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2007年2月19日 (月)

上がってもない足を取りたがる症候群

またも日刊ゲンダイ・・・。

http://news.www.infoseek.co.jp/gendainet/society/story/19gendainet02030659/

>柳沢大臣またまた差別発言 (ゲンダイネット)

>この大臣はもうどうしようもない。「産む機械」発言の柳沢伯夫厚労相がまた口を滑らせた。

>15日の参院厚生労働委員会で残業代ゼロの「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度に関する質疑の場面で、生産現場で働く従業員について、「工場労働者というか、そのぉ、ベルトコンベヤーの仕事。労働時間だけを売り物です、というようなところですね」と言ってのけたのだ。

>柳沢大臣は残業代ゼロ制度の対象外となる労働者もいるということを説明しようとしたのだが、「ベルトコンベヤーの仕事」とはあまりにもお粗末。口を開くたびに誤解を招く失言を繰り返す大臣は一刻も早く辞めたらいい。

一体どこが「差別発言」なのか?誰がどういう誤解をするというのか、是非ともご教示いただきたいところです。

労働には、時間で価値を計ることがふさわしい労働と、時間で価値を計るのがふさわしくない労働があるという事実を述べただけではないのでしょうか。

時間で価値を計るべき労働であればこそ、時間に正確に比例して残業代を払わなければならないのですし、時間で価値を計るべきでない労働ならば、時間比例の残業代を払うべきそもそもの根拠が消滅するわけです。これこそが、ホワイトカラーエグゼンプションのもとも本質的な論点であり、その余はすべて余計であるということを、このブログで繰り返し述べてきたわけです。時間で価値を計るべきでないということと、時間で健康への影響を計るべきであるかどうかは全く別であるということも、繰り返し述べてきましたが、それはまた別の話ですが・・・。

とにかく、一体ゲンダイさんは何を言いたいのか。ベルトコンベアの仕事だって「労働時間だけを売り物です」といってはいけないんだ、時間で価値を計ってはいけないんだ、ブルーからーだって残業代をエグゼンプトすべきなんだ、とでも主張したいのでしょうか。

まあ、最近は工場でもセル生産方式がかなり導入されてきていますから、ブルーカラーだから「時間だけが売り物」というのは適切ではないというのは結構正しい指摘ではあり得ます(日刊ゲンダイがそんなことを想定しているわけはないけど)。

何にせよ、とにかく、こういう脊髄反射的な上がってもない足を取りたがる症候群がマスコミに瀰漫しているというのは、ゲンダイ日本人のレベルを物語っているというべきなんでしょうかね。

(追記)

と思ったら、民主党が一緒になってその足を持ち上げてたようです。

http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070219/skk070219004.htm

>19日の衆院予算委で、民主党の川内博史氏が「現場で一生懸命働いている方に失礼だ」と批判し、柳沢氏自らが議事録からの削除を申し出るよう要求。これに対し、柳沢氏は「全体を見れば誤解が生じるとは思わないが、『だけ』という言葉がある人々を傷つけるとの指摘なので、(削除が)可能かどうかを相談したい」と述べた。

ふうーーーん、民主党の議員さんは、「労働時間だけ」を売っている労働者というのは、言葉に出すのも恥ずかしいような、そんなことを言ったら失礼に当たるような、そういう人々だとお考えになっておられるんですかねえ。

時間当たり賃金で働いている人に対して、時間だけを売っている人だというのは失礼なんですか。時間とは別の基準で労働を売っている人の方が高級で偉いとでもお考えなんでしょうか。エグゼンプトの人だけが偉いとでも?

「アメリカではエグゼンプトは誇りを持っている」という経済界の方と同じことを言いたいわけですかね。

まあ、しかしもう疲れますなあ、こういう御仁たちには。ホントに、日本の政治というのは言葉尻だけで動いているんですねえ。ご自分のいっていることを論理的に組み合わせるとどういう整合性があるのかなんててんでアタマにはないんでしょう。

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コメント

浜口先生、意見よろしいでしょうか。

柳沢大臣にブルーカラー侮蔑の意図は恐らくなかったであろうとは思いますが、ただでさえもう2翻ついている状態の大臣の発言としては隙を衝かれかねない、表現の稚拙な発言であることは否めない、と思われます。せめて「労働時間で成果を測ることが適切であるブルーカラー労働者」くらいに言葉を尽くすべきではないでしょうか。

