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2007年2月

2007年2月28日 (水)

生産性加速プログラム

昨日の経済財政諮問会議で、大田弘子経済相が「生産性加速プログラム」を提起したそうです。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0227/report.html

これは大臣自身のレポートですが、「生産性加速」とはどういうことか、大臣自身の言葉で語っていただきましょう。

>目標については、労働者1人当たり1時間に生み出す付加価値の伸び率である労働生産性の伸び率を指標とし、過去10年間で年平均伸び率1.6%ですが、これを今後5年間で5割増しの2.4%を目指すということです。これから人口が減る中で、一人一人が生み出す付加価値を多くしていこうという取り組みになります。総理からは、例えば生産性倍増のようなわかりやすい目標をという指示がありましたが、5年間で倍増というのは難しいので、5割増しを目指していきます。

時間当たり付加価値額の伸び率なんですよ、もちろん。それ以外にマクロ的に測定可能な指標なんてないのですから。

製造業やIT産業のような、アウトプットが国際競争にさらされる分野で物的生産性を大きく引き上げると、そういう人々がいく床屋やメイド喫茶の時間当たり付加価値生産性もそれに伴って上昇するわけです。別に、床屋さんやメイドさんの時間当たり取扱い客数を5割増にしようなどといっているわけではありません。

だから、サービス業が雇用吸収産業になりうるわけです。この辺に関わるやり取りが、記者会見にあります。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0227/interview.html

>(問)もう1点、IT化による生産性向上ということは、逆にこれは省力化になって人手が少なくて済むようになるわけですけれども、その場合、雇用の場というのが必要になるわけですが、その意味で成長分野だということなんだと思いますけれども、その雇用の場を生み出す、アメリカであればIT産業が勃興して雇用の場を生み出すわけですけれども、そういう雇用の場というのはどこに求めて、どういうふうにつくっていくことになるんでしょうか。

>(答)まず前提として、進路と戦略の参考試算を達成するためにも、労働力不足との戦いがまずあります。労働力人口の減少というのがマイナスに働くのを、何とかその下押し圧力を上に持っていくというところで、潜在成長率は年平均0.2から0.3ぐらい押し上げるということになっていますので、雇用の場というよりも労働参加率を高めていくという努力がこれからは必要になってくるということがあります。その上で申し上げると、やはりサービス産業の活性化、そこで潜在需要を掘り起こしていくというようなことが必要と考えています。それが、例えば規制改革ですとか消費者の立場に立った改革を進めることで「官製サービス市場革新」という、第2パートの1つ目に書いたことにつながっていくと思います。

どっちもややピント外れのところがあるのですが(お互いに外れあって、かえって息が合っているという感じ)、生産性が向上しちゃったら失業が出ちゃうじゃないか、という疑問に対しては、(製造業やIT産業で生産性が上がれば)物的生産性は上がらなくても価値生産性は上がるサービス業で吸収できるからいいの、という話だし、それじゃあサービス業に人手をとられて労働力不足になっちゃうよ、という疑問に対しては、労働力参加率を高めていこうという話になるわけで、ちゃんと腑分けしないとこういう分かったような分かってないような会話になってしまいます。

官製サービス云々は、サービスの質の問題として論ずべきものであって、こういうところに不用意に出すべきではありませんね。

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2007年2月27日 (火)

欧州の社会的現実に関する協議

本日、欧州委員会は「欧州の社会的現実」なる超大風呂敷的なテーマで広く一般に向けた協議を開始したようです。

http://ec.europa.eu/citizens_agenda/social_reality_stocktaking/index_en.htm

協議のための背景文書というのがこれですが、

http://ec.europa.eu/citizens_agenda/social_reality_stocktaking/docs/background_document_en.pdf

こちらが論点です。

http://ec.europa.eu/citizens_agenda/social_reality_stocktaking/docs/issues_for_discussion_en.rtf

ウェル・ビーイング(幸福/福祉)とはなんだろう、てな話から、社会への機会/アクセスを確保するために何が必要か、教育か、雇用/職場か、社会との関係か・・・、とまあ、凄い深い話。

こういうのをEUは政策協議としてやるんですよ。

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65歳定年は年齢差別ではない

昨年1月31日のエントリーで紹介した、デラヴィラ事件。労働協約とそれに基づく法律で定めた65歳定年がEUの一般均等指令(年齢差別)に反するかをめぐる裁判が、欧州司法裁判所に付託されたというニュースでしたが、これに対する法務官意見がさる2月15日に出されていました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_0e1e.html

http://curia.europa.eu/jurisp/cgi-bin/form.pl?lang=en&newform=newform&Submit=Submit&alljur=alljur&jurcdj=jurcdj&jurtpi=jurtpi&jurtfp=jurtfp&alldocrec=alldocrec&docj=docj&docor=docor&docop=docop&docav=docav&docsom=docsom&docinf=docinf&alldocnorec=alldocnorec&docnoj=docnoj&docnoor=docnoor&typeord=ALLTYP&allcommjo=allcommjo&affint=affint&affclose=affclose&numaff=&ddatefs=&mdatefs=&ydatefs=&ddatefe=&mdatefe=&ydatefe=&nomusuel=&domaine=PSOC&mots=&resmax=100

結論を言えば、違反じゃない!指令前文第14号は役に立ったようです。

ヨーロッパ中の政府がほっと胸をなで下ろしているでしょう。いや、まだ法務官意見ですから、判決でどんでん返しという可能性もないわけではありませんが、年金がでるのに定年退職させてはいけないとなったら、ヨーロッパ中大騒ぎになるところでした。

ただ、例のマンゴルト事件判決がえらく強硬だっただけに、それとの違いを説明するのに結構汗をかいています。

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負け太り

権丈先生の最新エッセイですが、

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare68.pdf

この中に、辛辣に現実を言い当てた一文があったので、思わずコピペ。

>「焼け太り」に類する言葉として、わたくしは「負け太り」という言葉をしばしば使っている。論者が間違えたことを言っているために専門家の間での論争では簡単に勝負がつくのであるが、論点の専門性ゆえに世間はそのことがわからず、間違えた論者は注目を浴び、功成り名を遂げて、世俗的には成功者となる。自然科学の世界ではいざ知らず、社会科学の世界では、「負け太り」の例は枚挙にいとまがない。

いやあ、まったく。

何の話かというと、こういう続きです。

>「抜本改革だ抜本改革だ!」と連呼する、九官鳥か?と見まがうようなやたら目立つことを言っている人が採用されやすくなり、地味に良質な研究をしている人は競争面でものすごく不利な立場に立たされるという構造的な問題がある。 この種の構造的問題は、メディアや政界をはじめいろいろな世界で共通することだとは思う。そして研究者・メディア・政治家が強固な「抜本改革トライアングル」を形成して互いに互いを利用し合いながらスパイラル的にこの構造問題は増幅されているようにみえたりもする・・・。彼ら「抜本改革トライアングル」はほとんどの場合おかしなことを言っているのであるが、素人目にはなかなかそのあたりが見破られない――しかもほんの少しでも研究領域がずれると隣接領域の研究者にも同様に見破られない。

まったくね、抜本改革トライアングルか、言い得て妙。

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法律時報

日本評論社から出ている『法律時報』という雑誌(標題の上に「末弘厳太郎=創刊」という字が躍っています)が、最新号の3月号で「雇用平等法制の新展開」という特集を組んでいまして、その中に私も「年齢差別」という文章を寄せています。

http://www.nippyo.co.jp/maga_houjiho/main.shtml

メインの座談会は男女均等法の改正をめぐってですが、長谷川珠子さんの障害者差別の論考、森戸先生の性的志向差別の論考、櫻庭先生のEU法制についての論考、飯田高さんの経済学的アプローチなど盛りだくさんで、私のを除けば買って読んで損はありません。

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2007年2月25日 (日)

労働ビッグバンはワークライフバランスなんですか?

