労働契約法制の素案
昨日開かれた労政審労働条件分科会に提示された労働契約法制の素案がJILPTのHPに掲載されています。
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/siryo/pdf/20061122.pdf
これはかなり後退した内容になっていますね。特に、就業規則変更のところは、合理性の判断要素として、「労働組合との合意その他の労働者との調整の状況(労使協議の状況)」が「労働条件変更の必要性」「就業規則変更の内容」とならんで書かれているだけで、判例法理を超えて手続的法的安定性を確立しようとした契約法研究会報告の精神はほとんど失われてしまったといえましょう。まあ、多数組合による少数組合の弾圧だと主張していた少数派運動の立場からすると、もっとも許し難いところがなくなってほっと一息と言うところかも知れません。
ここは、立場によって様々な考え方のあるところだろうとは思いますが、こうやって過半数組合が同意しているかどうかが決定的要件とはならず、詰まるところ裁判官の胸先三寸でどっちに転ぶかが決まるという状況を長引かせることが、本当に労働者にとって望ましいことなのかどうかについては、もう一度考え直してみる値打ちはあると思うのですがねえ。
解雇については予想通り、事実上の先送り案になっています。労働審判や個別紛争制度の状況を踏まえつつ、とか今頃言っているということは、12月までに何らかの具体的な制度を設けるところまで持っていくつもりはないということでしょう。まあ、これは決着は難しいかなという感じはしていましたが。
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