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2007年1月26日 (金)

労働契約法案・労働基準法改正案要綱

昨日、労政審労働条件分科会に標記2法案の要綱が諮問されました。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/01/dl/h0125-8.pdf

ホワエグの行方は全く見通しが立たず、一方残業代割増引上げだけは出すという話が進んでいて、そうなるといささか片手・・・おっとバランスを失した感が否めません。厚生労働省としては、粛々と法案作業を進めていくというスタンスなのでしょうが、経営側としてはたいへん心配なところでしょう。

経営側の心配といえば、昨日某所でホワエグの話をしてきたのですが、ある人事担当者の方から、「この制度って、勝手に休まれても文句を言えないんでしょうか」と、たいへん心配そうな口調で質問を受けました。そう、まともな人事担当者だったら、自律や自由やという謳い文句を見たら、そういうとんでもない話かと思ってしまいますがな。学者先生じゃないのですから、組織で仕事をしているサラリーマンの話なのですから、出勤するのも休むのも本人の自由などという馬鹿げた話になるはずがない。自律的なのは仕事の中味であって、それを実行するためには、朝から晩まで上司や部下や同僚や他部局や取引先やあれやこれやと接触し続けていなければ物事が動くはずもない。管理職だって、労働時間が自律的ではないのであって、仕事の中味が自律的なだけなのに、その一歩手前が勝手に休んでいいはずがない。そういうまともな組織人なら誰でも分かることを全部すっ飛ばして、規制改革会議のトンデモ議論に振り回されてきた挙げ句が今のていたらくだということを、もっときちんと反省すべきだし、経営側もきちんと発言すべきでしょう。足もとの人事担当者が心配しているんですよ。日本経団連さん。いつまで空論につきあうつもりですかねえ。

で、もう一つの労働契約法案の方です。昨年末の答申と異なる点は、労働契約の内容の変更として、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」という原則論を書いた上で、「ただし、(三)による場合は、この限りでない」と、最高裁の変更法理が例外であることを明確化した点です。

判例法理をそのまま法文化するという意味では確かにもっともな話ということもできますが、実はこれって凄く皮肉な話なんですよ。分かる人には分かると思いますけど、2003年の労基法改正で解雇権濫用法理が法文化されたとき、最初の案では、「使用者は・・・労働者を解雇することができる。ただし、その解雇が・・・」と、やはり解雇自由という大原則を明記した上で、例外として濫用したら無効だよと規定していたのを、そんなのおかしいじゃないかといって削らせたんですよね。

そっちは大原則を書くのはけしからなくてこっちは大原則を書かなくちゃいけないというのも、なんとなく首尾一貫していないように思えるんですけど、どんなもんなんでしょうか。

まあ、わたしはそもそも、就業規則法理を個人ベースの契約関係という観点からのみとらえる考え方自体が短慮であって、むしろ集団的労使関係法理として熟成させていくべきではないかと思っているので、どっちにせよ、こういう方向性は労働法を民法に解消するものでしかないのではないかと思うのですがね。

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