いやもう、何が何でも、労働ビッグバンで解雇自由にすることが仕事と育児を両立させ、ワークライフバランスを確立する特効薬に仕立て上げたくして仕方がないんですねえ。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070225AT3S2400S24022007.html

>政府は育児や介護といった家庭生活と仕事を両立できる職場環境づくりに向けて、新たに「ワークライフバランス」の指針を取りまとめる。部分的な週休3日制の導入や、出産退職した従業員の再雇用などを地方自治体や企業に促すことで、多様な働き方を可能にする「労働ビッグバン」を官民一体で推進。決め手に欠ける少子化対策を後押しする。

いや、「労働ビッグバン」という言葉の定義次第ではあるんですよ、もちろん。フルからパートへといった労働時間の自己選択制を可能にするといったことを意味しているのであれば、それはそれでわかる話ではある。でも、経済財政諮問会議があれだけどでかくぶちあげた「労働ビッグバン」と関係ないはずがないではありませんか。ねえ、八代先生。

もっとも、

>指針の中身は男女共同参画会議の「ワークライフバランス専門調査会」で検討する。週休3日制のほか(1)育児休業の拡充(2)在宅勤務の推進(3)企業独自の手当制度――なども有力で、日本社会で目立つ働き過ぎの緩和を目指す。

ということなので、本当に関係ないかも知れません。もしかしたら、ここで「労働ビッグバン」なんて言葉を持ち出したのは、「労働ビッグバン」思想に心酔する日経の記者かデスクあたりの暴走(「日経病」!?)かも知れません。

もう少し様子を見る必要があるようです。

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2007年2月24日 (土)

規制改革会議も深い議論を

規制改革会議が教育再生会議に文句をつけているようです。

http://www.asahi.com/politics/update/0224/002.html

>政府の規制改革会議の草刈隆郎議長(日本郵船会長)は23日の記者会見で、教育委員会改革案を巡る教育再生会議の議論について「いろんな意見が、教育というのにはある。一方的にああいう意見だけで、しゃんしゃんしゃんで終わってしまうと非常に浅い議論だ。少しでも深い議論をしてもらいたいというのが我々の要望」と述べ、改めて異論を唱えた。

全く、仰るとおりですなあ。労働にも「いろんな意見」があるんですよ。「一方的にああいう意見だけで、しゃんしゃんで終わってしまうと非常に浅い議論」になってしまうんですよ。労働問題もね。本当に、「少しでも深い議論をしてもらいたいというのが我々の要望」なんですが、こちらの方は全然聞く耳をお持ちでないようなんですねえ、規制改革会議の皆様。幾ら、こんな辺境のブログで異論を唱えてみても、新古典派経済学(の初級テキスト)で武装した偉大な理論はびくともしないということなんでせうかね。少しは、労使関係論や労務管理論の初級テキストくらいちらりと読んでからものを喋っても罰は当たらないと思うんですがね・・・。

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2007年2月23日 (金)

雇用保障はワークライフバランスの敵か?

経済財政諮問会議の労働市場改革専門調査会の第3回会合の議事録が公開されています。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/03/work-s.pdf

大沢真知子先生がワークライフバランス社会の実現はなぜ必要かというプレゼンをしたところで、八代先生が、

>イギリスやアメリカの労働市場と日本の最大の相違点は、わが国は年功賃金制であり、正社員の解雇規制が厳しい点である。日本では、雇用保障を実現する1つの手段が労働時間調整であり、景気の良いときは超過勤務を行い、景気が悪くなるとまず労働時間を短縮することで当面の解雇を防ぐメカニズムが働いている。しかしながら、短時間正社員にはこのメカニズムが全く適用できないことから、仮に表面的な賃金率が同じであったとしても、雇用保障するためのコストが正社員に比べて相対的に高くなるのではないか。つまり正社員と非正社員は給料に差があるといわれているが、それ以上に雇用保障の目に見えないコストの有無という要素が大きいとすれば、これらのコストを考慮しなくてもいいアメリカやイギリスと、考慮しなければならない日本とでは、ワーク・ライフ・バランスを導入するコストは相当程度異なるのではないだろうか。

>今の日本的雇用慣行は、大沢委員が言われた一種のパッケージで、労働者から見てコストとベネフィットがある。したがってこのパッケージの中で、労働者にとっての最適な組み合わせとして、雇用保障は残したままで、ワーク・ライフ・バランスを重視するということを企業に要求した場合、企業がそれに耐えられるかどうかを考えることが重要と考える。

と、例によって、解雇規制を緩和し、雇用保障をなくせばワークライフバランスが実現するというロジックを述べておられます。

39472

最近の御著書『健全な市場社会への戦略』でも繰り返し論じておられる点ですね。

ところが、そのあとで、山川隆一先生が、

>イギリスとアメリカでも雇用保障の強さは違う。もし、仮に雇用保障が弱ければワーク・ライフ・バランスが強いといえるとすれば、イギリスよりもアメリカの方がワーク・ライフ・バランスは進捗しているといえそうであるが、実際にそうなのか。仮にそうだとすると、雇用保障が日本以上に厳しい面があるほかのヨーロッパ諸国においては、ワーク・ライフ・バランスは非常に弱いのか。つまり、この2つの要因のみによる分析が可能かという点について国際比較も交えて伺いたい。

と、鋭い指摘をしています。「伺いたい」も何も、雇用保障で言えば、

ヨーロッパ>イギリス>アメリカ

であり、ワークワイフバランスでも、

ヨーロッパ>イギリス>アメリカ

であることは分かっているわけです。日本が雇用保障はヨーロッパ並みに強いが、ワークライフバランスはアメリカ並みに弱いという変わった国であるだけで。

ホワイトカラーエグゼンプショと同じ間違いをまた繰り返そうとしているんですねえ。ホワエグも、解雇規制の緩和も、ワークライフバランスには関係ないのですよ。そういう何やらきれいな女性の人気が出そうな上っ面だけのロジックで解雇規制の話をやろうというのは、大変ミスリーディングだと思いますね。

そうすると、八代先生は、

>いきなり雇用保障とワーク・ライフ・バランスとをリンクさせるのは難しいかと思う。なぜならば、年功賃金、職務の不明確さという現状があるからだ。

>わが国では、能力に見合う賃金制度になっていないことから、なかなかワーク・ライフ・バランスが実現しないと考えてよいか。つまりワーク・ライフ・バランスの前提は生産性と賃金は等しいということであり、それが実現している国では導入が容易だが、日本では非常に難しいのではないか。解雇保障より、むしろ年功制が問題なのだろうか。

と、今度は賃金制度に矛先を向けます。

それもきちんと議論するとそう簡単には言えないと思いますが、それより、解雇規制の緩和は必要ないのですかねえ。私はむしろ、正規労働者と非正規労働者の均衡ということを考えるのであれば、解雇コストの平準化ということを考えるべきだろうと思っており、その意味では現在の解雇無効なら復職しかないというやたらに厳格な解雇規制はまさに緩和すべきだと思っているのですが、そういう論点はいいのでしょうか。

