」などどぬかしている人たちである経団連には、これを本気でやる気があるとは思えません。やってもいいけどお国様金(補助金)下さい、となるのがオチかと。
どういう形であれ、これ以上経団連に甘い汁を吸わせる政策は好ましくないと思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本経団連の「官民協力による若年者雇用対策」意見書:

« ETUCの労働法グリーンペーパーへのポジション決議 | トップページ | 発癌物質・催奇性物質及び生殖毒性物質への曝露規制第2次協議 »