また、労働問題について発言していて影響力の強い人でもあからさまにホワイトカラーを礼賛する大久保幸夫氏のような論客もいますので、そのような人を利してしまうと言う意味でも柳沢発言は問題ありと私は考えますが、いかがでしょうか。

投稿: Lenazo | 2007年2月19日 (月) 16時16分

正しいとは思うんですけど

やっぱり、ああいうことがあった後ですから。
う~ん、何か森(元)総理的と言うか。いや、
本人の頭の中は多分、そんな悪いこと考えて
ないとは思うのですが

投稿: とま | 2007年2月19日 (月) 17時08分

え、本当にそう思ってます?
ベルトコンベアーの仕事って、労働時間*だけ*が売り物ですか?
時間単位で給料が支払われるとしても、決して、労働時間*だけ*が売り物なわけじゃないでしょ?
誇りを持って質の高い労働をしているブルーカラーの労働者に対して無礼千万ですね。

投稿: Japanese | 2007年2月20日 (火) 00時38分

>表現の稚拙な発言

いま、相手が揚げ足取りを狙っているな、と考えて、注意深く言葉を選んで発言しなければならなかった、という点では、政治家として考えれば、おっしゃる面も否定できないとは思います。
ただ、では、自分のブルーカラー侮蔑的な感覚をそのまま柳澤大臣発言にべたっと貼り付けて、鬼の首を取ったかのように得々と攻撃するマスコミや政治家を免責できるかというと、私はそっちの方が遙かに不愉快ですね。

投稿: hamachan | 2007年2月20日 (火) 09時16分

>時間単位で給料が支払われるとしても、決して、労働時間*だけ*が売り物なわけじゃないでしょ?

それが「言葉尻」。

そもそも、売っている目的物は「労働」であって、それはいかなる賃金形態であろうが変わりはありません。

時間給であろうが、年俸制であろうが、出来高払いであろうが、売り物は「労働」です。価値の高低はその「労働」の中味にあるのであって、販売単位にあるのではない。

その「労働」をどういう測り方で売っているかということを、どういう言い方をするかということであって、その間に価値の高低があるはずもないし、ましてやある売り方は気高い高貴な売り方で、ある売り方は下賤な売り方だなどということがあるはずもありません。

投稿: hamachan | 2007年2月20日 (火) 09時24分

こういうぶくまがついていましたのでご参考までに

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_452c.html

>揚げ足取りいくないって言う俺はりてらしーも教養も高いぜ! っていう感じでいやらしい。マスコミも野党もはまちゃんみたいなごもっともなきれい事しか言わない人の意見など気にせずに、どんどん揚げ足を取るべきで


それはそれで、一つの考え方ではありますね。

投稿: hamachan | 2007年2月20日 (火) 09時49分

「言葉尻」って、とても便利な一見客観的に見える主観的決め付け表現ですね。
というか、不都合なことを言った人の言い訳以外ではあまり使われない表現ですね。

それに、「言葉尻」って言ってしまえば許されるんでしょうか。
「言葉尻」って、隠し切れなかった本音が垣間見えてしまうものじゃないですか?(頭かくして尻隠さず)

思ってもいないのに、わざわざ「だけ」なんて限定が付くのは不自然ではありませんか?
更には、「労働時間だけ」と言えば、言葉尻でもなんでもなく、その他のことは無視していると解釈するのが素直な読解ではないですか。

釈迦に説法ですが、生産ラインのブルーカラーにも、労働の質に応じてボーナス・給与を含むインセンティブを与えることは可能ですし、優れた企業ではそのような仕組みを多かれ少なかれ取り入れているのではないですか?

そのような場合も、「労働時間だけ」にあてはまるとするのは、やや無理がありませんか?

投稿: Japanese | 2007年2月20日 (火) 17時38分

産む機会、働く時間だけが価値という表現は
たしかに表現としては間違ってないかも
しれませんが、それに当てはまる人からすると
心情的にはやはり不快ですし、問題がないとは
いえないと思いますよ。
自分で自分を馬鹿と言っても平気ですが
他人に言われると腹が立つのと同じです
この発言をなんとも思わないのは
やはり自分と関係ない世界だからだと思います
契約社員だと10時間労働の週休二日でも
社会保険を引かれた年収だと220万程度です
ギリギリの生活を送り、仕事にやりがいを
みいだそうとしている中で
おまえらは、労働時間だけが価値なんだと
あらためて言われると、やっぱり辛いものがあります

投稿: 契約社員 | 2007年2月20日 (火) 21時43分

>生産ラインのブルーカラーにも、労働の質に応じてボーナス・給与を含むインセンティブを与えることは可能ですし、優れた企業ではそのような仕組みを多かれ少なかれ取り入れているのではないですか?
そのような場合も、「労働時間だけ」にあてはまるとするのは、やや無理がありませんか?


