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2006年12月28日 (木)

労働契約法制・労働時間法制に関する答申

というわけで、ようやく厚労省のHPに答申がアップされたようなので、それをネタにいじくりましょうか。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/12/dl/h1227-4a.pdf

とはいえ、労働時間関係はもうあんまり言うべきことは残っていないんですよね。さっきも某テレビ局からコメントを求められたんですが、問題構造を理解して貰うのに一苦労。関係者全員が誤解している、或いは誤解したふりをしているのを解きほぐすのは大変難しいのです。「へえ、そうだったんですか!」とその人はようやく理解しても、テレビ番組で使えるように再構成するのは難しいだろうし、「なんだよ、そいつは、どっち側なんだ、わけのわからんのは使えんぞ」でお仕舞いだろうし。

とにかく、ホワエグについては「労働者代表委員から、既に柔軟な働き方を可能とする他の制度が存在すること、長時間労働となる恐れがあること等から、新たな制度の導入は認められないとの意見があった」というのをくっつけることで答申に至ったわけです。あとは、国会議員の皆様方が、何が問題とするべきことで、何が問題とするべきではないことであるかについて、きちんとした見識を示すことが出来るかですな。

それより、この答申は、12月21日の報告(案)からだいぶ変わったところがあります。労働契約法制のところなんですが、マスコミさんたち、もうみんなホワエグしか眼中になくて、労働契約法なんてそんなのあったの?みたいな感じですねえ。

21日の報告案で斜体字になっていた労働条件の均衡考慮については最終的に落ちました。そして、労使双方の意見を付記した上で、「労働条件に関する労働者間の均衡の在り方について、労働者の多様な実態に留意しつつ必要な調査等を行うことを含め、引き続き検討することが適当である」という形で、一応火口はつなぎつつ先送りした形です。

これはパート関係のところで繰り返し述べてきましたが、本格的に論じようとすれば大変難しい議論なんですよ。学生アルバイトと派遣・請負で働くフリーター、お気楽主婦パートと家計を支えて働く母親、等々といった社会学的に厳然と存在する違いを、法律論としてどう取り込んでいけるのか?という大変難しい課題であるわけなんで、表層だけなでるように均等だ均衡だといってればいいというわけのものではない。労働関係者全てに課せられた十字架でもあるというくらいに考えるべきでしょう。

で、次の就業規則の変更のところが大きく変わっています。「就業規則の変更による労働条件の変更については、その変更が合理的なものであるかどうかの判断要素も含め、判例法理に沿って、明らかにすること」というだけになってしまっています。

辛うじて残っていた「労働組合との合意その他労働者との調整の状況(労使の協議の状況)」が、きれいさっぱりとなくなっちゃっていますね。

連合さんは、労使協議なんかしなくてもいいというつもりなんですかねえ。

使用者が勝手に就業規則を変えたら、裁判所で合理的かどうかを判断して貰うんだ、労働組合なんか関係ないんだ、というつもりなんですかねえ。

労働組合なんて使用者の言うがままのあやつり人形に過ぎないんだから、そんな奴の合意なんか信用ならねえ、裁判官様のご判断の方が遙かに素晴らしいんだ、というつもりなんですかねえ。

だったら、さっさと労働組合なんか解散しちまった方がいいんじゃないんですかねえ。

腕利きの労働弁護士がいればいいんじゃないんですかねえ。

組織内部のいろんな事情はあるのだろうとは思いますが、労働組合が労働組合の存在意義を自己否定するような形で結論を導いてしまったことについては、きちんとした総括が必要であると思いますよ。

(ここまで言うのはいかがかと思う面もありますが、あえて言っておくと、労働組合と労働弁護士の利害はぎりぎり食い違う面があるのです。前者にとっては労働者全体の利益を最大化するために一部の労働者に泣いて貰う必要も時にはあるのに対して、後者にとっては自分のクライアントたる労働者個人が重要で、他の労働者がどうなろうと知ったことではない。今回は、労政審の審議に労働弁護士が関与しすぎたのではないかという印象を、わたし個人的には持っています。というか、集団的労使関係の観点があまりにも希薄であることに、正直危機感を持っています。)

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