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2006年12月 1日 (金)

経済財政諮問会議の労働ビッグバン始動

なんだか毎日日替わりのように労働関係の大きなニュースが続くので、追っかける方も大変ですね。いや、私は大体どの分野も土地勘がありますから見出しを見れば大体中味は想像通りですが、新聞記者の皆さんはそのつど過去の経緯を勉強しなくちゃいけないから大変ですよね、ね。いや、もちろん、ちゃんと過去の経緯を勉強してるんでしょうと言ってるだけで、それ以上の意味はありませんよ。

http://www.asahi.com/life/update/1201/001.html

というわけで、今朝の朝日は、昨日の経済財政諮問会議の記事が一面トップです。

>政府の経済財政諮問会議が30日開かれ、労働市場改革「労働ビッグバン」として、一定期間後に正社員化することを前提としている現在の派遣労働者のあり方を見直す方向で検討に入った。この日は、派遣契約の期間制限の廃止や延長を民間議員が提案。期間が無期限になれば、派遣期間を超える労働者に対し、企業が直接雇用を申し込む義務も撤廃されることになる。

いや、それはその主語では間違いないんですが、既に一昨年から規制改革・民間開放推進会議が見直しを要求してきていて、既に今年から厚生労働省の労働政策審議会で審議されているのでありまして、規制改革会議から経済財政諮問会議に変わった八代尚宏氏がその見直し論の中心にいるというようなことは、記者の皆さんよくご存じのはずで。

厚生労働省に任せておくとどうなるかわからんという御懸念でしょうか、「諮問会議では専門調査会を設置して議論を深め、労働者派遣法の抜本的な改正などに取り組むことにした」ということなのですが、既に三者構成機関で議論がだいぶ進められているものを、どういう構成の会議で議論しようとするのか、まさか人材派遣業者ばっかりで派遣労働者の代表のいない会議ではないんでしょうね、とちくりと言ってみる。いや、もちろんいろんな人を集めて議論するのは大変いいことです。

全く図ったわけではないのですが、昨日某労働関係組織で同じ領域について喋った講演のメモをこのすぐ下のエントリーでリンクしてありますので、興味があってかつ御用とお急ぎでない方はちらとお読みいただくと、この問題の歴史的経緯がわりとコンパクトにまとめられておりますですよ。

ここで出てきている民間議員4人による「複線型でフェアな働き方に-労働ビッグバンと再チャレンジ支援」と題する文書は、既に内閣府のHPに掲載されています。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1130/item4.pdf

いったん消えた「労働ビッグバーーーン」が華麗に再登場ですね。内容は多岐にわたります。いや、労働問題のほとんど全てに及ぶといった方がいいかも知れません。曰く、

① 再チャレンジを阻害する労働市場の問題はどこにあるか

・過去の社会環境を前提とした現行の労働法制のあり方は適切か

・フリーター・ニート等への就業支援はどうあればいいか

・職業訓練・紹介の充実のための官民連携のあり方(市場化テストの拡充)

・労働移動のしやすい職種別労働市場の形成には何が必要か

② 雇用形態による格差をどう是正するか

・労働者派遣法は、真に派遣労働者を保護するものになっているか

・多様な働き方に共通した雇用ルールはどうあるべきか

・税制や年金制度は働く意欲を阻害していないか、また公平の観点から適切か

・家族のあり方の変化を踏まえた女性・高齢者・若者の雇用はどうあるべきか

・最低賃金制度のあり方

③ 仕事と育児の両立を図るには何が必要か

・テレワーク等の在宅勤務の拡大には何が必要か

・時間に縛られない働き方を実現するには何が必要か

・企業活力を維持しながら企業が積極的に取り組むための方策は何か

・利用者のニーズに沿った「保育サービス」の提供をいかに実現するか

・保育と幼児教育の役割分担や連携は適切か

④ 技能をもった外国人労働者をどのように活用すべきか

・外国人を就労可能とする入国資格の「専門的職種」の範囲をどう設定するか

・雇用主の管理責任をどう考えるか。現在の法制度は適切か・・・

「経済財政諮問会議に専門調査会を設置して、以上のような制度改革のあり方についての課題の整理と集中的な議論を行い、随時経済財政諮問会議に報告を行ってはどうか。諮問会議においては、専門調査会報告や関連制度改革の考え方等に関して必要に応じて議論を行う」ということです。

当然のことながら、柳澤厚労相から「諮問会議や専門調査会で議論するというのは、それはもちろんいいけれども、労政審では、労使公の三者で審議する仕組みがある、そこでエンドースしなければならないという点は十分に配慮してほしい」、というような御発言がありました、と大田大臣が記者会見で報告しておられます。前にもちらりとここで書きましたが、労働問題に関するILOの三者構成原則というのは、少なくとも先進文明国では最低限の基準なので、そこは弁えて貰わないといけないわけです。

同会議ではハローワークの民間委託も議論されたようですが、この問題はまた改めて。

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