解雇規制の緩和は、ワークライフバランスなどという糖衣錠にくるもうとするのではなく、正面から労働市場の二重性の縮小のために必要なんだと主張すべきなのではないのでしょうか。少なくとも、八代先生がかつて勤務しておられたOECDが日本や大陸欧州諸国の厳格な解雇規制を批判する論拠はもっぱらそれが非正規労働者との格差を拡大するという点にあります。私もその議論に納得するところはかなりあります。

私はそういう正面切った規制緩和論は大いに歓迎したいと思います。インチキな議論でごまかしてやろうというのはやめた方がいいと思いますよ。

(労務屋さん江)

私は別に不必要に八代先生に対して「辛辣」になっているわけではありません。むしろ、彼が主張する規制緩和の相当部分については同意する面もあるのです。ただ、上のようなロジックの立て方は勘弁して欲しいのですよ。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20070221

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2007年2月22日 (木)

権丈先生 on パート年金問題

久しぶりに、権丈先生の名調子をご紹介します。題して「映画「サンキュー・スモーキング」のすゝめ」

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare67.pdf

これは昨年のアメリカ映画なんですが、「公開数週間で伝説のカルト・ムービーの仲間入りを果たした」ものだそうです。映画のパンフレットによれば、

>僕、ニック・ネイラーは、ワシントンのタバコ業界ロビイスト集団「タバコ研究アカデミー」の広報部長。さしずめニコチンのカーネル・サンダースといったところだ。・・・僕の専門は「情報操作(スピン)」。医学や法学の学位はないが、口先だけで相手を丸め込む。

>情報操作(スピン、スピニング)とは 辞書にはこうある。「動詞および名詞。世論に都合のよい影響を与えるため、偏った解釈を加えたり歪曲した状態で情報を流したり、他者の発言や行動をそのように解釈すること。そのようにして提供された情報」。

>仕事ではたとえ正しいと思わないことだって、相手を納得させなきゃいけない場合もある。ディベートは不利な場面でも議論に負けないための護身術。・・・ニックからそのテクニックを学ぼう!

>Case.1 視点をひっくりかえせ!

>Case.2 あいまいな言葉は自分流に定義しろ!

>Case.3 不利な土俵では戦うな!

というわけですが、別に権丈先生はアメリカ映画の宣伝をしようというわけではありません。先生は、

>社会保障制度審議会年金部会パート労働者の厚生年金適用に関するワーキンググループ(WG)のメンバーとして、1月から週に2回ほどのペースで開催されてきた関連業界からのヒアリングに出席していた。

>ニック・ネイラーのような人にあったのはそのWGの場であった。「ような人」――そう、ニックほどの冴えはなかったように思えるけど、とにかく「仕事ではたとえ正しいと思わないことだって、相手を納得させなきゃいけない」ということは十分に心得られていたし、「視点をひっくりかえせ、あいまいな言葉は自分流に定義しろ、不利な土俵では戦うな」などなど、ときどき論理に綻びもあったが、ディベートのテクニックを十分にマスターされていた。

>諸君、今日はディベート講座でも開いてみようかと思う。題材は、そうだな、やっぱり「パート労働者への厚生年金適用拡大に断固反対すべきである!」にでもするかぃ。君たちは、反対運動をしている事業主団体のスピナーにでもなった気分で遊んでおくれ。

ここからが本題です。とにかく面白すぎるので、是非リンク先に飛んで読んで下さい。

目次だけコピーしておきますね。

>ディベート「パート労働者への厚生年金適用拡大に断固反対すべきである!」

>Case.1 短期決戦では相手の初動ミスを思いっきり利用しろ!

>Case.2 みずからを弱者にたとえ社会の同情を誘おう!

>Case.3 弱者の代弁者をよそおいみずからを正義の使者として振る舞おう!

>Case.4 とりあえず威嚇してみよう!

>Case.5 まだまだいけるぞ濡れ衣論法!

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2007年2月21日 (水)

あずみ野観光バス事件続報

なんだか結構トンデモな会社だったようですね。

http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY200702210200.html

「スキーバス事故、労使協定結ばず超過勤 業者書類送検へ」

>大阪府吹田市のスキーバス事故で、大町労働基準監督署(長野県大町市)は、バスを運行していた同県松川村の「あずみ野観光バス」(下総建司社長)が労働基準法で定められた労使協定を結ばないまま、違法な長時間乗務や休日労働をさせていた可能性が高いと判断、同法違反容疑による書類送検を視野に調査を進めている。

>同労基署は昨年6月に同社を立ち入り調査し、タコグラフ(運行記録)の分析などから、同年初めのスキーバス繁忙期に1週間の拘束時間が75時間を超える違法な乗務(運転)をさせていたケースを確認。労働時間が週40時間を超える場合に必要な労使協定を結んでいないことが分かった。労使協定があれば週最大71.5時間まで延長が可能になる。また、連続運転時間4時間を超える違法な乗務も確認された。

>このため同社に対し、違法な長時間労働をやめ、労使協定を結ぶよう是正勧告を出した。その後、同社から労使協定の書面が提出されたが、不十分だったため、適法なものにするよう指導していた。まだ正式な協定文書は確認されていないという。

まあ、36協定なんかどこで結んでいるのか分からないというのが多くの人の実感かも知れませんが、それにしても日本国の法律は、36協定がなければ時間外労働は刑事罰の対象になりうる違法行為なのだということをもう少し周知した方がいいですね。

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いつからそのような権限が・・・

公務員の労働基本権について議論している行政改革推進本部専門調査会小委員会に経済産業省さんが呼ばれて説明したときの資料のようなのですが・・・。

http://www.gyoukaku.go.jp/senmon/iinkai/dai2/a_siryou3.pdf

「当省の業務内容」として、真っ先に「柔軟な事業・雇用環境の整備」てのが載っているのは、多分何かの間違いですよね。経済産業省設置法のどこを見ても、「雇用環境の整備」なんて挙がっていませんものね。

後ろの方に「多参画社会の実現」と題して、「雇用形態や税制、行政の在り方、人材育成制度、消費者政策など広範な分野にわたって制度設計の見直しを実施」と書いてありますけど、いつからそのような広範な権限をお持ちになられるようになったのか、是非ともご教示いただきたいところです。

まあ、鉱山の雇用環境に関しては大変重い責任を担っておられることは承知しておりましたが。

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エコノミスト先週号の記事

『エコノミスト』の2月20日号に載せた「正しい適用除外制度を歪めてしまったのは誰だ」をアップしておきました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/economistwhitecollar.html

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2007年2月20日 (火)

あずみ野観光バス事故に関連して

大阪で起きたあずみ野観光バスの事故について、「事故当日までの少なくとも2夜にわたり、1人で連続乗務していた」ことや、「いずれの乗務でも途中交代なしに徹夜で運転していた」と報じられています。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070220it01.htm?from=top

過重労働は普通は労働者本人の生命や健康に関わるだけですが、交通機関の場合、このように乗客や一般市民の生命や安全にも大きく関わってきます。

事実関係は今後の捜査で明らかになってくるでしょうが、実はこういった自動車運転手については、日本でただ一つ、拘束時間や休息期間の規制が(法律ではなく大臣告示レベルではありますが)存在するのです。恐らく労働関係者以外にはあまり知られていないであろうこの告示のうち、バス運転手に係る部分を紹介しておきます。

http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=hourei&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=706

