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2006年12月27日 (水)

最賃も建議が出ました!

さて、今日は労働条件分科会で労働契約法と労働時間法の建議が出る予定で、皆さんもそっちに関心が逝っちゃってるんじゃないかと思うんですが、ここらで心を落ち着けるために一服、最賃の建議でも見ておきましょう。って、なんだよ、おまけ扱いかよ。って文句を言われると怖いですが・・・。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/dl/s1227-12a.pdf

本日、最賃の建議が出たわけですが、内容は12月12日にこのブログで書いたもののままです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_99cb.html

基本的な考え方は、「最低賃金制度の第一義的な役割は、すべての労働者について賃金の最低限を保障する安全網であり、その役割は地域別最低賃金が果たすべきものであることから、すべての地域において地域別最低賃金を決定しなければならない旨を明確にする必要がある」ということで、特に「社会保障政策との整合性を考慮した政策が必要である」というのが重要ですね。

ここから具体的な法制度として、「国内の各地域ごとに、すべての労働者に適用される地域別最低賃金を決定しなければならないものとする」こと、「決定基準については、「地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力」に改めるものとする」こと、そしてとりわけ「「地域における労働者の生計費」については、生活保護との整合性も考慮する必要があることを明確にする」ことが盛り込まれました。

この点については、審議経緯のところで「使用者側からは、労働の対価である地域別最低賃金の決定に際して、国が社会保障として行う生活保護との整合性を考慮することは疑問であるといった主張がなされ」たとの記述はありますが、使用者側の附帯意見が付く形にはなっておらず、公労使三者の合意した見解と云うことになっています。それはそうでしょうねえ。これだけワーキング・プアが話題になっているご時世の中で、正面から「働いてる人間の方が貧しくってもかまわない」と言い切るのは、流石に憚られたということでしょうか。

一方、産別最賃の方は、基本的考え方として「企業内における賃金水準を設定する際の労使の取組みを補完し、公正な賃金決定にも資する面があることを評価しつつ、安全網とは別の役割を果たすものとして、民事的なルールに改める必要がある」と述べ、具体的な制度としては「労働者又は使用者の全部又は一部を代表する者は、一定の事業又は職業について、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に対し、最低賃金の決定を申し出ることができる。・ 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、上述の申出があった場合において必要があると認めるときは、最低賃金審議会の意見を聴いて、一定の事業又は職業について、最低賃金の決定をすることができる。・ 一定の事業又は職業について決定された最低賃金については、最低賃金法の罰則の適用はないものとする。(民事効)」という風になっています。ちなみに、こちらには「なお、使用者側の一部から、産業別最低賃金の廃止に向けての議論は継続すべきであるとの意見があった」というのがくっついています。

まあ、職種別設定賃金という2年越しのテーマが、建議直前になって遂に消えるという波乱はありましたが、結果的にはまあ妥当なところに落ち着いたのではないでしょうか。

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