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2006年12月12日 (火)

労働契約法はどこへ行った?

ところで、最近ホワエグの話題ばっかりで、労働契約法の話はどこへ行ったんでしょうか?なぞとカマトトぶってみる。

せっかく10日の報告案を水口さんがアップしてくれているのに、なんにも言わないのもなんですから、ちょいとコメントしますね。

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/files/rouseishin06z08.pdf

とはいえ、既に本ブログで素案段階から申し上げているように、「半世紀に一回の画期的な労働立法という触れ込みだった労働契約法は、ほとんど判例法理のリステートメントにとどまるものにな」ってしまったようなので、あんまり力が入らないんですがね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_ff48_1.html

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_a3fc.html

報告案で若干興味深いのは、水口さんも取り上げている安全配慮義務の規定ぶりです。

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2006/12/post_cd15.html

素案では「使用者は、労働者が安心して働くことができるように配慮するものとすることとしてはどうか」となっていたのですが、報告案では「使用者は,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができる職場となるよう,労働契約に伴い必要な配慮をするものとする」となっています。

恐らく、審議会の席で奥谷委員はじめとする使用者側が文句を付けたので、なんだか和らげたような気のする文言にしたのだろうと思いますが、では水口さんの言うようにほんとにこれで「現在の判例の労働者保護水準は大きく後退させられてしまう」のかというと、そんなことにもならないのではないかと思われます。確かに「法文として意味不明」なところはありますが、別に「保護義務から努力義務におとしめたということ」にはならないと思いますよ。「配慮するものとする」んですから、最初から配慮義務なんであって、むしろ、「生命、身体等の安全」が明確化しているわけです。

そもそも、安全配慮義務は最高裁判例で明確に確立しているわけで、奥谷委員が幾ら社員の自己責任だと言っても過労死すれば1億円某の損害賠償を払わなければいけないのであって、それを免れようとすれば「労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができる職場となるよう、労働契約に伴い必要な配慮を」していたことを証明しなければなりません。その中味は結局現行判例法理と変わらないでしょう。

それより、そのすぐ次の均衡考慮原則(これも遙かいにしえの研究会報告では「均等待遇原則だったんですねえ)が斜体文字になっていることが気になります。ここはまだ合意が得られていないということなんでしょうから、最終的に脱落する可能性が高いということでしょう。解雇のところの整理解雇4要素も斜体文字で、新聞では既に落とすことが決定と報じられているわけですから。

就業規則や労働条件変更については先月22,23日のエントリーに付け加えるべきことはほとんどありません。ただ、あれだけの労力を注ぎ込んで創り上げた労働契約法制研究会報告の、新たに何かをやろうというところがものの見事にぜーーーんぶなくなってしまったものじゃのう、という老人みたいな感想を抱いてみるだけで。いや、もちろん、今までの労働法制の歴史をひもとけば、小さく産んで大きく育てるというのも一つの道。世の中の流れも今後どうなっていくか分かりませんし、まずはとりあえず、最小福祉国家・・・じゃなくって、最小限度の労働契約法でもってこの世に生を受けさせて、少しずつ拡充していけばいいのですよ、その時にはまた誰か別の担当者が取り組むことになるのです。

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