パート厚生年金の何が問題か
朝日の記事で、
http://www.asahi.com/life/update/0307/005.html
「パート厚生年金、16万人に限定 「再チャレ」色後退」という見出しですが、じつはそもそも、パート問題を「再チャレンジ」という枠組みで語ることに若干無理があったというか、ずれがあったわけですね。
記事は「適用対象者を広げないと、不安定なパート労働者の老後保障への効果は乏しい」というのですが、亭主の厚生年金で遺族年金が出る主婦パートにすればあまり関係のない話。彼女らにとってはもともと再チャレンジなんか関係ないわけで。非正規労働の中味を仕分けしないでまとめて考えているとこういうずれが出てきてしまいます。
ワーキングプアとして問題になっている若年非正規労働者の多くは、週30時間未満などという短時間労働ではなく、フルタイムの非正規で、厚生年金に加入しなければいけないはずなのに、入っていない悪質な請負会社なんかが結構あるわけで、むしろそういうのをちゃんと潰さないといけないわけですが。
この問題の本質はむしろ、パートという形で労働力を利用している企業や業種が、そうでない形で労働力を利用している企業や業種に比べて、厚生年金の使用者負担分を負担しないで済んでいるというところにあります。制度の歪みがフルタイム労働使用者からパートタイム労働使用者への使用者間の強制的贈与をもたらしているというのは、あまり健全ではないでしょう。また、そういう形で社会保険料負担を合法的に免れている企業がたくさんあると、そうでない企業にも非合法に払わないインセンティブを与える危険性がありますね。
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