○自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
(平成元年二月九日)
(労働省告示第七号)
第五条 使用者は、一般乗用旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業に従事する自動車運転者並びに旅客自動車運送事業及び貨物自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者であって、主として人を運送することを目的とする自動車の運転の業務に従事するもの(以下この条において「バス運転者等」という。)の拘束時間、休息期間及び運転時間については、次に定めるところによるものとする。
一 拘束時間は、四週間を平均し一週間当たり六十五時間を超えないものとすること。ただし、貸切バス(一般貸切旅客自動車運送事業(道路運送法第三条第一号ロの一般貸切旅客自動車運送事業をいう。)の用に供する自動車をいう。以下この項において同じ。)を運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸切バスに乗務する者及び起点から終点までのキロ程が概ね百キロメートルを超える運行系統を運行する一般乗合旅客自動車運送事業(同号イの一般乗合旅客自動車運送事業をいう。以下この項において同じ。)の用に供する自動車であって、高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項の高速自動車国道をいう。以下この項において同じ。)及び自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の二の自動車専用道路をいう。以下この項において同じ。)の利用区間のキロ程が五十キロメートル以上であり、かつ、当該キロ程が起点から終点までのキロ程の四分の一以上のものに乗務する者(第四号において「特定運転者」という。)については、労使協定があるときは、五十二週間のうち十六週間までは、四週間を平均し一週間当たり七十一・五時間まで延長することができる。
二 一日についての拘束時間は、十三時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は、十六時間とすること。この場合において、一日についての拘束時間が十五時間を超える回数は、一週間について二回以内とすること。
三 勤務終了後、継続八時間以上の休息期間を与えること。
四 運転時間は、二日を平均し一日当たり九時間、四週間を平均し一週間当たり四十時間を超えないものとすること。ただし、貸切バスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸切バスに乗務する者及び特定運転者については、労使協定があるときは、五十二週間についての運転時間が二千八十時間を超えない範囲内において、五十二週間のうち十六週間までは、四週間を平均し一週間当たり四十四時間まで延長することができる。
五 連続運転時間は、四時間を超えないものとすること。
2 使用者は、バス運転者等の休息期間については、当該バス運転者等の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるように努めるものとする。
3 第一項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合には、拘束時間及び休息期間については、厚生労働省労働基準局長の定めるところによることができる。
一 業務の必要上、勤務の終了後継続八時間以上の休息期間を与えることが困難な場合
二 バス運転者等が同時に一台の自動車に二人以上乗務する場合
三 バス運転者等が隔日勤務に就く場合
四 バス運転者等がフェリーに乗船する場合
4 労使当事者は、時間外労働協定においてバス運転者等に係る一定期間についての延長時間について協定するに当たっては、当該一定期間は、二週間及び一箇月以上三箇月以内の一定の期間とするものとする。
5 使用者は、バス運転者等に法第三十五条の休日に労働させる場合は、当該労働させる休日は二週間について一回を超えないものとし、当該休日の労働によって第一項に定める拘束時間及び最大拘束時間の限度を超えないものとする。

場合によっては、この基準の見直しが必要という議論になってくるかもしれません。

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2007年2月19日 (月)

上がってもない足を取りたがる症候群

またも日刊ゲンダイ・・・。

http://news.www.infoseek.co.jp/gendainet/society/story/19gendainet02030659/

>柳沢大臣またまた差別発言 (ゲンダイネット)

>この大臣はもうどうしようもない。「産む機械」発言の柳沢伯夫厚労相がまた口を滑らせた。

>15日の参院厚生労働委員会で残業代ゼロの「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度に関する質疑の場面で、生産現場で働く従業員について、「工場労働者というか、そのぉ、ベルトコンベヤーの仕事。労働時間だけを売り物です、というようなところですね」と言ってのけたのだ。

>柳沢大臣は残業代ゼロ制度の対象外となる労働者もいるということを説明しようとしたのだが、「ベルトコンベヤーの仕事」とはあまりにもお粗末。口を開くたびに誤解を招く失言を繰り返す大臣は一刻も早く辞めたらいい。

一体どこが「差別発言」なのか?誰がどういう誤解をするというのか、是非ともご教示いただきたいところです。

労働には、時間で価値を計ることがふさわしい労働と、時間で価値を計るのがふさわしくない労働があるという事実を述べただけではないのでしょうか。

時間で価値を計るべき労働であればこそ、時間に正確に比例して残業代を払わなければならないのですし、時間で価値を計るべきでない労働ならば、時間比例の残業代を払うべきそもそもの根拠が消滅するわけです。これこそが、ホワイトカラーエグゼンプションのもとも本質的な論点であり、その余はすべて余計であるということを、このブログで繰り返し述べてきたわけです。時間で価値を計るべきでないということと、時間で健康への影響を計るべきであるかどうかは全く別であるということも、繰り返し述べてきましたが、それはまた別の話ですが・・・。

とにかく、一体ゲンダイさんは何を言いたいのか。ベルトコンベアの仕事だって「労働時間だけを売り物です」といってはいけないんだ、時間で価値を計ってはいけないんだ、ブルーからーだって残業代をエグゼンプトすべきなんだ、とでも主張したいのでしょうか。

まあ、最近は工場でもセル生産方式がかなり導入されてきていますから、ブルーカラーだから「時間だけが売り物」というのは適切ではないというのは結構正しい指摘ではあり得ます(日刊ゲンダイがそんなことを想定しているわけはないけど)。

何にせよ、とにかく、こういう脊髄反射的な上がってもない足を取りたがる症候群がマスコミに瀰漫しているというのは、ゲンダイ日本人のレベルを物語っているというべきなんでしょうかね。

(追記)

と思ったら、民主党が一緒になってその足を持ち上げてたようです。

http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070219/skk070219004.htm

>19日の衆院予算委で、民主党の川内博史氏が「現場で一生懸命働いている方に失礼だ」と批判し、柳沢氏自らが議事録からの削除を申し出るよう要求。これに対し、柳沢氏は「全体を見れば誤解が生じるとは思わないが、『だけ』という言葉がある人々を傷つけるとの指摘なので、(削除が)可能かどうかを相談したい」と述べた。

ふうーーーん、民主党の議員さんは、「労働時間だけ」を売っている労働者というのは、言葉に出すのも恥ずかしいような、そんなことを言ったら失礼に当たるような、そういう人々だとお考えになっておられるんですかねえ。

時間当たり賃金で働いている人に対して、時間だけを売っている人だというのは失礼なんですか。時間とは別の基準で労働を売っている人の方が高級で偉いとでもお考えなんでしょうか。エグゼンプトの人だけが偉いとでも?

「アメリカではエグゼンプトは誇りを持っている」という経済界の方と同じことを言いたいわけですかね。

まあ、しかしもう疲れますなあ、こういう御仁たちには。ホントに、日本の政治というのは言葉尻だけで動いているんですねえ。ご自分のいっていることを論理的に組み合わせるとどういう整合性があるのかなんててんでアタマにはないんでしょう。

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2007年2月16日 (金)

成長力底上げ円卓会議

下のエントリーで取り上げた基本構想が官邸HPにアップされていますので、リンクを張っておきます。

まず基本構想そのもの

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seichou/070215honbun.pdf

その概要

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seichou/070215gaiyou.pdf

これは附属資料ですが、絵とかよくできています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seichou/dai3/siryou4.pdf

