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ホワエグ断念!

政界の動きは目まぐるしく、なかなか追いついていけないうちに、あれよあれよという間にホワエグ断念に追い込まれたようです。

http://www.asahi.com/politics/update/0116/011.html

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/top/index.cfm?i=2007011608740b1

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070116i215.htm

http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070117/shs070117000.htm

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20070116k0000m010170000c.html

主要各紙を並べてみましたが、日経を除き、各紙とも見出しに「残業代ゼロ法案」、「残業代ゼロ制度」、「残業代ゼロ法案」、「残業代ゼロ制」と、くつわを並べてそこのところを批判する論調になっています。

まあ、民主党の菅副代表が「残業代ピンハネ法案」などと扇情的なことを言っていたようですし、もうまともな議論ができる雰囲気ではないのでしょう。民主党も、昨年末に出された労働契約・労働時間法案では、少なくともこの点についてはかなりまともな認識に近いものを示していたのですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_7412.html

そういう次元じゃなくなっちゃったみたいです。とにかく、すべては参院選に向けての宣伝戦略から考える、と。

記事が詳しいのは、さすがに昨年末から「残業代ゼロ」キャンペーンを張ってきた朝日で、

>安倍首相は16日夜の日本記者クラブでの記者会見で「働き過ぎを助長してはならない。ましてやサービス残業を奨励する結果になってはならない。なんと言っても働く人たちの理解が不可欠だ」と強調。これに先立ち、首相は同日夜、国会中に理解を得られるかどうかを記者団から問われると「働く人の理解がなければうまくいかない。今の段階では難しい」と語った。

>WE導入は、財界が「多様な働き方」(御手洗冨士夫・日本経団連会長)を促すものとして求めてきた。政府もこれまで、最低賃金引き上げやパートの正社員化を促すパート労働法改正など他の法案とセットでの処理を目指してきたため、WE法案はかりに成立が困難だとしても、通常国会に提出する道をぎりぎりまで探ってきた。だがこれ以上与党との亀裂が広がることは得策ではないと判断、首相側近も16日夜、「選挙もあるのに民主党に有利な材料を出すことはない。提出は絶対にない」と断言した。

>ただ、WE導入の先送りに対しては財界が反発している。日本記者クラブでの会見で、首相はパート労働法改正案の提出方針は示したものの、セット処理の前提が崩れたことで労働法制全般の処理で混乱が生じる可能性も出てきた。また昨年12月の道路特定財源の一般財源化に続き、首相が看板に掲げる「再チャレンジ」に直結する政策分野でも与党内の反発を押し返すことがなかったことで、首相の求心力低下も避けられない。

>WE導入は、政府が05年3月に閣議決定した規制改革・民間開放3カ年計画をもとに厚生労働省が検討に着手。しかし議論の中で「残業代ゼロ」という部分が強調されたため、野党から「残業代ピンハネ法案」(菅直人・民主党代表代行)などと批判された。与党内でも公明党を中心に抵抗を強め、首相周辺からも「選挙にプラスになる法案ではない」という声が出ていた。

>厚労省はWEの呼称を「自己管理型労働制」と統一し、柳沢厚労相が今月上旬から与党幹部に説明に回った。塩崎官房長官も「法律を出すのが筋だ」と強気の姿勢を打ち出していたが、与党内は「厚労相が動いているから、その足をひっぱらない程度に発言しているだけだ」(自民党幹部)と冷ややかだった。

あのですね、「「残業代ゼロ」という部分を強調」したのは、外ならぬ朝日新聞さんじゃございませんでしたっけ。審議会では、労働側はもっぱら働きすぎによる過労死の懸念を問題にしていたんですよ。本来的な議論としては、そこが最大の問題点なのであって、低レベルなマスコミさんのように「残業代ゼロ」と喚いていたわけではない。

ただ、これは他の労働関係法案にも大きな影響を与えかねません。

朝日は、さらに別記事(「働く人、敵に回せぬ」世論読み誤った残業代ゼロ断念)で、

http://www.asahi.com/politics/update/0116/014.html

>一定条件の会社員の残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」(WE)の法案提出を見送ることになった背景には、夏の参院選を前に「サラリーマンを敵に回したくない」との与党の判断に加え、世論の反発を読み誤って、導入を急いだ政府の拙速な姿勢がある。だが、WEは、パート労働法改正や最低賃金の引き上げなど、一連の労働法制見直しとセットで調整してきた経緯があり、経済界の反発は必至。他の法案審議にも影響を与えそうだ。

と書いています。この点は重要です。つまり、

>今国会で改正を予定している労働関係などの法案は、労使の利害調整を経て「寄せ木細工」(厚労省幹部)のようになっている。産業界が求めるWEを実現するのとセットで、労働側が求める残業代の割増率アップや、最低賃金法の強化などを産業界に受け入れさせた経緯があり、この日もパート労働法の改正案要綱が出たばかり。パートへの厚生年金の適用拡大の議論もこれからのタイミングだ。WEを認めないとなれば、全体が崩れるおそれがある。

>日本経団連幹部は「WEの見送りは、総理の決断だから仕方がない。だが、(パート労働法改正など)全部セットの話なんだから、全部なし、ということだ」と話す。

ということになってしまうと、4年に一度の労働国会(厚生労働委員会で大きな厚生関係法案がないため労働関係法案に集中できる年)がすっ飛んでしまいかねません。

そういうことにならないようにするためには、いかに週刊誌レベルの反発が強くても、審議会で労働組合側が了解しているよ、というのがお守りの護符になるというのが三者構成原則の妙味だったわけですが、労働側が明確に反対の意思表示をしたままで答申に至ってしまったので、それが効かなくなったのは痛かったという感じですね。

ここはなかなか難しいところで、私の感触からすれば、労働側が呑むような方向付けはありえたのではないかと思うのですが、結果がこうなった以上、言っても詮無いことでしょう。

多分、一番うれしがって祝杯を挙げているのはマスコミ関係者だったりして。労働側にとっては、一応勝った勝ったといいながら、ホンネでは頭を抱えてしまっている面があるように思いますよ。

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