実はおっしゃるとおりです。
そして、その論点を展開していくと、そもそも時間外手当のエグゼンプションは、なぜホワイトカラーだけに限られなければならないのか?というさらに本質的な論点に関わってきます。

この点は、実は労政審で労働側の小山委員が指摘しているんですよ。

>○小山委員 10頁の「自律的に働き、かつ、労働時間の長短ではなく成果や能力などにより評価されることがふさわしい労働者のための制度」という定義をされていますが、労働時間の長短で評価されている労働者というのが一方にいるということかと思いますが、それはどういう労働者を指しているのか。この表現で私が認識するところによれば、労働時間の長短で評価されるということは時間給で労働契約を結んで、時間に応じて賃金が支払われるということでしたら、労働時間の長短で賃金が決定していくことになるわけですが、いわゆる正規雇用の従業員の場合は、労働時間の長短によって賃金が評価されて決定するという制度はないと思っていますが、その点についてどのように考えられているのでしょうか。

○大西監督課長 この研究会では、いま委員が御指摘の正規労働者も含めて所定労働時間が何時間あって、それを超えた場合に時間外労働という形になるということで、労働時間を軸に労働時間に基づく給与と、あるいはその時間外における割増賃金をいただいている方を総体として、この労働時間をベースに割増賃金を含めた給与の設定がなされているという具合に広く捉えていまして、必ずしもより時間給という方だけではなく、広く労働者を捉えているという考え方の下で研究会の議論は整理されているところです。・・・

実際、戦前にいくつかの工場で「工員月給制」を導入する際には、それまでの残業代をどうするかというのが労使間の大きな論点になったこともあります。当時は、月給制というのは残業代がつかないということでしたから、まさにブルーカラー・エグゼンプションをやったわけですね。

話がそういうところまできちんと進むのであれば、大歓迎なんですよ。何でホワイトカラーだけがエグゼンプトなんだ、日本のブルーカラーは時間だけ売ってんじゃねえぞ、妙な差別意識を持ち込むんじゃねえ、ブルーだろうがホワイトだろうが、一律に高給者にはエグゼンプトでいいじゃないか、という議論をするというのであれば、柳澤発言はまさに批判されて然るべきだし、そういう批判には正当性がありますね、ということです。
論理的整合性云々というのはそういうことです。

投稿: hamachan | 2007年2月21日 (水) 10時46分

ところで、労働関係ブログの双璧である労務屋さんと水口さんが、いずれも柳澤発言をマルクスになぞらえています。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20070220#seemore

>ところで、共産党などは「生産手段を持たない(奪われた)労働者は、生産手段を保有する資本家に労働力を売る以外にない」といったことを「学習」しているのだと私は思っていました。だとすれば、「労働時間だけしか売り物がない」と言われれば「まさにそのとおり!」と激しく同意しそうなもんだと思うのですが、違うのでしょうかね?


http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/

>柳沢伯夫厚労大臣はマルクスとまったく同じことを言ったのです。柳沢大臣は国会議事録から削除などしないで,「マルクスだって同じこと言っている」と反論すればヨカッタのにね。
そして,マルクスと同じように,「だから,労働時間を規制しなければ,奴隷制が復活することになるのだ!」って,法律による労働時間の規制強化が必要だと唱えれば,人気も少しは回復したかも…(そんな わけないか)。

こういうアプローチもあるのですね。

投稿: hamachan | 2007年2月21日 (水) 10時55分

>ブルーだろうがホワイトだろうが、一律に高給者にはエグゼンプトでいいじゃないか

まあ、この方が分かりやすいですね。というか、高給=ホワイトカラーぐらいで一般には理解されていて、それであまり矛盾は感じない。むしろ、400万円でホワイトカラー扱いなのか?という疑問の方が…

投稿: とま | 2007年2月21日 (水) 10時56分

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