そして、これが新規施策一覧

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seichou/dai3/siryou6.pdf

実質的には、ここで「新たな政策として打ち出すもの」とされている

・「職業能力形成システム」(通称;『ジョブ・カード制度』)の構築

・『「福祉から雇用へ」推進5か年計画』の策定・推進

・「生産性向上と最低賃金引上げ」に向けた産業政策と雇用政策の一体運用

・国と地方の「成長力底上げ戦略推進円卓会議(仮称)」の設置

が主たる目玉商品というわけです。

私はこの中で、最後の円卓会議に注目したいと思います。

というのは、これまで官邸や内閣府主導の政策過程は、労働組合を既得権勢力視し、そういう輩を排除して「正しい」政策を上からやるんだという姿勢が顕著に見られたわけですが(いまでも、経済財政諮問会議の中にはそういう雰囲気の方もいらっしゃいますが)、こちらの円卓会議には、労使が主たるアクターとして政策実現に取り組んでいくという三者構成原則の思想が色濃く示されているのです。

ホワエグの失敗も、現場の当事者である労使を差し置いて空論が先行したことに原因があるわけですから、こうして政府の中枢における意思決定過程に労働組合が参加する仕組みをきちんと再構築していくことの重要性は、いくら強調しても強調したりないことはないと思いますね。

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成長力底上げ基本構想

朝日の記事ですが、本日の経済財政諮問会議に提出される「成長力底上げ戦略構想チームの基本構想がまとめられたとのことです。

http://www.asahi.com/politics/update/0216/002.html

>フリーターらに企業での職業訓練機会を与え、履修実績などを証明する「ジョブ・カード」交付など職業能力形成の支援強化に力点を置き、母子家庭の就職率向上や障害者の工賃倍増などの目標も掲げた。ただ、発足当初に「正面から取り組む」としていたワーキングプア(働く貧困層)への言及が消え、具体性には課題が残った。

>構想では、閣僚や経済団体、労働団体などで構成する「成長力底上げ戦略推進円卓会議」(仮称)を3月にも設置。政労使の合意形成を図り、08年度から施策を本格実施する方針だ。目玉としてフリーターや母子家庭の母親らが企業での職業訓練に参加できるようにする「職業能力形成プログラム」を盛り込んだ。

>同プログラムは、希望すれば半年程度から2年の間、企業での実地訓練と教育訓練機関での研修を合わせた訓練を受けられ、履修実績は「ジョブ・カード」で証明。訓練を受けた企業以外への求職でも実績を活用できるようにする仕組みだ。参加者や協力企業には政府が経済的に支援する。英国で86年に始まった職業訓練評価制度などを参考にしたという。

>また、就労支援では、5カ年計画を策定して母子家庭、生活保護世帯の就職率を現在の48%から60%への引き上げを目指すとし、授産施設などで働く障害者については平均工賃の倍増を目指す数値目標も盛り込んだ。

>中小企業対策では「円卓会議」で最低賃金の中長期的な引き上げに向けた合意形成を図る。IT化や下請け取引の適正化にも取り組む。

>ただ、1日のチーム初会合で塩崎長官らが示したたたき台で打ち出したワーキングプアの明記は「定義が明確でないので、政策の対象にすることは望ましくない」(大田経済財政相)として見送った。職業能力向上策は昨年末に政府がまとめた「再チャレンジ支援総合プラン」にも含まれており、経済界の協力をどこまで得られるかも含め不透明な点も多い。

政策の方向性は実に妥当なものだと思います。ただ、一方で八代先生主唱の「労働ビッグバン」を振り回しながら、もう一方でこういう政策というのも、なかなか頭の中が複雑になるのではないかという気もしますが・・・。

大田大臣が「ワーキング・プア」という言葉に難色を示した、というのも、この辺の政策の基軸をどっちに向けるのか、という問題が後ろにあるんでしょうね。どこかからあんまり行き過ぎるなよ、とねじを巻かれたのかも知れません。もともと自民党という政党は、野党が格差格差と言えば、それをそのまま自分たちの政策にして野党を置いてけぼりにしてしまうというのが得意技だったわけですが、やっぱり小泉・竹中路線の遺産を大事に押し戴きながらだと、難しい面もあるようです。

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2007年2月15日 (木)

職歴ICカード構想

日経によると、「働く意欲のある低所得層の所得向上を目指す政府の基本構想が14日、分かった」そうです。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070215AT3S1401T14022007.html

>職業訓練の履修状況や職歴などを記録したICカードを政府が発行し、求職活動をしやすくする計画などを盛り込んだ。生活保護世帯や母子家庭で職探しをしている人の就職率を現在の5割から6割に引き上げる5カ年計画も策定する。「格差問題」を巡る安倍政権の緊急対策と位置づけ、順次、実施する。

>政府の成長力底上げ戦略構想チーム(主査・塩崎恭久官房長官)がまとめた。16日の経済財政諮問会議に報告する。

>職歴などを記したICカードを発行するのは中小企業などの採用の現場で「履歴書の内容があいまい」との声が根強いため。個人情報をどこまで記載するかなどの詰めを急ぎ、希望者を対象に2008年度に導入する。

むかし労働行政でよくやった手帳制度の現代版でしょうか。

いずれにせよ、「生活保護世帯や母子家庭で職探しをしている人の就職率を現在の5割から6割に引き上げる5カ年計画も策定する」というのは大変時宜に適っていて、結構なことです。ハローワークの仕事をうちでやりたいと言っている民間営利企業の皆さんは、上澄みのクリームばかり舐めようとするんじゃなくて、自分たちがやればこういう就職困難者の就職率をもっと引き上げてみせるとか、言ってみたらいかがなものでしょうかねえ。

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未払賃金立替払いは何で賄うべきか?

労政審労災保険部会の議事録が公開されていまして、なかなか面白い。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/txt/s1214-2.txt

○松井委員
 1点目、質問をさせていただきたいと思います。使用者側からは、年来未払賃金立替払事業について、ここの労働福祉事業に位置付けることはいかがなものかということを主張してまいりました。質問は今回新たな事業をということで、未払賃金立替払事業を(3)の事業と位置付けることとなっていますが、まずここの部分について、(3)に書かれているような表現ぶりにどのように考えたらフィットするのか、その説明を事務局にお願いいたします。

○労災管理課長(勝田)
 この点に関しては前回の審議会でも議論になったと思いますが、基本的に未払賃金の立替払事業について(3)に位置付けるに際しては、特に倒産した企業において働いていた方々が、倒産後賃金について未払いのままですと、無理をして、例えば、複数の事業所において長時間労働をしなくてはならないとか、あるいは慣れない無理な仕事をしなくてはならないということに伴って、事故を誘発する等の可能性もあることから、今回のご議論においては(3)の中に保険給付事業の健全な運営に資するものとして位置付けることで考えております。

○松井委員
 次に、もう1点確認の質問をさせていただきます。この立替払事業については、2002年の改正において、総合雇用対策の一環として、失業者の生活の安定と就業の促進を目的に、上限額の拡大が行われたと記憶しています。その際の労働条件分科会で諮問された説明の中に、セーフティネットの充実の一環として、未払賃金立替払制度における上限額を引き上げて、失業者の生活の安定に資することとするという説明があったと聞いています。いまのご説明ですと、失業者ということでなくて、働いている方の労災がなくなるという説明があったと思うのですが、その点といまのご説明との繋がりについて、もう少し私どもが理解できるようにご説明をお願いしたいと思います。

○労災管理課長
 2003年当時の状況の中で申し上げるとすれば、非常に高い失業率がまだ当時続いていた時代です。この状況の中ではまだ就職をしていないで仕事を探している方たちの中で、どのような仕事に就くかということで、無理に就くかどうかということを考えていかざるを得ない。その部分での失業者の生活の安定という面があった。それが次の仕事を見つけて無理に働きだすと、その部分での災害防止に繋がるという側面がありますので、その2つはいわば連続して起こっていることとお考えいただければいいのではないかと思っています。

