高齢化社会と労働法政策
本日、東京大学法学部連続講演会「高齢化社会と法」の第7回目として、「高齢化社会と労働法政策」をお話ししてきました。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/todaikoen.html
若い学生からかなりの高齢者の方まで、いろいろな方が見えていました。講演メモはこの通りですが、そもそも日本の年齢に基づく雇用システムがいついかなる形で形成され、構築されてきたのかという、HPの「日本の労務管理」で書いているような話も冒頭にしておきました。
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今日の講演を興味をもって拝聴させて頂きました。質問したかったのですが、タイミングを計れませんでした。欧州の雇用退出年齢引き上げは日本の60歳以上の賃金の大幅引き下げ容認且つ必ずしも65歳までの雇用を一律に確保できるわけではない点に比してどうなのでしょうか。また、年金の支給水準と働かなければ食べていけないのか否かという点は日本と相違しているのではと思っていますが、いかがでしょうか。(適当な名前で失礼しました。本名でも問題は無いのですが、他の方のブログにもこの名前を使っていますのでバランスを考えてしまいました。ご容赦下さいます様)
投稿: うだつあがらず | 2006年12月16日 (土) 22時16分
今日の講演を拝聴させていた者です。適当な名前ですいません。EUでは60歳以上の賃金は日本のように大幅に下がるのでしょうか、また日本では必ずしも65歳までの雇用が全面的には確保されていないのに比してどうなのでしょうか。年金の支給水準も日本のほうが低くは無いでしょうか。日本の場合働かなければ生活水準の大幅下落をきたすケースが多いのではないでしょうか。雇用・年金・生活基盤の対比ではちょっと日本はしんどい気がしますが。
投稿: うだつあがらず | 2006年12月16日 (土) 22時34分
昨日ご紹介したOECDの「世界の高齢化と雇用政策」によれば、先進諸国の年齢による賃金カーブ(71ページ)は、かなり平べったい国、急激にあがって最後でどっと下がる国、かなり上昇して下がらない国と3種類あるようです。
日本は韓国とともに第2のタイプの典型なのですが、年功賃金なのに就業率が高い例外とされています。日本や韓国の高齢期における賃金の大幅下落やパート・有期への移行を年功制の帰結として言及しています。
就業率との関係で言うと、第3のタイプの高齢期にも下がらない年功カーブの国は高齢期の就業率が低い国なんですね。裏から言うと、多くの(主として低賃金の)高齢者が労働市場から退出するので、残った相対的に高賃金の高齢者が賃金カーブを高く維持するわけです。
OECDは基本的にヨーロッパの感覚でものを書いていますから、第3のタイプの年功賃金をもっとフラットにして高齢者の雇用を増やせと言っているのですね。年金もあまりにジェネラスに過ぎる、と。
やや語弊のある言い方ですが、十分働ける間は「働かなくても食べていける」のではなく「働かなければ食べていけない」ようにした方がいいのだという価値判断が背後にあるようです。まあ、OECDはかなりネオリベ的な傾向のある組織なので、EUはそこまでシビアな言い方はしませんが、基本的な方向性は共通しているように思われます。
投稿: hamachan | 2006年12月17日 (日) 11時22分
貴重な講演録をアップしていただきありがとうございました。勉強させていただきます。
ところで、途中で切れているような…。
投稿: プーランツァス | 2006年12月20日 (水) 14時42分
すいません、アップし直しました。
投稿: hamachan | 2006年12月20日 (水) 16時57分