役人というのは三百代言を弄して・・・などと言わないでくださいね。

ぎりぎり論理的に詰めれば松井氏の言ってることに正当性があることぐらい分かっているのです。しかし、それなら・・・、

○長谷川委員
 ・・・それと倒産だとか未払いがある限りは、何らかの制度が必要なわけで、未払賃金立替払制度そのものを否定するわけではないでしょうから、もしご指摘があるのだったら、そういう制度をどういうふうに構築していくのかというのを併せて言ってもらわないと、あたかもこの制度がいらないように聞こえるのですが、そうではないのですか。

未払賃金立替払い事業なんかなくてもいいとは言えないわけです。では、労災保険勘定以外にその金を出してくれる奇特なところがあるかというとないわけです。

今回の特別会計改革は、「役にも立たない福祉施設や宿泊施設ばっかり作りやがってこの野郎!」というところから始まったこともあり、筋の通りにくい福祉事業はやめるというのは当然なのですが、しかし実は、政策的に絶対必要なんだけれども、ほかに適当な財源がないものだから使いやすかった労働保険特会で面倒を見ざるを得なかった、という類がいくつかあるのですね。この未払賃金立替払い事業などはその典型。どこが労災なんだ、と言われると、上のような三百代言式の苦しい説明にならざるを得ないのですが、それなら、特会は本来の目的の給付だけにしろと言う財務省の財政制度審議会は、「おうおう、みなしごになっちゃう未払賃金の立替払いは一般会計で面倒を見てあげよう」と言ってくれるかというと、全然そんなことは言ってくれないわけですよ、これが。

この際、官邸主導で、再チャレンジということでやってくれるのであれば、それは大変結構な話ではありますが、そういう噂も全然聞こえてきませんし、結局、会社が倒産したり社長が夜逃げしたりして給料を貰い損ねた労働者の面倒はどこかが見なければならないわけですから、こういうことにならざるを得ないわけです。これはある意味、政労使みんな分かった上でやってることなわけですね。

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2007年2月14日 (水)

財源気にせず少子化対策を

朝日によると、「財源気にせず少子化対策を」と尾身財務相が発言されたようで。

http://www.asahi.com/politics/update/0214/007.html

>「少子化対策にいくらかかるか、財源に遠慮なく出してほしい」。9日に首相官邸で開かれた「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の初会合で、尾身財務相が、少子化予算の確保に積極的な発言をしていたことが13日分かった。予算削減の陣頭指揮をとるはずの財務相の発言に、霞が関に波紋が広がっている。

>出席者の一人は「出生率回復と予算は関係ないと言うのかと思ったら、全く逆。会場にざわめきが起きた」。所管する柳沢厚労相、高市少子化担当相もお株を奪われ、口を出せなかったという。

>政府・与党内で勢いづく「増税なき財政再建論」に対し、少子化対策は費用がかかることを強調し、消費税増税につなげる狙いがあるようだ。

なにはともあれ、財務大臣が財源を気にするなと仰っていただいているのですから、心おきなく予算要求いたしませう、厚生労働省関係部局の皆様。

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雇用対策法改正案

昨日、雇用対策法などの改正案が閣議決定されました。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/h0213-1.html

法案要綱はここにあります。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/dl/h0213-1_02.pdf

注目されていた年齢差別禁止規定ですが、第10条にこういう規定となって設けられるようです。

「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与え【るように努め】なければならない」

努力義務から法的義務になりますが、その適用される範囲は省令で定めるという形でショックを和らげようとしているわけですね。

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OECDの解雇規制緩和勧告

OECDが13日に「経済政策改革:成長に向けて2007」という報告書を発表しました。

http://www.oecd.org/document/8/0,2340,en_2649_37451_37882632_1_1_1_37451,00.html

概要はこのリンク先に載っていますが、興味深いのは各国別の「ノート」。

日本に関する部分は、

http://www.oecd.org/dataoecd/47/36/38088741.pdf

ですが、小売・専門サービスを自由化しろ、農業の生産者補助を減らせというのと並んで、「正規雇用の雇用保護法制を改革せよ」というのが挙がっています。

Reform employment protection legislation for regular employment

Uncertainty about the definition of unfair dismissal applied by courts has made the requirement for dismissals less transparent and this could have discouraged the hiring of regular workers. The strictness of employment protection for regular workers has increased the proportion of non-regular workers, raising both efficiency and equity concerns.

Actions taken: No measures have been taken to ease employment protection for regular workers.

Recommendations: To remove judicial uncertainty that discourage the hiring of regular workers, more precise and transparent statutory guidelines should be established. Reduce employment protection for regular workers, thereby lowering the incentives to circumvent strict conditions by hiring nonregular workers.

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2007年2月13日 (火)

つっこみ力不足

>人は正しさだけでは興味を持ってくれません。人はその正しさを面白いと感じた時にのみ、反応してくれるのです。....大衆にこびる必要はありませんが、ウケを狙いにいくことは、大切です。「正しさ」にこだわり続けるかぎり、論理力もメディアリテラシーも、つねに敗れ去る運命にあるのです。いままでも、これからも。.

なるほど、なるほど、心に沁みる一言です。

さて、この本日発売の「エコノミスト」誌に載った私の小文に「つっこみ力」はあったのでしょうか。ほんの少しでもあったのであれば嬉しいんですが・・・。

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/

>正しい「適用除外制度」を歪めてしまったのは誰だ  濱口 桂一郎

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2007年2月12日 (月)

フリーター向け職業訓練費助成

成長力底上げ戦略の第一弾として、標記政策が打ち出されるようです。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/top/index.cfm?i=2007021106399b1

>政府はフリーターなど雇用保険に加入していない若年層の非正規労働者らでも職業訓練を受けられるように、公的な助成制度をつくる方向で検討に入った。バブル崩壊後の「就職氷河期」にフリーターなどになった人が技能や資格を身につけ、正社員になれるように後押しする。必要に応じ上限10万―20万円程度の支給金を出すほか、上限を上回る分を融資する制度も設ける方向だ。

 就職氷河期に正社員になれなかった「ワーキングプア(働く貧困層)」への就労支援は、安倍晋三首相の指示に基づく。政府の「成長力底上げ戦略構想チーム」(主査・塩崎恭久官房長官)が近くまとめる緊急対策に基本的な考え方を盛り込む。

ということで、今までほとんど雇用保険財政に頼り切る形で雇用政策をやってきたことの裏返しとして、雇用政策から事実上疎外されてきたフリーター層が、正面から政策の主たる対象と位置づけ得られるようになってきたことは望ましい傾向だといえます。

数年前から、雇用戦略の必要性を訴えてきた立場からしても、官邸が明確にこういう姿勢を打ち出すようになってきたことは大変嬉しいことですね。

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2007年2月 9日 (金)

成長力底上げ戦略

なんだかマスコミは安倍政権のやることなすことにことごとくけなしておけばいいというふうな感じになっていますが、前小泉政権時に比べれば、遙かにまともな政策感覚を持つようになっていますよ。ちゃんと褒めるべきは褒めないと、B級国民向けの小泉劇場時代に逆戻りしちゃいますよ。この成長力底上げ戦略なんかも、初めて官邸主導でまともな政策を打ち出しているではありませんか。ちゃんと中味を報道してくださいよ。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seichou/hearing/1gijisidai.html

成長力底上げ戦略とは何か?というと、

「いわゆる「格差問題」や「ワーキングプア」の問題に正面から取り組む。」

「努力した人と汗を流した人が、報われる社会にしていくことを目指す。ただし、格差が「固定化」することがあってはならない。」

「成長を下支えする基盤(人材能力、就労機会、中小企業等)の向上を図り、働く人全体の所得や生活水準を引き上げつつ、格差の固定化を防ぐ。」

ということだそうです。

戦略の柱は「三本の矢」だそうで(どこかでそういう題名の本を読んだような気もしますが、関係なさそうです)、「機会に恵まれず、このままでは「格差固定化」の懸念がある人や企業等に対象を絞った戦略を展開する。」としています。具体的には、

(1)人材能力戦略
『能力を高めようとしても、能力形成の機会に恵まれない人』への支援・特に、職業能力向上を求めているフリーター、母子家庭、子育て期の女性等

(2)就労支援戦略
『経済的に苦しく公的扶助を受けている人で、経済的自立(就労)を目指していながら、その機会に恵まれない人』への支援
・特に、就労を目指している生活保護世帯、母子家庭、障害者など

(3)中小企業戦略
『生産性向上を図るとともに、賃金の底上げをしようとしているが、その機会に恵まれない中小企業等』への支援

で、その特徴は、

○3年間の「集中戦略」
○雇用政策、社会保障政策、産業政策の一体運用を目指す「複合戦略」
○人材を中心に据えた「人材投資戦略」

とされています。

現状は三つの悪循環で、それを底上げ戦略で好循環に持っていこうというわけです(図はリンク先参照)。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seichou/hearing/siryou1.pdf

なんとまともな!と、私は思わず涙を流しますがな。ようやくEU並みのまともな政策戦略が日本にも根付いてきたか、と、感無量ですがな。

こういうまともな政策は、政局以外には何も考えないマスコミ様方には評判がよろしくないわけですな。特定の人々を痛めつけるサディスト政策は狂喜乱舞して持ち上げるくせにね。

この論点整理くらい熟読玩味しておいて欲しいものです。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seichou/dai2/siryou1.pdf

なお、この資料集はよくできています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/seichou/dai2/siryou2.pdf

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ゼニカネ至上主義者

>「月に100時間以上も残業する社員がいる企業は30%」――。中央労働委員会が実施した「06年賃金事情等総合調査」で、予想通りサラリーマンの多くが、長時間の残業をしていることが分かった。

というニュースに対して、どういう反応をするかで、その人間のレベルが知れます。

http://news.www.infoseek.co.jp/gendainet/society/story/09gendainet02030506/

このゲンダイネットニュースなるメディアは、ここ数ヵ月間の多くのマスコミや政治家と同様、「そんなに長時間労働して健康は大丈夫だろうか、過労死しはしないだろうか」なーーーんてことは、これっぽっちも考えないんですね。

頭に浮かぶのはただカネ、カネ、カネ、それだけ。

>ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されれば、これらはすべてタダ働きになる。

>優良企業でも、月に100時間の残業をしている会社が30%もあるのだから、ITなど新興企業を加えれば、全体では半数を超えているのは間違いない。となると、気になるのは、残業代を廃止する「ホワイトカラー・エグゼンプション」が実施された時、サラリーマンの収入が、どのくらい減収するのかだ。

>米国から「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を迫られている安倍政権は、参院選後に導入する予定だ。それまでに退陣に追い込まないと、サラリーマンはとんでもないことになりそうだ。

こういう記事しか書けないゼニカネ至上主義のマスコミが日本をリードしていることの方が、遙かに心配です。

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2007年2月 8日 (木)

労働市場改革専門調査会第2回議事録

経済財政諮問会議に設置された標記専門調査会、通称「八代調査会」と呼ばれて、例の労働ビッグバーーンの中味を検討する悪の巣窟かと恐れられている(!?)ところですが、最近アップされたその議事録を見ると、なんともまともな議論が展開されている、というよりも素晴らしい議論になっているではないですか。立派な方々が立派な議論をしているんですよ、これが。

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/02/work-s.pdf

この日のプレゼンは、みずほ総研の藤森さんと社研の佐藤先生ですが、いずれも現在の労働市場の課題に真っ向から切り込んでいます。藤森さんは、ブレア政権の「ウェルフェア・トゥ・ワーク」について、佐藤先生は「セーフティネットとしての能力開発と法知識」についてです。このブログでも取り上げてきた関心からすると、佐藤先生のプレゼンがたいへん興味深いものがありました。

まず、「就業安定性が高い人ほど私的セーフティーネットが充実している。逆にいえば、就業安定性が低い人はすべての私的セーフティーネットが低くなる」という傾向があるんですね。ですから、「就業が不安定な人にとっては、公的セーフティーネットの果たす役割が非常に重要であると言える」わけです。

「基本的には、誰にも能力開発の必要性はあるが、やはり失業リスクの高い人にとっては、失業して次に仕事に就けるようにすることを考えれば、能力開発の必要性はほかの人よりも高いだろう。 そのような人が主体的に能力開発に取り組めているかどうか」を見ると、「失業リスクが高い人の方が相対的に能力開発に取り組めていない。能力開発の必要性がある人が能力開発に取り組めていないという状況がある」のです。

それはなぜかというと、「忙しいかどうかは失業リスクによって差はなく、失業リスクが高い人ほど新しい仕事に接する機会がないということなどに違いがある。したがって、例えば企業に勤務していても、様々な理由があるが、企業がその人に余り長く勤めてもらいたくないと思うと新しい仕事を提供しない、あるいは企業内に教育訓練に時間が割けないから教える人がいない、あるいは本人も所得があまり増えないので教育訓練にお金を使えない」ということのようです。

そこで、「この人たちに関してそのような阻害要因を取り除く仕組み、例えば勤務先企業がなかなか新しい仕事を提供してくれない。そこで教えてくれないとすれば、18 ページのように、企業の外での教育訓練の機会の提供が必要になり、金銭的な支援が必要となる」というわけですが、この点については、私はいきなり外部労働市場に行く前に、企業内の能力開発機会の均等という考え方があるべきではないかと思います。同一価値労働同一賃金などとできもしないことをいうよりも、企業がいろんな仕事を経験させることを求めていくべきではなかろうか、と。

次に、「セーフティーネットとしての法的知識」について、「男性、年齢が高い者、高学歴、ホワイトカラー、大企業勤務者ほど知識水準が高い。逆に、年齢が低く、低学歴、ブルーカラー、つまり失業リスクがある可能性が高い人ほど相対的に法知識を持っていないということになる。つまり、法知識を必要とする人が知らない状況があることから、この問題の解決が非常に大事ではないか」と指摘しています。これも大変重要なポイントで、昔終戦直後には労働省に「労働教育課」ってのもあって、労働教育に力を入れていた時期もあったんですが、いまは全く問題意識もなくなってしまっていますが、改めて職業教育とは区別された労働者として生きていく上で必要な知識としての労働教育というものを考えていく必要があるように思います。

面白いのが正社員と非正社員のスキルレベルの話です。「非正社員が就いている仕事は1か月未満でやれるものが多いが、大事なのは、正社員と非正社員を比較してみるとスキルレベルが相当重なっていることである。正社員は非常に難しい仕事をやっているという先入観があるが、非正社員と実は重なっている」んですね。

「正社員に比べて非正社員は、確かに種々の変数をコントロールしても技能水準が低いが、その要因は、勤続年数が正社員より短いことの結果として高い技能を要する仕事に従事していない」のであって、「非正社員の勤続が進めば技能水準の差はなくなる」のです。これはたいへん重要なインプリケーションを持っているように思われます。

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2007年2月 7日 (水)

柳澤厚労相の殆ど正しい発言

昨日の閣議後記者会見の概要がアップされています。

http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2007/02/k0206.html

野党の皆様方のご批判がどれだけ正しいものか是非熟読玩味していただきたいところです。

>これはもう、元から私申し上げておりますように、要するに、若い人たちの雇用の形態というようなものが、例えば、婚姻の状況等に強い相関関係を持って、雇用が安定すれば婚姻の率も高まると、こういうような状況ですから、まず、そういうようなことにも着目して、私どもは若者に対して安定した雇用の場を与えていかなければいけないと、こういうことでありましょう。それからまた、女性、あるいは一緒の所帯に住む世帯の家計というようなものが、子どもを持つことによって厳しい条件になりますから、それらを軽減するという、いわゆる経済的な支援というようなものも必要だろうと、このように考えます。それからもう1つは、やはり家庭を営み、また子どもを育てるということには、人生の喜びというか、そういうようなものがあるんだというような、意識の面の、自己実現といった場合ももう少し広い範囲でみんなが若い人たちが捉えるように、ということが必要だろうというふうに思います。ただ、前から言っていることですが、そういうことを我々は政策として考えていかなければいけないのではないかと思うのですが、他方、ご当人の若い人たちというのは、結婚をしたい、それから、子どもを二人以上持ちたいという極めて健全な状況にいるわけですね。だから、本当に、そういう日本の若者の健全な、なんというか、希望というものに我々がフィットした政策を出していくということが非常に大事だというふうに思っているところです。具体的な事について、いろいろまた考えていかなければいけない。基本的枠組みとしては、そのようなことです。

野党の皆さんは、「若者に対して安定した雇用の場を与えていかなければいけない」とか、「子どもを持つ」「世帯の家計」への「経済的な支援」とか、そういうマテリアルなことはどーでもいいんですね。「子どもを二人以上なんか持ちたくなんかないぜ」という考え方が健全かどうかということの方が百万倍大事なんですね。

確かに、赤川学氏のように、少子化対策なんか糞食らえという思想はあるし、そういう思想の自由は確保されなければなりません。野党の皆さんはそこまで徹底して考えを詰めた上でものを喋っておられるんでありませうか。だったら、まずは政府予算案から少子化対策を全額削除する修正案を出してみられたらいかがでせうかね。

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世の流れは・・・

というふうに、慣れないマスコミの真ん中で懸命に論を張っておりますが、わたくしごときが何を言うたところで世の中の流れには何の影響力もないようで、淡々とホワエグは出さない、残業割増だけは出すという風に、事態は着実に進んでいっておるようでありますな。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070207AT3S0601E06022007.html

>安倍晋三首相は6日、首相官邸で柳沢伯夫厚生労働相らと会い、残業代割増率を引き上げる労働基準法改正案を今国会へ提出することで一致した。長時間労働を是正する狙いだ。大企業を対象に月80時間を超す残業には現行(25%以上)より高い50%の割増賃金を義務付ける。中小企業に関しては急激な負担増を避けるため、法施行から3年後に義務付けの是非を含め再検討する。

>会談後、首相は記者団に「働き過ぎの流れを変えなければならない。残業代の割増賃金(の引き上げ)を含め労働法制の6法案の提出の準備を進めるよう指示した」と説明した。

>残業代上げとセットで議論してきた一部の会社員を労働時間規制から外す自己管理型労働制(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)について首相は「まだ国民の理解が得られていない」と指摘。今国会での法整備の見送りを求めた与党の方針を了承した。(23:25)

いや、まさに、「働き過ぎの流れを変えなければならない」のです。そのために何が必要かという議論こそが必要なのですが、マスコミの残業代ゼロというゼニカネ至上主義にあっけなくノックアウトされてしまったというわけです。

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岩波書店の『世界』

岩波書店の『世界』誌の3月号が「労働破壊-再生への道を求めて」という特集をしており、そこに私も「ホワイトカラーエグゼンプションの虚構と真実」という文章を書いています。内容は、このブログで書いてきたことと同じです。

http://www.iwanami.co.jp/sekai/index.html

ほかの執筆者は以下の通りです。

内橋克人  大企業が人間破壊を行っている

島本慈子  破壊される雇用、根腐れる民主主義

水町勇一郎  過剰労働と格差の間

中野麻美  労働ビッグバン構想

鹿嶋敬他  均等法派遣法から20年

本田由紀  やりがいの搾取

竹信三恵子  ポイ捨て社員の時代

鴨桃代  いまこそ労働組合のあるべき姿にこだわりたいのです

佐藤彰夫  テレワークの光と影

本田さんの文章は、例のバイク便ライダーの話を切り口に、自己実現系ワーカホリックを「やりがいの搾取」ととらえたもので、なかなか面白いですよ。改めて、本田さんのブログが閉鎖されたままになっているのがもったいないですね。

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2007年2月 5日 (月)

労働契約法案・労働基準法改正案の答申

2日(金曜日)、労政審から標記に関する答申が出されましたが、予想通り、労働時間については労使双方から反対意見が付いた形です。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/h0202-3.html

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/dl/h0202-3a.pdf

労働基準法改正案の方は、「以下の意見のあった事項を除きおおむね妥当と考える」とありますが、それを除くと、年次有給休暇を時間単位で取得できるという改正だけになっちゃうんですね。

まあ、でも、そういう部分があるからそういうしょぼい形で国会に出しておいて、後は国会議員の皆様の処分に委ねます、ということになるんでしょうか。

柳澤大臣も、天皇機関説ならぬ女性機械説騒ぎで叩かれてとてもイニシアティブを発揮できるような状況ではなさそうですし、正直見るのも辛い状況ではありますが、あとは国会議員の皆様の良識に信頼申し上げるということでしょうか。

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2007年2月 2日 (金)

船員の労働契約法・労働時間法

普通、労働に興味のある人でも、船員関係についてはほとんど知らないことが多いですよね。私の本(『労働法政策』)の最後にちょいと船員関係法制に触れていますが、これは実はかなり古くなっているんです。

そして、厚生労働省の労働契約法・労働時間法の動きに対応して、国土交通省海事局でも、「船員に係る労働契約法制・労働時間法制検討会」というのが昨年9月から開催され、つい先頃その中間とりまとめが出されたなんてことも、あんまり知られていないでしょう。(ていうか、私もついさっき気がついたところ)

http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/10/100116_2_.html

http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/10/100116_2/02.pdf

その結論を一言で言うと、「今年の通常国会に提出予定の新法(労働契約法制)については、原則として船員に適用(ただし、労働契約法制の一環として措置される労働基準法改正事項については、船員法改正により措置することとし、法案提出時期は別途検討)。 
 今年の通常国会に提出予定の労働基準法改正(労働時間法制)による措置事項については、所定外労働の削減関係を除き、船員への導入の必要性は認められず。船員の所定外労働の削減については、どのような対応が必要かにつき引き続き検討。 」ということになります。

詳しくはリンク先を見ていただきたいのですが、いろんな意味でたいへん面白い。船員の時間外労働法制って面白いんですよ。

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日経ビジネスオンライン

日経ビジネスオンラインに私のインタビュー記事が載っています。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070201/118220/

早速いろいろなコメントがついていますね。このインタビューでは、時間外手当の適用除外は正しいというところに重点が置かれたこともあるのかもしれませんが、400万円でもいいというのか!という反発が強く出ているようで、労働時間規制の適用除外は間違っているんだ、きちんと規制すべきだというところにはあまり反応がないようです。

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